表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン魂  作者: チャー丸
ユッティ's side story
240/534

94話



〜〜〜〜ユッティ's side story〜〜〜〜




2013年 5月6日 月曜日




私は万全の用意をみんなとして、お父さんの車に乗り込んだ。


そしてあの交差点の側に来た。


怖くて、怖くて外を見る暇も無かった。


最後に外を見たのは信号待ちで右折レーンに入った時が最後だったかな?


その時には頭を下げ、ヘルメットを、被り、右手を衝撃吸収スーツの紐にかけ、


左手で、キッド腕時計の秒をまだ?まだ?と見ていた。


10時34分15秒


恐怖で、恐怖で、恐怖しかなかった。


10時34分25秒!


後4秒が待てず、衝撃吸収スーツの紐を引いた。


多分後ろで変な音がするとお父さんがミラーで見た気がした。


でも怖くて、これ以上時間を遅らせる事が出来なく、引いてしまった。


そしてすぐ、前かがみになりお父さんが座る椅子の下方を掴んだ瞬間!


凄い音と、衝撃で、意識を失った。


目が覚めたら救急車の中にいた。


…私死ななかったんだ。


…生きてる。


…生きてるよ。キッド!


全身が痛くて起き上がれなかった。


横を見るといろんなとこが切れたみたいで血だらけのお父さんがいた。


…お父さん!


私は絶対死なないでと言う思いで、寝たまま手を握って必死で祈った。


…私は生き残ったよ。


…後はお父さんだけだよ。


そう思い必死で手を握っていた。


しかしジャイが慌てていた。なんで慌てているかわからなかった。


その時初めて聞いた。


私の乗ってた車に右側面から、トラックがぶつかって来たしまった事を。


そして、言われた。


もうこれは前の知ってる5日後に必ず目を覚ますセシルさんの状況じゃないって。


いつ心臓が止まってもおかしくないんだって。


まさかそんな私が助かったから、お父さんが死んじゃうのかと思った。


祈っても、祈っても、


心電図は危険を知らせる音をやめなかった。


そして、危険からよくドラマで聞いた事がある音に変わった。


今一番聞きたくない音に。


ジャイがまだ心室細動だ!なんとかなる!と車内のAEDを使い!服を剥がし電気ショックで、また、心電図の音が戻った。


私はその心電図の音に涙を流した。


今は手しか握れないけど、


その心電図の音が、


お父さんはまだ生きている!


まだ死なないって言っているようで、嬉しくて涙が溢れた。


人の死に立ち会うのが初めての私は、こんなにも、身近の人の死が恐ろしいと思うのを間近で思い知った。


そして救急車は、病院に着き、ジャイ、待ち構えていた病院側の人、関さんが、お父さんをストレッチャーに乗せたままの状態で説明しながら運ばれて行った。


そして、救急車のハッチが開いた状態で私と助手席に座るキッドの2人きりになった。


私は寝たまま、助手席に目をやった。


頭が下に垂れて寝てるようだった。


…キッドよくやったもんね。


…疲れちゃったかな。


…後はジャイがなんとかしてくれるから、、、。


…後で、お父さんが落ち着いたらありがとうって言おう、、、。


…もし、、お父さんが死んじゃってもキッドは何も、、、何も、、、悪くないって言わなきゃ、、


…そんな報告しなくて済むように、お父さん!ジャイ!頑張って。


「起きれますか?」


「首が痛くて、、、。足と脇も痛いです。」


「さっき運ばれた方の家族の方ですか?」


…言ったらお父さんに私が生きてる情報が漏れる可能性があるなぁ!


「違います!私神取先生の親戚です、!」


「わかりました。じゃあこちらに寝かせたまま行きます。じゃあストレッチャーに移しますからね。そっち足と、もう1人腰で自分が頭を持ちます。せーの!」


そうして、私は持ち上げられストレッチャーに乗せられた。


「キッド!後でね。」


助手席のキッドからの返事は無かった。


そして私も運ばれ、コルセットを巻かれたりして、治療を受けた。


お父さんの手術が終わったのは、夕方になるまえ、手術開始から6時間後の話だった。


ジャイが私の病室にやって来た。


「ユッティやったな!お父さん山は越えた。時期に目を覚ますはずだ。神取ユキってどんな偽名だよ!」


「しょうがないじゃん!私が生きてる情報がお父さんの耳に入ったら今までの作戦が泡になるでしょ?お父さんよかった。ジャイよかったよ。キッドにお礼しに行かなきゃ。」


「その話なんだがな、、、。ユッティ歩けるか今!」


「多分大丈夫だけど、、、。」


「無理そうなら車椅子持ってくるけど。」


「大丈夫!それより何っ?キッドがどうかしたの?」


「話すより見てもらった方が早いな。ついて来てくれ。」


そういうとジャイが歩き出した。


向かった先は救急車の中だった。


ハッチが開いているのがわかる。


「もう1人運ばなきゃならなくなるなんてな。セシルさんとユッティで気がつかなかった。」


後ろに周り救急車を覗き込むと、


キッドが、さっきのお父さんの状態で寝ていた。


「なんで?なんで?」


「それはオレもわからん!バイタルは異常無い!寝てる感じに見えるが何をしても起きない!だから心電図はつけてる感じだ!」


「ジャイ手を貸して!1人じゃ上がれない。」


「あいよ。」


「痛いっ。あっ!大丈夫!キッド、、、。生きて会いに来たよ。あなたがずっと生きて欲しいと願った私がここに、、、ここにいるのに、、、なんでキッドが、、、逆に寝てるのよ、、、、。お礼言いに来たのに、、、、ゴメンねなんて言いに来た訳じゃ、、、無いのに、、、どうしたのキッド。ジャイ!私のキッドが!動かないよ!」


「今からオレの病院に運ぶ!動けるようになったら、見舞いに来い!多分あの本関連だ!頭痛いってずっと言ってたからな!とりあえず病院についたら、CTとかで、脳に異常がないかみてまた連絡するから、ユッティは病室でゆっくりしとくといい。」


「大丈夫!私も行くよ!」


「いや、ユッティはお母さんについていてあげろよ。不安だろきっと色々と。」


…お母さん、、、。


…お父さん、、、。


「ジャイでも私は病院には残れないよ!お母さんの側に居てあげたいけど見てるかも知れない!私が生きてる事がお父さんの耳に入るかも知れない!だから、この病院には自分の病室には帰れない!家まで送って。」


「わかった。セシルさんの事すみれさんからなんかあったら即連絡しろよ!とりあえずキッドの方は任せろ!マブダチだからな。絶対死なせたりしない。ユッティはオレの親戚って言ってあるんだよな?じゃあうちの病院に転院でいいな!そういう事にしよう!そのかわり、お父さんが、亡くなっても、死に目には会えないぞ!」


「大丈夫!その覚悟は出来てる。お願いジャイ!あんたしかいない!家に寄って、新しい学校の荷物と用意と、最低限の荷物を持ってきて、私はここからは神取ユキ!学校では名前は偽れないけど、それ以外は神取ユキのユッティになる!」


「おうわかった。じゃあ関君行こうか?」


「いやー忙しい1日っすねー!飯食う暇もないっすねー!」


「関さん今日はありがとう。」


運転席から関さんが後ろを振り返る


「ユッティさんだっけ?大丈夫っすよー。やり遂げた感はハンパ無いから!後は彼が元気になれば言うこと無しだよねー!同じ手紙仲間として!」


「きっと元気になる!元気になって貰わないと困るもん!」


「大丈夫でしょ!必ず元気になるよ!このまま動かないと、ユッティさんだけじゃなくて、誠先生も泣くからねー。多分。」


「知ってる!ジャイは私の1番のライバルにして友達だからね!」


「ユッティ!男なのにライバルってどうなん?男のオレがライバルになるのかよ?」


ジャイが手を取り、私を椅子に座らせ、ハッチを閉め、横のスライドドアに回って、乗り込みドアを、閉めた!


「いんじゃない?私より一緒にいる時間長いし!1つ屋根の下一緒に暮らしてたんでしょ。」


「そうなんすか?誠先生!」


「ユッティ言い方が怪しすぎるだろ?ただ泊めてもらってただけだ!でもオレはあいつに救われて1歩前に進めたのは間違いないんだ!」


「私だってそうだよ!今この日この時間に息をしてるんだよ!出来ることがあればなんでもするよ!返しきれないと思うけど一生かかっても構わないと思ってる!」


「その意気だ!」


「ユッティさん。今度彼が元気になったら、誠先生の病院に診察の邪魔しにいこう!」


「関さんありがとう!その時は連絡よろしくね。」


「了解っすー!」


「じゃあそろそろ行くな!関君出してくれ!ユッティの家まで!」


「了解っすー!」


私は寝たままのキッドに話しかけた


「行きたかったね今日DL99のライブ!また必ずバカ騒ぎしにいこうねキッド!待ってるから!元気になるの待ってるから。」


そう言うと夕日の中へ救急車がゆっくりと、走り出す。


「お父さん!お母さんこれからはちょっとの間2人だよ!辛い時期だし、お父さんはその後大分して、離婚して1人だけど頑張って、必ず迎えに行くから。」


そう走り去る病院のお父さんとお母さんに向けて呟いた。




前の世界では乗るはずの無かった帰っていく救急車。


歴史は変わった。


変わった事によりキッドもお父さんも、まだ寝たままになっちゃった。


それでも、不思議と前向きになれていた。


前と同じ歴史を繰り返そうとするならば、お父さんは目を覚ます。


そう思っていた!


…お父さん!


…キッドがスキルで倒れてるなら、


…原因はきっとお父さん!


…だから絶対目を覚まして!


…目を覚まし、私が死んだと思って!落ち込んでくれないと、


…キッドが帰って来ないよ。


…死んでも、寝たままでもダメなんだよ!


…寝たままじゃトラウマなんて出来ないから、キッドが倒れたんだよきっと。


…今お父さんがトラウマを知らない世界を進んでる!


…起きて、現実を理解して、悲しみを背負ってくれないと、キッドが!


…私のキッドが、きっと起きてくれない!


…だからお父さん!私の為!


…未来の華やかな家族の食卓の為!


…お父さんを大好きなお母さんの為!


…目を覚まして!!


…離れたとこから私は2人の事を見守っているからね。



こうして、救急車は私の家によりジャイに荷物係を任せ、


色々と持ち、


事故した最寄りの大学病院を離れ、


小泉先生の病院に転院する事になり、1週間入院し、検査でなにもなければ、その後新しい学校の寮に向かう予定になったのだった。



こうして、私が死ぬはずだった、5/6は過ぎていった。


私はこの時キッドただ寝てるだけと思っていた。


なにもなく、普通に夜寝るように、ただ起きないだけの長い昼寝。


そうではない事を知り、どうしたらいいか、悩み苦しむのはまだ先のお話





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ