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ゴブリン魂  作者: チャー丸
人間界 2016.10.31 月曜日 AM6:00
95/534

12.4話

『時代は1575年、、。』


…ふぁーあ。日本史も暇だな。昼飯も食ったし、もうひと昼寝かな。


机を抱きしめるようにとこについた時だった。


『織田信長が3000丁の鉄砲を3列に並べ連続射撃を行い、無敵の武田騎馬軍団を打ち破った。皆もこれは知ってるだろう。これを長篠の戦いと言う。』


…無敵?


…無敵を打ち破った?


抱きしめていた、机を引き離し、

黒板に目をやった。


…鉄砲3丁を縦に3列それ明日の戦争に使えないかな?


…でも異世界じゃ、鉄砲無いし、魔法か?


…魔法だと飛距離が短すぎる。


…どうする?なんかないか?


オレは寝るはずだった授業を先生の一言から真面目に、考えていた。


真面目に考えていたとはいえ、学校の授業ではなく、明日の異世界戦争に勝つ方法を。


…ダメだ。なにも出てこない。あくびしか出ない。


オレは机の中でスマホを開き、


《なんか、学校で長篠の戦いの鉄砲3丁構えの授業やってたけど、これ明日に使えないかな?》


と、グループラインに書き込んだ。


書き込んだものの、自分では、案が出て来ない。


返信の書き込みが来るまでとりあえず授業を聞いていた。


【ブルブルブルブル】


…おっ?誰だ意外と早いな。どっちだ?


《あの世界だと、鉄砲ないから、魔法を3人並べたらいんじゃね?》


…オレの脳はキッドと同レベルかよ。


バカだな魔法はと打ち込んでいたら


【ブルブルブルブル】


《キッド魔法は鉄砲と違って、そんなに遠くまで届かないわよ。》


…あきねぇ。さすが。的確だな。でもなんかいい方法ないかな?


《でもなんか、いきなりナイフ持ってヤー!って向かって行くより、こんな感じで戦力減らせたら大分楽になるんじゃないか?》


【ブルブルブルブル】


《そんな事オレに聞かれても学がないから、わかんねーよ。》


…こっちだって学が、ねーから聞いてんのに。


【ブルブルブルブル】


《じゃあボーガンとか大量に用意したらどう?でもあれ効くのかな?》


…ボーガンか?それはなかなかな案だな。


…ってかグループラインって楽しいな。


【ブルブルブルブル】


《そりゃ名案だアキねえ。》


《アキねえ。それを大量に買って魔族村に運ぶ事は出来るか?》


【ブルブルブルブル】


《大丈夫だと思う。明日転生した時にみんなに、言ってみる。》


【ブルブルブルブル】


《アキねえしゃべれるようになったのかよ?》


【ブルブルブルブル】


《大分よくなったわよ。でもそう言う事をストレートに言うとデリカシーが無いって言われるわよキッド!》


【ブルブルブルブル】


《わー。デリカシーが無い返し来た!》


『はっはっは。あっ!』


ヤバイ授業中だった。


そう思い机から、顔を上げてクラスを見るとみんなこっちを見ていた。


…やべー。超気まずい!


『なんか面白い事がありますか?』


先生がオレを見て聞いている


『いやー。鉄砲3丁構えを必死に考えてまして。』


『はー。そうですか。では授業に戻ります。』


…優しい先生で良かった。


それより、この人こんな事しゃべるんだ、笑ってんの初めて見た的な視線が授業を再開しても残っていた。


…ったく!アホキッド!


《アホキッド!授業中笑って、寒い目で見られただろ?向こうで骨取って、犬に投げっからな。》


【ブルブルブルブル】


《あぶねー。ちょっと自分が笑ったからって人を巻き添いにすんのやめれー。危なかった。》


…チッ!キッドしのいだか。さすがだな。


【ブルブルブルブル】


《ちょっと笑って課長に怒られて、まだこっち見てるから、また後でね。》


…アキねぇ。


…別にそっちは狙った訳じゃねーけどーー。


結局グループラインはこれっきりで、授業も終わり、家に戻った。


戻ってくる帰り道、誰かにつけられてる気がしてしょうがなく、


振り返った。


振り返ると誰もいなかった。


その後も視線を感じ、その度に振り返ってみたが、やはり誰もいなかった。


オレは変な違和感を、感じたまま、家に戻った。


家では、キッドとアキねえと少し作戦会議をして、今日うちらの話した事を異世界に行ったら、アキねえはプレイヤーの仲間に、


オレとキッドは青魔族のみんなに、より良い作戦にするべく、お互いが、合流するまでに、プレイヤーはプレイヤー同士、魔族モンスターは魔族同士で話合い、合流後少し作戦会議をしようと言う事で夜のグループラインは幕は閉じた。


毎回LINEの着信音がなる度に、


マイからの申請かな?


と何回思った事か?


今じゃ、もう半分諦めだ。


諦めとはいえ、なぜもこうも、悲しいのか。


こんなに話をしたいのに、


異世界で1番オレを気遣い、気にしてくれていたのは間違いなくマイだったはず。


その優しさが、嬉かった。


マイも一緒にいる事を楽しんでいると思っていた。


だから、人間界に帰っても異世界同様、仲良くやれる!オレはそう思っていた。


そう思っていたのはオレだけだったのか?


そりゃそうか。青魔族とは人間界で自殺をするような事をしたんだ。


異世界で仲良くしていても、色々そう簡単にいかない事もあるのかもしれない、、。


…でも


…しれないけど、、、。


…でも会いたい、、、。


…理屈ではわかっている。


…でもなんだ?この考えれば考えるほど苦しくなる気持ちは


…マイ!おまえにとって異世界での3日はそんなもんだったのかよ。


…あの時、一緒にLINEやるって言ってなかったか?


…色々、悩んでんなら、聞いてやる。


…もっともっと笑わせて元気にしてやりたい。


…もっともっと色々してやりたかった、、。


…異世界じゃ何も恩返しできなかったから。


…恩返しどころか、死なせて卒業なんて、あんまりじゃないか。


…オレを、救う為に何回死んでくれた。


…それも自発的に、、。


…もっと強くならなきゃ、、。


…人間界でも頼りになるくらいの人間にならないと。


オレはベランダに出て、景色と、普通の月を見ていた。


『神様オレは頑張っていませんか?もう1度会わせて貰えないでしょうか?オレもみんなを救うようにオレなりに頑張ってるつもりです。そんなオレの願いはわがままですか。』


涙はベランダから、


下に落ち、下に生える雑草に落ちる。


オレもあの雑草のように、


この涙をかてに成長していかなきゃいけない!


そう思い!楽しいマイとの冒険の記憶を胸にしまい、


明日くる異世界戦争に向けて、


布団に入り、目を閉じた。


目を閉じてようやく気がついた事があった。



…そうか、オレはマイが好きだったのか。


そう思うと枯れきったはずの涙が、


また閉じてるはずの瞼から溢れてくるのがわかった。


オレはこれ以上必死に涙を流すまいと、目を閉じたまま開ける事なかった。


しかし目を閉じても、目の中が大洪水だ。


溢れる涙が枕に溢れ落ちた。


それでも、必死に感情を、押し殺し、眠りについた


この日オレは初めて恋という気持ちを知り、


同じ日に失恋という気持ちも知った。





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