7.8話(挿し絵1/25追加)
オレに気がつかれた事にキッドが気が付き、
キッドも腹を決めたのか左腕を外して武器として持ち、プレイヤーに向かって走り出した!
『キッド、ちょっと待ってくれー!』
オレの声でキッドの足が止まりこちらを見ている。
「ついに来ちゃったかモンスター達。でももう私は疲れたわ!異世界でも向こうでももう居場所がない。ホントもう疲れた。好きに殺ってくれて構わないからどうぞ。」
そういうと、魔法使いっぽい女プレイヤーは下を向いた、、。
オレら3人は目を見合わせて、
何も言ってはいないが、みんなでこのプレイヤーの側に近づいていった。
「えっ?どうしたの?こんなモンスターっているの?」
マイがプレイヤーの右側に座り手を握っていた。
「優しくなんかしなくていいよ。もう、今日異世界からリタイアする為に、ここに来たのだから。」
『何かあったのか?』
「そんなキーキーいわなくていいのよ。」
…やはりプレイヤーには言葉は伝わらないんだな、、。
「でもまぁ、モンスターになら気軽に話せるわね。私は人間恐怖症なの。
向こうの世界で人に騙され、誰に話されても吐き気がするわ。だからと言って死ぬ勇気もない。そんな中、この世界に来た。おまえは変われる!強くなる!って言われて来てみても一緒だった!
結局、私は誰をみても話も出来ない、人への嫌悪感が減らず近づく事すら寒気がする、、。
こんなん余計心がすさみ、トラウマが増えたわ。
強くなれるっていうから吐くのを我慢して頑張ったのに、みんなで一緒に殺生しに行く。もう仲良くプレイヤーとつるむのも殺生するのも私には何が楽しいのかわからない。」
そう言ったら、
マイがシクシクしながらプレイヤーをギュッーと抱きしめていた。
「ほんとにどうしたのあなた達、モンスターなのに言葉がわかるの?私がスキル使って話をしたモンスターは殺してやる!しか言わなかったのに。私の言葉がわかるの?」
そういうと立ち上がった。
「ちょっとみんな下がってて。ハァー!」
何かの魔法かスキルでも使ったのだろうか?
「さぁ、なんか話してみて。会話出来る?」
『嫌な思いしたね。』
マイがシクシクしながら話をしている。
「こりゃ、ビックリね!話がわかるモンスターがこの世界にいるとはね。この他の2匹も私の言葉がわかっているの?」
『あー。初めはあんたを見つけ倒す予定だったんだ!』
「そーなの?じゃあ後で私を殺すの?」
『嫌だ!もう!弱い人間をオレは誰も傷つけたくない!オレは自分が悪と認めた相手以外とは戦わない!』
「あなたたち、AIじゃないの?私はこの世界に来た時にモンスターを倒して自分を強くしていけば、自分も救われると月に言われたのよ。」
『オレらも一緒!元々は人間なんだ。この2人とオレの立場はだいぶ違うんだけど、元々は2時から転生してくる人間なんだ。』
「えっ!そんなの聞いてないわよ。」
『多分プレイヤー側には知らせていないんだと思う。
そんな事考えないで狩る事が出来るように。
オレは初め赤い月に
弱者の気持ちを知る為にここに来されたんだ。と言われたけど、
初めはよくわかってなかったけど、殺されてわかったんだ。
オレは殺される為に神様が、異世界に来させられたんだとすぐわかったよ。』
「あなたそれ本気で言ってるの?」
『本気も何もこっちの声は聞こえないのに、プレイヤー側の会話は聞こえる!初日は、この世界がどうなってるのかプレイヤーに聞きに言ったんだよ。
そしたら、こっちの声はキーキー聞こえるだけで何も伝わらないんだ!
で、いきなりバッサリ胴体真っ二つさ。』
『ジュン君、、。』
『アホジュン、、。』
女プレイヤーもそうだが、キッドとマイもこっちを見ている。
「モンスター側になった人間は、死んでもこの世界から逃れられないの?私達プレイヤーは1度死んだらもう2度とこの世界には来れないって聞いてる。だから私はもう異世界に来ない為に今日ここに来ているのに。」
『あー。もう3回殺された!胴体真っ二つと、首バッサリいって、昨日は串刺しだったけど、今日またここにいるんだ。で、赤い月に今日聞いたら、プレイヤーを全て倒すしかないらしい。だからさっき背後から近づいたんだ。でも出来なかった、、。』
「そうなの?それは、あまりにも残酷ね。少しだけど事情はわかったわ。
私はあなた達についていくわ。
あなた達相手だと、吐き気もしないし、嫌悪感もない、久しぶりに会話らしい会話も出来て、もしかしたら人嫌いも治るかもしれないわね。
私はアキ。29歳、よろしくね。」
『ジュンです。17です。』
マイとキッドがビックリした顔でこっちを見ている!
オレの歳にビックリしてるのか、アキが、29に見えないからなのか、
自分も歳言わなきゃいけないのか、
何に驚いているかわからないが、、、
とっさにキッドが口を開いた!
『キッド、16歳!アキねぇさんみたいなのがタイプです。』
「アハハハ。おもしろいわね。でも、そういうストレートな事言う人嫌いじゃないわよ。でもね、キッドだっけ?人間に戻るとこの顔じゃないからね。」
『大丈夫です!』
アホが敬礼してる。
人を散々、アホジュン呼ばわりするがこいつ程オレはアホじゃないと思う。
『私はマイミ、、、。えーと歳は、、。』
『別に言いたくなかったら言わなくてもいいぞ。』
『いや、別に嫌じゃないんだけど、みんなの扱いが変わったらやだなと思って、、、19歳です。』
…年上かよ?
同い年くらいかなと思ってた。
『マイミ年上だったの?』
キッドはオレとは違い心ではなく、驚きが口から言葉になって出ていた。
「ちょっとキッドー!それをそう思ったとしても、本人の前で言ったらダメよね。マイちゃん。そういうこと言ってると女心がわからないって嫌われちゃうわよ。」
『あっ!マイミ、ごめん。』
『別に大丈夫。気にしてないから。』
「さて、あなた達これからどうするの?」
『アキねぇさん。ちょっと北の洞窟の方に向かいます。』
「キッド!私にだけ敬語使うのやめてくれる?年上過ぎて逆に傷つくから。」
『わかった。でも呼び方はアキねぇでいい?』
「それがいいなら、それでいいわよ。」
『じゃあマイミ、ジュン、今日からアキねぇな。』
『オレらもそう呼ぶのか?』
『なんだ!嫌なのか?』
『いや、嫌じゃないけど!』
『じゃあ決まり!年下権限だ!決まりだ。決まり!』
…なんだかキッド嬉しそうだな。
…アキねぇか。まっいっか、、。
そんな時だった、。
『キッド!ジュン君の体!』
『もう、そんな時間かよ。話過ぎたか。アキねぇ、ちょっと走るけど大丈夫?』
「大丈夫よ」
『じゃあ、ちょっと走るその前に、マイミ、どうせだし、オレからやってもいいかい?』
『いいよー。』
『了解した!ジュン!ちょっとここに立って!』
言われた通りに立った。
体が赤に手足が赤く光っている。
『ハァーー!』
そう言ってキッドがオレに手をかざすと赤い光が消えていく。
『キッド、これって、、、。』
『だから任せろっつったろ?』
…スキルって他人にも使えるんだ!
『こりゃ凄い!ビックリした!』
『だろ?渾身のアイデアよ!』
…これでみんな光らず済むのかな?
…今日は生きて帰れるかもしんない。
そう思ったら嬉しくてしょうがなくなった。