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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
225/534

83話


初めてのライブは、それは音、雰囲気、周りのみんな全てが、熱狂の渦だった。


その音に乗り、


光に酔いしれ、


バンド全員が届いているかって思いを熱で感じ、


届いている事を全身で飛んだり、腕を上げ全力で返す!


それが、こんなに楽しいとは、思わなかった。


こんなにたくさんの人が1つになるなんて、思わなかった。


でもここまで大規模じゃないが、似た雰囲気を感じた事が昔あった。


それはみんながグロックを倒すという、信念と決意でジュンが魔族村で、みんなを揃え、みんなと手を上に突き上げた時!


あの時オレらは1つの目的にみんなが1つになった。


なんでも出来ると思った!


あの感覚によく似たような物があった。


魂を揺さぶらされ、芯の底から、震える感じ!


その感覚に酔いしれるこの陶酔感覚!


気がつくと、ユッティの隣で、オレも、腕を突き上げ、叫んでいる自分がいた。


『最高だ!めっちゃおもしれー!イェーイ!』


「だから、中毒になるっていったじゃん!イェーイ!今Q様私見たよキッド!近いよ!最高だー!イェーイ!」


こんな熱狂的な感じで、時間はアッと言う間に過ぎていった。


1時間が過ぎ、1時間半が、過ぎても煙幕はまだ出ない!


そしてMCで、Qが話している!


「キッド。レベル4のmost friendsの歌今日やらなかった。あの歌私好きなのに!」


『このバンドさ、曲にレベルがあんのな?超変わってる!』


「そうだよ!必ず低いレベルの歌から、歌っていくんだよ、で最後レベル99の歌で終わるの!その時その時の場所や雰囲気に合わせて歌のレベルが変わるんだよ!数字には意味がある場合もあるみたい!」


Qが大分声がガラガラの状態で、話している


「後2曲!いつもなら、ひたすらレベルを上げて歌うオレらだけど!ここで今日ライブするのに、どうしても協力がないと成功出来なかった!それがfriends!ジャイの存在だ!だからいつもは2曲目に歌うレベル4のmost friendをこのタイミングで歌う!そしてもう1人の1番聞いて欲しい奴が今はここには来てないが、そいつがオレらの為を思いこのライブの為だけにremix作ってくれた!そいつは今かなり病んでる!でも必ずそいつに届けたい!聞いてくれみんな!そしてSpecial thanksのジャイ、キッドそしてその友達の唯ちゃんも!行くぜーー!!レベル4!most friend!remix!」


そう言うとオレらを指差しQが手を振り煙幕が上がり、一面が見えなくなりドラムの音で音楽が始まる!


…演出か?


…ったく!ラスト2曲で粋な事しやがる!Qもジャイも!


隣を見たら放心状態のユッティがいた


「ちょっとキッド!今ジャイと、キッドってそれに唯ちゃんって私らの事よね?」


『そうだよ多分。首絞めてグラグラすんなよ!脳が揺れる!』


「どうしよう、、、ファンやってきてよかった、、、私。どうしよう嬉しくて泣いちゃうかも!」


『ユッティこの歌好きな歌なんだろ?一生懸命歌ってるあいつに応えて上げなくていいのか?』


「うん、、、。もちろん!!しかも聞いた事が無い!この為だけのremix?イェーイもう最高なんだから!Q様ー!」


…ジャイ完璧だな!気がつく奴いねーくらい完璧じゃねーか?


…それとも口パクなのか?


…んな事ねぇ!


…ジャイは歌ってる!


…あの動き、汗!マジ本物だ!


…マジすげー。あいつを仲間にして本当によかった!


…マジその姿に惚れちまうぜ!


…かっけー!


「いつまでもmost friend!!!」


「『most friend!』」


「永遠のmost 〜〜friend!!!」


「『most friend!most friend!』most friend!most friend!」


ジャイのジャンプにあわせて、

1万3000人がジャンプする!


『すげー楽しすぎる!DL99最高だ!』


「こんな楽しいライブ私も初めて!終わって欲しくない!」


そしてラストの曲が始まる!


「これで、ラストの曲」


…MCはあいつの声なんだな!


…見えない所でQが話しているのか?


ジャイが後ろを向いている!


普通の人から見たら、後ろを向いて話していると思うのだろう!


…ジャイ頑張れ!


「ラストの1曲 オレら原点の歌 レベル99の not one hundred!」


もうみんな興奮しない客なんていない!


「ワン オーオー!」


ワンで左手を上げ、オーオーで右手を二回上に突き上げる!


それをみんなでやるんだ。


それも10人20人じゃない1万3000人が、自主的にみんな手を挙げる、その一体感!最高に気持ちがいい!


「 not ワン オーオー!!!オー!!!!!!みんなありがとう!最高だった 全員most friendsだ!ありがとう!!」


そう言って裏方に引き返して行った


…ジャイ最後しゃべりやがった!


ただそんな事に誰1人気がつくやつなどいなかった。


1万3000人がこの素晴らしい余韻に酔っていた。


「D!L!99!! D!L!99!! D!L!99!! D!L!99!!」


バンドがいなくなってもD!L!99!!コールが15分近く鳴り止む事はなかった!


そしてみんな余韻に浸りながら立ち上がり、現実世界の扉から出て行く!


周りの人が大分いなくなった頃うちらも立ち上がった。


椅子などあったが座っていたのは終わってからの数分と、始まる前の数分だ!


「どうだったキッド DL99?」


『最っ高!!だった!鳥肌が止まない』


「私今日の出来事を一生忘れない!」


【♫♫♬〜】


『ユッティわりぃジャイから、電話だ!』


「いいよ。出て。」


『もしもし、おージャイ!お疲れ様!マジ?行く行く!どこから行けばいい?A4のスタッフルートな。了解!すぐ行く。』


「なんだって?」


『待ってるって。』


「誰が?」


『さっきライブしてたみんな?』


「えっーー!!会いにいけるの?いいなぁーー!!」


『一緒に行かねーのユッティ?』


「行っていいの?」


『大丈夫だろ?オレは顔パスだって言ってたから!』


「ねぇちょっと聞いていい?あんた何者?これで今日本当にQ様に会えたら私死んでもいいかも!」


『死んだら終わりだかんな!そんな事言うな、、。』


「本当に死ぬわけないじゃん!馬鹿だねキッド!」


『ははは。』


…苦笑いしか出来ない


『よし行こうぜ!』


オレはユッティを連れて楽屋のある場所に向かった!


立ち入り禁止の場所に人が立っていたが、ジャイに呼ばれたって言ったら普通に通してくれた。


【コンコン】


「あーどうしよう私めっちゃ緊張してるかも!メイクも汗で大分落ちてきてるけど大丈夫かな?」


『大丈、、、』

「入ってどうぞー。」


「竹内 唯入りまーす!」


オレを押しのけてユッティが入って行った。


『なんだよ、、緊張してんじゃねーのかよ。全く猪突猛進だなユッティは、キッドも入りまーす!』


楽屋にみんなが座っている!


「おぅキッド!」


『ジャイお疲れ!最高だった!みんなも最高だった!』


ジャイはすでにメイクを落とし終わり、メイクさんにドライヤーでいつものヘアースタイルにセットして貰ってる最中だった。


ユッティがQに最高だったと何回も熱く伝えていた。


「君、前からよく来てくれていたよね。」


「はい!××の小さいライブハウスが初めてです!」


「みんな知ってるよ!わっ!小学生が、来てるって思ったけど、来るたびに、服とか変わって、そのうちうちらのメイクとか、し始めてその頑張って見に来る姿に、オレらもどれだけ負けらんないと思ったか。おかげでここまで来れたよ。ありがとう。」


「そんなQ様にそんな勿体無いです!こんな私に、、そんな言葉。あれ、、やだな涙でメイクが落ちちゃう!恥ずかしい!」


「ジャイ!今日は助かった!」


「気にするなよ!」


「借りが出来たな返せるかわからない、でっかい借りが。なあ借りついでに、携帯番交換しないか?ちょっと知り合いの事で相談したいやつがいるんだ!精神科なんだけど!」


Qがそう言った瞬間だった!


また来た頭痛だ!


オレはジャイの肩をつついて何も言わず、頭を抑え何のことか伝えた。


ジャイも何が起きているか察しがついたようだ。


「悪い!もう少ししたら、オレは海外に行くから解約したばかりだ。だからオレの番号は今無いプリカ携帯なら今あるが、教えても無駄になるから、その変わり帰ってきたら、連絡するから、Qの番号教えてくれよ。」


ジャイの断りで頭痛はひどくなる前に引いていった。


「わかった。これだ。残念だ!一緒にツインボーカルなんてのも相談しようかと思ったのに。」


「Qあんたはこれで人を救ってる!迷わず進んだ方がいい、オレはオレで、オレしか出来ない事がある!今日は最高に楽しかったQ!」


「礼をいうのはこちらの方だ!どこかで困ったら連絡してくれ!必ずかけつける!」


ジャイとQがガッチリ握手した。


ユッティだけが話の内容を理解していないそんな感じだ!


「キッド。唯ちゃんと知り合いになれたか?」


『ああ、最高だった!サプライズも、最高だった!絶対に忘れないQ』


「キッドどういう事?」


ユッティの頭の上で???マークが3つくらいグルグル回っている!


『ユッティこの後ご飯行く時間あるか?』


「大丈夫だけど。」


「お熱いねお二人さん。」


『Q違う!そういうのじゃない!』


「なんだ違うのか?」


「てっきり、唯ちゃんが好きで友達になりたいのかとオレに相談してきたんじゃないかと思ったが違うのか?」


エッ?て顔でユッティが見てる!


『違う違う!Qこじらすなよ!面倒になる!』


「そっか。まあいいや、そういや、次のライブ5月6日だから、これS席チケット次は3人で見にこいよ!」


『貰っていいのか?』


「ああ、なんなら年間フリーパスでもいいぜ!」


『ユッティ!5月6日また一緒に行こうぜ!』


「もちろん!次は、私もキッドがメイクしたお店でメイクして貰ってから行きたい!」


『そうだな。じゃあ早く待ち合わせして一緒に行こうぜ!Qありがとう。そろそろ行くわ!』


「おう!ジャイも、キッドも、唯ちゃんもまたな。ライブまた絶対来いよ!」


『わかってる!ジャイ、ユッティ行こうぜ!』


そして、オレ、ジャイ、ユッティがバンドのメンバー1人1人と握手して、楽屋を後にした。


「キッド!この人がジャイって人?」


ジャイの、車に向かいながらオレに話しかけていた。


『ああそうだ!』


「ジャイロって呼ばれてる神取誠だ。よろしく。」


「竹内 唯。ユッティって呼んで。歳はキッドと一緒だよ。」


「知ってる!オレらは今日ユッティに会いに来たんだ。」


「どういう事ストーカーなら帰るよ。私。」


「まあ話くらい聞いてよ。DL99のみんなにも会えたんだし!」


「それは死ぬ程嬉しかったし、凄い思い出が出来たから嬉しかったけど、なんかの勧誘でも帰るよ。」


「わかったわかったでも非現実的な話なんだとりあえず聞いて貰おうかな。ファミレスで話すから。」


「わかった。じゃあ聞く。」


『あっー!!』


「どうしたキッド?」


『いやなんでも無い。』


…いや、なんでもなくない!


…5月6日!


…5月6日さっきオレまたライブ誘ってたよな?


…5月6日にライブに誘った友達ってオレの事じゃねーか?


…オレが誘って、ユッティが死んだのか?


…まただなタイムパラドックス!


…ジャイの時と一緒だ!


…多分前の死んだユッティもキッドって友達が出来て、そいつに誘われて事故にあうんだな!


…前に言ってたなジャイが必ず過去を変えても必ず通らなきゃ行けない未来があるってこれもそうなんだな!きっと。


…ジャイの場合!2の世界そう!過去に行かなかった世界で過去でオレと会い、マスカットと冒険したって言っていた!その、世界ではオレはマスカットと、ジャイとの接点は無いのに、ジャイは同じ名前の奴と冒険したと言っていた。


…きっとユッティの場合も同じなんだろうか?


謎が謎を呼び、頭を渦巻きながら、ジャイの、車でファミレスに向かっていた。


そしてこの後、1日、2日前からジャイと相談し、どう話すか、


それをついに話す時が来る、、、。


さて、ここから、一世一代の大博打が始まる!


正直に話しながら、信じこませ、尚且つ騙さなきゃ行けない!ユッティを!


こんな時に、セシルさんが未来から書いた手紙があれば、どれだけ、信憑性があるかと思った。


切り札は2つしか無い!


この携帯と、オレが知ってる未来の情報だけだ!


いかに作り話を本当っぽく話し、


尚且つオレが未来から来てると悟られず、


セシルさんを異世界に来させながら、ユッティを殺さず、5月6日を迎えなければならない!


本当に針の穴の様な突破口だ!


それを刺してくれとセシルさんに頼まれた。


今でも毎日泣くらしい1人ぼっちのセシルさんは。


…だったらやるしかねぇ!


…やり切るしかねぇ。


そうオレは強く車で決意したのだった。











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