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ゴブリン魂  作者: チャー丸
人間界 2016.10.27 木曜日 AM6:00 シン’s ver
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裏4.2話

チャイムが鳴り、すぐまたやつがくる。げんぞーだ。


昨日同様。


みんなが可哀想にみたいな顔で見ている。


…そんな顔するならなんか声くらいかけてくれればいいのに。


僕は自分の教室からドナドナの子牛のように連れて行かれる。


…気合い入れろ!


…向こうの気合いに飲まれるな!


…ポケット!右左!大丈夫!入ってるな!


また昨日の体育館裏についた。


「おぃ!げんぞー!ヤツ連れてきてるか?」


「ハイ!来てます!ここに。」


「おまえ毎日毎日よく来るなぁ。ドMか?お前?ハーハッハ。」


「ゆってろ!アホ!今日は僕がお前を狩るんだ。」


小さい声でつぶやいた。


やはり、アドレナリンのせいか口調も自分が知ってる口調じゃなくなっている


「あー?なんか文句あんのか?あんならでっけー声で言ってみろ。」


「でかいだけの能無し。」


「小さくて聞こえねんだよ。お前それでも人間か?」


「うるさい、うるさい、うるさい!」


「あーもういいや、金出せ!」


「だまれ!だまれ!だまれ!。」


「おめーさっきからオレの悪口言ってんだろ?」


…3対1で全員イケるか?


…弱気になってはダメだ!


そんな時だった!ジュンが意外な口を開いたのは、、。



『谷口先輩。オレちょっと具合悪いんで、先にちょっと失礼します。』


…ジュン!逃げるのか?


…いや別だ、ここは2対1の方が、武がいい!


…こっちにとっては好都合だ。


「なんだ、ジュンこう。これから面白くなるのに。わかった。オレのかわいい舎弟よ。また明日な。」


その時だった。ミキの言葉が頭にフラッシュバックで入ってくる。


…「シンさん、、、。仲間を、、作ったら、、どうですか、、。そっちの、、世界でも、、、私はこっちで、、みんなと、、一緒に、狩りができて、、、色々、、救われました、、ので。」


…仲間か、


…ジュンに助けを呼べばあいつ僕を助けて仲間になってくれるかな?


僕はその安易な考えからジュンの方に歩いて行こうとした。



「おーっと、シン!帰っていいのはジュンこうだけだ。おめぇは逃げる元気があるんだなじゃ、もうちっと付き合えや」


「ぐふっ!」


…殴られる前にスタンガンでやればよかったか、、。


…やはり痛いな、。


「ジュン!助けてくれ!」


声がかすれて誰にも聞こえない


「だからさっきから何言ってるんだ、ってんだろーがよ。」


【ドゴッ!】


「ゴホッゴホッ。」


…ダメだ。元々大声を出す事に慣れていない


なぜかわからないがあんな敵なのに、何か通じるものがあると直感で感じたオレは渾身の力でジュンに叫んだ!


「た、たす、け、て、、、。」


一度ジュンがその場に止まる!


しかし、僕のこっちの世界での仲間作りの夢は儚く、

一度止まったジュンは、またゆっくり歩き出した。


…ははは、そうだよな。


…そうだよ。何を期待した。


…ゴブリンみたいな僕に魔王みたいなあいつが手を貸すわけがない、、。


…何の直感だ?バカだな僕は!


…僕もジュンみたいに初めから強い自分で生まれて来れたらよかった



谷口先輩にその後も一方的に殴られた。


僕は泣いた。



プライドを捨ててジュンに助けを求めた醜い自分に!


泣いた!



所詮、こっちの世界では誰も自分を助けてくれる者などいないと言う現実に、


涙があふれた。


先輩に殴られて痛いからじゃない!


オレはまだこっちの世界ではゴブリンだと思い知らされた事に、


ゴブリンなんて誰も相手にされないんだと確信を得て



そして、誰も助けてくれないと言う真実が、


涙を止めて自分を奮い立たせた!


谷口先輩が、僕を殴り飽きて一瞬後ろを向いた瞬間だった!


…左で麻痺!


…右で刺す!


「左で麻痺!」


そう言った瞬間!左ポケットから、スタンガンを出し!


スイッチを入れ!背中に押し当てやった!


ブルブル固まったようになり、

膝から崩れ落ちた!


それはまさに、ジュンがオレにやったパンチと一緒だった!


実力ないゴブリンが、お金で自由になれる強さの羽を買ったのだ!


崩れ落ちた谷口先輩に間髪入れず


「右で刺す!うわーー!」


足をめっちゃ刺した!


「刺す!刺す!」


谷口先輩は尋常じゃない悲鳴をあげていた。


げんぞーは、ヤバイと思ったのか走って逃げた。


それでも起き上がろうとしていた

谷口先輩の顔にもう1撃スタンガン!


ピクピクしているが、アイスピックで刺すと痛みで意識は戻る


「右手で刺す!刺す!」


5〜6回刺した、


顔を見ると子犬みたいな顔でこっちを見ていた。



僕を平気に殴りつけたりしていたそんなやつが


怯え子犬の様な顔をする。


心底そんな顔するやつの事が気に入らなかった!


「うぉーーーーーーー!!!!」



オレはスタンガンのスイッチを入れて、スタンガンを持った手で電気が流れるように、

何回も何回も殴りつけた


先輩はピクリともせず失神していた。



「うぉーーーーーーーー!!」


なんだか発狂が止まらなかった。


この日生まれて1番大きな声で叫び、


生まれて1番ドキドキを体験し、


生まれて1番の孤独も体験し、


そしてこの日僕は人間として何か失ってはいけないものを失い、


孤独という対価で手に入れた、スタンガンとアイスピックという自由の羽で強靭な自信を取り戻した。




僕は今日もまた新なる強さを求め

異世界にいく。





これでこっちの世界は平和を取り戻した!そう思った!


そう思っていたのはこの時の自分だけだった!


僕はこの後異世界で衝撃の事実を知る。


知らされるのだ。


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