56話
2013年 2月15日 金曜日 AM6:00
初日の異世界から1人でモンスターをたくさん狩って帰ってきた。
…やっぱりテンションは低いんだな。
…でも少しはよくなったのか?
…日が昇ったせいかな?
すこし気持ち、状態がよくなったとはいえ学校に行く訳には行かなかった。
それは鈴木さんに会う訳にはいかないからだ。
会うのは、4年後の異世界で。
謝るのはスキルが切れた4年後だ。
どちらにしても長い長い先の話だ。
オレは鍵を開けた。
トイレとか以外では当分開ける予定ではなかった鍵を、開けて、
隣の母ちゃんが寝る寝室に向かい、今日学校を休むと言うことを伝えた。
昔はハルねぇの部屋だったが、
足を怪我してからは下がハルねぇの部屋になり、元々ハルねぇの部屋が母ちゃんの部屋に変わった。
母ちゃんは学校を休む事を何も言わず了解してくれた。
昨日が入試の結果の日だと知ってたはずだ。
それでオレが何も結果を昨日言わずにいたのだから、ショックで学校を休むとでも考えているのだろう。
何も詮索せず、休む事に何も言わない母ちゃんに優しさを感じた。
そして、オレは部屋に戻りまたベッドに寝っ転がった。
異世界でモンスターを狩った事が自分を救ったわけかわからないが、
1番救われたのはやはり、緑神様との話だろう。
必ず鈴木さんが、異世界に来てくれる。
オレが頑張れば、みんな笑ってる未来があるという事。
ジュンも前言っていた。
そこの洞窟で首を斬られ死ぬほど寂しく、不安だったけど、今みんなと、いれるこんな笑える未来があるなら、オレはその苦しんでいた自分に言ってあげたいおまえの死は無駄じゃないんだって。
おまえの流す涙はむくわれるんだって言ってあげたいと
そう言ってた。
普通、未来なんてわかる訳ないが、
今回は神様が教えてくれた。
まだ遥か先の未来だがみんなが笑える未来が来るのだと。
オレがオレを好きになる未来が来るのだと。
オレが鈴木さんにした行為が無駄にならず笑える未来が来るのだと。
あの未来を映像で見せてくれた神様が言うんだから間違いないだろう。
オレは緑神様によって救われた。
…救われてばっかりだな。ははは。
…そうか。
…オレは弱いからいつもいつも、凹む度に誰かに救われて来たのかもしれない。
…初めて青魔族になり、初日に殺された時も不安だった。
…あの時はマイミだった。
…そして、深い傷の、優子との傷は、ジュン、マイミ、ケンスケ、レイ、シン、リン、カズキ、セシルさん、ユイ、カナ、ミズー、補助魔法3人組、みんなと、知り合い、冒険する度に、救われて来たんだ。
…いつのまにか、笑えるようになっていたんだな。
…そして、今回は掟を破ってまで、神様が助けてくれた。
…クソだと思っていた人生は、
…いつもいつもみんなに支えられて、ここまで来たのか?
…むくわれない人生だと思って来たそんなオレの人生を支えて来た人達がいたんだな!
…自分だけが辛いと思ってた。
…でもオレはここに生きてる。
…生きてる事を深く考えた事はなかったけど、
…母ちゃんが、父ちゃんが死んでも必死に育てて、くれて、
…ねぇちゃんはいつも、オレの味方をしてくれて、
…鈴木さんは、自分が、怒られてもオレの為に動いてくれた。
…異世界でもそうだ。
…1人で生きて来たわけじゃないんだなオレは。
…なんで気がつかなかったたんだろう。オレは雑草のように勝手に育ち、
…オレだけが人に踏まれるそんな所に生えた悲しい運命の雑草だと思っていた。
…オレはこんな事じゃ諦めない!
…たとえ、学校に落ちたとしても、一緒に弁護士になろうと約束したんだ!
…なろう!諦めない!
…オレは悪友との道は歩かない。
…必ず、鈴木さんが目指した未来をオレも目指して進む。
…それがオレが7ヶ月鈴木さんを好きだった証明になるはずだ。
…あの田んぼで泣かした事はこんな事があってと話をした時に、自分が不良のままだったら、なんの説得力がある?
…あの7ヶ月が本当に好きだったからこそ、オレは弁護士になって、未来で謝らなければならない。
…あれだけ酷い事をして、決してそんな未来で簡単に許して貰えるとは思わないけど、オレはオレで鈴木さんを思い頑張った4年後を見てほしい。
…そして、みんながオレを救ってくれたように、オレはみんなを救う人になるんだ。それが、鈴木さんに心の傷を負わせた。罪滅ぼしにならないかな?
…やるよ!鈴木さん。
沈んでいた心に朝日が眩しく光る。
オレはプレイヤーとして、異世界に行き、緑神様に会い、ブレずに進まなきゃ行けない未来を見つけた。
…オレはみんなを救いながら、点と点を繋ぎながら、オレが望んだ未来に、
進み、弁護士になり、ゴールは
マイミとジュンの結婚式に出る事だ!
…例えその行く手に悲しい未来があるとしても、レイ、ケンスケ、セシルさんを救いながら、その中で救えず悲しい未来があると、しても、オレは必ず弁護士になるんだ!
『オレの未来の友達共待ってろよ!必ず点と点と繋ぎオレはお前らに会いに行く。そして最後にみんなで笑おう!』
そんな風に自分の行く未来を決めたそんな朝だった!
オレはベッドから飛び起きて、学校には行かないが、机で勉強する用意を済ませ、
霜が窓に降りるまだ寒い2月15日。
オレは母ちゃん、ハルねぇにご飯を作るべく台所に降りた。