12.4話
『時代は1575年、、。』
…ふぁーあ。日本史も暇だな。昼飯も食ったし、もうひと昼寝かな。
机を抱きしめるようにとこについた時だった。
『織田信長が3000丁の鉄砲を3列に並べ連続射撃を行い、無敵の武田騎馬軍団を打ち破った。皆もこれは知ってるだろう。これを長篠の戦いと言う。』
…無敵?
…無敵を打ち破った?
抱きしめていた、机を引き離し、
黒板に目をやった。
…鉄砲3丁を縦に3列それ明日の戦争に使えないかな?
…でも異世界じゃ、鉄砲無いし、魔法か?
…魔法だと飛距離が短すぎる。
…どうする?なんかないか?
オレは寝るはずだった授業を先生の一言から真面目に、考えていた。
真面目に考えていたとはいえ、学校の授業ではなく、明日の異世界戦争に勝つ方法を。
…ダメだ。なにも出てこない。あくびしか出ない。
オレは机の中でスマホを開き、
《なんか、学校で長篠の戦いの鉄砲3丁構えの授業やってたけど、これ明日に使えないかな?》
と、グループラインに書き込んだ。
書き込んだものの、自分では、案が出て来ない。
返信の書き込みが来るまでとりあえず授業を聞いていた。
【ブルブルブルブル】
…おっ?誰だ意外と早いな。どっちだ?
《あの世界だと、鉄砲ないから、魔法を3人並べたらいんじゃね?》
…オレの脳はキッドと同レベルかよ。
バカだな魔法はと打ち込んでいたら
【ブルブルブルブル】
《キッド魔法は鉄砲と違って、そんなに遠くまで届かないわよ。》
…あきねぇ。さすが。的確だな。でもなんかいい方法ないかな?
《でもなんか、いきなりナイフ持ってヤー!って向かって行くより、こんな感じで戦力減らせたら大分楽になるんじゃないか?》
【ブルブルブルブル】
《そんな事オレに聞かれても学がないから、わかんねーよ。》
…こっちだって学が、ねーから聞いてんのに。
【ブルブルブルブル】
《じゃあボーガンとか大量に用意したらどう?でもあれ効くのかな?》
…ボーガンか?それはなかなかな案だな。
…ってかグループラインって楽しいな。
【ブルブルブルブル】
《そりゃ名案だアキねえ。》
《アキねえ。それを大量に買って魔族村に運ぶ事は出来るか?》
【ブルブルブルブル】
《大丈夫だと思う。明日転生した時にみんなに、言ってみる。》
【ブルブルブルブル】
《アキねえしゃべれるようになったのかよ?》
【ブルブルブルブル】
《大分よくなったわよ。でもそう言う事をストレートに言うとデリカシーが無いって言われるわよキッド!》
【ブルブルブルブル】
《わー。デリカシーが無い返し来た!》
『はっはっは。あっ!』
ヤバイ授業中だった。
そう思い机から、顔を上げてクラスを見るとみんなこっちを見ていた。
…やべー。超気まずい!
『なんか面白い事がありますか?』
先生がオレを見て聞いている
『いやー。鉄砲3丁構えを必死に考えてまして。』
『はー。そうですか。では授業に戻ります。』
…優しい先生で良かった。
それより、この人こんな事しゃべるんだ、笑ってんの初めて見た的な視線が授業を再開しても残っていた。
…ったく!アホキッド!
《アホキッド!授業中笑って、寒い目で見られただろ?向こうで骨取って、犬に投げっからな。》
【ブルブルブルブル】
《あぶねー。ちょっと自分が笑ったからって人を巻き添いにすんのやめれー。危なかった。》
…チッ!キッドしのいだか。さすがだな。
【ブルブルブルブル】
《ちょっと笑って課長に怒られて、まだこっち見てるから、また後でね。》
…アキねぇ。
…別にそっちは狙った訳じゃねーけどーー。
結局グループラインはこれっきりで、授業も終わり、家に戻った。
戻ってくる帰り道、誰かにつけられてる気がしてしょうがなく、
振り返った。
振り返ると誰もいなかった。
その後も視線を感じ、その度に振り返ってみたが、やはり誰もいなかった。
オレは変な違和感を、感じたまま、家に戻った。
家では、キッドとアキねえと少し作戦会議をして、今日うちらの話した事を異世界に行ったら、アキねえはプレイヤーの仲間に、
オレとキッドは青魔族のみんなに、より良い作戦にするべく、お互いが、合流するまでに、プレイヤーはプレイヤー同士、魔族モンスターは魔族同士で話合い、合流後少し作戦会議をしようと言う事で夜のグループラインは幕は閉じた。
毎回LINEの着信音がなる度に、
マイからの申請かな?
と何回思った事か?
今じゃ、もう半分諦めだ。
諦めとはいえ、なぜもこうも、悲しいのか。
こんなに話をしたいのに、
異世界で1番オレを気遣い、気にしてくれていたのは間違いなくマイだったはず。
その優しさが、嬉かった。
マイも一緒にいる事を楽しんでいると思っていた。
だから、人間界に帰っても異世界同様、仲良くやれる!オレはそう思っていた。
そう思っていたのはオレだけだったのか?
そりゃそうか。青魔族とは人間界で自殺をするような事をしたんだ。
異世界で仲良くしていても、色々そう簡単にいかない事もあるのかもしれない、、。
…でも
…しれないけど、、、。
…でも会いたい、、、。
…理屈ではわかっている。
…でもなんだ?この考えれば考えるほど苦しくなる気持ちは
…マイ!おまえにとって異世界での3日はそんなもんだったのかよ。
…あの時、一緒にLINEやるって言ってなかったか?
…色々、悩んでんなら、聞いてやる。
…もっともっと笑わせて元気にしてやりたい。
…もっともっと色々してやりたかった、、。
…異世界じゃ何も恩返しできなかったから。
…恩返しどころか、死なせて卒業なんて、あんまりじゃないか。
…オレを、救う為に何回死んでくれた。
…それも自発的に、、。
…もっと強くならなきゃ、、。
…人間界でも頼りになるくらいの人間にならないと。
オレはベランダに出て、景色と、普通の月を見ていた。
『神様オレは頑張っていませんか?もう1度会わせて貰えないでしょうか?オレもみんなを救うようにオレなりに頑張ってるつもりです。そんなオレの願いはわがままですか。』
涙はベランダから、
下に落ち、下に生える雑草に落ちる。
オレもあの雑草のように、
この涙をかてに成長していかなきゃいけない!
そう思い!楽しいマイとの冒険の記憶を胸にしまい、
明日くる異世界戦争に向けて、
布団に入り、目を閉じた。
目を閉じてようやく気がついた事があった。
…そうか、オレはマイが好きだったのか。
そう思うと枯れきったはずの涙が、
また閉じてるはずの瞼から溢れてくるのがわかった。
オレはこれ以上必死に涙を流すまいと、目を閉じたまま開ける事なかった。
しかし目を閉じても、目の中が大洪水だ。
溢れる涙が枕に溢れ落ちた。
それでも、必死に感情を、押し殺し、眠りについた
この日オレは初めて恋という気持ちを知り、
同じ日に失恋という気持ちも知った。