5.7話
…自殺者の村だって?
『そうだ。自殺者の集まりの村だ。
みんな心になんらかの傷を負い、
いろんな選択肢のなかから、あやまって自殺と言う、
選択肢を選んでしまった者達が集まる村がここなのさ。
自分も恥ずかしながらいろんな事がかさなり、
電車に飛び降りようとし、
一歩を踏み出した。
踏み出した瞬間、やっぱり辞めとけばよかったと思ったが、
そんなのもうどうする事も出来ず、
電車が迫ってくる、
その恐ろしさに恐怖し、気を失ったんだ。
あっ!これで終わって、
死後の世界に来たと思い
目を開けたら、砂漠の真ん中にある学校の上にいたんだ。
そしたら、青の月が昇って来て、神が言った。
あなたは自ら自分を殺すという、罪を犯しましま。
その中でも自殺した事を悔いている者を、私は救いに来た青神だと。
その時色々神から説明を受けた。
この世界で30日生活する事。
痛覚は人間の1/3。
必ず初日は殺されその痛みを知る!
それが、ここでの決まりらしい。
自殺した人間が、行く死後の地獄は、この異世界で体験した死の痛みの300万倍辛い世界が待ってることも聞いた。
またその死の体験をし、
2度と自殺なんて、、、。って考えを持って人間界に戻れば、
一度自殺した罪は無くなるから頑張りたまえ。
それがうちら青魔族みんなに神から言われた事さ。
他のみんなにも聞いたが、みんな同じだたよ。
自分も初日プレイヤーに殺された事があるんだが、それは痛いし、恐怖だった。
その300万倍の辛さが待ってるなんて言われたら、ここにいる誰もが、
もう自殺なんてしないように、ここで必死に自信を付けて、帰れるように、みんなで頑張っている訳なんだ。ジュン君!』
…なんなんだ、この異世界は。
…同じようにモンスターでも、みんなオレとは違うんだな。
…やっと見つけた安堵の地かと思っていたのに。
『色々オレが聞いた神とは違うんですね。オレ以外に赤い光のモンスターは、いないんですか?』
『それが、昔この村にも赤い光のモンスター赤魔族が来たと日記に書いてあった。そいつは、赤い光が6つ光っていたらしい!
そいつは、まるで自暴自棄になっていて、うちらモンスターにも攻撃するわで、やたら強かった赤魔族は、青魔族を皆殺しにして最悪だったと言われている。
村は次の日には元通りになっていたし、青魔族のみんなも、次の日にはまた村に甦えっていたが、
またあいつは現れたんだ。
そいつはオレは殺人者だって、おまえらなんて生きてる価値がないんだからみんな死んじまえと叫んで暴れていたらしい。
その後やはり、
そいつのせいでまたみんな2日連続してかなりの青魔族が殺されたって語り継がれていて、
その光景はまさに地獄絵図だ!と聞いている。
その2日以降その赤魔族が現れる事はなかったけど、
みんなその2日を厄災の2日と行って語りついでいるんだ。
ジュン君!だから君に聞いたんだ。
君は人を殺した側の人間かと、。』
『アホジュン!おまえマジそうなのか?おまえはそっち側の人間なのか?』
キッドが凄い形相で胸ぐらを掴んでいる。
マイも本当に?って顔でオレを見ている!
『離せよっ!だからー!オレは違うって言ってんじゃん。誰も殺していないし、そういうの嫌いだって言ったろ。』
『では、君はなぜ赤魔族になったんだい?』
『それは、、、。』
『ほらっ!アホジュン言えないって事は、言えないような事してんだろ?』
『やめないか!キッド』
『でも魔族長、、。』
『プライベートには突っ込んではいけない。
それはここのルールだった!
すまないジュン君!
ただ、自分も魔族長として、
赤魔族と青魔族の違いがあれば、知ってこれからに伝えていきたいんだ。
何か、あれば教えて貰えないだろうか?』
そう言われ、話した。
オレは赤い月の前に、毎日行くこと。
さっき聞いた青魔族の痛覚は1/3!
でもうちらは
通常の痛覚だという事。
人間界と、異世界でみんなの役に立ち、感謝されないと、赤い光は減っていかない事。
手足一つで魔時間が20分ずつ始まり、
体が頭は30分ずつ始まりが早くなる事。
うちらは光る数により、冒険者が倒した時の経験値も倍になっていく、から、狙われやすい事。
6つ光った状態で3日異世界にいると、
ゲームオーバーで地獄行きが確定すると、いう事。
赤魔族は、30日で終わりなんて言われなかった事。
などなど知ってる限りを話した。
『ありがとうジュンくん。色々正直に話してくれて、
君は前にうちの村に来た赤魔族とは違うようだね。
でも自分は魔族長として、
君に伝えなければならない事がある!
悪いが君をこの村で囲ってあげる事は出来ない!
君をかくまうと、ここにいる何100という仲間が危険にさらされる。
わかってもらえるかな。』
『大丈夫です。そう言われるって思ってましたから。』
キッドが悔しげこっちを見ている!
『おい!アホジュン!おまえどうせ心もない犯罪者なんだろ、犯罪者なら犯罪者らしく、悪人っぽい事言えよ!しおらしくなってんじゃねーよ。』
『キッドわりぃ。迷惑かけたな。意外とおまえと話した会話楽しかったぜ。オレはおまえと友達になれると思ったんだ。今回はこれでお別れだが、またどっかで会えたら、仲良くやろーぜ。』
『アホジュン!そうじゃないだろ!赤魔族らしい犯罪者の言葉は、そうじゃないだろ、バカヤロー!バカヤローが。』
キッドは目を押さえながら走って行ってしまった。
…まさか、さっきあったばかりのオレとの別れを悲しんでくれていたのかな?
…こんなオレを?
…まさかな。
…でもあいついいやつだったな。
…人間界にでも、こんなマイや、キッドとかと一緒にプライベート過ごせたらきっと楽しいんだろうな。
『ジュン君!ホントにいっちゃうの?』
『マイ!マイに会えて良かった。初めて会えたのが同じゴブリンのマイで。』
『そんな一生の別れみたいな事いわないで。、、魔族長!あのナイフある?』
『あーあるよ。』
『これ貰っていいでしょ。』
『あー。もちろんだ。』
『ジュン君!この先!いっぱいプレイヤーがいると思うの、、。』
マイが何を想像してか、泣いている。
『少しでも生き延びられるように、右手の爪切ってあげるね。ゴブリンの爪より、、、ナイフ、、の方が、
少しでも、、、少しでも、、。ウッウッ。』
『ありがとう。マイ、、。』
オレはゆっくり爪を切って貰った。
『出来た。これで握れるよね。これナイフ、こんなんじゃなんの足しにもなんないよね。
通常の痛覚って、、凄く痛い、、よね。
ごめん。ウッ。ウッ。一緒に村に、、ヒック、、。いさせてあげられなくて、、。ホントごめん、、、』
『大丈夫!みんな優しくて、初めて話せて色々知れて良かった。マイにも会えて良かった。もうスキルの時間が切れちゃうから、行くよマイ!』
『ジュン君、、、。』
『魔族長、お世話になりました。』
『こちらこそ、力になれなくて、ごめん。』
『いえいえ、流れ者の自分にこんなスキルとナイフまで、、充分すぎますよ。』
…あれっ!目の前がぼやける。
…おかしいな、、
…なんでだろ。
…何に対する涙だろ、、
頬を伝って落ちるのがわかった。
…ゴブリンって涙腺が弱いんだなきっと。
オレはしっかり右手にナイフを握り、村の入り口まで来た。
『ジュン君!神の加護があらんことを、』
『ありがとうございます。』
『ジュン君ごめんね。ごめんね。ヒック。ごめんね。』
『ありがとうマイ!マイは早くこんな変な異世界を無事卒業して、人間界に戻るんだよ!』
そう、言うと。180度回転して、森を向いた。
…行きたくねぇ。
…行きたくないけど、、。
オレは一歩踏み出した。
『あー。ジュン君!』
後ろからマイの泣き声が聞こえる。
…だめだ振り返っちゃ。
…今振り向いたら、きっと弱虫なオレは前に進めない。
『アホジュンー!死ぬんじゃねーぞー!』
…ばかやろう!ホネの癖に泣いてんじゃねーよ馬鹿キッド!!
…顔見なくても、声がかすれてんじゃんか、、。
…最後に出てくんなよ!余計前に進むのが辛くなるだろーが。
…いかなきゃならないんだ。
この先にきっと死しか待ってなくても、
みんなを危険にさらす訳にはいかないから。
ちょっと下を向きながら
少しずつ前に向かった。
涙が頬を伝わないように、、。
下を向いた、、。
下を向いても、それでもいろんな所に水滴がつく、、。
マイが切ってくれた、爪は、
涙を拭くには拭きやすい
人間みたいな優しい手になっていた。
…ありがとう、マイ、キッド。
オレはみんなに迷惑をかけまいと、森へ走った、、、。