表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン魂  作者: チャー丸
ユッティ's side story
267/534

111話ともう1つの111話(4/11挿絵追加)



2013年 5月14日 火曜日 AM6:00


異世界から帰宅した。


今までで1番内容の濃い異世界から帰宅した。


…すぐ飛んでくるはず!


…あの人が、、、。


「はぁ、、はぁ、、、ユッティ!」


…ほら来た!


「思ったより早かったね。」


そういうと起きていたベッドから降りてスリッパを履いた。


「色々聞きたい事はあると思うけど、キッドの様子見てからでいい?」


「わかった。」


そして、2人はキッドの病室に向かった。


キッドの部屋は今日も扉が開いていた。


「今日は転ばないでよ。」


「努力する。」


前回同様病室の入り口の端に四つん這いになり中が見えるくらいまで恐る恐る顔をゆっくり前に出す。


その上でジャイが私の背中に手を置き、後ろから身体を前に反らせ同じ様に中が見える様に顔を前にだす。


その2人の光景は多分昨日と一緒。


顔をゆっくり前に出して中が見えた時だった。


「キャッ。」


わからない様にやってる私だったけど、中が見えた瞬間キッドと目が合い条件反射的に体を引いた。



「だからジャイ体重かけすぎだって」

「ユッティ!いきなり、動くか、、

、」


「キャッーー!!」

「うわーーー!!」


アホなんだろうか?私達は。


同じ失敗を2日連続でして、


私は、組体操のピラミッドが崩れるように前に崩れ、

私に体重を、乗せていたジャイは前転みたいになって見事朝からまるで吉本新喜劇のように派手に転び今日もキッドにバレた。


「アホでしょ!ジャイ!」


私は寝巻きの汚れを落とす様に手で叩き立ち上がり、

ジャイは転がったペンを拾いながら、


2人でキッドの病室の入り口の前に無言で立った。


その扉がまるで空港の金属探知機に思えた。


『ごめん。』

中にいるキッドが首を横に振った。


…あんなに狩ったのにまだダメなんだね、、、。


「なんでキッドが謝るの?ねぇジャイ!」

「そうだよ!悪いのはうちらなんだから、謝る必要なんかない。じゃあキッドまたな。」


今日もキッドの嫌悪探知機の扉を超えられず、2人で回れ右して帰り出した。


それでもその探知機の反応は日に日に小さくなっている。


初めは


おまえさ、2度とオレの視界に入んないでくれる?ムカつくから!


の完全拒否から始まり、


おい!おまえ、、いや、、ユッティ!ジャイ!もう顔も見たくないって言ったろ?早く出てけよ


おまえが名前に変わった昨日。


そしてなぜか今日は


ごめん と謝罪された。


異世界での冒険と時間がキッドの悪夢をたんなる夢として理解して前に進んでいる証拠が会話から読み取れるのが嬉しかった。


「かなりよくなってたな?」


「そうだねー。異世界のおかげだね。」


「ユッティおまえのおかげなんだろ?」


「はははは。」


「死んだのか?ユッティ!なぜ?」


「ジャイ私の場所で話そ。」


「病室か?」


「違うよ。屋上だよ。時間あるんでしょ?」


「大丈夫だ。」


「お日様から元気貰いながらゆっくり話すよ。」


「わかった。」


私は私のお気に入りの屋上にまたジャイを連れ出した。


【ガチャ!ギーー!バタン!】


「私最近毎日ここに来てる。」


「オレは毎日付き合わさてないか?」


そう言って突き当たりまで歩いて行った。


「さて、話す前に!ジャイ!いつ気がついた?」


「なんとなく雰囲気と行動がもしかしてと思ったのは3人で初めて狩りした時!確実にわかったのは誰かに襲われて叫んだ時だ。」


…やっぱりあの時かぁ、、、。


「やっぱりね。」


「ユッティおまえは自分がマスカットになるって知っていたのか?おまえも未来から来たのか?ユッティが自殺なんて理解が出来ない!」


「ジャイに協力して自殺させて貰ったんだよ。」


「オレがそんな馬鹿な。」


「カードキーと顔認証システムでしか入れない薬品庫あるよね。」


「なんでそんな事知ってる?」


「そっから、ジャイが薬持って来てくれた。10粒飲むと10秒で死ぬからって言って私に渡して私とジャイはジャイの休憩室でジャイに看取られて死んだんだ。」


「まるで、オレが殺したみたいだな。マスカットになれなかったら殺人だな。」


「はははは。あの時のジャイも同じ事言ってた。マスカットになりたくて死んだんじゃないんだよ、ジャイ。」


「じゃあなんで?」


「キッドのお母さんが来た日覚えてる?」


「ああ、かなりキッドが情緒不安定だった日だな。」


「あの日のジャイの記憶は2回目の私が過去を改変した後の記憶なんだよねー。」


「過去改変?」


「あの日鎮静剤の投与が遅れて、そこにキッドのお母さん達が来て、キッドが窓開けたシーン覚えてる?」


「ああ。」


「あの改変前はキッドはあの窓から飛び降りたの。多分即死だ!ってジャイも頭を抱えてた。」


「まさかそんな。」


「ただ、私の机にその前日から誰からかわからないけどマスカットが置かれてて、で次の日キッドが飛び降りた。私はスキルを使わず青魔族の特性を上手く利用したの。死んだら前日の異世界に行けるの聞いていたから、で机に誰が置いたかわからないマスカットでしょ?私が行くように運命の歯車が回っていると思ったから、ジャイに協力して貰って痛くない方法で自殺したんだよ。自殺したとは今でも思ってないけどね。」


「そうだったのか?それであの日わけわからない事を言ったのか?マスカットが待ってるなんて、、。」


「そうだよ。異世界の青魔族ってマップ貰えないんだもん!青神様がキッドは池にいますって言うから、とりあえず歩いていたら、まずプレイヤーの村を見つけて、ジャイいるかな?と思ってその時は入って行ったんだよ。」


「あーー!あれか?ひょっとしてあの時あの武器背負って入って来た時?」


「そう。あの後キッドと会えたんだけど、キッドまだ誰も信用してない感じだったから私がユッティって話したら騙してるって思われそうで、私は自分を名乗らない事にしたんだ。それでも落ち込んでいて池から動こうとしなくて、そのまま異世界が終わりそうだったから、そしたら過去に逆行した意味無いって思って、キッドにお腹付近でナイフ持たして、抱きしめた私を刺した。抱きしめながら、、痛かったな。」


「頑張りすぎだし、1人で背負いすぎだろ?」


「30日騙し切るつもりだったけど、騙してる今が私的に楽しくてさー!キッドの中で今誰よりマスカットを大事にしてくれるの。もう幸せで幸せで、、、。もういつか言わなきゃなんて考えすらなくなっちゃったよ。」


「ユッティはそれがいいならそれでいいけどもし隠し通せたとして、永遠に言わないのか?」


「そうだな。自分からいうのもキャラじゃないから、ジャイから手紙をキッドに渡してよ。キッド達がグロックと戦った後、魔族になったキッドに、、、。」


「わかった。必ず伝える。」


「その頃なら、キッドも鈴木さんと会えてるでしょ?その後その紙を受けとって私のとこに会いに来てくれる事を祈って私は私なりの4年を頑張るよ。」


その後も色々話をした。


ラビをそれで連れて来た事。


光、響、シオンヌと友達になり、光にバレた事


異世界では魔法の本を買って持っていくから明日開いて覚えてみたらどうだ?と言われ


やってみると答えたり


色々話をした。


そして、別れジャイは勤務に戻って行った。


…人生って不思議だな。


…私を助けた事で、キッドが今精神的に落ちて。


…落ちてるキッドを死んでるはずの私に救われるなんて、、、。


…私は生きのびてキッドの命に一役買えた事!


…これは私が生きのびた意味の様な気がする。


…まだまだ終わらない!


…たった30日しかないけど、キッドの家で必ずみんなで笑って何も無かったように私も入れて唐揚げ食べるんだから、、。




後は特に何もなく普通に時間が過ぎていった。


キャビネットには9通の、神様からって名目で手紙を出すつもりだった封筒と白紙の手紙がジャイにバレた事により役目を終えてもうゴミのように入っている。


この時はもう使わないからゴミだなと思ったこの9通!


この先全部使い切る事になる。


しかも神様を語り、キッド宛にやったこの手紙の出来事が、無駄にならない出来事と知るのはまだまだ遥か先のお話、。










一方その頃。同日

2013年 5月14日 火曜日 ??時??分

キッド's side



〜〜〜〜 遥's story〜〜〜〜


「ハルちゃん。足どう?」

挿絵(By みてみん)


「マサト君!大丈夫。杖あれば、普通だから、運動は出来ないけど。はははは。」


「職員室に持ってくの?それっ?」


「うん。先生が忘れたみたいで。ボケっとしてるよね。ちょっとマサト君!」


「その足じゃ大変だろ?軽いから大丈夫。でもオレが持ってたら、ハルちゃんの優しさがオレの手柄になっちゃうだろ?一緒に行こうぜハルちゃん!」


「マサト君、、、。」






「レナ!あんたのマサト障害者の遥に取られちゃうよ。」


「許さない!なんなの?大して痛くもない癖に障害者のフリして杖ついて、犬みたいにマサトにフリフリ尻尾なんか振っちゃって、、、。あんなやつ犬みたいにしてやる。」


「レナ怖っわー!!!」



こんなやり取りがハルねぇの学校で起きていた。


オレのせいで怪我したのに、


オレはこの時自分の事で精一杯で、それでも、頑張っていたんだ。


みんなの顔を見ても発狂しないとこまでやっと来た。


でもオレが治るのと反比例して、


誰かがどん底に落ちていくその事をオレは知らなかった。


青魔族が来るまで後17日!


この意味がわかるだろうか?


青魔族マスカット以外が初めて来るまで後17日なのだ!



来てはいけない!


決して来ては行けないのに、、、。



、、、、、、。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ