5.5話(挿し絵有)
『族長。きました。』
『おー。きたかキッド。いつも通り新人だ。マイちゃんも付けるから、召喚の間で、ジュン君にスキルを覚えさせてやってくれ。』
『わかりやしたー。』
そういわれ、立ち上がった。
『ジュンくん。君はここへ来て、何日目だい?』
『今日で3日目です。』
『ジュンくん。聞いてくれ。君が自分の危険をかえりみず、マイちゃんを救おうとした話、もし、それが、信実なら、君に85代目の魔族長になって欲しい。
なかなか自分を犠牲にして、人の為に向かっていく、そんな簡単に出来ることじゃないさ。
自分は君のような者が来るのを待っていた。』
『いやーオレそんないい人間じゃないですよ。』
『ははは、まぁ人間じゃなく、今はお互いモンスターだけどね。呼び止めて悪かったね。自分がそう思っているということだけは、知っといてくれ。
じゃキッド、マイちゃんよろしくね。』
そう言われ族長の部屋を後に、3匹で、その召喚の間に向かった。
『ジュン君!凄いじゃん!魔族長候補だって!』
マイが嬉しそうに前に回りこむ。
『ジュンだっけ?おまえ早くスキル覚えて、族長なっちまえよ。今テリー魔族長の後がまが居なくて、見た?あのオレの理想のやつ来たーみたいな嬉しそうな顔。あれ多分断るの大変だぞ。』
こいつがキッドか。
骨だな。
見た目は簡単に言うとアンパンマンに出てきたホラーマンよりちょっと強そうな
がいこつ剣士みたいな感じ。
…いきなりタメ語だからオレもタメ語でいいのかな?
『キッドだっけ?その骨と骨の繋ぎ目どうなってんの?』
気になってしょうがなかったから、しゃべりながら、もうキッドの関節に手が伸びていた。
『おいおい!おまえいきなり、なれなれしいな。一応繋がってないように見えて、繋がってんだよ。』
『へー。』
好奇心がとまらない。
ホネをくすぐってみたら、くすぐったいのだろうか?
そう気になったらやらずにはいられない。
『だからさ、早くジュンも、スキルを覚えてだな、魔族長として、、。』
…なんかえらそうなこと言ってるな。
もう気になってしまったのだから、しょうがない!
前でえらそうに語ってる腰に魔の手ならぬ、ゴブリンの手が伸びる。
『スキルをおぼえて、、ぎゃーはっはっはっは。はー。』
あっ!ホネが、
ポロポロポロポロ、、、。
『マイ見て!ホラーマン!』
『うん!まんまホラーマン!』
『あはっはっは、超うける。ポロポロポロポロだって、想像どうりにバラバラになった。マジホラーマン。腹痛い!マジ勘弁!腹よじれる!ホラーマンキッドでホラキッド!アハハハハハ、マジ腹痛い!』
『ププププ。ジュン君。あんまり、笑っちゃダメだって、、。そんな、、ホラーマンなんって、、、、そんな、、クック、、ぴったりな事、、言っちゃ、、クックック。』
『マイ!だって、崩れるときに効果音みたいなポロポロって音出るって、あはははははは。マジ死ぬ、、、。』
『ジュン君、、もうそれ以上言わないで、私もお腹痛い!無理無理!』
『おまえらー、い、い、か、げ、ん、にしろーーー!!』
骨が、元の形に戻っていく。
『おーすげー。まるで、サーカスだな。』
『おい!新入りジュン!満足か?』
『はい。満足です。』
おいたが過ぎたようだ。
『ホラキッド。凄いなそれ能力か。』
『ジュンなぁ。ここにいるやつなんて、みんな他人みたいなやつ、ばかりなんだよ、そんなやつばかりで、よそよそしくやってるんだわ、そんな中くすぐって来るアホなんている訳ないだろ?
さっきホネポロポロなってちょっと焦ったんだぞ!』
『そーなのか?それはスマン。でも今年1番笑ったかもしんない。』
『あーそうかいアホジュン!そりゃオレのホネが役に立ってよかったわ!』
なんか久しぶりに笑った気がした。
…笑うってこんな楽しかったっけ?
…この3人だから楽しいのかな?
…こいつめっちゃ気が合いそうな気がする!
そう思った。
『ホラキッド!おまえ最高だよ!』
『なんだよ、いきなり、わかったから、もうくすぐったりすんなよ。ほらついたぞ。』
『マイ!聞いた?ホラ!ついたぞだって!ほらって!』
『ジュン君、クックック。もうそのネタ掘り返さないでツボに入るとヤバイから。』
『おーまーえーらーなー!!もう教えてやらんぞ。』
『すいません。すいません。』
たったちょっとの距離だったが、キッドとかなり仲良くなった気がした。
そして、3人で、召喚の間に入り、
オレは召喚の本を読み、この異世界に入り、初めてのスキルを覚えようとしていた。