オムライスと博士と助手の話
「ふぅー、博士出来ましたよ。」
僕と博士しかいない研究室では、僕のそんな声が響く。
今は丁度お昼ご飯のオムライスを食べようとしている。
あ、もちろん僕が作ったものね。
あとはケチャップをかけるだけなんだけど。
「ほう、素晴らしい仕上がりだね。非常に可愛らしい蛇じゃないか。」
「……猫ですよ。はぁ、どうせ僕は絵を描くのが下手ですよーだ。それで、博士は僕の分のやつはもう描いてくれたんですか?」
「あぁ、とっくに終わっているぞ。なんか途中で面倒くさくなったから絵じゃなくて、適当な文字にしたんだけどね。」
「いや何でですか!」
僕は博士から僕の分のオムライスを受け取る。
「はぁ、博士が絵の描き合いをしようと言ったから付き合ったのに。これじゃあ、僕が恥をかいただけじゃないですか……。」
僕はオムライスに書かれている文を見て固まる。
そこには『いつもありがとう』と書かれていた。
「……」
「……」
「い、いや、最初はちゃんと何かの絵を描くつもりではあったんだが……、ちょ、ちょっと気が変わったと言うか。……私にも君に対する感謝の気持ちぐらいあるのだよ……」
「……」
……いや、なんでこの人は急にこんなことをしてくるんだろうか。
なんか……可愛いな。
「これは……もったいなくて食べれないですね。」
「あぁ、もううるさいな!早く食べたまえよ!」
「それならせめて写真に残しますかね……」
「はぁ!?お、おい、やめろ!撮るな!今すぐに消したまえ!」
「え、嫌ですよ。せっかく博士が書いてくれたんですから。」
「それでもだ!早く消せ!」
「そんなに顔真っ赤で恥ずかしがるのなら書かなかったら良かったじゃないですか。」
「うぅ、ホントに5分前の私を引っ叩いてやりたいよ。だから、保存するな!消せ!」
「ちょ、引っ張らないでくださいよ。嫌です。絶対に消しません!」
「ぐぬぬ、消せー!」
「嫌ですー!」
結局、この攻防はオムライスが冷めるまで続くのだった。
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「オムライスと博士と助手の話」を読んでいただきありがとうございます。
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