表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

グイド、頭を捻って名付ける

メルが「リィゼ」に決まるときのひとコマ。

「あ、お嬢ちゃん、外に出る前に決めておきたいことがあるんだ」


 一度執務室に戻った私達は、ソフィの給仕でお昼の食事を食べ、お茶を飲んでいた時だった。私は思いがけないグイドさんの真面目な様子に思わず身構えた。

 先程、魔力ってちょっとこわい、と感じてから自分でも口数が少ないかな、と思っていた。

そのことだろうか、とそろりとグイドさんを見つめた。

 すると、グイドさんは表情を和らげて「そんなに緊張しないでー」と目元も緩めた。


「あのさ、君の異名、つまり偽名を決めておかなきゃね。これからこの森の中を自由に歩き回ることになる訳だから。エイダ様も俺たちで考えていいって」

「あ、偽名……そうだった」

「何か思いついたのある?」


「うーん」と私は唸った。全然思い浮かばなくて困った私は、降参とばかりにグイドさんを見た。グイドさんは「だよねー」と言うと、私の周りをぐるぐる回り始めた。


「黒髪、紫の瞳、ちっこい、うーん、湖、白い魔力、光……」


 ぶつぶつ言いながら回る。考えてくれてるのは分かるけれど、もうこっちの目が回りそうだった。「グイドさん、もう……」と声をかけようとすると、「よし!」と叫んで私の肩に両手を乗せてこう言った。


「黒くて紫だから、ディナとかリィとかヴィオとかどうよ?」

「ディナとかリィとかヴィオ……?」


 私は、突然3つも候補を挙げられて頭が混乱しそうになった時、執務室の扉が開いてエイダが入って来た。エイダはグイドさんと私の様子を見るや「グイド、あなた何か余計な事をメルに吹き込んで……」とお説教の前の笑顔で詰め寄った。グイドさんは私からバッと離れて、「ません!」と叫んだ。

 エイダはまだ胡乱な目でグイドさんを見ていたけれど、私が「名前を考えていたの」と言うと、「あぁ」と納得しようだった。


「それで、メルはどんな名前がいいの?」

「……どんなって言っても……分からないわ。私、何でもいい訳じゃないけれど、全然思いつかない」


 エイダも先程のグイドさんと同じで、「まぁそうよね」と頷いた。グイドさんがまた「ディナとかリィとかヴィオってどうかなー?」と言っている。エイダはその言葉を口の中で転がしてから、「いまいちだわ」と言った。


「メリルってとても可憐な響きなのに、メルと呼ぶと可愛らしい響きに変わるわよね。わたくし、そんな名前がいいです」

「えー! ハードル高! 何それー!」

「そうねぇ、でも、メルのその透き通るような紫を表現しようとしたのは評価します」

「でも不合格かよー!」


 久しぶりにグイドさんの絶好調な掛け合いを聞いて、私はおかしくて笑ってしまった。「ふふふ」と笑う私を見た二人はどちらも優しい顔になって微笑んだ。


「そうねぇ、リィゼはどう? 先程のグイドの候補にもあったけれど」

「やったぁ! まさかの採用!……お、お嬢ちゃんどう?」


 私はさっきのエイダのように、「りぃ、リィゼ」と何度も言ってみた。


「『ミカディア』は信仰する者という意味よ。リィゼも神に誓う者という意味だし、近いわ。そう……リィゼ=コレッテにしましょう。小さな信仰者。ついでにわたくしも街の者にはエイダ=コレッテと名乗りましょう。皆、妹だと思っているようですから」

「うん、しっくりきてるー! 可愛い響きのノルマ達成してるよー!」

「……リィゼ=コレッテ。リィゼ……」

「どう? リィゼ?」


 私は「リィゼ」と呼ばれて頬が赤くなったのを感じた。何だか恥ずかしい。違和感はあるけれど、嫌な気持ちにはならなかった。


「エイダと同じ名前なのが、嬉しい。グイドさんも考えてくれて嬉しい……私、リィゼ=コレッテになる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ