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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
227/534

85話






2013年 3月23 土曜日


AM7:30


『はあはあ。母ちゃんただいま。ジャイ朝のマラソン2月に比べたら大分マシになったな。気温が。』


「気温もマシになったが、大分ペースが前よりマシになった気がする。」


『地道な努力の積み重ねの結果だな。』


「おかえり。貴光、誠さん。」


「ただいま美由紀さん。」


「ご飯出来てるわよ。と言っても、昨日2人が食べなかった唐揚げだけどね。」


『朝から唐揚げ?アメリカンな家庭だなうちは。』


「捨てるの勿体無いでしょ。私の唐揚げは美味しいんだから。」


『母ちゃん自分で言うなよ。』


「でもこの後2人とも、どこだか出かけるんでしょ?だったら、食べといた方がいいでしょ沢山!」


「美由紀さん。キッド今日デートらしいですよ。」


…なんて爆弾発言をいきなりしやがるジャイ!


「あらっ!鈴木さんと結婚するって言って別れたらもう違う子とデートするの?」


『ジャイ!母ちゃんの前でなんて事言うんだよ。』


「別にいいだろ?減るもんじゃないし。ねー美由紀さん。」


「まあ貴光の事だから、色々経験しなさいな。」


『母ちゃん今日!ジャイも看護婦とデートするらしいよ!』


【パリン!】


「へっ、へーそうなの?貴光!その看護婦さん、さぞ若いのかしら?」


「おぃ!キッド!まずいって!」


「知ってるかジャイ!倍返しだってドラマ。もうじきやるやつ!流行るんだぜ。」


「今日は、さぞシシャモとメザシが安く売ってそうね。誠さん!」


「美由紀さん。勘弁してくださいよー。」


『母ちゃんジャイ今日その看護婦とデートの後、小林先生って女医さんとホテルでディナーだから、そんなシシャモなんか食いに帰って来るわけねーじゃん!』


【パリン!!!】


「ちょっと!キッド!なんの恨みがある?今美由紀さん完全にコップ落としたっていうより、横に投げたよ!キッドー。コップが壁に刺さったじゃんかー!ヤバイってマジで!」


『倍返しだ!』


「何猪木みたいなモノマネしてんだよ?ってか誰だし!誰の真似だよ?」


『半沢直樹知らねーの?ってか知らねーか。』


「神取さん。マラソン終わったの?もうすぐ31日のデートだね?どこ行こうか?」


【パリン!!!】


さっきとは反対方向にコップが飛ぶ!


「今はダメだって、遥さん。今そのネタはまじで命取りだから!」


「どうしたのタカ?」


「今日、ジャイがオレがデートするのバラしたから、倍返しでジャイも2人の女性とデートするのバラしたらこんな空気!チャンチャン!」


後ろ向きで茶碗を洗う母ちゃんから殺気すら感じる!


「美由紀さん背中こんな出かかったか?」


『ヤバイな!まるで後ろ姿は範馬勇次郎だな。背中に鬼の顔が見えそうだ』


「なんとかしろよ!油に火いれたのキッドだろ?範馬勇次郎なら、おまえは息子の範馬刃牙だろ?」


『無理だ今の母ちゃんなら素手で象も殺しかねない!刃牙は今修行中の身だから範馬勇次郎には勝てねー。』


「確かに、、、。って女の人刃牙ネタはまずいだろ?」


「私ばかりパート、私ばかりパート、私ばかりパート。」


『ヤバイ母ちゃんから、怨念の叫びが、聞こえる!』


「あーわかったよ。2人とも見たくなかったら目を瞑ってろよ!」


そういうと、立ち上がり母ちゃんの側に行き、念仏のように唱える母ちゃんの頭をジャイが優しく抱いた。


「美由紀さん。ただの接待ですから。新しい病院で、働く為のただの接待です。今度2人っきりでデートしましょ。オレが帰ってくるのは美しいあなたのとこだけですよ美由紀さん。今日だって唐揚げ食べに必ず帰って来ますよ。」


「そんな、美しいなんて、やだー!」


【パチン!】


『これぞまさに範馬勇次郎の張り手!1本勝ち』


「アホな事言ってるな医者を呼べ!」


『おまえが医者じゃねーか?はははは。』


「美由紀さん笑いながら食器洗ってるな!後ろ姿が草原をスキップするハイジのようだ!峠は越えたな!」


『馬鹿なオレでも使い方が違うってわかるけど、面白いから許す!よくやった!』


親指を立てた。


「真面目に少し痛いけどな。あーあーコップどうすんだよ!」


『大丈夫正気に戻った時、多分オレのせいになる!最近そんなくだりが多いから!』


「いやそんなんでいいのか?」


『いやーでも、母ちゃんと、ハルねぇと、緑さんと、小林先生の4角関係超おもしれーまじで!はたから見てると最高だな!』


「私は、別に誰と神取さんが付き合ってもなんとも思わないよ。遊んでくれる時にデートしてくれれば!」


『ハルねぇ!それな、愛人タイプだわ!で、母ちゃんな、あれ、こう思ったら一直線の貞子タイプな!浮気したら、包丁持って来そうだろ?』


「やめろよ怖い事言うなよ!井戸の夢見るだろ?」


『井戸からコップ持って出て来て、豪速球160キロでコップ投げそうだよな!でも大丈夫だよ嬉しい時なら、草原でスキップしながら、ヤギ連れてくる夢見れるから!』


「いやー!それもどうなの?」


「朝から本当賑やかだね、あなた達2人!私もそんな友達が欲しいかな?」


そういうとハルねぇが自分の部屋に足を引きずって帰って行った。


『ジャイ杖無しでハルねぇどのくらい歩けそうだ?』


「多分遠くは無理だな!奇跡起こせなくてごめんなキッド。」


『そんな事ねーよ!杖無しで歩けるとこまで持って行ってくれたじゃねーか?杖もハルねぇ辛い時は2本使ってたけど、酷くても1本になっただけでも充分だよ!ジャイそろそろいこうぜ、お互いのデートに!』


「悪いな同じ場所なのに、車で送れなくて。」


『いやいや、デートの後部座席に小6のガキ乗ってたら、引くだろ?普通!駅までで充分だ!でもな、ジャイ!ジャイさ、ユッティがオレに気があるっていってたけどな、緑さん、小林先生も、あのグラン号に乗せるんだろ?絶対惚れられるから、ジャイこそ大変だな。』


「惚れる、、?」


『ヤバイ!ハイジの母ちゃんがまた変身する前に出るぞ!次あたりはスト2の豪鬼あたりだな!』


「それはヤバイな瞬獄殺で即死だ!」


『よし!カバンもあるし、ジャイダブルデートに出発だぜー!』


「キッド無理してデートなんて、思ってない癖に、、。行きたくない癖に無理しやがって、痛々しいな。かわいそうだな。」


靴を履いてるオレの後ろでジャイがなんか言ってるような気がした。


そして、オレはグラン号で駅まで送って貰った!


『ジャイ!同じショッピングモールだけど見かけてもお互いシカトな!』


「ああ。わかってる。」


『修羅場にならないように祈ってる。』


「楽しそうに言うなよ。とりあえず泊まることは無いと思う。泊まったら、あの敷居またげなくなりそうだもんな。」


『1つ言っておく!母ちゃんを喜ばしてしまった今日の夜飯相当な量の唐揚げが待ってると、思われる!食い過ぎの致死量の量の唐揚げだ!それを考えてディナーを食ってこいよ。ジャイ!』


「まじかー。トランプタワー唐揚げ版か?わかった。まあキッドあまり考えず楽しんで来いよ。相手を楽しませる事が自分の心の深い傷を癒す事だってある!人によって救われるってキッドも、よく言ってたろ?」


『わかった。頭の片隅にいれておくよ!ジャイじゃあまた夜な。』


「おう!」


そういうと颯爽といい音をさせて、

ジャイが行ってしまった。


『さて、行きますかな!オレも!』


そういうと、駅の階段を登り始めた!


未来から持って来た金を結構持って来た。


そして、今日のオレはデートする!


絶対に惚れて欲しくない相手と、デートする!


だからと言って、嫌われたくもない!


微妙な、線引きが難しすぎる

そんなデートだ!


だって自分だけ、幸せになんてなれる訳無い!


あれだけの絶望を鈴木さんに与えて自分だけハイ忘れました。次の女の子にすぐ乗り換えなんて、無理だ!


どんなクソ野郎だ!そんなやつ!


オレの努力は本物だった。


愛があったから頑張れた!


だから、デートなんて行きたくない!

向こうがデートって思ってないなら行ってもかまわないのだが、


でも、これは、オレの望んだ未来への通過点!


誓ったから!緑神様が、見せてくれたあの未来の映像をみた時に固く!


オレが望んだ未来に進むためなら、やれる事はやらないと!全力で!


複雑な思いが心を締め付ける中、電車はユッティとの待ち合わせ場所に向けて発車したのだった。






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