第一伝 妖怪 カメ子~現代妖怪討魔伝~その1
初めまして、この作品にはかなり濃いオタク要素が含まれてます。
連載形式にしていますが、不定期での連載となります。
この作品ではオタクの有り方とか哲学的な事とかその他、面倒くさい事は抜きで書いていきたいと思います。
オタクに関しては作者自身である私もとあるオタクであるため、先入観が入り乱れての文面が目立つかと思いますが、お付き合い頂ければ幸いとなります。
八月某日。
夏の熱気よりも人の熱気であふれかえる場所があった。
そう。オタクの祭典とも言えるコミ〇クマーケット。
通称、コ〇ケである。
夏と冬に行われるこのイベントには多種多様な人達と共に人に危害を及ぼすモノも集まってくる。
会場にはアニメ、漫画、ゲームに出て来るキャラクターを題材にした二次創作物の販売が行われ、外では、色々なキャラクターに扮した人達が、複数のカメラを持った者達が集まって撮影したり、されなかったなりしていた。
そんな中、騒ぎ出している集団があった。
「いい加減にしろよ!
お前、フィルター外してるだろ!」
「何を根拠に言ってるんだ!」
「あんたみたいなカメ子(カメラ小僧の略)はわかるのさ。
さっきから、〇憐と月〇のローアングルとバストアップしか撮ってないだろ!」
「こ〇みんになっているあなたも撮ってますよ!」
三人が扮しているのは化物〇シリーズのキャラクターで、2mほどの長さの刀を持つ男子学生のコスプレをした男性は、この物語の主人公である、 虚空 帝と言い、典型的なオタクである。
普通の人と言えば普通の人間である。ある能力さえ除けばの話だが。
帝はコンパクトデジタルカメラ、通称、コンデジを持っている男に言いがかりをしているようだ。
「ま、私は撮られても問題ないんだけどね。」
「激しく同意じゃな。じゃが、お主から妖しい臭いが我の鼻について気に食わんのじゃ。
お主、化かしたいなら、もうちょっとだけ己の体臭に気を使う事じゃな。」
裾が短い着物の恰好した〇火に扮した少女はアニメ出てくるキャラそのままの声で言うと、隣にいた原作では妹の服を勝手に拝借した格好の火〇がこれまた同じアニメそのままの声で話すが口調はどちらかと言うと、そのアニメに出て来る金髪幼女に近い感じだった。
月〇の恰好をした少女の名前は葛葉。
人と同じ姿に見えるが、人とは違う妖怪であり、その正体は座敷童であり、虚空帝の守護霊または守護者である。
彼女は普段、人と同サイズになる事を嫌う為、手の平サイズになり、帝の肩や頭の上に乗って小言を言う。
そして、〇憐に扮した少女もまた葛葉と同様に人ではない。
名前を天幻院 蒼空。
妖狐であり、平安時代に宮廷にてその正体を暴かれた玉藻前という九尾の狐であり、別名はかの有名な白面金毛九尾の狐であり現在は九尾はなくなり、その力を高めて神格化し、神の一柱となる程の狐仙となり、狐仙の中では最上位の空狐となっている。
帝は旧名の玉藻前からタマと呼ぶ。
そして、タマは人の世界では世界有数の資産家として有名でもあるが、天幻院という名でしか各媒体には出てこないため、年齢、容姿、出自については一切謎とされている者である。どこの世界のセレブだよ。
「またあの三人組か・・・・・・今年もよくやるなくやるな。てか、今回で何回目だ?」
騒ぎを起こしていたアニメコスプレ三人組と一人のカメラ小僧を囲う人だかりがざわめきだし、遠巻きに見ていた誰かがそう呟いた。
「たしか、八年前ぐらい前にひょっこり現れて、キャラクターになりきった声を出して有名になったと同時に違法改造したコンデジのカメ子や赤外線レンズフィルター装着の一眼カメ子に突っかかってはモラルの欠如とお題目挙げて、あの手の連中を追い出してるよ。
まぁ、こういう場所だから、純粋にイベントを楽しむ者達から見れば、どっちもどっちだよ。」
どうやら、この三人組、騒ぎを起こすのは毎度の事らしい。
「またですか、いい加減にしてください!」
そうこうしてる内に係員が数人やってきて、その一人が帝にそう言った。
「ちょうどいい、仕事の邪魔だ。ギャラリーを遠ざけろ。」
「はい? いやいや、あなた方こそほかの方達の迷惑ですよ!
四人共別室に来てください!」
「下っ端に俺の事話してないのかよ。運営の連中・・・・・・逃すのも癪だだな。」
帝はそう言いながら、2mもある太刀を一気に引くと同時にカメ子に斬りかかり、彼のコンデジを掴む腕を切り落とした。
「ぎゃああああ!」
鮮血と同時にカメ子の叫びが上がるがすぐに彼の声は悶えた。
「問答無用だ。タマ、葛葉 !」
帝はそう言って振り下ろした太刀を構え直す。