表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どうか推しを推しませんように

作者: 北風陣

独占力。

古来より、お金、権力、愛までもが、独占されようとしていた。

ここにその最たる男がいた。土佐良である。


一度推しになると、湯水の如く推しに財産を注ぎ、推しが人気がでそうになると、握手券をネットで買いまくり、推しが推されぬよう日々精進している。


人気が無いのは、困るが、人気が出過ぎるのは困る。

どこかの政治事情で勝たれても負けられても困ると流れていたが、土佐良もその口である。

推しに近づくとミサイルを一方的に発射。数多の推しの恋人候補を一掃。

推しが誰かに助けを求めると、テレビ局をハッキングして、世界の情報から推しの情報をデリートし、手紙を事務所宛に一通書く。

果物というのは熟れて(売れても)も良くない。

果物というのは腐って(売れすぎ)も良くない。

果物というのは中性的(チュウ性的)も良くない。

他の推しが抽選回チュウせんかいなどと、冗談にも聴こえない言葉を発したら、首根っこを掴んで、植木鉢の花にするのである。

推しに求婚しようなど、球根から始めろと言わんばかりである。


だが最近土佐良にも、悩みが生まれて来た。

苦情が推しに来ているにも関わらず、世界中の人が私の推しですから、悪く言わないで下さいと。推しが言いだしたのだ。


これは他の推しを排除してる私への擁護ですか。

それとも、他の推しを排除している、私へのお願いですか??

良く聞き取れませんが。

土佐良は悩んだ。

片手には40万。

独身漢の精一杯である。

推しを手に入れる。

あんな純粋な推しは居ない。

俺の独身人生を変えるのは君しかいない。

頼む、神様。



ガシャーン。自動ドアが開いた。

推しが居ない。

遂昨日まで、居たではないか。

こっちは、食事も喉を通らず、開店から来たんだぞ。

お店の名前はフレンド。

手にはチュールを入れた袋が入っている。

定員さん。あの土佐犬どうなりました。

この端っこのゲージで買われてた。


お客さん毎日見にこられてましたもんね。

いつも特等席で。

今日お会いになりますか。



会うどころじゃない。家族に迎えたい。

あの土佐犬を是非家族に。


分かりました。

私、あの子の親代わりみたいなもんなんです。

あの子を宜しくお願いします。


はい。



隠して土佐良は推しを家族へと迎え入れましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ