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その後彼らは……
ファスル王国に、春がきた。
あの一件以来、サファルの手によって塔は新しく作りかえられ、女王様はより一層自分の季節を過ごしやすくなった。以前よりもずっと華やかになって、塔の周りにはたくさんの店が開いた。おかげで大賑わいである。女王様は皆、にぎやかなのが好きだから喜んでいたし、活気あふれるこの王国に、この町に住みたいと願う人も大勢現れた。塔の作りかえはかなりの評判だ。
ただ一つ、難点をあげるとするならば、サファルである。
「サファル、おじ様のところへ行かない?」
ウィンテルの肩で、ピピ、とことりが返事をした。そう。彼の姿はことりに変わってしまったのだ。
何でも、塔を作りかえるのにはかなりの体力を使うらしく、一度作りかえると一年はことりの体のままだそうだ。バードと呼ばれて崇められた英雄が塔がつくられて以来、一切目撃情報が上がらなくなったのも、これでうなずける。
『ミントグリーンの瞳とアッシュグレーの体をもつ神秘的なことり』は、今日もウィンテルの肩にちょこんと乗って、いくつもの色で彩られた町を見守るのであった。