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ゴブリン魂  作者: チャー丸
遥's side story
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もう1つの115話の続き 響side後編

もう1つの115話の続き後編。



2013年 5月16日 木曜日 PM8:52



〜〜〜〜響's side story〜〜〜〜



【ガチャ】


ジャイが先頭で屋上の扉を開けた。


「ジャイここ気持ちいいな。」


「朝が1番気持ちいいんだぞ!夜は少し暗いけど、迷惑にならないからしょうがないな。妥当な場所だな。」


奥の手すりにユッティが捕まり、ベンチにタカが座り2人とも外を眺めていた。


「ジャイ行こうぜ!タカとユッティが待ってる!」


「ゆっくり歩いてるのは響に合わせてやってるからだ。」


「大丈夫だ。痛み止めであまり痛くないから。おーい!タカ!ユッティ!」


その声にタカはベンチに座ったまま、ユッティは片手を離してこちらを向いた。


そして、タカとユッティの前まで来た。


『響どうだった?体は?』


「大した事はないって、全治1週間〜2週間くらいだって。」


『そうか、大した事が無いと言うには凄い包帯だけど、無事でよかった。』


「みんな聞いてくれ!今タカの姉さんのハルねぇがイジメにあってる!」


『そりゃマジか!?』


「あー!マジだ!多分昨日からじゃないかな?黒板に有る事無い事書かれたり、教科書ほとんど落書きや、破かれたりしたのが昨日!今日は上履きを捨てられた。」


『ハルねぇは大丈夫なのか?』


「初日はかなり来てたみたいだった。アズみんがそう言ってた。」


『アズみん?あー!ハルねぇの仲いい友達か?ってか、姉弟揃って、同じような嫌がらせされてんなよな!』


「キッドもそんな事されてたの?」


「そうか、ユッティは知らないのか?ひょっとしてジャイも知らないんじゃね?」


『まぁ、そうなるわな!聞いてよオレさ小学生の時さこんな嫌がらせされてて、なんて、自分から話す奴いんのかよ!そういうのはしまっておくもんなんだよ。』


「なんだ言わないのか?気になるのに。」


「私も気になる。」


『大した事ねーんだ!ちょっと鈴木さん取り合いして他の男子に恨まれたんだ!』


、、、、、、、、、、、、、。


『ほら見ろ!響!こんな空気になるだろ?だから言いたくなかったんだよ』


「別に言えってオレ言ってないけどなぁ。」


『オレの話は終わり!続きだ!響!』


「ハルねぇがイジメられてるって話までしたな。そのイジメが始まったのが昨日で今日の帰り道、オレが覆面野郎に袋にされたんだ!」


『声に聞き覚えはどうだ?』


「全くない!向こうもオレを知らない感じだった」


「なんか恨まれる覚えは?」


「特にないんだけどなぁ。どの先輩に敬語使わない事くらいかな?だから生意気なんだって殴られたのかな?」


『わかんねーな。でもそれにしちゃ、事件の日にちが近すぎないか?』


「だからだよ!ハルねぇと連んでるからオレが袋にされたんなら、ハルねぇどんだけ恨まれてるんだって話だよ。」


『そうか、、、ジャイ!そろそろ再始動だな!ユッティ!ユッティの退院はいつだった?』


「明後日の日曜日。」


『ジャイ!オレももう大丈夫だ!なるべく早く退院したい!ジャイその方向で手続き頼みたいけど!大丈夫かな?』


「急だな。わかった。なんとかする!」


『響!オレとユッティとジャイは水面下で動く。暴いてやるからお前はみんなを守れ!1度やられてるから怖いかもしれないけど。』


「大丈夫。3人がバックについてくれるなら安心だ。」


その時、ジャイの携帯が鳴った。


「おっ!安達さんだ。着いたんじゃないか?はいもしもし、あっ、今から行きます。待っていて下さい。響!刑事さん来たぞ。」


「そっかじゃあ行かなきゃ。タカとユッティは行かないのか?」


『オレとユッティはパス、ダチならあんまり詮索すんな!2人がここに入院してるんだ。空気を読んで悪いがジャイといってくれ。』


「ようは会いたくないんだな。わかった。オレ多分このまま刑事さんと話したらジャイと帰るから何かまたあったらすぐ相談する!」


『わかった。オレもユッティも学校がバラバラだ!退院して通学を始めたらすぐには駆けつけられない。ハルねぇと同じ学校に通う響達が頼りだから、ハルねぇ頼むな。ああ見えてオレよりもろいはずだから。』


「タカ!まかせろ!頑張ったらビックマック3つな!」


『もちろんおごる!』


「響!いいか?オレが呼んだ刑事の安達さんが下に待ってる。」


「おぅ。行こうぜジャイ!」


そう言い立ち上がりタカとユッティに手を振り、屋上を後にした。


…すっかり仲良しになったんだな、あの2人。


…そういえばタカ必ず委員長迎えに行くって言ってなかったっけ?


…今の状況は単身赴任中の浮気みたいなもんじゃねーの?


…別に付き合ってる訳じゃないのかな?


…それにしても、なんでタカばかり、、、。


…ぽっちゃりには一生春は来ないのか?


…デブでKYじゃダメなのかよ。


…いいな。オレもこういうシチュエーションで女の子と2人きり愛を語りたいもんだな。


屋上から病院内に入る扉のドアノブに手をかけ、振り返り、タカとユッティが楽しそうに話すその姿を見てオレはそう思った。


そして、ロビーで待っていた、安達さんに挨拶をして、ジャイの狭い楽屋みたいな休憩室に3人で入った。


「神取先生お久しぶりですね。」


「安達さんこれはどうもわざわざありがとうございます。」


「そうか、あの現場にいたからお久ぶりでも無いのか。あの子は元気にしてますか?」


…あの子?


…誰だ?


「はい!元気ですよ。無事に親子で山は越えて回復に向かってるようです。」


「それはよかったです。聞きたい事は山程あるんですけどあの子がヘルメットを被っていた訳とか、、。でも神取先生、今日は違う件ですもんね。君かな?名前は」


刑事さんがこちらを向く。


「響。中1です。」


刑事さんが机の灰皿を見て、タバコを出して火をつけた。


「そうかい、響君か。私は安達です。はじめましてだね。すまないね1本吸うよ。さて私を呼んだのはその怪我と、関係してるのかな?」


「はい!覆面を被った5人にリンチされました。」


「それは辛いね、、。恨まれた記憶や、やった相手に記憶は?」


オレはハルねぇの話、オレが殴られ言われたセリフなどを全て話した。


「そうかい、、、。私の勘だけどその2つの事件は繋がって無いようで辿ると同じとこに繋がってる気がするね。」


「やっぱりオレを袋にしたやつはハルねぇのイジメと関係が?」


「私の勘だから、あってるかどうかわからないけど、もしみんなで情報を取り合うような物に誘われたり、今後もその遥さんだっけ?その人の友人で色々事件が起こるようなら、犯人は近くにいる可能性があるかもしれない。」


その時、携帯が鳴った。


相手は光だった


「出ていいですか?」


「いいですよ。」


「すいません。もしもし光?どうした?」


光からの電話はハルねぇがグループLINEで繋がりたいからLINEに誘って、グループLINEに入って欲しいという物だった。


電話を切らず今の内容を刑事さんに話した。


「更にバックに誰かがいるのか、頭がいい人がいるかな。」


「安達さんどう言う事ですか?」


「響君がもし黒幕だったとして、覆面の人達に指示を出して暴行したとする。黒幕だった響君はその暴行した相手がいまどんな心境か知りたくならないかい?」


「それって、グループLINEの中に黒幕がいるかもしれないって事かもしれないって事ですか?」


…マジか?ハルねぇは無いとして、


…光、シオンヌ、アズみん、エリー、マサトの誰かか?


…光、シオンヌはまず無いな!


…とすると、アズみん、エリー、マサトの3人?


…誰も信用出来ねーじゃん!


「まあそうじゃなくて、普通に繋がりたいと誘った場合も多いにあるけどね。ただね、もしわかって誘って来てるなら黒幕は相当頭がいい人かもしれないね。」


「僕はどうしたらいいですか?」


「とりあえずそのグループLINEには入らない方がいいと思うよ。そして明日も響君がどうなってるか指示を出していて、怪我してるのを知ってる人物が、その繋がるメンバーの中にもしだよ、もしいるなら、大袈裟な怪我に見せた方がいいかな?それで響君はもう狙われないようになると思うよ。後は落ち込んでいるようにしてれば尚大丈夫かな?」


…大怪我のふりか?


…落ち込んだフリはオレがそんな暗いと逆にハルねぇが心配するし、みんなが心配しちまうから無理だな。


…とりあえず光に伝えよう。


「光!ちょっとオレ実際にLineやってないから無理!いまんとこ、そこには入れない!詳しくは明日登校中に話す!明日一緒にジャイの病院にシオンヌと光とオレで行きたいんだけどどう?行けるか?」


光は電話越しにOKと言いみんなに伝えとくと言って電話は切れた。


「安達さん。伝えました。」


「そうかい。今は証拠が無い以上私も動けない、今追ってる山があってね、私もかなり忙しいんだよ。だけど証拠掴めたらどんな時でも連絡をしておくれ。必ず駆けつけるから。」


「わかりました。」


「覆面の人を追うのは、大変危険だと思うから、2つの事件を同じ線で犯人を追うなら、イジメをしてる人から辿るといいかもしれないね。覆面の方は探っている事をバレたらその時点で何されるかわからないからね。」


…なるほど。


「ありがとうです。為になりました」


「響君!ひょっとしてそのLINEグループの人と明日あったりするのかい?」


「多分会います。」


「そうかい。じゃあこの集団暴行された話をした時に、その人達の目をよく見るんだ。」


「目ですか?」


「あぁ。目で嘘がわかる。でも私がそれが出来るようになるまで15年かかったけどね。でも見ないよりは見といた方が絶対いいから。じゃあそろそろ私は行かないと色々妻が心配するからね。」


「安達さんありがとう。明日頑張ってみます。」


そう言うとみんなで立ち上がり、ジャイと世間話をしながら安達さんを駐車場まで送った。


そして安達さんが車に乗り込みジャイを手招きで呼ぶ。


「神取先生。次の神様からの手紙はいつ来ますかね?」


「それは私ではなく神様に聞いてください。」


「ははは。その通りですね。愉快愉快。」


…手招きした意味ないじゃん!


…会話聞こえてるし!


…神様?


…手紙?


…なんだそれ?


「じゃあ響君。これ私の名刺だから。」


そう言われ運転席から名刺を渡された。


「何かあったらすぐ電話して。」


「ありがとうございます。」


「神取先生も暇があったら遊びに来てください。うちの2代目のセイ君も会いたがってます。セイ君は誠一郎先生から名前を貰った、レトリバーですけどね。」


「ははは。うちの親父が安達さんの犬になってる訳ですね?一段落したら犬の親父に会いに行きます。」


「待ってますよ。じゃあ。」


そう言い、安達さんは病院を去って行った。


「ジャイあんないい刑事と知り合いなんだな。」


「ああ。親父が結構昔ケアした患者さんの1人だ。繋がりは繋がりを呼ぶ。助ければ助けられるんだぜ。」


「そっか。すげぇお父さんだな!」


「ああ、、、まだ全く追い付く気がしないけどな。」


ジャイがなぜか空を見ていた。


「響!車そこだから乗って待ってたらどうだ?それともキッドとユッティに会うか?」


「いや、いいや!オレはあの2人の邪魔だから。」


ジャイがキーレスで扉を開けてくれた。


「ジャイこの車高いのか?」


「まあまあだな。名前が長いせいで誰1人名前を覚えてくれない。最近じゃモングランって呼ばれてる。」


「何それ?栗?これ屋根開くのか?」


「開くぜ。」


「マジか?開けてくんない?」


「後でな。とりあえず帰る用意して来るから助手席に乗って待ってろよ。もうオレの支えいらないよな。」


「大丈夫だ。ジャイのくれた痛み止めのおかげだ。」


「そりゃよかった。」


そう言うとジャイが荷物をまとめに病院に入っていき、オレはモングラン号に乗車した。


革のいい匂いがする。


いかにも外車な香りだ。


…マジでジャイ金持ちだな。


…羨ましいな。


…金も無い小太りポッチャリでKYなオレなんか男選手権で埋もれていくよな。


…ちょっと痩せてみるかな?


…彼女欲しいしな。


…それともこの腹の肉を筋肉にしてみるか?


…脂肪丸ごと、筋肉に、、、。


…なんとかしたいけど持続力が無いんだよな!オレって


…自分でわかってんだよ!


…ダイエットしなきゃって思うときは必ずお腹がいっぱいの時だ。


…だんだん時間が経つにつれてその決意が薄らいで行って、明日でいいよって悪魔の囁きが空腹を連れてくんだよ!


…で毎回食って、あー次から絶対やる!もう食わない!


…そのループなんだよな、、、。


「あっーーー!!!」


【ガチャ。】


「どうした響。発狂してたぞ。ほらこれ持ってけ。」


ジャイが用意を済ませて戻って来た。


そして松葉杖を渡された。


「別に無くてもジャイの痛み止めあれば歩けるけど。」


「やられた事を装えって安達さんも言ってたろ?松葉杖なら側から見て痛そうだろ?」


ジャイが話しながらシートベルトをして、屋根を開けてくれた。


「わかった。借りとく。開放感半端ないな!超気持ちいい!」


「だろ?巻いた包帯飛ばないようにな。」


そうして、オレは家まで送って貰った。


ダイエットの相談をしたり、イジメしてるやつの名前がわかったら教えてくれ、探偵がいるから調べてやるなどの話をしながら爽快なドライブが終了し、ありがとうの握手をして、オレは家に入り、オレの木曜日は終了していく。


…いるのか?


…あの中に黒幕が?


…みんなあまり長くは話してないから、わかんないけど、今日つるんだ感じだとみんな正義感強くて仲間思いで、いい奴ばかりなんだけどな。


…目か?


…目でわかるって安達さん言ってたな。


…明日だな。


…オレにわかるかな?


…仲間疑うって超嫌だぜ!


これがみんなが知らないあの袋叩きにあった夜の話だった。

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