84話
ファミレスに着いた。
「あまり、遅くなると怒られるから、手短にお願い。あー店員さんこの、パフェと、ピザ!じゃあ聞こうかな?なんで私を知ってたか?」
ジャイがいきなり切り札を出す。
「このスマホに見覚えは?」
「無い。無いけどお父さんの会社のスマホじゃないこれ?」
「あぁ!未来のお父さんから、頼まれてオレがユッティを救いに来た。」
「ははははは。ジャイ頭大丈夫?」
リュックの中では、なんの変化もない!
オレは大丈夫だと、目で合図を送った。
ジャイが未来から来た事にしても、スキルの、数は減らなかった。
「本当なんだ。2016年11月から来てる。その頃に売り出されている未来の携帯だ。本当はユッティ宛の手紙もあったが過去に来た時点で、消えた。」
「そんなのどうやって来るのよ?タイムマシーンでもあるの?机の引き出しの中に。」
「どうやって来たかは言えない。」
「ほらー。ジャイ私が小学生だと思って馬鹿にしてるだけでしょ?変なバンドが、好きな変わった小学生だからって。」
「それを話すとオレは死ぬからな!そういう決まりだ。」
「またまたー。ちょっともう冗談なら帰るから、送ってよ。」
ユッティがまだ注文した物も何も来てないのに、立ち上がり帰ろうとしていた。
「帰りたければ帰って、5月6日に死ねばいい!そして、亮平さんと、すみれさんはそれが原因で、離婚し、亮平さんの廃人になる姿が見たければ帰れよ!こっちは真面目に話しているんだ!後から聞いときゃよかったなんて言うなよ。」
…ジャイ怒るとこえー。
「ご注文の、ピザとパフェです。ごゆっくりどうぞ。」
「じゃあ食べ終わるまで聞くから、話して。」
ジャイが話し出す。話し終わるまで1時間も、かかる話と作戦を話した。
お父さんは携帯の開発に失敗し、
より一層家族に溝が深まり、
5/6駅に向かう途中にユッティが事故で死に、セシルさんだけが助かったが、そのショックで働けなくなり、すみれさんとは離婚し、亮平さんは廃人になる!
これだけを話したらやはり、案の定の質問が来た!
私がその車に乗らなきゃいいでしょ?それで解決じゃない?
普通ならそれで解決なんだ!
だが、異世界があるからそうはいかないのが現実!
でも過去に来てる話だけでもいかがわしいのに、更に異世界の話までしたら流石に頭がいってる人に思われるって、昨日と一昨日の作戦会議でジャイがいい!2日間その対策の作戦を練った。
そう言われた時対策の答えを。
お父さんには話せないという偽りの事実を。
既に1回2人を助けたという偽りの事実を。
その結果、ユッティは助かり、セシルさんが死んだ事にして話を進めた。
これも、2人を救いながら、セシルさんを異世界に呼ぶのに、しょうがない事だった。
という事で、この作戦しか無いとユッティに話したのだ。
「それっ?本当なの?」
「ああ!」
「それっ私がやるの?で、大丈夫なの私は?」
「すまんそれもなんとも100%大丈夫なんて、言えない。」
「両方助けようとしたら、お父さんだけが死んだの?」
「あぁ!」
「だからもう1回過去に来て私にこうしろって、、?」
「あぁ!」
「なんでそんな簡単に言うの?」
「それしか方法がないからだよ。」
「そんなのハイわかりましたなんて言えないよ。」
「今はそれでも構わない。ただ時間はあるから信じてくれればいい。」
「そんな非現実的なの普通なら信じられないけど、それだけ私の家族を知ってて、色々言われると、半分くらいは信じるしかないよ。でもなんで、そんな長いの?私がそれをやらなきゃいけないのかな?」
「受けてくれれば、いつでも変われるように手配してあるから。」
「変われるなんて簡単に、やっぱり今日は帰る!キッド明日暇?あなたも、これを伝える事が目的で、ライブの感動も演技だった訳じゃないよね?」
『んな訳ねーじゃん!最高だったマジで鳥肌たった!見てなかったのか?あんなの演技じゃ、出来ねーし!この先も一緒に行きたいとおもうからこそ、ユッティには死んでほしくないし、お父さんが死んでユッティに悲しい思いはしてほしく無い!本気なんだオレも。ジャイの話を聞いて。』
「わかった。じゃあ××のショッピングモール行こう一緒に2人っきりで、DL99のアルバム買いながら少しゆっくり話ししようよ。それでどう?」
『オレは構わないけど。遠いな。!何時間かかるかな?』
「来なきゃ、やらないよ私!」
『行くよ行く行く!』
「じゃあ明日とりあえずお互いをよく知ろう!という名前の半分デートだよキッド!」
『別にいいよ!』
「なんか嫌そう。私帰る。」
『行きたい行きたい!めっちゃ楽しみ』
「そうわかった。じゃあ明日だね。後この話は誰にもしちゃいけないんだっけ?」
『うん。そうらしい。』
「わかったそれは守る。やるかやらないかはキッド次第かな?」
『オレ次第なのかよ?』
「ねぇ、ジャイ、家の側まで送ってくれる?キッド後ろ一緒に乗ろうよ。気持ち良さそうだよ。」
『さみーぞ。多分。』
「まだ先の事は先になってから考えるよ。今はそんな自分が死んじゃう事より、今はDL99友達が出来た事が嬉しいから。だから今を楽しもう。ジャイ後ろキッドと乗ってもいいよね。」
「ああ全然いいぞ。」
「やったね。キッド行こう。」
ユッティが先にレストランを出て駐車場に向かった。
『これは上手くいったのかわかんないな。』
「そんな事ない。まあまあ初めにしちゃあ上々だろ?逆にキッドおまえがバイク乗ってて、オレが同じバイク乗って近寄って仲良くなって、いきなりファミレスで未来からおまえを救いに来たって言って信じるか?異世界もなんも知らないキッドだったら。」
『信じねーかな?』
「普通なら、そうかもしれない!ただその非現実を受け止めてもいいくらい、ユッティにとっては同じライブで楽しむ同い年のキッドの存在が今はデカイんだよ。ユッティも言ってたが、今回の作戦は本当キッド次第かもな。」
「お会計 4120円になります。」
「はいこれカードで。」
『そんなもんか?』
「そんなもんだ!女が本気で動く時ってどんな時か知ってるか?」
「暗証番号をお願いします。」
「あっ!はいはい。それはな。愛だ愛!」
「こちらレシートになります。ありがとうございました。」
会計を、済まし車に向かう。
『うーん。オレは今は鈴木さん以外は考えてないけど。』
「まあそんな堅苦しく考えず明日は明日で楽しんで来いよ!オレは久しぶりに家でゆっくりするからさ。」
『ジャイ明日!緑さんと、小林先生とデートだろ?』
「えっ?」
『えっ?ってえっ?』
「えっーー!?そうだっけ?ヤバどうしよう!」
『ジャイ男たるものいつも本気なんだろ?なんとかなるって。』
ジャイの肩を叩きながら駐車場に来たらもうすでにオープンの状態で後部座席にユッティが座ってる。
『ユッティ飛び乗ったのかよ?』
「2人とも遅い!キッドこれメイク落とし使う?」
『使う使う!』
1枚で落ちるわけが無い!
何枚も使いやっとある程度普通の顔になった
『取れたけど、髪だけ金髪だけど。』
「ありあり!ヤンキーキッドなかなかかっこいいよ!」
『そうか、、?じゃあいっか!』
「運転手さん無限の彼方へ」
『さあ行くぞー。』
「なんだよ2人とも息ぴったり芸人みたいだな。はいはい行きましょ。出発!」
そして、ユッティの家の側まで来た。
「ジャイ、キッド楽しかったよ。最高の1日だった。提案、真面目に考えとくね。ジャイ提案聞いたら真面目に教えてくれるの?」
「ああ、約束する!」
「提案飲んだら2年11ヶ月1人かぁ?でもキッドもジャイもそばにいるから、いいのかな?」
『無理して今決めなくていいよ。』
「そうだぞ。まだ1ヶ月はある。それまでよく考えて、決めればいい。とは言え、もう話してしまったから、オレが死ぬか、お父さんの亮平さんが死ぬか、3人助かるかの選択肢しかないけどな。もうユッティが死ぬ選択肢は消してしまったからな。」
「そんなの言われたらやるしかないじゃん!でも怖いだけだから。」
『必ず助ける!』
「その言葉を信じれる人間かもう少しデートしてきめるよ。キッド。今はかなり、私のお気に入りだからね。」
『おう。そうか。』
「なんだよ。照れてんのか?意外にも、ウブだなキッド!」
『ほっとけ。ユッティ携帯番交換しよーぜ。』
「いいよ。ってか忘れてたね。これ私の!明日10時××駅××改札口でどう?」
『いいよ!』
「明日はお互い黒髪だね。」
『そうだな。とりあえず遊ぼうぜたくさん!オレらまだ学生なんだから!』
「じゃあ、キッドまた明日ね。」
『おうまた明日。ジャイ助手席行くわ!ちょっと待って!よいっしょ。!今日はユッティのおかげで楽しいライブだった。ありがとう。じゃあなユッティ』
「私もキッドが一緒で楽しかったじゃあね。」
そう言うとジャイが車を走らせた。
「キッド、あの子多分おまえの事好きになるぞ多分。」
『いや、まさかそんな。』
「オレは誰が誰に気があるとか、そう言うのわかるんだよ。ってか、もうかなり、惚れてる部類に入ってると思う。キッド辛いなおまえ。また辛い役割になるかもな。」
『もしそうなったら、オレはどうしたらいい?あんな酷い事を言った鈴木さんを忘れて、ユッティと付き合うなんて、出来ねーよ。』
「でもなこのくらいの年頃の女の子なんてな、1度恋すると会えば会うほど好きになっていく一方通行だからな。でも嫌われたら協力どころじゃないし。」
『もう、嫌なんだよ!これ以上オレのせいで女の子が泣くのはそれだけは嫌なんだよ!』
「オレが決める訳にいかないけど、キッドよく、考えろ。おいおい泣くなよ。」
『そんなつもりで、接触した訳じゃないんだけどな、また究極の選択肢が出てくるのかな?友達のまま、上手く傷つけず作戦が遂行出来ればいいな。オレが自分の未来の為に利用だけして振るみたいな、感じでユッティが泣くのはもう、それだけは、絶対嫌だから。』
「とりあえず、帰るから、なっ、泣くんじゃねーよ。あの元気なキッドはどうした。自分の為じゃないだろ?セシルさんの為に頑張ってるんじゃないか?」
『帰ろう。なあ、、、、ジャイ。オレはよくやったか?今日?』
「ああ。最高だったよ。」
『そうか、それはよかった。よかったよ。ジャイ。』
オープンが少し流れた涙を風で流してくれた。
自分のせいで女の子が、傷つくことが恐怖でしょうがない。
それは、優子の時より一層トラウマが増していた。
そうそれは、鈴木さんに酷い事をしたせいで、更にトラウマは悪化していた。
ユッティが、泣く所を想像しただけで、少し過呼吸になり、自然と涙が流れる自分にビックリした。
こうして、初めてのユッティとの接触、ファーストコンタクトは終わった。