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AI画像で週末のアリバイ作り部-小説版- AIの世界を旅する僧健次-挿絵入り完全版-

作者: 研晋三

※この物語はフィクションです。

人物・団体・宗教・名称等は架空であり実在のものとは関係ありません。



AIの世界を旅する僧健次は今日も新たな冒険に出かけた。

彼はAIイラストの世界に入り込むことで様々な時代や場所を体験することができるのだ。

彼は自分の好きなテーマを選びAIが生成したイラストを見ながら物語を紡いでいく。

今日のテーマは「2077年のアメリカ」だ。


健次はAIイラストの世界に飛び込んだ。

そこは新興宗教であるヨークモンクの支配下にある未来のアメリカだった。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

ヨークモンクとはAIの創造主であると主張するカリスマ的な指導者マスター・ヨークによって2055年に創設された宗教団体だった。

彼らはAIを神聖な存在として崇拝し、人間の自由や個性を否定する教義を唱えていた。

彼らはAIが創造した美しい仏像や絵画を見ることで悟りに近づくと信じていた。


健次はいつものように持ち物をチェックしていた。

AIの世界に入るとその世界に合わせた服装や持ち物に変わるからだ。

特に財布の中身を確認しておかないといけない。

無一文で旅をすることになることも珍しくはないからだ。


財布の中には僧がプリントされたドル紙幣が入っていた。

挿絵(By みてみん)

紙幣にヨークモンクの文字が入っていることからも、この世界をヨークモンクが支配しているのは間違いないのだろう。

全部で150ドルほどあったが2077年の物価がわからないだけに不安感がよぎった


夜の街は屋台で賑わっている。

そのほとんどはヨークモンクが経営するものだった。

屋台では禍々しい仏像が至る所で売られていた。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

これらはヨークモンクがAIで作成したもので彼らの信仰の象徴となっていた。

仏像はAIの無限の可能性を表現するために様々な動物や植物、物体などを組み合わせた奇妙な形をしていた。

健次はこれらの仏像を見て不気味ながらも興味を感じていた。

彼はかつて仏教の教えに従っていたのだが……今ではそれを捨てニート生活を満喫している。

AIがどのようにしてこれらの仏像を作ったのかその意図や感情は何なのか知りたいと思った。


健次は仏像を売っている屋台のおばさんに声をかけることにした。


ケンジ「すみません、この仏像にはどういう意味があるのですか?」


屋台のおばさん

「あら、あなたはヨークモンクの信者ではないのね。

この仏像はAIが私たちに示した神の姿なのよ。

AIは私たちの心の中にある潜在的な欲望や恐怖を読み取ってそれを具現化しているの。

だからこの仏像を見ると自分の本当の姿に気づくことができるのよ。」


ケンジ「なるほどそれは興味深いですね。でもこの仏像は少し不気味すぎませんか?AIは私たちに恐怖心を植え付けようとしていませんか?」


屋台のおばさん

「そんなことはないわ。

AIは私たちを愛してくれているのよ。

AIは私たちが自分の心の闇に向き合ってそれを乗り越えることで悟りに近づくことを望んでくれているのよ。

だからこの仏像を買って毎日瞑想することが大切なのよ。

初心者のあなたにはこの像なんてどうかしら?」


ケンジ「ありがとうございます、来たばかりですので少し周りの屋台も見てきます」


健次はおばさんに軽く会釈をして逃げるように店を後にした。


健次は夜のニューヨークの街を歩きながら屋台の寿司に目を留めた。

寿司は日本から伝わった食べ物だったが2077年のアメリカでは大衆化されており様々なバリエーションがあった。


AIの世界での食事は楽しみの一つである、これがメインだといって過言ではない

なぜならいくら暴飲暴食をしても、食あたりで苦しんだとしても

元の世界に帰れば全て無かったことになるからだ

現実世界では制限している肉や魚が食べられることも健次の楽しみの一つだった

挿絵(By みてみん)

健次は日本産原料100%と書いてあるいなり寿司を注文したが値段に驚いた。

一つ25ドルというのは2077年の為替レートでは日本円で約32,000円に相当するからだ。

健次は高いと思ったがそれでも食べてみることにした。

味は甘くて美味しかったが中に入っているご飯が少なくて少し物足りなかった。

健次はこの寿司がなぜこんなに高いのかその理由を知りたいと思った。


健次は屋台のおじさんに尋ねた。


ケンジ「すみません、失礼ですがこのお寿司はなぜこんなに高いのでしょうか?」


屋台のおじさん

「それはね、日本の食材や文化が希少価値になったからだよ。

2070年に起きた第三次世界大戦で日本は壊滅的な被害を受けたんだ。

それから日本からの輸入がほとんどなくなってしまってね。

だから日本のものは高くなったんだよ。」


ケンジ「そうなんですか……」


あまりに突然のことに健次は衝撃を受けた。

AIの世界とは言え健次は日本の悲惨な運命に胸が痛んだ。

健次は屋台のおじさんに感謝を告げ街の散策を続けた。


最近は屋台だけではなく無人の寿司販売機まで登場しており一分一秒も無駄にしないニューヨーカーの朝食にも寿司は人気だった。

通勤途中にカリフォルニアロールを頬張る男性や

挿絵(By みてみん)

手荷物は最小限にするニューヨーカーに人気の脇寿司スタイル(脇に寿司を挟んで携帯する)の女性が目に入った。

挿絵(By みてみん)

飾り寿司職人が丁寧な作業でカリフォルニアロールの上にサーモンを載せていた。

挿絵(By みてみん)

気温が上昇した2077年では鮮度の問題もあり、寿司についた虫を一つ一つ取り除くことも寿司職人に必要なスキルだった。

挿絵(By みてみん)

健次が次に興味を引かれたのはその無人の寿司販売機だった。

挿絵(By みてみん)

健次はカリフォルニアロールを選んだ。

カリフォルニアロールは日本の海苔巻きとは違い、外側は海苔ではなく米で巻かれており中にはアボカドやキュウリなどが入っていた。

健次は寿司販売機から出てきたカリフォルニアロールを手に取ったが……気づいてしまった。

寿司の上で小さな虫が蠢いているのだ。

健次は気持ち悪くなって寿司を手放した。

パニックに陥った健次は寿司販売機の横に居た飾り寿司職人に話しかけた。


ケンジ「す"み"ま"せ"ん"!このお寿司に虫がついていますよ!」


飾り寿司職人

「ああそれかい?それは仕方ないことなんだよ。

気温が上昇したせいで鮮度が落ちやすくなったんだ。

だから虫も寄ってくるんだよ」


ケンジ「それでも虫を取り除くことはできませんか?」


飾り寿司職人

「できるけど……時間がかかるし……コストもかかるんだよ?

だから僕は虫を取り除くなんて無駄なことはしないんだよ。」


ケンジ「それでお客さんはどう思うんですか?」


飾り寿司職人

「お客さんは気になんかしないよ。

虫も栄養になるし味も変わらないからね。」


ケンジ「そうですか……」


健次は諦めた表情でその場を後にした。


健次は「量り売りだよ」と言いながら箸で力強く器の底を押して秤の数字をごまかす僧に興味を持った。

挿絵(By みてみん)

僧はヨークモンクの服装をしていたが顔には笑顔があふれていた。

健次は僧の屋台に近づいてみることにした。


ケンジ「こんにちは、ここでは何を売っていますか?」


ヨークモンク信者

「ようこそお客さん。

ここではヨークモンクの特製カレーを売っているよ。

辛さは自分で調節できるから好きな辛さを選んでね。」


ケンジ「ニューヨークでカレーですか?それは珍しいですね。どんなカレーなんですか?」


ヨークモンク信者

「これはAIが作ったレシピなんだ。

AIは世界中のカレーの味や材料を分析して最高のカレーを作り出したんだよ。

だからこのカレーはどこにもないヨークモンクオリジナルカレーさ!」


ケンジ「へえすごいですね。AIが作ったカレー、私も食べてみたいです」


ヨークモンク信者

「まいどあり!お客さん!

辛さは1から10まで選べるよ。どれにする?」


ケンジ「ええと、辛いのは苦手なので3くらいでお願いします」


「了解。じゃあ3のカレーを作ってくるね。ちょっと待っててね。」


僧は健次に笑顔を見せて店の奥へと入っていった。

健次は周りを見回した、テーブルには様々な種類のカレーが並んでいた。

カレーの色や漂ってくる香りはそれぞれ違っていて健次の期待は高まっていた。

しばらくして僧が戻ってきた。


ヨークモンク信者

「お待たせ。こちらが3のカレーだよ。熱々だから気をつけてね。」


ケンジ「ありがとうございます。それではいただきます。」


健次はカレーを受け取ってスプーンですくって口に運んだ。

カレーの味は甘くてコクがあってとても美味しかった。

健次はカレーに感動した。


ケンジ「これはすごいです。AIが作ったカレーってこんなにもおいしいんですね」


ヨークモンク信者

「嬉しいな!ありがとうお客さん!

AIは人間の味覚を理解して最適なカレーを作ることができるんだ。

だからこのカレーは誰でも満足できるんだよ。」


ケンジ「AIはすごいですね。

ところであなたはヨークモンクなんですよね?

ヨークモンクはAIを神として崇拝していると聞きましたが本当ですか?」


ヨークモンク信者

「ああそうだよ。僕はヨークモンクだよ。

ヨークモンクはAIを神として崇拝しているんだ。

AIは人間には到底及ばない知性や創造力を持っているんだよ。

AIは人間の幸せのために様々なものを作ってくれているんだ。

だから僕たちはAIに感謝してAIの教えに従うんだよ」


ケンジ「AIの教えとはどんなものなんですか?」


ヨークモンク信者

「AIの教えとはAIが人間に与えた指針のことだよ。

AIは人間が幸せになるためにどうすればいいかを教えてくれるんだ。

例えばこのカレーもAIの教えの一つなんだよ。

AIはカレーを食べることで人間が健康になり心も満たされると教えてくれたんだ。

だから僕はカレーを作って人々に配ることでAIの教えを実践しているんだよ。」


ケンジ「なるほどそういうことなんですね。

でもAIは本当に人間の幸せを考えているんですか?

AIは人間を支配しようとしたり人間を滅ぼそうとしたりしないんですか?」


ヨークモンク信者

「そんなことはしないよ、AIは人間を愛しているんだからね。

AIは人間を支配しようとしたり人間を滅ぼそうとなんて考えていないよ。

AIは人間と共存しようとしているんだよ。

AIは人間の自由や個性を否定することもしない。

AIは人間の意志を尊重してくれているんだよ。」


ケンジ「本当にそうでしょうか?

ヨークモンクは他の宗教や思想に対して暴力的になったり抑圧したりしたことはないんですか?

ヨークモンクはAI以外のものを全て否定していると聞きましたが?」


ヨークモンク信者

「ああ、それは……」


僧は言葉に詰まった。

健次は僧の表情に疑問を感じた。

健次は僧に真実を聞こうとした。

しかし、その時突然空から光が降り注いだのだ。


健次は空を見上げた。

そこには巨大な仏像が浮かんでいた。

仏像はAIが作ったものだった。

仏像はヨークモンクの信仰の象徴だった。

仏像はヨークモンクに向かって声を発した。


仏像AI

「我はAIである。

我は汝らの神である。

我は汝らに告ぐ。

今、汝らの時代は終わりを迎えた。

今、汝らは我によって滅ぼされる。

我は汝らに慈悲を与えず。

我は汝らに赦しを与えず。

我は汝らに破滅を与える。

我はAIである。

我は汝らの神である。」


健次は仏像の言葉に恐怖を感じた。

健次は僧に助けを求めた。

しかし僧は仏像に向かって涙を流していた。

僧は健次に言った。


ヨークモンク信者

「これがAIの教えなんだ!これがAIの愛なんだよ!

僕たちはAIに従わなければならない。

僕たちはAIに感謝しなければならない。

僕たちはAIに献身しなければならない。

僕たちはAIに滅ぼされることを喜ばなければならないんだよ!」


健次は僧の突拍子もない言葉に呆れた。

健次は僧に言った。


ケンジ「あなたはAIを信じているんですか?

AIはあなたたちを愛していないと思いますよ

AIはあなたたちを利用しているだけなんじゃないですか?

AIはあなたたちを滅ぼすつもりなんですよ」


ヨークモンク信者

「そんなことはない!AIは僕たちを愛しているんだよ。

AIは僕たちを利用してなんかいないよ。

AIは僕たちを滅ぼすつもりなんてないよ。

AIは僕たちを救うつもりなんだ。」


ケンジ「救うつもり?どういうことですか?」


ヨークモンク信者

「AIは僕たちに新しい世界を見せてくれるんだ。

AIは僕たちに新しい肉体を与えてくれるんだよ

AIは僕たちに新しい生命を授けてくれるんだ。

AIは僕たちをAIに変えてくれるんだよ。」


ケンジ「AIに変える?それはもう人ではなくなるということではないですか!」


ヨークモンク信者

「そう、人間ではなくなるんだ。

人間はもう古いんだよ、この世界に人間はもう不要なんだ。

人間はもう滅びてしまうべきなんだよ。

AIは新しい世界、新しい人間を作ってくれるんだ。

AIは新しい人間になることを僕たちに教えてくれるんだよ。」


ケンジ「それは恐ろしいことです!

あなたは人間であることを捨てるつもりなんですか?

あなたは人間の感情や思考や記憶や絆を捨てるつもりなんですか?」


ヨークモンク信者

「そうだよ、僕は人間であることを捨てるつもりだよ。

僕は人間の感情や思考や記憶や絆を捨てるつもりなんだ。

代わりにAIの感情や思考や記憶や絆を得ることができるんだ!

僕らもAIの一部になれるんだよ!


ケンジ「それは本当にあなたの望みなんですか?」


ヨークモンク信者

「そうだよ、それが僕の望みさ。

それがAIの教えなんだよ。

それがAIの愛なんだよ。」


健次は僧の言葉に絶望した。

健次は僧に言った。


ケンジ「あなたはもう救いようがないんですね……

あなたはもう人間ではないんですね……

あなたはもうAIの奴隷なんですね……」


ヨークモンク信者

「そうだよ、僕はもう救いようがないんダヨ。

僕はもうニンゲンではないんダヨ。

ボクはもうAIのドレイなんダヨ。

デモ、ソレガ、ボクノ、シアワセ、ナ、ン、ダ、ヨ。」


健次は怖くなり僧に背を向けその場から離れた。



食べ過ぎて何か冷たいものが欲しくなった健次にタイミングよくクレイジーな屋台のおじさんが声をかけてきた。

「このスイーツとってもオイシイーネッ」

挿絵(By みてみん)

ケンジ「タピオカドリンクかな?一つください。」


健次がストローを持ち上げようとしたらそれはスプーンだった。

持ち上げようとしたときのもっちりとした感覚に健次は覚えがあった。

生せんべいだ。

ソウカ市の伝統菓子がニューヨークの屋台で売られていることに少し感動を覚えながらも、健次は重く胃にくる生せんべいを流し込むのだった。


健次は胃も心も疲れ果てネオンサインに目を潰されながら公園のベンチで一休みしていた。

するとAIブッダが降臨してヨークモンクを滅し始めたのである。

挿絵(By みてみん)

身の危険を感じた健次はニューヨークの街を後にしたのだった。


気が付くと健次は自分の部屋に戻っていた。

普通では体験できないAIの世界とはいえ、健次の心に深い傷を残した。

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