もう1つの108話 ???'s side stor
もう1つの108話
〜〜〜〜 ???'s side story〜〜〜〜
私は 霞舞衣 高校1年生。
私は今お母さんにピアノを習っている。
でも昔からピアノを教わっていた訳では無く、本格的にやっていたのは双子の妹の美衣の方。
私には才能が無くて、見放されて、美衣がお母さんからいつも、つきっきりでお母さんの高級ピアノでレッスンを受けていた。
私は自分の部屋でそれでも独学で安いピアノを弾いていた。
お母さんに習わなくても楽しかった。
弾く事自体が大好きだったから。
でもそんなある日、元々病気がちだった美衣が病気で入院する事になり、私が小学3年生の時に妹は他界した。
それから、私に興味が無かったお母さんは私のとこに来て、私にピアノを教えてくれるようになった。
そして私に言った。
あなたは舞衣だけど美衣の魂をちゃんと引き継いだあなたは今日からマイミ!マイとミイ2人が体に共存する私の子、マイミよ。とそう言われ、私は舞衣と呼ばれる事は無くなった。
小学生のコンテストも沢山出た。
全てマイミの名前で大会に出て来た。
私はそれでも構わなかった。ピアノを弾くのが好きだったから。
そしてそれなりの成績を残していった。
弾き方は常に美衣が弾いていたやり方を完璧にコピーするように1日何10時間も弾いた。
そのうち私の肘から先は美衣で、体が私なんじゃないかという錯覚に襲われる事があった。
それでも私1人では絶対ここまで上手くはなれなかったから、どんなに美衣の真似が嫌でも耐えてどんどん上手くなっていった。
小さなローカルな大会はもう芸名みたいな感じでエントリーをし、マイミで、トロフィーや優勝を総なめにして来た。
ピアノ界に天才少女マイミ有りと言われる様になった。
私はもう自分が舞衣だと言う事すら忘れかけていた。
そう今日2013年 5月13日 月曜日!
必ず本名で出なきゃいけない、2013全国中、高ピアノ選抜の大会に出るまでは。
「マイミ!用意出来た?」
『出来た。大丈夫。』
「初めて美衣がいない名前で出る大会だけどあなたはマイミだからわかってるわね?」
『大丈夫!いつも一緒にいる。私の手は美衣だから。今日も美衣が弾いてくれるよ。』
「さすが美衣ね。行くわよマイミ早めに会場入りしましょう。」
そう言うと部屋を出た。
私の部屋にはもう美衣が死んでから弾いてないホコリを被ってるピアノが何故か私に頑張れって言ってる様なそんな気がした。
そして会場についた。
そして舞衣の名前で出るのがそんなに心配なのか入り口まで歩きながらまた質問された。
「どう?今日は?」
…そんなに心配しなくてもいつもと変わらないよ弾いてるの私だし。
『今日も大丈夫だよ。お母さん。私には美衣がついてる。』
「そう?じゃあ期待していいかしらね。」
『うん大丈夫。私なら出来る。』
…いつも通り。
…美衣の手で弾けば大丈夫。
…大丈夫なはず。
そして会場入りした。
緊張はしてなかった。
しかし状況は放送で一変する。
「次、××高校出身 霞 舞衣さんです。お願いします。」
そう言われた瞬間!私の手が私に戻った気がした。
急に緊張感に襲われた。
それでも血を吐くほどの練習をして来た私。
妹が死んでしまう時も舞衣は必ずピアノを続けて私の代わりに天辺取ってね。
そう病院で言われた。
私はそれに応えたからこそ、私は私の弾き方を捨てて美衣の弾き方を覚えてきた。
そして、マイミという名前で2人で天辺に登っていってる気がして安心していた
しかし、私はいきなり、自分の名前を呼ばれた瞬間小学2年生までの1人でずっと好きに弾いてきた私の記憶が流れ込んできた。
その記憶に緊張感が発生した。
あの私では絶対に、勝てないから。
我流の才能の無い見捨てられた私の弾き方では、、。
美衣の優しい弾き方じゃないと
そんな葛藤が観客のみんなにわからない様に席に座り、弾き始めた。
弾き始めたが、その葛藤のせいで始め3音くらい、演奏に激しい感じで出てしまった。
しかし弾いてしまえば後ろからやはり美衣が後ろにいてくれるそんな感じで弾けた。
そして課題曲も終わり選択曲も終わりそうな時、今弾いているピアノが、昔家で弾いていた安いピアノを弾いているような錯覚に陥った。
そして家を出るとき聞こえた私に頑張れって声がこのピアノからもら聞こえた気がした。
マイミ頑張れじゃなく、
美衣頑張れでもなく、
舞衣頑張れと!!
後ろから抱きしめられている美衣を引き離し、
君はは舞衣だ!いつも僕を楽しみながら弾いていた舞衣だ!
そんな感じでピアノにつつまれた様な気がした。
家を出るとき聞こえた私に頑張れのピアノの位置を今の位置と重ね合わせ
この位置からあの時あの描写でピアノがあった方を今座り、弾きながら視線だけ目をやった。
そこには私の演奏を必死に見る女の子がいた。
…私は舞衣!
…今日今だけ舞衣に戻るよ。
…誰でもいい!聞いて!
…これが私舞衣!
…霞 舞衣!
…マイミじゃない!美衣じゃない!
…舞衣だよ!
あの小学生の感覚で楽しく弾いてみた。
どうなってもいいと思った。
私が舞衣と、知って欲しくて弾いた1分はあの安いピアノで弾いてる感覚で弾き終わった。
…楽しかった。
…好きに弾いてた小学生みたいな頃だった。
…かなり下手だったかな?
…それでも楽しかったー。
そう思い弾き終わり立ち上がるとスタンディングオベーションでみんなが拍手していた。
…ありがとうございました。
…1人でもいい、私の舞衣の演奏に拍手を、してくれる人がいれば私は嬉しいな。
そうして、少しの時間の後結果発表で私は優勝したけど、ホールの外に出て来たらお母さんが凄い顔で待っていた。
「なんで、あんな演奏したの?初めて自分の名前でエントリーしたから?」
『ごめんなさい。』
「あなた前から言ってると思うけど私の前での名前忘れてないわよね?」
…わかってるよ。マイミでしょ。
『わかってます。』
「だったらいいわ。優勝出来たからいいけど、次からあんな弾き方絶対しないで!じゃあお母さん車取って来るから。」
『はい。』
やはり帰りお母さんには怒られた。
怒られるとわかってやったとはいえ、私の全ては才能が無いと言われてるようで、普通に悲しい。
舞衣はダメな子で
美衣は当たりの子。
私はトロフィーもたくさん取っても、それはお母さんからしたら美衣が取ったと思っている。
私は自分のトロフィーが私の証が欲しかったのにあれだけ言われ普通に落ち込んでいた。
「こんにちわ。霞 舞衣さん?」
…だれ?また、来る美衣の演奏に感動したって言う人でしょ。
『そうですけど。』
私はまた?って感じで返答した。
「私初めてピアノ聞きにきてあなたのピアノ聞いて感動しました。」
『あっ、ありがとう。』
…やっぱり、、美衣じゃないとだめなのかな?
…誰にも届かない。
…お母さんにもいつもわたしのピアノは届かなかった、、。
「私、初めの弾き方も好きですが、終わる1分前からの弾き方もよかったと思います。気持ち感情が伝わって来ました。」
私はその言葉にビックリした。
『本当??本当に本当?』
「私を見てって音色が言ってましたよね。違いました?」
…届いてる人がいる。
…この子私が舞衣に戻る時に目が合った子だ。
『言ってた、、。それを伝えたくて弾いたの。でもやっぱり怒られちゃった。誰にも私の音は届いてないと思ってた。よかった冒険してみて、コンテストに出てよかった私の名前で。』
…初めて届いて、初めて私の音を褒めてくれる人に会った。
それが私を肯定してくれているようで涙が出た。
「優勝って事は次は全国大会ですよね?またチケット貰って、必ず見に行きます。」
『是非見に来て。あなたに聞いて欲しい私のピアノを。でももう今日みたいには弾けないと思う。やると怒られるし、勝てないと思うから。』
「じゃあ今度舞衣さんが弾きたい様に弾いたピアノを私に聞かせてください。」
『聞いて是非聞いて欲しい。あっ!お母さん来ちゃった。ありがとう今日はあなたに会えてよかった。あなた名前は?』
「竹内 唯 ユッティです。」
『私は、、、。』
…いや違う!私はマイミじゃない!
『いや、今日あなたには舞衣でいいかな?舞衣って呼んで。またどこかで会えたら、お話しよう。』
「ハイ!舞衣さん。また。次の全国大会も頑張ってください。応援行きます!」
お互い手を振りながら別れた。
…舞衣でもいいって言ってくれる人がいるんだ。
…嬉しいな。頑張ろう。
…いつか美衣なんか知らないで、いつかユッティのように私を舞衣で褒めてくれる人に会いたいな。
…今日の感じだと私だけをマイって呼んでくれる男性に知り合えたら、私はその人の為に真っ直ぐに生きる気がする。
…でも今はこの腕があるから!無理。
…美衣の手が、、、。
…だから私はピアノで天辺を取りに行かなきゃ。
…天辺に登ってこの手を天国にいる美衣に返すの。
…それまでは負けない。
…どんな辛くても。
…どんな練習が過酷でも。
…ユッティ私に希望と元気をありがとう。




