なりたかった朝
朝の渋滞を覆う朝陽
坂道をくだる光
鷲の王さまになりたかった朝
嘴のように唇を尖らせても
膨らまないガムを噛んで歩く
ほつれたニットのセーターから
羽ばたいてさ
旋回する
光になんて捕まらないように
薄れたブルーベリー味の
ゆるんだガムを
吐き捨ててさ
駆け巡る
生き物の刹那を狙いながら
わけ知り顔の空を
後ろめたさもなく睨みつけてさ
裏も表も一緒だって
一笑に付す
僕は鷲の王さま
なんてことない朝だから
幾度かの赤と青を経て
進んでいく列
ウール100%でもないニット
噛み続ける味のないガム
どこかでまだ
夜は終わらないのに
隅々まで支配する光
瞼の裏に見える世界も一緒かな
鷲の王さまになりたかった朝
眩しくて目も開けらんない