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The next dream  作者: 夢見月
3/4

三日目♪

二日目のサブタイトルを少し変更しました。

三日目、最終日になります!

 目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

 布団から出ることを躊躇するような寒さに身を震わせ、今日はいつにもまして寒いな、などと考えながら起き上が……ろうとして諦めた。

 別に、温かい布団の誘惑に負けたわけではない。

 猫としての本能? を存分に発揮した謎猫さんが布団に潜り込んできていたからだ。

「ま、いいか」

 起こすのも悪いので、そのまま二度寝することにした。


***


「起きてください! 雪ですよ♪」

 耳元で聞こえる声に再び目を覚ますと、謎猫さんがなにやらはしゃいでいた。

「なんですか?」

「外見てみてください♪」

 眠い目をこすりながらカーテンを開けてみると、朝日とはまた違った眩しさに一瞬目が眩む。

 ゆっくりと目を開けてみると、一面の銀世界であった。


***


 焼かずにイチゴジャムを塗っただけの食パンと牛乳で簡単に朝食を済ませ、謎猫さんを連れて外に出る。

 外、といってもアパートの目と鼻の先にある小さな公園だ。

「寒くないですか?」

「全然平気です!」

「実は雪女さんだったり?」

「するかもしれないですよ~? にゃんて♪」

 ベンチに積っていた雪を一部どかし、謎猫さんを下してから自分も座る。

「それではっ! いってまいります♪」

「?」

 謎猫さんが僕の膝にのぼったかと思うと、そのまま地面に積った雪へダイブした。

「にゃはははは♪ 楽しいですよ!」

「いや、僕がやると怪我するんで遠慮します」

 白い息を吐きながら、雪の上を走りまわり、雪に埋もれる謎猫さんを眺める。

 水色のセーターと桜色のプリーツスカートが真っ白な雪の上でひらりとおどる。

 空を見てみると、太陽の日差しを遮るものは何もなく、光が雪に反射し、鋭い光を放っている。まるで地面が発光しているようだった。

「……あれ? 謎猫さん?」

 少し目を離したすきに、いつのまにか視界から消えていた。

「ここですよ♪」

 声を頼りに探すと、滑り台の上に見つけた。片手に葉っぱを持っている。

「いっきますよー!」

「あ、ちょっと待ってください」

 滑り台に積った雪でソリ遊びをするつもりなのだと理解し、滑り台の終端にスキージャンプを作ってみる。

「どうぞー?」

「にゃわわ……大丈夫でしょうか…………」

 半分以上悪戯心で作ったが、地面にはそこそこ雪が積もっているので怪我をすることは無いだろう。

「え、えっと……行きますよ?」

 意を決した謎猫さんが葉っぱに乗って滑り降りてくる。

 雪の表面がなめらかで、思っていた以上のスピードでジャンプ台にさしかかり…………。

「はにゃぁぁぁぁ!?」

 さながら離陸する飛行機のように宙へ飛びあがる。

「にゃわっ!?」

 そして、放物線をえがいて砂場の上に積っていた雪に突っ込んだ。

「あの……大丈夫ですか?」

 埋まったままの謎猫さんに話しかける。

 すると、謎猫さんは雪の中から這い出てきた。

「にゃへへっ楽しかったです♪」

 頭に雪をかぶりながらも楽しそうだった。

 その後も飽きるまで雪遊びを堪能するのだった。


***


 部屋へ戻ると、ちょうど昼食時だったので、謎猫さんのリクエストもありオムライスを作ることにした。

 玉ねぎ、人参、ピーマンをみじん切りにし、ごはんとケチャップと一緒に炒めてケチャップライスを作る。鶏肉を細かくするのは手間が掛かるので、挽肉を少量加えた。

 熱したフライパンにバターを溶かし、生クリーム、塩こしょうを入れた卵を流し入れる。

 理想は食べる前にナイフを入れれば「ふわっ、とろ~」なのだが、どうすればああなるのか見当もつかないので、冒険はせずに普通にうす焼きにする。

 謎猫さんの分は、計量スプーンでケチャップライスをすくい、皿の上でひっくり返して山をつくり、そこに卵をかぶせた。

 完成したオムライスを机へ運び、いただきますをしてから食べる。

「午後からはどうします? また外に出ますか?」

「いえ、もう満足です♪」

「じゃぁ部屋でゆっくりしてましょうか」

「そうしましょう!」


***


 昼食とその片付けを終え、宣言通り部屋でのんびりする。

「そういえば!」

「なんですか?」

「小説をお書きになるんですよね?」

「ええ、まぁ、書きますけど」

 そもそも、ネットに小説を投稿していなければ僕と謎猫さんが出会うことは一生なかっただろう。

「読ませていただいてもいいですか?」

「もちろんいいですよ」

 ただし、パソコンのモニターは謎猫さんには大きすぎるので、スマートフォンでサイトを開く。

「これで読めますか?」

「大丈夫です!」

 謎猫さんが読書に没頭してしまったので、自分はパソコンで書きかけだった小説の続きを書き始めたのだった。


***


「ぅ……ん?」

 どうやら執筆中に眠ってしまったようだ。

 とりあえず連打された「あ」を削除し、一度ホームへ戻しておく。

「あれ……謎猫さん?」

 部屋を見回すが、謎猫さんの姿が無い。机の上にはスマートフォンだけが置かれている。

 もしやと思い、玄関のドアを確認してみると、やはりと言うべきか、どうやったのか鍵が開いていた。

 すぐに探しに行こうと飛び出しかけ、せめて電気だけは消していこうと部屋に戻ると、パソコンのモニタが視界に入った。

 いつも使っているサイトの、いつものユーザーホーム。

 そこの左上に、今となっては見慣れた朱色の文字。

『新着メッセージが1件あります』

 それが、なぜか謎猫さんからのメッセージだと、直感的にそう思えた。

 イスにも座らずに、表示をクリックする。

『□送信者 謎猫   件名 お世話になりました♪』

 メッセージボックスの受信トレイの一番上にある文字を読んで、ほっと、深い息を吐いた。

 イスに座りなおし、メッセージを開く。

『おはようございます?

 こんにちはぁ~?

 時間的にはこんにちはですけど、夢見月さんがこれを読んでいるのは寝起きだと想うので、やっぱりおはようございます! 

 えっと~、なんと言えば良いのか、私自身にも良く分かっていないのですが! 何故か? 元に! 戻れました♪ 

 本当は直接お礼が言いたかったのですけど、夢見月さんが気持ちよさそうに眠っていたので…こっそり抜け出しちゃいました♪ にゃはは~

 色々とお世話になりました! ありがとうございます!

 ではではぁ♪』







 こうして、結局詳しいことはなにも分からないまま、僕と手乗り謎猫さんの不思議な生活は終わりを迎えたのだった。





「あれ? 全三話って言ってたのになんでまだ未完扱いなの?」

と思った方、正解です。この後エピローグとおまけ? があります。書いている途中で構成変わっちゃいました……。


いっそのこと第一話の後書きを書き換えてやる!

「させないわよ?」

スズナ!? なんでここに!? うわっ、ちょっとまっ…………ナズナタスケテ!

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