64話
車椅子を押しながら最寄り駅まで、帰って来た。
「木戸イタリアンかフレンチなお昼はそろそろか?」
『アメリカンでいいか?』
オレは手軽なマックを指指した。
「朝早くから、みんなを動かして、火事で死ぬ人を助けて、ここで済まそうとするのか?」
『ダメか?』
「いいだろ?おまえら、小学生なんだから、イタリアンのお店なんか食ったって話しながら食べ辛いし、テーブルマナーとかやたらめんどくさいぞ!ほれっ、これで好きなもん食え。オレの命の恩人達よ。」
ジャイが万券をヒラヒラさせている。
「詩音さん。いいんじゃない?ここでも?」
「そうか、、、。光君がそう言うなら。」
「じゃあオレビックマック3つくらい食おうかな?」
『大人でもそんな食えないだろ!どんだけだ!ジャイは何食う?』
「ウィスキーをここのファンタグレープで割ってくれ!」
『じゃあウィスキーのファンタ割で!って出る訳ねーだろ!天下のMだぞ!』
「じゃあ!お姉さんとスマイルでどうだ?」
『ジャイ!お姉さんもスマイルも買うのか?お姉さんのスマイルだろ?』
「いやいや、キッドまあ待て、金ならある!」
『いや、自信満々に親指を立てるな!その自信はどこから来るんだか、、。いま、やってる事は相当ゲスな事だからな。』
「そうか?前とあるレストランでは、ウェイトレスさんの手に万札を包んであげたら、、。」
『ピーピー!ダメだから!色々まずいから!R15だから!R18じゃないから。』
「なんの話だよ?」
『気にするな!こっちの話だ。もうコーヒーでいいよな?』
「しょうがないな。それで我慢しとこう。」
みんなで、アメリカンな昼食をジャイのおごりで満喫した。
「みんなで食べると意外と楽しいな。」
『シオンヌもあまり、友達はいなかったのか?』
「そうでもないが、あまり呼ばれる事も無かったな。なぜか女の子同士で遊ぶと浮くのだ!みんなに男女と言われる由縁だな。」
『確かに男っぽいもんな性格もサバサバしてるし。』
「自分でチョコをあげるのは光君しかなかったが、なぜか女の子からチョコを貰う事はあったぞ。」
「そうなんだ詩音さん。」
『なんとなくわかる気がするわ!女子校とか行ったら女子にめっちゃモテる気がする!』
「なんだろうな、性格のせいだろうか?」
「詩音。そういう核みたいな性格は小さいうちにもう決まるからな。
詩音の場合男っぽいのに何か感じるものが小さい頃強かったのかもしれないな。
後はその核を基準にいろんな物を吸収しながら膨れて大きくなっていくだけだ。
自分で変わろうと努力しない限りこの中心にある核は4歳の基準にしたまま変わる事は無い!
そういう風に出来てる!
4歳の頃カエルをめった刺しにして、殺しながら楽しんで遊んでいた子供は10歳になろうが、20歳になろうが、その行為に反省の心は無い。
普通に大人になろうが平気にカエルを殺す!
ただ、人から言われたり、人の行動を見て、変だなと自分で気付いて、変わる努力をした時だけ変われるんだ。
変わる時は何か必ずきっかけがあって、そうなりたいと思うか目標が出来た時に、変わっていき、変わった状態で新しく核が強固なものとして性格が構築されていく。
人間は常になりたい人間を目指しながら変わり続けていく生き物なんだ!
金持ちになりたければ、金持ちになりたいビジョンを持って、
女の子っぽくなりたければ、そのビジョンは雑誌でもなんでもいいから、少しずつ、理想の自分を高めていく!
努力という名の貯金を自分にして、自分で自分の性格や特技を内側から、変えて、整形していくんだ。
家で寝てばかりいる人間は、ずっと寝てるままだ。
それに疑問も持ってないし、その自分に満足してるからな。
誰も嫌われたい人間はいないはずだ!
でも嫌われてるのに、そのままの人間って必ずいるだろ?
そういうやつは、嫌われててもなんとも思ってない奴が多い!
もしくは、なんで嫌われてるかわからない!
それを人のせいにする奴もいるな。
本当に嫌われたく無いと思ったやつだけが、行動を起こし、自分の核を変えにかかる!
それは、家で寝てばかりいるやつもそう!
女の子にモテたいから痩せたいと思ったやつもそうだ!
思いの強さが、自分を突き動かす燃料になり、
その燃料で行動の貯金の積み重ねになり、
気がつくと自分を構成する核が変わっていて、自分も変わっている!
では学校で人気があるやつは、自分と何が違うのか?
まずは観察してみる。
そいつはよく、笑うやつだな!
じゃあそれを真似してみる。
真似してるうちに、よく笑顔でいる方が人に好かれるんだと、新しい核が構成され、上書きされていくんだ
その核みたいな物は若ければ若いほど、変えやすいが、歳を取れば取るほど、核は固くなり外からの情報を遮断するようになる。
頭が固いとか頑固じじいとかよく言うがそういう事だな。」
「凄いなジャイさん。哲学的だな。そこまで言うならじゃあ早く酒を辞めれるように自分の核を変えなくてはな。」
「オレは変わりたいとあまり思ってないから、別にいいんだよ!
でもな、俺のために動いてくれる人がいるのに、努力しないのは後ろめたいという気持ちが燃料になり、まあやるけどな。」
『ジャイは酒立ちして、酒立ち出来たらジャイの病院にまた戻りたいのか?』
ジャイが下を向いた!
「医師の仕事は続けたいと思うが、出来ればあの医局には戻りたくないのが実際だな!もううんざりだあそこは、、、。」
『それはハーブの件があったからか?』
「それだけじゃあ無いんだ!色々あるんだよ。」
『ジャイ!つまんねーだろ?おまえ今も前もずっと!』
「えっ?」
途中からずっと下を向いていたジャイが不意を突かれた発言が何か刺さる物があったのか?なんでだ?って顔でオレを見てた!
『ジャイ!今大人の春休みと思えよ!小学生になった気分でとりあえず遊ぼうぜ!おまえに足りないものはなぁ、、、何かな?』
「タカそこまで言ってるならカッコよく決めないと」
『オレはジャイと違って頭良く無いからな、、、。
でもな、多分だけど頭が悪くても、この木戸貴光生まれてきて良かったなって思いは、おまえには負けねー。
自分をもっと好きになれ!
ジャイ!おまえは酒によっては救われない!おまえを救うのはオレら小学生と、おまえ自身だぜ!
みんなターニングポイントがある!
ジャイ、おまえのターニングポイントはこの大人の春休みしかねぇ。
何が悩みで辛いのか詮索はしねーけど、とりあえず遊ぶだ!
新しい自分探しに行こうぜ!ジャイ!』
「キッドおまえはあれだけの事があっても、木戸貴光に生まれてきてよかったと思えるのか?」
『ああ、まだ完全に大好きとは言えないが、オレがオレでいられるのは、オレ1人の力じゃ無いんだって気がついたからな!
気がついてもたくさん泣くんだぜ!
それでも、みんながオレを待ってるからな!
オレしか出来ない事をやる自分の運命を悪く無いなと思える様に少しなった。』
「そうか、、、。オレしか出来ないことか、、、、、?それはなんなのかな?最近あまり考えた事が無かったな!憎悪と蹴落とす事ばかりだったからな。よし何する?」
『オレら4人が集まったら、そりゃあ』
『「バスケしかないだろ!」』
「久しぶりだなバスケなんて、オレもそこそこ出来るぞ!」
『ははは、がっかりさせるなよジャイ!そして、小学生だと思ってオレとシオンヌを見てもらっちゃ困るな!』
「タカ。オレと響は?」
『おまえらも大概上手いけどな。オレとシオンヌほどじゃないだろ?光いい機会だから、シオンヌにマンツーマンで教えて貰えよ!』
「タカ!オレは?」
『響君は私とでしょ。』
「まだそのネタ引っ張るのかよ?」
「じゃあ行くか?小学生共」
「ちょっと食べ過ぎた苦しい!ちょっと待って」
『「響〜!!」』
『話の腰折るなよ!』
「ジャイさっきのビニール袋ある?動いたらオレ吐くかも。オレを車椅子で運んでよ!」
『みんな甘やかしちゃダメだよな!』
みんな頷いている!
『残念!満場一致です!歩きましょう!自業自得、腹も身の内だぜ!』
「響!オレもじゃあ歩くから!一緒に吐く時は吐こうな!」
「心の友よ」
「響暑苦しいもう吐きそうだ!」
「ひどいなジャイ!とりあえず行こう。苦しいけどみんなとのバスケが楽しみだ!」
『楽しみだな』
「動いたらビールが美味そうだな!」
『ダメだぞ!ジャイ!今日は寝タバコするくらい飲んだろ?でもな、フリースローで、シオンヌに買ったら夜飯に缶1本許可してやる!』
「本当か?」
「木戸私は手を抜かないがいいのか?」
『もちろんだ!さて奇跡は起こるか楽しみだな!ジャイもう1度言っといてやる!小学生なめるなよ!はははは。じゃあみんな行くぞ!食った分動くぞー。みんな行くぞ〜』
「おー!!!」
みんなでマックを出て、公園に向かった。
オレと、シオンヌは公園に着いてから、お互いの家にボールを取りに帰った。
…5人でバスケか?
…鈴木さんがいた時は鈴木さんは見てるだけでやらなかったからな。
…意外と真面目に楽しみだな!
…どれほどの腕がお手並み拝見だな。
オレは急いで家へと向かうのであった。




