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思い出はいつも音楽とともに  作者: 鈴白さわ
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プロローグ   高校一年生 新崎ゆい 

ゆったりしすぎました。ごめんなさい。

混み合う駅の中。まだコートを必要とする肌寒い4月上旬。密集度の高さに少し汗をかいてしまう。

慣れない駅は勝手がわからず、緊張する。こないだも改札で電子マネーとカイロを間違えてしまい、駅員の方には迷惑をかけてしまった。


「・・・うわあ」


改札へ向かおうとすると、長い列ができている。奥の方を覗いてみれば、駅員と数人の学生がかたまっていた。おそらく私と同じように、入学したばかりの子が改札に慣れずに手間取っていたのだろう。


(電子マネーとカイロを間違えたわけではないと思うけど)


同じということにさせてほしい。



ぽろろん、、ぽろろろん

ふわりと耳に入ってきたやさしいピアノの音。

一瞬、なぜピアノがと疑問に思うが、すぐにストリートピアノの存在を思い出す。自分が駅を利用するときにピアノを演奏している人を見たことがなかったので、すっかり忘れていた。

観光客に人気だと聞いたことはあったが、本当に使う人がいたのかと驚く。


(こんな朝早くにピアノを弾くなんて・・・ひまなのかな?)


改札の列が進んだ。最後にどんな人が演奏していたのか気になってピアノの方を見ると、カーキ色の上着を着た若い男性が椅子に座っていた。顔まで見たかったが、電車の時間を思い出し、駆け足で改札を通る。


電車の吊革をにぎった時には、もうピアノのことなんて忘れていた。











キーンコーンカーンコーン


「おはよう、ゆいー」

「おはようひーちゃん、はーちゃん」


学校に着くと、友達の佐々木陽毬ちゃんと神谷葉月ちゃんに挨拶をする。4月に入学してから仲良くなった子達だ。


「ねぇ、今日の数字って小テストだったよね?」

「そうだよー、やだなー」

「あダァ!!?」


この奇声だけで葉月ちゃんの考えている事は大体分かる。


「忘れてたんだね。」

「間違いなくー」

「うぐっ!」


髪型はショートボブ、運動神経抜群で男子より女子からモテる葉月ちゃんは、少々、いやかなり頭が良くない。よくいるよねこういう子。


「夕べちゃんと連絡したのになー」


なんだかやたらと語尾が伸びている子は、いつもポニーテール、しっかり者の陽毬ちゃん。ふわりとしてそうだけど、ちょっとだけ腹黒だと思う。


「ん?今失礼な事考えたでしょー?」


そして、エスパー


「ゆいは分かりやすいのだよー」


やっぱりエスパー



くいっ、くいっ

(ん?服が引っ張られてる?)


振り返って犯人を見つける。

誰に言っているか分からないこの人物紹介もここで一旦終了だ。


「おはよう、昴くん」

「…はよ…気づくの遅い」


早川昴くん。ヤンキー風イケメンと女子に人気な、なんだかいつもご機嫌斜めな人だ。よくわからん。



「朝から飛ばしてますよスバル選手。これはどういった気持ちからなんでしょか?えー今日も解説は佐々木陽毬さんにお越し頂いております。陽毬さん、これはどういうことでしょうか?」


「早く自分もお話ししたいよー!という気持ちが溢れた結果だと思われます。服を引っ張ってというのは、少しポイント高めですねー」



何コソコソ喋ってるんだろ?まぁ、いいか。



「もうちょい気にしようよー」


絶対エスパーだ。

語彙力の無い事がバレた。

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