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ゴブリン魂  作者: チャー丸
ユッティ's side story
247/534

100話





7:35


キッドの最寄り駅まで着いた。


…7時35分かぁ?


…間に合いそうかな?


数回しか来た事無いけどだいたいの道は覚えていた!


そして、コンビニで買ったおにぎりを食べながらキッドの家に向かった。


なんの変哲のない道。


普通の田んぼや畑。


普通が普通じゃない私にとって。


ロスタイムの私は全てが新鮮そのもの。


…風が気持ちいいな。


…丁度いい季節だよね。


あの頃はまだ肌寒い季節に、よくジャイのオープンカーに乗り、ここからキッドの家や私の家に送って貰っていた。


ここに来てこの道を歩くと、私を救う為に、笑い、馬鹿話したり、ライブに行ったり、いつもいつも笑って楽しそうにしていたキッドやジャイの顔が思い出される。


…まだ知り合って、2ヶ月も経ってないんだね。


…たった2ヶ月なんだけどな。


…私の為にこんなに一生懸命になってくれる人がいて凄い嬉しかった。


…どれだけ私の人生観を変えたか。


…キッド、、。


…絶対死なせないからね!


…あなたが私を好きにならなくてもそれはそれ。


…でもまだ死んじゃダメだよ!


…みんなが待ってるもん!


…私はみんなの事は知らないけど、私の事を話す時と同じ顔でみんなの事を楽しそうに話すからきっとみんなの事をキッドは大好きなんだろうね。


…だからこそ今日で終わりなんてさせない。


…そんな笑顔で話すキッドの側で私は支えていきたい。


…私はあなたに救われた人間だから。


…キッドの為ならなんでも出来るよ。


…待ってて、奇跡は待ってても何も起きない!全力で走って、ガムシャラに頑張って起きるんだから!


…キッドが飛ぶまで後3時間!


…やれる事をやろう


私は急ぎめでキッドの家に着いた。



8時ちょい前


【ゴンゴンゴンゴン!】


「ごめんくださーい。キッドのお母さんとお姉さんいませんか?唯です。」


連絡が無い!


…どうしよう。


…いない!!


…もう出てるの?すれ違いになった。


…どうしよう!追いかけようか?


…もう1つの場所に行ってからでも間に合うかな?


時計を見た。


今丁度8時になった所だった!


…私なら間に合う!


…9時半前の電車に乗れば!


私はジャイに電話をかけた。


「もしもし、ユッティどうした?診察中だ手短に頼む。」


「ジャイ!あなた、キッドの小学生の頃の友達の電話を知ってる?」


「光、響にシオンヌか?全部知ってるぞ!」


「お願い!電話切ったらすぐにメールして!ショートメールでもいいから!時間が無いの!」


「わかった!切ったらすぐ送る!」


「それと、、、、」


…どうしよう、、、言ったらバレちゃうかな?


…でもキッドが死んだら意味ないもんね!


「それと、今キッドの家に来たのでも、キッドのお母さんと、お姉さんもういなくて、もしかしたら11時より前とかにかなり早くつくかもしれないから、鎮静剤必ず打って!」


「わかった!」


「約束して!必ずやるって!どんな急ぎの人が来ても!必ずやるって!」


「わかった。必ずやる!」


「そうそれはよかった。じゃあメールお願いね。」


「ああ。じゃあこの後送るな。」


そう言うと電話は切れた。


そして、メールが来た。


…ジャイ!電話番号だけじゃん!


…もう誰が誰だかわからないじゃん!


…なんであんな気の利かない人が女にモテるのかな?


…私にはわかんない!


…まぁ悪い人じゃないけどね。


…キッドほど情熱が足りないな。


…まあいいや!電話しよ!


…とりあえず1番上からかけよう!


SMSメールの電話番号のバナーを押して、3人の誰だかにかけた。


「もしもし?誰だ?」


…女の子だ!


「もしかして、あなたシオンヌでしょ?」


「確かにそうだが、あなたは誰だ?聞いた事無い声だが、友達だったか?」


「私は木戸貴光の友達のユッティ!あのね、キッド!あっ!キッドって木戸君の事ね。キッドの事であなた達3人に力を貸して欲しいの!」


「木戸どうかしたのか?」


「実は今、キッド人間不信なの!それでね。あなた達3人に頼みがあるの!」


「話してみてくれ。」


「うん。」


私はキッドの事情を話した。


もちろん異世界や時間逆行の事は伏せて、キッドが今病んでる事をそして、私がこれからやりたい事を、それを一緒にやってくれないかと。協力してくれないかと。お願いした。


「という訳なの。どう?やってくれる?」


「わかった。力になろう!今どこにいる?」


「キッドの家の前!」


「用意してすぐいく。必要な物は響が持ってるかもしれん。光君の方は私がかけておく。響の方は頼んだ。」


「わかった。私もシオンヌって呼んでいいかな?」


「構わない。ユッティでいいのか?私も。」


「いいよー。じゃあ響って人に電話かけながらここで待ってるね。」


「わかったすぐに行く。」


そう言うと電話が切れた。


そして響にも電話した。


驚いていたが、すぐに来ると言ってくれた。


…キッド!みんな協力してくれそうだよ。


キッドが極端に暴れる時、それは夢に出て来たメンバーが目の前に現れた時!


そのメンバーは


ジュン、マイミ、お父さん、私、遥お姉さん、美由紀お母さん、ユイって私と同じ名前の人、カナ、ミズー、魔法使い3人娘、シン、リン、カズキ、ミッキーそして、ジャイだ。


このメンバーを口に出して話していた。


異世界の池でずっと。


私もなぜかそのメンバーに加算されていた。


そのメンバーしか出て来なかったのかと聞きたかったが私は異世界で声をかけられないし、話しても伝わらない。


話を1時間聞いた限り、光、響、シオンヌは居なかった。


だからかけてみた。


異世界では私が支えになれるけど、人間界はこの3人に任せれば、更に良くなるのでは無いかと。


鎮静剤もジャイなら暴れるが、看護婦さんとか知らない人だと、さほど暴れたりが少ない、


暴れない事は無いが手をつけられない事は無い。


しかしその酷い仕打ちのメンバーが現れると豹変する。


と言う事は、このメンバー以外であるものを持って会いにいけば人間界でも大分心は癒されるのではないかと考えた。


ここに来た理由は3つ!


キッドのお母さんと遥お姉さんを家から出る前に説得する!


これはもういないから無理になってしまった。


なので、ジャイに電話で先手を打った。


残り2つ!


それは夢と言うか、キッドが寝ていた時に出てはいなかったが、仲良かった知り合いとの接触!


もう1つは


その光、響、シオンヌがいないと出来ない事だ。


キッドが大好きな物を届けるために。


「始めまして、シオンヌと呼ばれてる詩音だ。よろしく。」


シオンヌが来てくれた。


「あなたがシオンヌなんだ。キッドから色々話は聞いてる。バスケが上手なんでしょ?」


「ああ。木戸とはよく遊んだ。今こっちに手を振って向かって来てるあの響と、私の彼氏光君と一緒によくバスケしたんだ。」


【キキーーザザー。】


「オレは2番手か?」


「すっごい荷物だね?」


「君がユッティか?大変だったぞ4つも!」


「ありがとう。これどうしようかと思っていたんだぁ。」


「許可は得てあるのか?」


「あれっ?シオンヌが、光に頼むって、言ってたよね」


「なんか、あれだな、木戸が、光を呼び捨てにするのは、普通だがユッティが光を呼び捨てにするとなんかモヤモヤするな。一応光君には頼んである。」


「あっそうなの?みんな君とかつけた方がいいかな?」


「いや呼びやすいので構わない。ただの私のヤキモチだと思ってくれ。」


「大丈夫。私好きな人いるから!性格もサバサバしてるし、男っぽいほうだと思う!ジャイすらタメ口だからね!」


「そうかジャイに聞いたのか?どうりでオレの番号知ってた訳だ!」


話していたらもう1人近づいて来た!


【キキーー!!】


「ごめーん。待った?オレが1番遠いからさ。君がユッティかい?話は詩音さんから聞いた。先生に許可も貰った。」


「本当?凄い助かる!みんな揃った所で、私竹内 唯 ユッティって呼ばれてる、みんなと同じ中学1年生!私もキッドの友達なの。今日だけじゃなくてこれからよろしくね。」


「光だよ。一応詩音さんの彼氏になる。タカがオレと詩音さんをくっつけてくれたんだ。タカが困ってるなら駆けつけるさ。光でいいからユッティ。」


光と握手した。


「紹介したがシオンヌだ。よろしくユッティ。このメンバーに女性は大歓迎だ。」


シオンヌと握手した。


「オレは響!チョイ体でかいけどプチぽっちゃり系でデブじゃないから!これでもタカや光、シオンヌとバスケしてもそこそこいい線いけるから!まあそんな感じ!みんなタカ大好きだからな!そんななってるなら行かない訳無いぜ!」


最後に響と握手した。


「みんなやっぱりキッドの友達なんだね。聞いていた通りいい人ばっかり!みんな力を借りていいかな?」


みんなが頷いている!


「すぐ行きたいけど私だけ自転車無いよ。」


「ユッティそこでちょっと待ってな!」


そう言うと物置みたいな倉庫みたいな所に響が、許可なく入っていって、自転車持って出て来た!


「はい!これタカのカマキリハンドルスペシャル!」


「勝手に借りて大丈夫かな?」


「タカ助けにいくんだろ?ユッティ!大丈夫に決まってんじゃん!」


みんな頷いてくれてる!


「そう?じゃあ借りちゃおうかな?響持って来たの1人じゃ辛いでしょ?私のカゴに1つ入れていいよ!」


「私のにも入れていいぞ!」


「そうか?じゃあ1人1つで丁度いいな?光も1つ頼むっ。」


「はいはい。いいよ。」


「よしっ!皆さん用意はいいかな?8時18分かぁ?いける!!私と一緒にキッド助けに行きましょう!じゃあ学校に向けて出発!」


「オー!!!」


そして学校に向けてみんなで走り出した。


「ユッティ!学校は左だぞ。」


「あっ!ごめーんノリで場所知らなかった」


「ははははは。」


みんなの笑い声がキッドの街にこだまする。


…みんないい人だよ。キッド!


…ちょっとしたら行くからね。


…待っててね。


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