11.35話
『なんだよマイミ!いきなりどうした?』
状況を把握出来ないキッドが戸惑っている。
『キッド少し静かに。』
マイが精神を集中している。
…いやオレも違和感を、感じたけどそれは間違ってないのか?
『ジュン君あなたにはわかる?』
『やっぱりか?アキねぇの他に誰かいるのか?』
『マジか?アキねぇが、オレらを売るわけはねぇ。』
…見た感じアキねぇはいつも通りに見える。
…おかしい!この感じの足音だと、必ず視界に入っていてもおかしくない距離の足音なんだけど!何も見えない!
『キッドそう判断するのはまだ早い!マイ!誰かアキねぇのそばにいる気がするんだけど、わからないか?』
『さっきからやってるけど、必ず見える位置にいるはずだけど見えない!』
『オレも同じだ。』
足跡が動いた気がした。
足跡を耳で追うと池
の外周から50m外を走っている。
『マイ!なんか勘違いで動物か何かか?』
『そんな事ない!何かを探してるんじゃないかな』
『オレはそんな能力ないからさっぱりわかんねー。なんかした方がいいか?』
『とりあえず相手が何を考えているかわからないからもうちょっとこのままの方がいいかも。』
…なんの為に池の周りを回っている?
そうしてる間に、足跡はアキねぇに近づく。
…どうする?
…アキねぇが狙われてるのか?
…何が狙いだ?
そんな時だった。
アキねぇのすぐ後ろで、足跡のした足元からプレイヤーが現れだす。
「動くな!」
プレイヤーのナイフが、アキねぇの首筋に突き立てられてる。
だんだん、腕、首と透明人間が下から普通のプレイヤーになってついに顔が出る。
…シン!
…間違いなくシンだ!
『あいつが昨日アスピル覚えに行った時に持ち主だったシンだ!昨日多分オレと、アキねぇ一緒に居るの見られたから、つけられたのかもしんないな。』
『どうする?あれじゃ襲うに襲えないぞ!』
『襲う?キッドオレはあいつに初日に真っ二つに殺られてる!今この3人が出てった所で、多分手も足も出ないと思う!ましてや、人質取られた状態で何が出来る?』
『じゃあどうするよ。このまま、アキねぇ見捨てるのかよ。』
『とりあえず要求を聞いてみない?』
そう話していると、シンがこっちに向かって、話かけてくる。
「その茂みの中にいるのは、わかってる!昨日のゴブリンそこにいるんだろ?出て来てよ!」
オレは立ち上がった。
そして、右手を上に上げる。
「変なことしたら、この人死んじゃうよ。」
「かい、、、わ、、の、、スキル、、、使う、、だけ、、よ。」
アキねぇが震えた声で、話している。
オレは右手を上げて、言葉のスキルを使った。
『何が目的だ。』
「やっぱりだ。話せるんだ。こっちに殺意は無いから話を聞いてほしい。」
『わかった。』
オレは振り返りマイとキッド小声で呟いた。
『みんな相手に合わせるけどいいよな?』
『あたりきよ。』
『もちろん。』
こっちもみんなで立ち上がり、オレはシンに語りかけた。
『こちらとしても、危害を、加えるつもりは無いからまずそのナイフを下ろしてもらえないとそっちにいけない。』
「わかった。」
そしてオレらはアキねぇのそばまで来た。
もちろんシンもいる。
「さっきは悪かった。かなり質問が多いかもしれないけど、真面目に聞いてくれないかな?」
相手が紳士的に対応してくる以上、こちらも一本筋を通さなきゃいけない事がある!
『その前に、昨日は、オレとアキねぇで、勝手に部屋に入って、魔法覚えて悪かった。』
「そうか。魔法を覚えに来たのか?泥棒かと思ったけど、何も盗られてなくて、何がなんだかわからなかったからちょっとスッキリしたよ。」
オレも勝手に魔法を覚えた後ろめたさが無くなりちょっとスッキリした。
『で、話は?』
シンは長々と語り始めた
「2日前から、みんなが夜、人間界に戻る時に、なぜか僕1人が戻れなくなった。僕が元々その人間界から来ていたのかどうかの記憶も無いんだ。
その日は夜みんなが人間界に帰ってからすぐ、時間にして10秒くらいしたら柱時計の大きな鐘の音が聞こえたんだ。
そしたら、すぐに日が昇り、またみんながこの世界に転生して来たんだ。
その時には僕はもうこの世界の記憶しかなかった。
異世界の記憶はあるけど、あの鐘の音を聞いた記憶はその2日前の日が初めてだから、
その日からおかしくなってると思うんだ。
人間界の話は同じプレイヤーの女の子に教えて貰ったけどいまいちしっくりこない。
ご飯の記憶もない、1日が24時間と言われたけど、そんな感覚も無く、1日は4時間の感覚しかない!
お金も聞いたけど宝石しかわからない。
仲間には気持ち悪がられて、見捨てられちゃった。
仲間に友達じゃないのか?と聞かれ、友達がなんなのかわからないから、友達って、なんなのって素直に聞いただけなのにキレられて、絶交されたんだ。
そんな中で、君の声を聞いた時、何かが、体の中に電気みたいなのが、走ったんだ。この世界じゃないと思うんだけど、何か聞いた事あるって体全部がそう言うから、だから、僕が誰だかしりたくて、どうやったら、記憶が戻るか、どうやったら人間界って所へ戻れるか、体がその声に反応した声の主に聞けばわかるんじゃないかと思って、体が透けるスキル使って近付いたんだ。」
みんなが聞き入っている。
でもオレだけは違う。
聞いていて確信した事がある!
…こいつシンだ!
…間違いなくシンだと思う!
『なぁ、モンスターと会話出来るスキルの本持ってるか?または覚えてないか?』
「いや、持ってないよ。」
『そうか。今会話出来るのはオレだけだから、覚えて貰わないとみんなと会話が出来ない!今何個のスキル覚えてる?』
「透明のスキル1個しか覚えてないから、まだ余裕は大丈夫だけど。」
『わかった。じゃあプレイヤーの村に買いに行こう!昨日だったら持ってたけど今モンスターの知り合いにレンタル中だから。
とりあえずプレイヤーの村まで行くのに、この異世界の話や、うちら魔族の話や、うちらが何を目的で動いているか全部知ってる事を話すから。』
「わかった。真面目に聞いてくれそうでありがとう。僕はシンだ。みんなよろしく。」
『オレはジュン!でこっちの女の子ゴブリンがマイミ、この骨モンスターがキッド!で、残った魔法使いプレイヤーがアキねぇだ。みんな真面目に頼りになる。』
オレの名前を名乗った瞬間一瞬ヤッパリみたいな顔をしたような気がした。
…やはり同じ学校のシンだな。
…シンもオレをジュンって確信したかな?
「なんて呼べばいい?」
それでもその後の態度は普通に戻った。
…気にしすぎか?
…ジュンって名前なんてどこにもいるからな。
『普通に呼び捨てでジュンでかまわない!』
「わかったよろしくジュン!そして、アキねぇさん。さっきはナイフ突き立ててごめんなさい。これからよろしく。2人もよろしく。」
みんなと握手をした。
アキねぇは、さんづけをやめさせたい雰囲気だったが話すが辛そうでやめた雰囲気だった。
オレはいろいろな話を説明しながら、プレイヤーの村にみんなで向かった。
20分もあれば異世界の説明は充分だった。
他にも心を持ったモンスターがたくさんいる事など終始ビックリしっぱなし初めてアキねぇに話をした時と同じリアクションだった。
珍しい透明になるスキルの話も聞いた。
30分くらい透明になれるらしいが、透明になってる時には移動以外何も出来ないらしい。
他のプレイヤー、魔族、所有物に触ると解除され姿を現わす。
要は死にそうな時に使い、モンスターから逃げる為のスキルっていうのがこのスキルのまともな使い方らしい。
消えている分気配は2倍以上感じる。
それはモンスターには伝わらない。
気配を感じるのはオレたち魔族とプレイヤーだけでモンスターは気配は感じられないようで一瞬で標的から外れる。
敵モンスターに囲まれて後1撃で死んでしまうという時でも、このスキルを使えばそのピンチを逃げという形で、回避出来る。
逃げる時にモンスターに触れなければの話みたいだ。
異世界に来たての頃ボスを倒したらドロップしたようで、嬉しくて覚えたがあまり使い道がないらしい。
オレが異世界に来て初めて斬られたのが、シンと言う話はシン本人にはしなかったが、光ってる状態でオレが2回殺されてるとこは見たと言う話をされた。
その時、何か大事な事を思っていたはずらしいのだが、なぜか異世界なのに、そこもモヤがかかったみたいで思い出せないと語っていた。
きっとなにか人間界の事を考えていたんだとオレは思った。
そして、村にシンがスキルの本を買いに入って行った。
オレはシンが村に入って行ったのを確認して、みんなの方を向き言わなきゃと思っていた人間界の話の口を開く!
『みんな聞いてくれ、、、。』