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ゴブリン魂  作者: チャー丸
ルート's side story
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137.1話 (1××話 マスカットside後編)



137.1話 (1××話 マスカットside後編)




ルートが消えていった。


消えていったようにしたのは私のせい。


『マスカット。おまえなんて事を』


「キューキューキュキュー!」

「だってしょうがないじゃない!」


『泣いてんのかよ、、、。馬鹿野郎!オレだって泣きてーよ。異世界なのに、こんな悲しい思いするなんて、、、。』


「キューー!!」

「私もだよ!!」


多分私の言葉は通じてないけど通じている気がした。


2人は罪悪感と、色んな感情が入り混じり泣いた。


『どのくらい泣いたかな?異世界で起きた悲しい気持ちはそのまま悲しいんだな。人間界の嫌な気持ちは減るのに。なぁマスカット!おまえオレの為にやったんだよな?おまえの行動無駄にしないよ。辛いけど。』


…私は青魔族だから、悲しみの軽減は元々ないんだよ。


…でもいまなら、キッドが嫌がる自分のせいで人が傷つく辛さが少しわかる。


…それは肉体的にも精神的にも。


…酷い事をしてしまった。ルートに。


…その思いが私の、涙の理由だったんだなぁ。


私達は落ち着きを取り戻し、どうするか話し合った。


話し合えないけど、私は手で上に待つみんなも倒さなきゃダメだって伝えた。


キッドも理解した。


ルートが人間界に戻り、みんなにこの話をしたら、翌日から全滅の可能性もあるし、ジャイが殺される可能性もある。


キッドの明日以降の行動はこの先どうするか私の中で決まっていた。


この時点ではキッドには言葉が通じないから伝える事は出来なかったけど、私の中ではそれは決まっていた。それも涙を流す1つの理由だったかもしれない。


私とキッドはルートの、仲間を殺す決断をした。


それは、過去に来てる脅威を言われる事を排除する為に。


驚くべき出来事が起きた今!完全にキッドは私が過去の事を知ってる事に気がついていなかった。


そして、ダンジョンの中はルートが宝箱を開けた途端部屋は普通のランプの色に、炎は消えていき、巨大デジタル時計は天井にしまわれて失敗した時の部屋に戻っていた。


そのなんの変哲も無くなった部屋を戻り、私達は階段を登る。


攻略を成功したのに、今までで1番心が重い状態で登る階段だった。


パンタがルートを、殺した時より気が滅入っていた。


そしてダンジョンからでる扉の前まで来た。


…ここをあけたら後戻りは出来ない。


…開けなくてももうルートを、殺してしまったから引き返せないか。


そんな私の心を見透かしたように


『行くぞマスカット、、、。』


そうキッドに喝をいれられ。


私は決意をして、頷いた。


そして、ダンジョンから出る為にキッドが扉を引いた。


【ギーー!バタン!!】


もちろんみんなが寄って来た。


「キッドうちのルートは?」


『ノーム!ルートは死んだ。やられたんだ。』


「そうかよ。それであったか?」


…忘れてるの?1人でも死んだら攻略出来ないダンジョンなんだよ、、、。


『ああ、あったぜこれだろ?』


みんなから歓声が上がった。


「そうか!それなら死んだルートも浮かばれる。あいつは明日また転生してくるからな。問題無しだ。おまえらを信用してよかった。」


ノームがいつにも増して笑顔だった。


…笑顔が眩しすぎるよ!ノーム!


…私をキッドと取り合いしてくれたのに、、、。


『あの池で渡すから池まで行こう。』


…キッド、声がかすれてんじゃん。


「わかった行こう、、」


そう言うとルート達3人が私達に背を向けて歩き出した。


【タッタッタッタッ】


『おいっ!マスカット、、、。いけるのか?』


「キュー。」

「いける、、、。」


『今泣かないようにさっき泣いたんだろ?不意打ちなんて、クソがやる事なのに、、、くっ!行くぞマスカット!静かに近づいて一掃だ。』


「キュー。」

「うん。」


私とキッドが武器を構え前を歩くノームに、近づく。


その時ノームが不思議な事に気が付いて話をしながら振り返った。


「ちょっと待てよ、、、。キッド!このダンジョンって、1人でも死んだら、、、って、、、。」


【グサっ!】


キッドが刺した。


「何しやがる、、おま、、」


『すまないノーム、、。』


ノームが倒れ、煙の様に消えていった。


私がリッカに、キッドはすかさずシェリーに向かって私はフルスイング、キッドは思いっきり刺した。


【グサグサっグサグサ】


「なんで?2週間一緒に闘っ、、、」


『すまないリッカ、、。』


泣きながらキッドが謝っていた。


「裏切り、、、、、絶対許さない。」


『すまないシェリー、、、。』


私も涙が溢れた。


『うぉーー!全員殺しちまった。』


「キュー、、、、、、。」

「みんなごめんなさい。」



…ノーム私を信じてくれたのに。


…ノームだけが私を信じてみんなを説得してくれたのに、


…許してなんて、、、言えないよね。


…ごめんね。


…あの時、、上手くいくといいね。応援する。なんて、、言わなきゃよかった、、、。


…言わなきゃよかった。こんな事になるなら、、、。


「どうなってる!」


ジャイが驚いて後ろから寄ってきた。


『ちょっと待てジャイ、、、。』


泣き顔のキッドが寄って来る。


『そういえば、マスカットおまえなんで知ってる?』


…やばい


『オレがクリアスキルを使ってる事を』


一歩ずつ近づいて来る。


『おまえは誰だ?』


私に向かって、一歩ずつ


『おまえひょっとしてユッティか?』


「キューキューキュキュー!」


『なんだってジャイ?』


「一言一句通訳して欲しいって。」


私はジャイを見つめて頼んだよと目で合図を送り、


そして私は口調を、変えて話し始めた。


「私は青神です。」


多分キッドにはキューキューとしか聞こえてないと思う。


でも私の話した言葉の通りジャイが通訳してくれている。


もう、別に私がユッティと話しても大丈夫だと思ったけど、触れ合いキス我慢選手権や、今までのスキンシップやハグや、色々が人間界に戻った時に気まずいってのもあるけど、私がこの異世界に来てキッドに会った時に私は自分がユッティって言わない!そう決めたからその意地もあった。


「キッド、あなたは今日で卒業です。」


通訳したジャイの言葉にビックリして私を見た。


『はぁ?なんでだよ、青神様。いやマスカット!』


…信じてくれたのかな?


「これも運命です。ルートは明日も転生されて来ます。キッドがクリアスキル4を使ってる事をルートがプレイヤーや明日から転生されて来る青魔族に話すとします!あなたの異世界での明日からは、誰かにそれを言われるかもしれない恐怖でしかなくなります。」


ここまでの通訳でようやくジャイも洞窟で何があったか理解できた感じの様子だった。


そう洞窟で私とキッドが、過去に行ってるスキルを使ってるのがバレた事が。


「あなたは、まだ人間界では、顔は知られていません。名前もわかっていません。誰もあなたがキッドだってわかりません。だから、今日が退け時です。私も後10日したら卒業します。後の異世界はジャイロに任せましょう。必ず3年半後の未来に繋いでくれます。」


『マジか?でもそう言われりゃ、その通りだな。今日で終わりか、何ヶ月だったかな?』


「オレと同じだから3ヶ月半だな。」


『せっかくマップもここまで埋まったのに』


そう言って、地図を広げたキッドが何かに気がつく。


『ちょっと待て!オレが青魔族になった時に魔族長から初日見せられた地図!これじゃねーか!左端だけ、少しかけてるけど、そうか初日に、体の光を消すスキルはマスカットが取ってきたやつで、初日にみんなに説明する大事に1枚しか無い地図!それ絶対これだ!魔族長がずっと大事にしてる魔族長にしか伝えられない情報ってのが、青魔族にはある。必ずそれは継承されなきゃいけない情報なんだ!地図も確かその継承の1つらしい!あの時の地図オレの地図だったのか?ここに来てビックリだな。』


…魔族長か?


…私がなるかな?それっ!


「私が初代の青魔族の魔族長になり、それをキッドが青魔族になるまで、代々の魔族長に伝え続ける仕組みを作ります。」


通訳を聞いたキッドが、私の手を握った。


『おまえになら全てを預けられる。』


そう言って、今までの集めたスキルや木札などが入ったバックを私に渡し始めた。


『そして、これが初めて、オレが見つけたクリアスキル2の滅の本だ。頼むぞ!マスカット!ジャイ!オレは今日で卒業だけど、今日まで2人と冒険した思い出は忘れない!特にマスカットいや、青神様!次会えるのはオレが腹切って、青魔族で行く時だ。その時まで3年半だな。必ず会いに行く!また腹切ってその日に会いに行く。』


キッドが私を抱きしめに来てくれた。


…これでいい。


…これでいいんだ。


『そういや、何日か前に我慢選手権でオレ青神様とキスしちまったな。神様とキスしたやつなんてオレくらいじゃね?でもいきなり青神様って言われてもなぁ、やっぱりマスカットはマスカットにしか見えねぇよ。マスカット今まで世話になった。なんだよ泣いてんのか?泣き虫な神様だな。ありがとう今まで、どん底からいつも引きずり上げてくれて。』


「キューー!!」


こちらこその言葉はジャイが通訳しなくても伝わったみたいだった。


『ジャイここから3年半、ほぼ1人旅だ人間界ではどれだけでも力になれるけど、オレは異世界にこれるのは3年半後になる!あの未来に進めるように頼んでいいか?』


「任せろ!相棒!スキル本を1人でも完全に集めとく!必ずグロックってやつに魔族になるスキルを使わせるようにして、同じ日に魔族村に向かわせるまでしっかりやってやる!異世界はオレにまかしとけ!」


キッドとジャイがハグをした。


『おまえら2人にまかしておけば大丈夫だ!ルートあいつは今日星6になったって言ってたから、多分後2日来る!2人ともオレいなくて大変かもしれない!しかも青魔族も明日から転生されて来る!マスカット!ジャイ!魔族村は何も変わらずあのままで大変かと思うけど、殺されるだけに転生されて来るなんて、自殺した罰とはいえ、可哀想すぎるだろ?光りを消すスキルなどを駆使して青魔族達を頼むぞ!』


そう言うと、キッドが私の前に立った。


『じゃあ時間だ!最後はマスカットに頼みたい!マスカットは神様だからもう既に牧師みたいなもんだなははは。必ずジュンとマイミの結婚式に無理に人間に化けてでも来てもらうからな。』


「マスカットがわかったって。」


…ありがとうキッド。


…頑張る!私が牧師でもシスターでもなんでもなるよ!


…必ずジュンとマイミって2人の結婚式に私が立つよ。


私は武器を強く握った。


『じゃあジャイは後でな。青神様、いやマスカットは3年半後またな。』


「キュー。」

「うん。」


私は悲しく震える手でフルスイングでキッドを斬った。


そしてキッドが煙のように消えていった。


「ジャイ行っちゃった、、、行っちゃったよぉ、、、。私を青神様だと思って、、、。」


「おまえ、本当キッドと同じくらい馬鹿なやつだ!次異世界でキッドに会う時に伝える。おまえがユッティだった事を3年半後生き抜いて、必ず異世界でキッドに伝えてやるから!」


キッドがいなくなった異世界でジャイに抱きしめられ流す涙を慰められた。


こうして今日5月31日で、キッドは異世界を卒業して行った。

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