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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
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69話



「主任遅くなりました。すいません。」


「いやいや、初日から大変な事頼んで悪かったね。パートさんも、バイト君もみんな車運転できる人いないから、ましてやMTでしょ。尚更ね誰もいなくて自分はこの場所離れる事出来ないから、助かったよ。今17:00だから、17:30まで働いた事にしてこっちでタイムカード押しとくから、お疲れ様。明日からまたよろしくね。木戸君。」


「ありがとうございます。」


『おい、ジャイ!木戸って、、。』


「ああ。ここいらだと神取は有名過ぎるからな、木戸誠で、3/31までの契約で簡単な履歴書出した。履歴書もめちゃくちゃだけどな。国立大学医学部卒じゃなくて、中卒にしてやったぜ!」


『ははは。いい加減だな。』


「それでもみんな優しく教えてくれた。知ってるか?3時になると、タイムセールがあるの知ってるおばちゃんが、そこに並ぶんだぜ?」


『ははは。知ってる。昔母ちゃんとよく並んで買ったりした。』


「今日なんか1分遅れただけで、眉間にしわ寄せて、ちょっともう時間過ぎてるわよってお客さんのおばちゃんに怒られちったよ。」


『結構言われる仕事だからな。母ちゃんもレジ打ち遅いと、並んでる人の顔が全員鬼に見えて来て冷や汗出るって言ってた。』


「ははは。品出しでもレジでもどっちでも一緒なんだな。」


スーパーの駐車場はまだかなり余裕があり、


そこの輪止めにすわり、コーヒーとファンタ飲みながら語らいでいた。


「なあ?キッド、オレらって、なんで人間に生まれて来たのか?って思った事あるか?」


足を伸ばし空を眺めて、ジャイが語り出す


『あるよそんなもん。』


オレも同じ空を眺めて見た。


「みんな考えるよな絶対!猫に生まれたら辛い感情とか無くて済むのかとかさ、、、。」


『どうしたよ、、。』


「親父はオレだけを可愛がってくれたからよ。少し申し訳なくてな。医者っていう仕事は親父が敷いたレールだけど患者を見て来たのはオレだからな。あの病院は嫌いだけど、人の為にありがとうと言われる仕事は嫌いじゃ無い。矛盾だらけだ難しいな。人間に生まれてきたゆえに悩み、泣き、その度なんで生まれてきたのか自分に問いかけてた。」


『全部が全部上手くいく人生なんてねーから!絶対そんなもんねーから!オレだって馬鹿だから、絶対全てが上手く行くと思って過去を変えに未来から来たんだよ。』


オレは下に落ちてる石を拾い駐車場から金網越しの畑にぶん投げた。



『それがさ、ジャイどれだけ思い通りにならなくて辛くて傷ついて泣いたかよ!あーしなきゃよかったなんてしょっちゅうだ!

それでも、進むしかねぇ!

ジャイも何になりたいかよく考えて、なりたい事に全力に走れよ!それを見つければいい!ジャイは春休みなんだから。ゆっくりさ。』


「自分のやりたいことか?難しいな!それがわかってるキッドおまえが羨ましいよ!」


『オレの使命みたいなもんだからな。でも知られてる以上ジャイもオレの使命の半分を今背負ってるんだぜ。』


「知ってる!面白そうだから、半分自分から背負ったようなもんだ。」


『ジャイ!でもな辛い事しかねぇ人生なんてものは絶対存在しねぇ!そう思ってるやつはな、それはそう思い込んでるだけだ!悲しい事辛い事ばかりしか今考えられないだけだ!でも、辛い事が知ってるやつほど、自分以外に今辛い奴がそばにいたら1番そいつの辛さを理解し共感し、わかってやれる人間に成長するんだぜ!』


「キッド本当に小学生かよ?」


『ジュンもいじめにあい、それが嫌でいじめる側に回ったらしいが、そっち側に立ったとはいえ楽しいと思った事は1度も無いって言ってた。やはり、それはやられる辛さを知ってるからな。オレもこれでも、色々経験してきた。でもオレより不幸なやつは何万といるんだ多分。ジャイより悩んでいるやつも、星の数ほどいる!人間に生きるって、本当に死に病だぜ。その中でこれっぽっちの幸せや楽しみが見つかればそれで充分なんだよ。生きるってそんなもんだ。1日1回笑顔になれる時があればそれで充分お釣りが来るくらい幸せなんだぜ!』


「すげー理論だなそりゃ。医者のオレですら考えつかない理論だ。」


「あらっ!貴光に誠さん。」


『母ちゃん!』


後ろには母ちゃんがいた。


「みんなで、一緒に帰りましょ。」


『オレだけチャリ無いよ!』


「大丈夫。私も歩いて押していくから。行こう誠さんも」


「はい。」


『母ちゃん!ジャイ!なんか高そうな飯じゃなくて、母ちゃんの普通の日常料理が食べたいって。』


「そうなの?普通よ、それだと。」


「普通がいいんです。でも、ご飯の量も普通でお願いします。」


『あれじゃ、糖尿病になるよ!ははは。』


「『はははは。』」


…そうか、母ちゃんがパート終わったって事はもう5時か?


…じゃあ終わっちまったなジャイの後継者会議、、、。


…よかったのか?


…でも本人が決めた事だもんな。


…本当人間色々だな。医者になりたくて、しょうがなくてもなれない人もたくさんいるはずだ。


…医者がうんざりしてる、ジャイみたいのもいる!


…全く1人1人色んな考えの奴がいるんだな本当に。


…スキル使って過去に来てから、凄い密に人と付き合うようになったなオレ!



こうして、ジャイは、あの病院の後を継がない未来を自分で一歩踏み出し、


ジャイは自分探しの春休みが始まったのだ。


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