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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
196/534

54話


何もやる気にならなかった。


喪失感。自己嫌悪。虚無感。いろんな物が頭を渦巻き、


部屋に帰って来ても、何も考えられなかった。


ただ、ベッドに座り、

壁にかかってる時計を見つめる。


ひたすら秒針を見つめる。


そんな事してなんの意味があるかわからないが、なんで時計なんか眺めているのかすらわからない。


やる気にならずただ秒針が1秒1秒進むのを見ていた。


そして意味も無く、時計を3時間以上見つめていた。


日付けが変わりそうな頃、


布団に入った。


だが、目を瞑った瞬間、さっきの鈴木さんの泣き顔と発狂した声が頭に浮かんできて、その光景に耐えられず


目を開き、涙を流し、


落ち着いて、また目を瞑ると、


またその映像が脳にフラッシュバックし、その脳の映像が耐えられず、


目を開き、そして涙を流す、、。


何回それを繰り返しただろうか??


途中から吐き気もそのサイクルに追加され、もう胃液しか出ない状態で


トイレに吐きに行く。


今まで、こんな風になった事が無い初めての症状だった。


オレはもしかしたら、一生寝れないのかもしれない。そんな事すら思うようになっていた。


時間が日付けを、超え


2月15日がやって来て何回トイレ行ったかわからなかった。


そして、何回目の目を瞑ろうとした時だろうか、


柱時計の鐘の音が大音量で聞こえてきた。


…この鐘の音知ってる!


そうオレはこの鐘の音を1回だけ聞いたことがあった。


それは優子を目の前にして、

腹を切った後、


薄れゆく意識の中でこの音を聞いた。


オレはベッドから飛び出して、窓から外をみた。


窓の景色の街灯や光という光が消えて行く。


世界が闇に覆われて行くように、


景色が真っ暗に世界が変わっていく。


そして、気がつくと

緑色の月を見ながら宙に浮いていた。



““““初めましてじゃな?キッドよ。””””


『緑神様。』


““““青神に頼まれてな。あやつは、お主に入れ込み過ぎじゃ。頑張るおまえが可愛くてしょうがないらしい。 ””””


『緑神様が、いったいオレに、なんの様だ?』


““““キッドお主は、このまま行くと精神崩壊を起こす。青神にな、お主を救って欲しいと頼まれてのう、キッドお主をプレイヤーとして、異世界に転生させる事に決まった。異世界に来られるだけの傷は持っておったからのう ””””


『異世界!ってなんなんだ!なんでオレだけ、こんな辛い目にあわなきゃいけねーんだ!神様。』


““““しょうがないじゃろ。お主が選んだ道だから。未来も過去も現在も全ては言うなれば1本の線じゃ。キッドお主はその今途中じゃ。その自分が歩く道の途中では、辛いことも、悲しいこともだくさんあるじゃろうて。しかしな、最後で幸せだったと思える時が来れば、過去の辛さも報われるものよのう ””””


『オレは木戸貴光に生まれてよかったと思える日が来るんだろうか?オレは今自分が憎くて、嫌いでしょうがない!!』


““““ 青魔族とはのぅ、、、、知らないとは思うが、、自殺した者が全員異世界に転生されるわけでは無いのじゃ。自殺しなければ、その先に、幸せが待ってる者のみが転生される。そして、必ず自殺したけど、生かして貰ってよかったと思える者だけ、その先また自殺をしない者だけ、チャンスを貰うのじゃ。とはいえ、せっかく人間に生まれて来られた命を粗末にした罰は受けてもらわにゃいかん!

だから、青魔族と初日は死んで貰う様に仕組みができとるのじゃ。””””


『そうなのか、、、。知らなかった。』


““““ お主と、ジュン、マイミ、シンは特別じゃからな。私達神達も一目置いておるのじゃ。赤神は、ジュンと、マイミを、青神は、キッドお主を、ワシ、緑神は、シンを買っている。ただ、赤神は、今回の異世界でお役目御免となるじゃろうのう。青神の頼みを聞き入れて、赤魔族を、2人異世界に入れ、ジュンの声を使い、死ぬべき人間を助けたのじゃからのう。死んだ人間が喋る事などある訳ないのじゃ。

そして、青神もこの異世界で、首になるじゃろ、私達神は人間界にいる人間に声を届けてはいけない。

青神はその約束をやぶり、ましてや勝手にスキルの本にロックを、かけた。全くアホな神どもじゃ。特定の人間に情がうつるなんて。

だから、ワシも、この異世界で一緒に終わる事にしたのじゃ。

だから今日は特別じゃ、下を見てみなさい。 ””””


オレは宙に浮いている状態で、振り返ると


下にあのジュンが死に、ケンスケが意識不明になってる病院の屋上が見えている。


これが緑神様の目線なのだろうか?


屋上には、オレとマイミが、手を繋いでいる状態で時間が止まっていた。


““““ 人間に未来など見せてはいけないなど知れた事じゃろうに。いいか?キッドよ。これが赤神が助けなかった時進んでいた未来じゃ。よく目に焼き付けるがよい。そしてその行動によりその周りの人間がどう変わって行くか。 ””””


オレがこの先マイミとどんな事が起こっていたか、想像がつくがゆえに生唾を飲んだ。


““““ではのう。見るがよい。””””


止まっていた時間が流れ始めた。


下ではあの時とまるっきり同じ光景が、繰り広げられていた。



『お別れは出来たか?マイミ、、、』


『うん、、、。大丈夫、、、。』


『1歩前に出るぞ。』


『うん。』


オレとマイミが手摺りを超えて、後ろで手摺りを掴んでいる。


『楽しい人生だったか?マイミ?』


『昨日に戻りたい。』


『オレはあの日から、やり直したい!』


『じゃあ手を離すぞ!』


『うん、、、。うっうっうっ。』


そして、2人は手を繋ぎ病院から飛び降りた。


その映像はかなり強烈な物だった。


人が死ぬ現場を見る事が。


ましてや片方はオレだ!


『なんて弱いんだオレは!』


““““でもな。こうなっておったのじゃよ。しかも、キッドお主は、マイミが自殺しなければ、お主は死ななかった。お主は優しすぎるのじゃ。優しいも度を越え過ぎて一緒に死んでやるなどもう、狂気のさたじゃ。

だから、青神がほっとけないのもわかる。2回とも自分本意じゃなかったのだからのう。

お主の口調、態度は弱さゆえの張りぼてじゃ。もっと心を鍛えねば押しつぶされるぞ。””””


『緑神様オレにこんなのを見せてどうしてほしい?』


““““青神も自殺する人間を救う為にやって、卒業もしない青魔族が自殺するなど前代未聞じゃった。

赤神も厚生させなきゃいけない人間が良い行いをして、殺される!

これも、前代未聞じゃった。

どうせ、罰をくらうならと手を組み、世界の、理を破り、お主達を救ったのじゃ。

ワシもあの異世界を見てきたからのぅ。赤神、青神に加担する事にしたのじゃ、2回も命を救われたのはマイミと、キッドお主達以外おらん。

100万倍つらい死後の世界はお主が鈴木さんを、傷つけたなんて生易しいもんではないのじゃぞ。

せっかくワシ達がお主達を全員笑って異世界を終わらせるようにしておるのじゃ。神達に恥じぬ様に頑張り、最高のエンディングをワシ達にプレゼントするのじゃ。ワシ達はその光景を見ながら一杯やるつもりじゃて””””


『緑神様!1つだけいいか?』


““““なんじゃ?。””””


『オレは青魔族にまたならなきゃいけない!ちゃんと同じ日に同じ事したら、なれるのか?それでオレは死んだりしないか?』


““““そこらへんは心配しなくて大丈夫じゃ。じゃがのう、わかっておると思うが、壮絶な痛みじゃぞ。””””


『わかってる!』


““““では大丈夫じゃ。必ず私達神が確実に異世界に転生させる!今はプレイヤーになって、モンスターを狩って、心の傷を癒すとよい。この異世界はモンスターを狩る事で、心の傷は減る様に出来ておる。ワシ緑神と、青神は赤神と違い初日しか会えない!なんか聞きたい事があれば今のうちになんなりと聞くがよい。””””


…この際だ聞いておくか?色々。


『なんで、青魔族と赤魔族は体が光るんだ?』


““““それは、さっきも言った通り罰じゃからのう!命を粗末にした罰じゃから、しょうがない、そういう仕組みじゃ!赤魔族は人の命を奪うのに加担したのじゃから、命の重さを身をもってしるのに、痛覚が普通になっておる。そういうわけじゃ!””””


『もう2、3個いいか?昨日のオレの行動は無駄にならなかったのか?鈴木さんは、、、。ミッキーはちゃんと異世界に来るのか?』


““““大丈夫じゃ。お主の涙と鈴木さんの心の傷は無駄にはならず異世界に来れる””””


『そうか、、、。それだけ聞いて少し救われた。じゃ最後の質問だ!全てが終わった時、オレはオレが好きになれるか?』


““““先は長いが、大丈夫じゃ。ワシ達が追放されても、この異世界が終わるまでは私達神が担当する!だから、みんなは必ず幸せに結末を迎えさせる予定じゃ。その幸せは、人それぞれ形は違うがのう。これだけはでも言っておく、先は長いぞ。お主が、やっと終わったと思う日は来ると思うが、まだまだ先じゃ。それまで、未来に来てる事をバレずに、その言葉に気をつけて4年頑張るのじゃ。4年過ぎれば、どんな話をしても問題は無い。ではのう、キッドさっきの続きを見なくてはいかんな。””””


下が病院の姿から、ケンスケがいる病室に瞬時に場面が変わった、。


外には桜が咲いている。


…春か?


…まるで幽霊だなオレ


そこには、ケンスケに一生懸命心臓マッサージをする医者の様子と横で泣くレイの姿があった。


オレ、マイミ、ジュンが死んでも、レイの性格だから、ケンスケさえ生きてればと必死に頑張って乗り越え奇跡を待っていたのだろう。


しかしその願いは虚しく届かず

その映像は悲惨だった。


そして、レイが家に歩いて行き、


風呂にお湯をはり、思い出の写真を全部湯船に浮かべ、赤ちゃんのエコー写真や赤ちゃんに履かせる予定だった靴下なども一緒に湯船に浮かべ服のまま、風呂に浸かり、泣きながら手首を切った。


『むごすぎる、、、。こんなの。』


““““キッドお主だけは見ておかなくてはいかん。お主が変えようとしてる未来はこんなのじゃという事を””””


次、次にそれ以外のメンバーが映し出された。


引きこもりになってる者。


ウツになってる者。


誰1人楽しそうに笑ってる者はいなかった。


““““無駄な死は、周りにもこれだけの影響を及ぼすのじゃ。ジュン、ケンスケはまだしょうがないが、マイミ、キッドお主達は無駄な死じゃ。いかなる理由であり、自らの死で解決してはならんのじゃ!お主達は死んで何も考えずに済むからよいかも、しれんが、残された者はかわいそうじゃのう。””””


『確かに、オレは弱い!弱すぎるな!今度4年後異世界のみんなに会ったら、馬鹿がつくくらい、みんなを笑わせて、ムードメーカーになるわオレ!それまではあまり目立たず、人間界では大人しくしとくよ。緑神様。』


““““それが、懸命かものう。キッドよ。わしからのプレゼントじゃ取っておくがよい。””””


『カバンか?』


““““あのスキルの本を入れてある。常に異世界では肌に離さずもっておるとよい。””””


『わかった。ありがとう緑神様。話しただけでも大分楽になった。異世界のみんなが幸せになれるって話も凄い勇気貰えた!緑神様ありがとう。次はいつ会えるかわからないけど、人間界でも、異世界でも、1人でも、頑張るよ!それと、青神様にいつもありがとうって伝えて欲しい!そして赤神様に、ジュンとマイミをオレは必ずくっつけて、結婚させるから見てて欲しいと、そう伝えてくれ!』


““““わかった伝えておく。2人ともきっと喜ぶじゃろうて、ではキッド行って来るがよい。””””


『じゃあ行って来ます。』


次元が歪む。


そして、オレはプレイヤーとして、初めて異世界に行く事になった。


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