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ゴブリン魂  作者: チャー丸
異世界4日目
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7.65話



『いきなり、プレイヤーじゃなくて、モンスターと戦う羽目になるとは思わなかったな。』


『ジュン君!モンスター相手でも死にそうになってたね。フフフ。モンスターが相手でもプレイヤーが相手でもやられた時の痛さは一緒なの?』


『うーん。多分だけど変わりないと思う。異世界では殴られた事は無いけど、人間界で殴られた感じとさっきの骨にやられた感じは一緒だった。』


キッドとマイがオレを見ている。


…んっ?なんか変な事言ったかな、、。


会話を思い出して見ると、あぁ、なるほどと思う!


『いやー別に頻繁に殴られたりしてる訳じゃなくて、、。』


その必死の弁解がかえって逆効果だった。


…弁解しないほうが逆に良かったな。


キッドもマイもふーん。ジュンって殴られたりする境遇にいた人なんだ的な目だ。弁解したら、人を詮索する感じの目は、更にさっきより気になるようでこちらを見つめていた。


別に人間界での自分を隠しておきたい訳じゃないが、今は話すタイミングでも無いとその時は思った。。



『おいおい、なんだ?2人ともオレの顔になんかついてるか?』


『いやいや、別にー。ねぇ、キッド。』


キッドは相変わらず態度がすぐわかるからわかりやすい!


いきなりオレに話振るなよオーラが体から半端ない!


『おう。べ、別にアホジュンの顔なんか見てた訳じゃねーよ。』



…なんか気まずいな、。


…とりあえず話題を変えておくのが賢明だな。



オレはモンスターとの戦闘で1番気になっている事を実行する事にした。


『ちょっとキッド!こっち来てくんない?』


『んっ?どうした?』


キッドが歩み寄って来る。


オレはキッドの左腕を強めに引っ張ってみた。


『いててて、おい!アホジュン。何すんだよ!』


『いやー、さっきのモンスターとキッドって同じやつだろ?

あいつ自分の腕を外して武器にしてたろ?じゃあキッドもいけんのかな?って思ってさ。』


『キッド!あれ出来たら凄いじゃん!痛いの?』


『2人してそうせかすなよ。今自分でやってみるから。』


そう言うとキッドは右手で左腕を引っ張った。


『あっ!取れた。』


『取れんのかよ?』



…思わずつっこんでしまった。


『キッド、痛くないの?』


『自分でやったら痛くないな。』



凄い!右手が自分の左腕を持ってブンブン振り回している。


『キッド!そのまま外した方の腕の指は動くのか?』


『んっ?こうか?』


『おー!すげー。』

マイとハモった。


その姿は異常そのもの!


右手で左腕を掴み、掴まれてる左手がグーパーをしている。


左手は、ただ持たれているだけなのに指はちゃんと動く!めちゃくちゃ奇妙な光景だが、キッドがやるとなぜか面白い。


『キッド!足の方も外れんのか?』


『えー。足もやんの?』


嫌そうに、右手で持たれた左手が太もも付近を掴む。


『マイ!ちょっとうちらで肩貸してやらないと、外れたら転ぶんじゃないか?』


『そうだね。』


ゴブリン2匹に脇に支えられて、

骨のモンスターの形をしたキッドが自分の足を外そうとしてる。


これほど変な光景があるだろうか?


『あっ!取れた!』


『マジとれんのかよ!』


マイと面白くて、またハモった。


キッドは片足でうちらに支えられて立っている。


『キッド!キッド!外した左腕で外した足を持って!』


これは、おもしろすぎる。


やっぱりキッドはやばいネタの宝庫だ。


右手で外した左腕を持ち、その左手で自分の外した太ももから、先の足を持つ!


滑稽極まりない!


『キッド!キッドそのまま足首動かしてみ。』


腕の遥か先ので足首がクイクイっと動いている。


『ジュン君!、、アハハハ。もうやめて、おかしすぎる!笑いすぎてキッド支えられなくなっちゃう。』


『ハハハハ、、。だって面白すぎるだろこれ。自分の手足が釣ざおみたいに伸びた先の足が、クイクイって。ハハハハ。腹痛い、腹痛い』


『うわー。』


ヤバイ!笑い過ぎて、キッドを支えられなくなって、前に倒れてしまった。


『お、ま、え、ら、なーー!毎回笑い過ぎだー!!』


右手で掴んでた。左腕と、右足がそこに転がっている。


『キッド、、、。この手足戻せるのか?』


『わかんねー。ちょっと体支えてくんない?』


『おう。』


体支えて腕と、足に手を伸ばそうとしたら、勝手に腕と足が体に磁石でもついてるかのように引き寄せられいつものキッドにもどった。



『おー!』

それは、オレとマイの感動の眼差しだった。


『キッド!もう少し実験いいか?』


『あーかまわないけど、これ以上笑うなよ。』


『もちろんだ!』


オレは根拠も無い約束に親指を立てた!


『体から自分の部品が離れたら何秒で戻るのかやってみてくれ。』


『おー!わかった。』


そう言うと自分の左腕を外し右手でぶん投げた。


『キッド、犬に骨投げるんじゃないんだから。』


マイがオレの発言後、後ろを向いたまま肩を震わせている。


どうやらツボったらしく。声を殺して肩を震わせて必死に笑うのを我慢している。


今オレと、マイはキッドの笑いの毒に感染してるからちょっとしたことで発症し、呼吸困難になるくらい笑って腹が痛くなる。


…ヤバイ自分で地雷ふまないように気をつけないと!


投げた腕は、およそ10秒で戻って来た。


『なるほど、キッドが投げた先にもし、

ナイフがあったら、それ掴んで戻ってこれんのかな?』


『やってみるか?』


『ナイフ、ここに置くぞ。じゃあ、キッドここをめがけて左腕を投げてみてくれ!』


『おーよ。まかしとけ。』


また、キッドが犬にホネのご褒美をあげるように投げた!


しかし思ったよりナイフが遠くて届かない!


『わりぃ、ジュン。ノーコンだったわ!やり直すな。』


そう言って自分の腕を取りに行こうとした姿を見てピンと閃いた!


『キッド!そのまま指だけ動かして地面を指で這ってナイフまで移動できないか?』


キッドが立ち止まり、一生懸命なにかやろうとしている。


腕が地面をグーパーしながら、ナイフに向かっている!


まさに初めてハイハイした赤ちゃんが親に向かっていくように。


当然!頑張れって気持ちになる!


『キッドもう少しだ!10秒まで時間無いぞ!』


『これで限界だ!指がつりそうだ!』


骨の腕が


5m、、、。


3m、、、。


2m、、、。


とナイフに近づく!


『キッド後少しだ!イケるぞー』


『やってやるーうぉーー。』


掴んだ!


その瞬間、腕がナイフを持ったまま体に返ってきた。


『キッド、これはマジで凄いぞ!これは絶対に使える!』


マジで凄い!と思った。


『そうかぁ。』


なんとなしかちょっと照れくさそうなキッド!


きっと褒められるのに慣れていないのかもしれない。


これで最後の実験だ。


もしこの実験が成功したら、笑いの核爆弾のスイッチを自分で押す事になるのが想像出来る。


マイもオレも腹をよじって笑うだろう。



だがここまで来たら、笑って死ぬだけとオレは口を開いた!


『キッド、最後の実験だな。』


『まだやんの?もう何も無いだろう。』


『キッド、ちょっとオレらの3歩先にオレらが見えないように立って。』


マイが不思議そうにオレを見ている。


マイはまだ気がついていない!


オレが笑いの核爆弾のスイッチに手をかけている事を、


『こうでいいかぁ?』


『キッド!手を首に当てて!』


マイが何か勘付いた、、。


『ジュン君!ヤバイヤバイ!それはマジヤバイって』


マイもオレが笑いの核爆弾のスイッチに手をかけているのに気がついた。


『マイ!大丈夫だ!アレが外れなければオレは助かる!』


『じゃあ、ラスト!キッド首を上にいってみようか?』


すでにマイが下を向いて限界近い!


オレはまだなんとか我慢だ!我慢!


『ジュン、さすがに首は無理だと思うぜ!』


この時、オレらの腹筋崩壊はキッドの首に託された!


『クックック。。』


殺した笑いが下から込み上げる!


『いいぜ、上にいっちゃってくれ。』


キッドは自分の首を必死に上に持ち上げた!


その時!マイとオレの腹筋は崩壊を迎えた!


上がったのだ。サッカーで逆転ゴールを決めた選手がボールを天に掲げるように、


自分の頭を天に掲げる骨。



限界だ


『アハハハハハハハ、ハハハハハハハハ、ハハハハハハハハ。』


笑い転げた。


マイはしゃがみながらお腹を押さえて大笑いしている。


しかし、キッドもただでは転ばない!


まさかまさかの頭を天に掲げたままこっちを向こうとしている。


…その姿でこっちを向くのか。お前は!今どれだけの殺傷能力があると思っている!


キッドがゆっくり自分の頭を持ち上げたまま回る!


…見たらダメだ。


…地球持ち上げてます。みたいに骨がこっちを見るんだぞ!見たらやられる


…見たら!死ぬ


…見たら、、、。


『アハハハハハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ。』


今日、オレとマイはキッドのせいで2回死んだ。


笑い死にだ。


キッドの頭が首に戻り、自分の左腕を引っこ抜いて戦ったモンスターと同じ方法で殴られた。


10年分笑った!


…これは殴られてもしょうがない!


…これは悪ふざけがすぎた。


…殴られた価値があった。


『アハハハ。』


殴られてもなお、殴られた痛みより笑いの灯火の余韻が残っていた。


キッドのお笑い劇場は、戦ったモンスターと同じ攻撃で幕を閉じた。








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