おっさんでも性欲はあるんだよ。
日本から転移したのは、何年前だろう?
どうでも良いけど……
もうしっかりおっさんで、いまだにあっちの方が未経験なのは、いつかモテモテハーレムにって思ったからだけど……
強くても、おっさんはモテないよ。
性欲が我慢出来なくなった俺は、奴隷を買いに行った。
「いらっしゃい。あっ、サトウさん……」
初めて会ったのに名前知られてた。ま、仕方ないか。
「こんちは、未経験の可愛い女の子いる?」
「何人か居ますよ」
「じゃ、全員見せてね」
見せて貰った女の子達は、全員可愛いかった。
「今見せて貰った女の子の中で、ろくでもない客に目を付けられてる女の子いる?」
「……居ます。顔に大きな傷のある、サーシャです」
俺はそのサーシャの檻に戻って、もう一度じっくり見た。
サーシャは、傷はあるけど、原型が凄い美少女の子だ。挑むような目付きも素晴らしかった。
金髪碧眼。ストレートロング。薄汚れてる全体を磨けば、とんでもない美少女になりそうだ。
スリムなのも最高。長身なのも最高。顔の傷さえなければ、日本に連れて行ければモデルになれそうだな。
「サーシャに決めた。登録をお願いする」
「へい。分かりました」
奴隷の主人登録を済ませて、俺はサーシャと一緒に店を出た。
「傷、治せるけどどうする?」
「このままで良い。あんたに借りを作るのは怖いんでね」
「貸しだなんて思わないぜ」
「本当か?」
「ああ。本当だ。それにほんの僅かな手間にしか過ぎないしな」
「じゃ、頼む」
「パーフェクトキュア」
サーシャは白い光に包まれた。
その光が消えた時、サーシャの顔の傷は全てなくなった。
「感触がねえ、傷の感触がなくなった」
サーシャは自分の顔を撫で回してそう言った。
「なあサトウ、あんたの事だ、なんでも持ってるんだろ?鏡とかないのかよ?あったら貸してくれ」
「あるけど、ちょっと待ってくれ」
俺は自分のスキル、マジックハウスの中に入って、移動式の鏡を持ち出して来た。
「はい、どうぞ」
鏡をサーシャの方に向けると、サーシャは、食いつくように自分の顔を見た」
「オオオオオオオオオオオオオオ。俺の顔がアアアアアアアアア治ったアアアアアアア」
全力でシャウトしたサーシャを見て、俺は素晴らしいロックボーカリストになるって確信した。
「ありがとうサトウ。もうなんて言って良いのか分からないけど、とにかくありがとうサトウ」
「良いって、気にするな。なんの手間でも無かったろ?」
「ああそうだな、サトウは噂通りのとんでもない魔法使いだな」
改めて見るサーシャは、恐れを感じるぐらいの美少女で、俺は、まともに目を合わせられなかった」