僕が勇者になった日
「なぁ、あの話聞いたかよ」
「あー連続失踪事件の犯人が捕まったんだっけか?」
「そうそう、あの悪魔信仰のやつな」
「悪魔信仰というかただの狂人だろ。自分以外の人間の肉10人分を取り込んだらどうのこうのって…頭おかしいだけだわ」
「ちげぇねぇや」
その日もいつも通りの日だった。普通に友達とだべっていた。
だが、そんな日常は一変した。
「ん?なんだ?」
「どうした?」
「いや、なんかグラウンドに魔法陣の一部みたいな…」
と言われ、グラウンドに目を向けようとした次の瞬間。
教室中が光に包まれた。
「おおっ!!」「成功したぞ!!」「これでようやく…」
「ん?っと?」
見渡す限りのおっさんおっさんお爺さんにおっさんにおっさん
(いやどうなってんだこれ)
「女神様から事情は聞きました。私達勇者は喜んで協力させて頂きます」
と、後ろからうちのクラスの委員長の声がしたのでビックリして振り向いた。
目と目があった気がしたが、俺の奥…おっさんの群れを見て喋っているようだった。
「ありがたい!!これで我らは!!我らは!!うっうぅうう」
なにやら委員長の言葉を聞いたおっさんは号泣し始めたが、俺は混乱していた。
(私達…勇者?女神ってなんのことだ?さっぱりわからんがと、とにかく今は空気になろう)
「ね?間門くん?」
(ちぃょっとイインチゥョォ)「ソ!ソウデスヨ!チカラニナリマスヨ!」
「うっうううっ、ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
〜一時間後〜
「いやはや、申し訳ない。これでようやく安心できるようになって気が緩んでしまったようだ」
「いえ、この国の現状は聞いています。仕方の無いことかと」
「そう言ってくれるとありがたい。それで今後の動きなのだが…なにか女神様からご指示はありましたかな?」
「はい。まずは第三前線へ行けとの事でしたが…あいにくとどのようなものなのかまではお伝えになりませんでした」
「なるほど、確かにあそこならば大丈夫か…
おっと、少し焦っていたようです。1番最初にすべきことをし忘れていました。私の名前はヨリス・ビクトム。ビクトム王国六代目の王です」
「…っと、申し訳ない。私の名前は橘六華です。えっとその、王様は随分と…」
「腰が低い、ですかな?」
「えぇまぁはい」
「まず我らの国に助力していただくあなた方に対しては無礼にできません。
それに勇者…つまり女神様に選ばれた方々ですからね。
後…というか、これが1番大きな理由なのですが…まだ王に就任して日が浅いのです。王太子であった頃からそういった振る舞いというのになれなくてですね…」
「同じ目線の高さで話してくださるので拙い礼儀作法しかできない私たちにはありがたいです」
「それはよかった。それで話を戻しますが、第三前線ですがあそこは二年ほど前、大進行がありまして…多大な被害は出ましたがその結果現在では弱い野生の魔物がチラホラといるくらいだと報告が上がっていますので、訓練には最適な環境かと」
「そうでしたか…」
「さて、面倒な話はとりあえずこのくらいにしておきますか。まだ混乱している方もいるかもしれませんし一度お部屋にご案内し、その後昼食の場でもう一度話し合いましょう」
「わかりました。ではそのように」
と、そんな会話の後、俺達は城下に建てられた長屋のような場所に案内され、委員長の
「また後で」
という言葉で各々好きな部屋を選んで入った。
ちなみに女子は城側、男子は外側でという条件付きでだったので、俺は1番端の部屋をとった。
(えっと、つまり?これは異世界転移?なのか?
うん、多分そうだ。王様との会話の時魔物とか言ってたしね。
なんか、みんなとは違って女神様とやらには会ってないけど…勇者…勇者か…えへへ)
そんな事を考えながら部屋の中にあった布団の上に寝転がる。
その日、僕は勇者になった
…なーんてね




