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ゴブリン魂  作者: チャー丸
ユッティ's side story
249/534

102話



電車は普段通り最寄り駅に向かう!


その電車内では今までのキッドとの思い出話で盛り上がっていた。


まぁそうだろう。誰もキッドが後1時間後に飛び降りるなんて考える訳が無い。


知っているのは私だけ。


それでも意外と不安は無かった。


時間もゆとりがあったし、光、響、シオンヌの笑顔が私の不安を払拭させてくれていた。


ジャイの病院の最寄り駅にまで後2駅となった。


【電車が発車します。閉まる扉にご注意下さい。】


【プシュー。】


扉が閉まった。


「懐かしいな後2駅か?オレ達その駅みんなで1回来てるんだよ。」


「あー登山だっけ?私も行きたいなと思ってた。」


「あん時さ、シオンヌ山から光に告白したんだぜ!!」


「シオンヌそんな事する女の子なの?」


「私はそんな事は絶対にしない女の子だったな。でもみんなと友達になって変わっていった。今では変わってよかったと思っている。」


「ふーん意外だねシオンヌ。でもかっこいいと思う。」


「ユッティなら頂上に着いてみんなの前で叫べるか?好きな人に愛していると。」


「私はね多分出来るよ!別に頂上行かなくても、人混みがたくさんのスクランブル交差点の端と端でも出来る気がする。」


「すげぇーな。ユッティ!タカの元カノの委員長とはまるっきり真逆だな!」


「えっ、、、ああ、鈴木さんの事?」


「そうだぜ!タカもあの頂上から、叫んだんだ!なんつったかな?ずっと大好きみたいな事言ってたかな?ははは。」


「ははは。」


…普通に超ショック!!


「響中学になっても治らないお前のKYもジャイさんの病院に入院して治して貰うといい。」


「えっ?何が?事実じゃん!何か違ったっけ?」


「はぁ、、、。」


シオンヌがため息ついていた。


私を気遣いしての事なんだと思った。


シオンヌが2人に聞こえないように耳元で話しかけてきた。


「ユッティ気にするな。過去は過去だ。未来にまた会いに行くと確かに木戸は言っていた。それは事実だ。しかし未来なんて何も決まってない。誰にもわからないものだ。努力すればいくらでも変えられる。それが未来だと私は思ってる!私も努力したから、今幸せな中学生活を満喫出来ている!未来なんていくらでも変わる、何万通りのある未来があるんだ。楽しいぞ自分の思い通りに掴んだ未来は。」


「シオンヌ大丈夫。ありがとう。負けるつもりないから。シオンヌは私の味方なの?」


「そういう訳ではないが、恋する人の味方だな。今目の前に恋する人がいれば応援してあげたい。そう思っただけだ。なんか変か?」


「いや。なんか心強いなと思って。」


「ちょっと!2人でなにコソコソ話してるんだよ!」


「響!お前のせいで話している事を少しは自覚した方がいいぞ!」


「光!オレのせいだって、言ってるけど」


「ははは。懐かしいなこの雰囲気昔もよくこんな感じだったなと思い出しちゃったよ。」


「そうだな!響は私と木戸によくKYって言われてたからな。」


「あれなっ!みんな普通に言ってるけど結構傷つくんだぞ!」


「誰がだ?まさか響がか?」


「ははははは。」


「デブは心も覆われて丈夫だと思うなよ!意外とナイーブなんだから!」


「あれー?響はポッチャリじゃなかったの?デブって自分で言っちゃ、、。」


「ユッティ!めんどくさいの!ポッチャリって長いから!なぁ、ユッティってタカに似てね?」


「確かに、女版タカって感じするね。でも、タカの方が弱そうだけど。」


「あー私のナイーブな心も傷つくなぁ。」


「はははははは。」


…この人達なら仲良くなれる!


…すごい居心地いい!


…キッドが友達っていうのよくわかる。


…私もまだ知り合って1日だけど凄い友達になった気がするよ。


みんなでキッドを救える、それは凄い楽しい事で、キッドも喜んでくれて、凄い私の時間逆行は全て順調だとそう思っていた。


いたからこそ、大笑いして笑っていた。


しかしやはり、敵は運命!歴史!完全に油断していたと私はこの後知る。


【この電車は信号機トラブルの為次の駅にて、停車致します。尚運転再開の見込みはまだ立っていません。お急ぎの所ご迷惑をおかけ致します。】


「えっ?今何時?」


「9時50分だよ。」


…どうしよう、、。


…ジャイの病院がある次の駅まで電車で9分くらいだっけ?


…距離でどのくらいだろ?


…また歴史が次はキッドを殺そうとしてるのかな?


…大丈夫かな?


…嫌な予感がする!


電車がゆっくり駅に到着して、扉が開いた。


電車内や、ホームでは遅延の連絡がひっきりなしに流れている!


「みんなちょっと待ってて、ジャイに電話してくる!」


そう言うと、電車を降りてホームの先頭まで来た!


駅の時計が9時52分を指していた。


…キッドのお母さんが来たの何時だっけ?


…10時35くらいだっけ?


…10時45くらいにはキッドは飛んでいたはず!


…後50分くらい?


…とりあえずなりふり構ってらんないや。


…ジャイに電話しよう!


そして、私はちゃんと鎮静剤を投与したか、ジャイに確認をする為に電話をした。


…もししていたなら、ゆっくり電車で行こう!


「ただいま電話に出ることが出来ません。」


「何やってんのよ!ジャイは!」


「ピーッと言う発信音の後で60秒以内でメッセージをどうぞ。ピッー!」


「ジャイ!聞いてる!このメッセージ聞いたら、10時35分までに鎮静剤投与してからキッドのお母さんがキッドに合わないと!その後キッド5階から飛び降りるから!お母さんと遥お姉さんを会わせない方法でも構わない!私はちょっと間に合わないかもしれない!あなたしか頼れない!ジャイ!お願いキッドを救って。私のキッドを。鎮静剤を、確実にお願い!!」


半分涙目になってしまった。


…いけないいけない!


…まだまだ時間はある!


…そうだ走ってでも行こう!


「ねぇ、タカが10時45分に飛び降りるって、、、」


「えっ?」


驚いて振り返った。


…光!


…どうしよう聞かれちゃったかな、、。


「ねぇ!オレだけでいい!ちゃんと話してくれない?未来から来てるよね?ユッティ!!」


「、、、、、、、、、、、。」


「オレもう1人未来から来てるんじゃないかな?って人がいるんだ!」


…もうだめだ!隠しきれない!


「わかった。話すから黙って聞いて、私は今日の11時過ぎから戻って来てる。信じるか信じないかは光次第!10時45分にキッドが死ぬのは本当!だから、その原因を止めに朝6時に戻って来たの!でも今こんな感じ!何か言いたい事があるかもしれないけどこの話を聞いたらもう2度と未来の話はしないで!人にも言っちゃダメ!誰かが未来から来てるかもしれない!って言ってたけど、私はそれは誰かは聞かないけど、それを本人に言っちゃダメ!言うと会えなくなる一生ずっとだよ。だからわかったとしてもだから絶対に言っちゃダメ!そして、首を突っ込まない方がいい!不幸になるから!入院じゃすまなくなる!光あなたが勘がいいのは聞いてる!今言えるのはここまで!」


「わかったでも、2つだけ答えて欲しい!それを聞いたらもう2度とこの話はしないし、墓まで持っていくから。」


「なに?」


「もしそれがオレの知ってるひとだとして、その人は何歳から戻って来てる?」


「それは今光がそう思って見えてる年がその年でいんじゃないかな?それ聞いて距離感じたりするでしょ?生まれ変わったと思ってくれればそれでいんじゃないかな。その方がいままで通りでいれるんじゃないかな?」


「そうか、、。確かに、、、。じゃあ最後、その人は何をする為に未来から来てるの?」


「それはね、私は5/6に死んでいるべき人間なんだよ!これで意味わかる?私みたいな人が後10人くらいいるの!救いに来てるんだよ誰より優しい人だから。」


「そうかわかった。もう何も聞かない。でも辛い思いはしてないのかな?それで。」


「多分してると思う。前より辛い人生を歩んでると思う。でもそれを支える仲間や、友達がその人にはいるから大丈夫だよ。きっと。光もそう思ってる人にだから優しくしてあげて。」


「わかった。これっ!」


光が財布から千円出して来た。


「帰りの電車賃、タカの病院に向かうタクシー代に使って、」


「いいの?私も返す宛のお金無いよ。」


「帰りは歩きでも構わない。こんな事でタカの救いに一役買えるなら。」


「ありがとう光。みんなキッドに聞いていた通り、いい人ばかり。」


「タカがいいやつだから周りにそう奴が集まってくるんだよ。響と詩音さんにも聞いてみよう。いくらか持ってるんじゃないかな?」


「そうだね。なりふり構ってらんないよね。大事なキッドの命がかかってるもんね!お願いしてみよう。」


私と光は電車で待つ、響とシオンヌの元に急いだ。


「ユッティタクシーで先に行くみたいだから2人ともいくらか金持ってないか?」


「ちょっと待ってくれ。」


「オレはほとんど無いぞ多分。」


2人とも財布を出した。合わせて650円!


「すまないユッティチャージしてしまってこれしかない。」


「2人とも借りていいの?」


「オレこそわりぃな!まだ子供料金だと思ってて、ほとんど無くてごめんだけど使って。」


「私が500円だから、全部で2150円かどこまでいけるかな?」


「大分近くまでいけるんじゃないかな?もしかしたら、ギリギリ着くかも。」


「私どうしても行かなきゃいけないの!先に行ってていい?」


「後から行く。先に行ってあげるといいさ。木戸も待ってるんじゃないか?」


「シオンヌ。」


「全員で一緒に行ってやりたいけどラビ4匹をタクシーに全部乗せて4人乗るのはさすがに無理だよな。ラビ1号もオレにまかせろ!電車が動いたら必ず病院に連れて行くから!」


「響。」


「ユッティ任せた!オレらの分まで。」


「光、途中から走らなきゃいけなくなるかもしれないから、カバンお願いしていい?携帯と財布は持って行く。なるべく身軽で行きたいから。」


「わかった大丈夫。まかせて。」


「じゃあ3人とも私行くね!」


「頑張れよー。」「病院遅れても必ず行く。」「詩音さんの言う通り必ずラビ届ける、道中気をつけて。」


私は3人に手を振り、駅の改札に向かった。


…光に話したけど、私は頭痛とか何も無く大丈夫だったなぁ。


…未来から来てる友達って多分キッドの事薄々勘付いていたんだよね。多分。


…キッドのスキルも減ってなきゃいいけど。


…本人に言わなきゃ大丈夫って話だけど大丈夫だといいな。


…10分も時間を使っちゃった。


…急がなきゃ。


改札を出て、タクシーに乗り込んで、


「小泉病院まで、この金額でいけるとこまでお願いします。」


「わかりました。扉閉めますよ。」


そう言うとタクシーは走り出した。


…ジャイ気がついたら電話してよ!


…もう何やってんの?


…私のライバルでしょ?


…大好きなキッドが死んでもいいの?


…ジャイ!!

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