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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
195/534

53話

「私は 二宮 美樹! 鈴木 美樹から二宮 美樹になったんだよ。」


…ミッキー!


わかってしまった。自分のやらねばならない事が。


昔の自分は、ここで暴言を鈴木さんに吐いた!


別に深い意味はそこに無かった。


しかし、その言葉を受け取る側からしたら、もの凄いショックだったのかもしれない!


何年も好きだった相手に、勇気を出して告白し、


返ってきた言葉が、気持ちわりーんだよ。メガネブス!!


こっちからしたら大した事ない言葉だったとしても、


受けとった鈴木さんは、その言葉を何年も乗り越える事が出来ず、何年も引きずり、自分ではどうしようも出来ず、異世界に来たのかもしれない!


自分の吐いた軽はずみな発言が、


相手にトラウマを与えるくらい傷つけてるなんて思って無かった。


でも逆の立場になって考えるとわかる!


今くらい鈴木さんが好きで一生懸命チョコを手作りで用意して、


呼び出すのも足が震えるくらいの勇気を出して、


そして、死ぬ程の勇気を出して告白したら好きな人にあんな暴言吐かれて、


前の鈴木さんはこの暗い田んぼ道を1人で帰った時どれだけの涙を流した事か、、、。


そしてこれからオレがやらなくてはならない事それに絶望すら感じる。


それは、それと同じくらいのトラウマをまた、鈴木さんに与え、


異世界に来てもらわなきゃいけない事だった。



だからオレの夢のグロックの戦いにミッキーだけがいなかった。


このまま行くと鈴木さんのトラウマが出来ない未来に進むから。


幸せなままの鈴木さんで未来に進んでしまう。


そうすると、鈴木さんは異世界にプレイヤーとして転生されず


グロックに、フリージングブライトを使えず仲間がいない状況下で、戦いに負け、ゴブリンのジュンが首を斬られて死んだと言う未来の夢が見えたのだと思う。


オレの望んでスキルの本を開いた未来にはミッキーが絶対必要不可欠だった!


ミッキーとして、あそこの場所に居させないといけないって事は、暴言を吐こうが、どれだけ酷い事を言おうが、


同情すらしてはいけない!


本気で言わないと鈴木さんが異世界にこれないという最悪な状況だった!


しかも4年!鈴木さんが、異世界に転生されてくるまで、会う事も出来ない!


4年後に異世界に来て欲しいから、

今から鈴木さんの事、気持ちわりーんだよメガネブスって言うからなんて言ったって、誰が心に傷を負う?


そう、今までの頭痛と夢は、


鈴木さんに心の傷をつけないと、こうなるぞという未来の夢だったのだ。


…ミッキーをあの場に居させないといけないって事は、


…こんな大好きな鈴木さんに、また言うのかよ気持ちわりーんだよ。メガネブスって、、。


…言えるわけねーだろ!こんなに大好きなんだぞ!


…どれだけ救われて来たと思ってる!


…どれだけオレに尽くしてくれた?


…そんな世界の誰より愛してる鈴木さんが今初めてオレの支えを期待して、待ってるのに


…そんな大好きな人になんで、、、


…何を言わなきゃいけない、、、。


…家族関係で、今鈴木さんは1人で苦しんでるんだ!


…お父さんとソリが合わず必死にもがき、泣きそうな状態で悩んでいる


…それでも1人で頑張って、立って、考え、でも上手くいかなくて辛くて今日オレに悩みを打ち明けてきたんじゃないか?


…オレが今言わなきゃいけないのは、必死に受け止めて励まし、オレはいつでも鈴木さんが、好きだから寂しい時は電話して来い!いつでも話を聞いてやる!いつでも慰めてやる!泣きそうなら飛んで行ってやる!鈴木さんを思う気持ちを今日わけてあげる事が正解なはずなのに!


…なのに、なんで、よりによって、今日なんだよ、、、。


…よりによって、ミッキーが鈴木さんなんだよ、、、。


…1億2000万分の1の確率が鈴木さんかよ、、。


…そんな確率じゃねーんだよ!


…結ばれる運命の確率が1億2000万分の1じゃなかったのかよ、、、。


…運命なんて言葉もう大っ嫌いだ!


…だって本当に運命の人だと思ってたから、、、。


…一生一緒にいてもいい相手だと本気で思ったから、、、。


…自分がお母さんに怒られるのをわかっていながら、先生にくってかかってうちらの関係を肯定したんじゃないか。


…女の子の顔に傷を作ってまで寺島からオレをかばってくれた。


…そんな彼女いるか?普通?


…いねーだろ!


…世界どこ探したって鈴木さんしかいねーだろ!


…なんでだよ!


…オレが心の傷から逃げようとしたせいなのか?


…自分のトラウマから自分だけ逃げようとしたから、こんな事になったのか?


…もうスキルの本も4日と、4時間しか残ってない。


…4日じゃなんの意味もないんだ!


…7ヶ月戻らないと!


…4日じゃ、だって、、、


…4日じゃ全然足りないんだ!


…4日じゃ大好きなままだから。


…4日じゃまだ愛おしすぎるんだ、、、。


…たった4日戻ったって思い出が、、、。


…楽しい思い出が多過ぎるだろ!


…4日戻ったって、4日じゃ、嫌いになれねーよ。


…もう、自分が死ぬより辛いよ。


…こんなの優子の時より残酷じゃないか、、、。


…こんな日の為に一緒に愛を育み、


…たくさんキスもしてきたわけじゃないのに。


…オレは、、、鈴木さんと、、、一緒に人を救いたかったんだ、、、。


…でも、、、これからオレがやろうとしてるのは殺人レベルの酷い事だ、、、。


…そんな酷い言葉!


…オレが言わなきゃいけないのかよ、、。


…あんな今弱々しい鈴木さんに、、、。


…まるで震える子犬じゃないか、、、。


…しかもなんで今日、、、。


…4ヶ月なんて使わなきゃよかった!


…あのまま、知らずに過ごしていればよかった!


…こんな結末が来るなら。愛なんて知らなきゃよかった!


…何回大好きと言い。


…何回大好きと言われ、暖かい気持ちを貰ったか、、、。


…何回キスをして、、、


…何百回お互いの気持ちを確かめたか?


…1日も鈴木さんを考えない日は無かった。


…いてくれて当たり前だったから。


…病気や死以外で別れが来るなんて、思わなかった。


…遠くに行っても気持ちが繋がっていればやっていけるのに!


…気持ちを切り離さなきゃいけないなんて、、、。


…そんな鈴木さんに、ありがとうと本気で言ったか?オレ!


…感謝の気持ちを真剣に伝えたか?


…感謝の気持ちも伝えずそんな事言わなきゃいけないオレなんて、、。


…死んでしまえばいいオレなんて!


…死んでしまえばいい!こんな未来を歩こうとした7ヶ月前のオレ!


…大っ嫌いだ!木戸貴光!おまえが!


…その名前が、、、。


…運命が、、、。


…顔が、、、、。


…全てが、、、。


…いつも周りを泣かせて不幸にする、、自分が、、、。


…だい、、きらいだ、、、、。


…ジュン!おまえならどうする、、、?


…マイミと付き合って、トランプのタワーみたいに2人で一緒に1つずつ思い出を積み重ねていって、、、。


…まだまだ、これからもっともっとお互いが、好きになってタワーが高くなって行くのが楽しみな時に、


…彼女を、殺すような言葉を浴びせて、トランプのタワーを1人で破壊し、理由も言わず消えるみたいな事。


…ジュンおまえなら、どうすんだよ。


…やれんのか?


…、、、、、、、、、、、、、。


…おまえ死んでるんだもんな。


…死んでたら何も出来ないよな。


…死んだら何も話せないし、死んだら終わりだけどよ。


…でも、、、。


…でもよ!ジュン!生きているのも相当つれーぞ、、、。


…頑張っても、努力しても、報われない辛い事しかない人生だわ!オレ!


…ねぇちゃん!歩けなくして、、、。


…鈴木さん傷つけて、、、。


…結局、、、学校も落ちちまった、、、。


…なんの為に自分のエゴで4ヶ月使って、過去に来たのかな?


…やるしか、ねーかもしんねーけど、、、。


…やったら、オレの周りに人はいなくなる。多分。


…きっとみんなに攻められ、、、。


…それでも、、、言い訳もいえず、、、


…1人になるんだわ!多分。


…壮絶な孤独が待ってるんだろうな、、。


…ジュン!なぁ、4年後、、、。



…おまえだけでいいよ、、、。


…キッドよくやったって、、、。


…オレに言ってくれよ、、、。


…1人でも頑張るから、、、。


…みんなと約束したから、、、。


…辛くても優子の時みたいに逃げちゃダメだ!


…ジュン、、、。友達だよな。



…まだこの世界でオレらは知り合ってもいないけど、、、。


…もう、、友達だよな、、、。


…オレはおまえとおまえが作った友達の為に、、、進むよ、、、。



鈴木さんが、腕を引っ張っていた。


「木戸君。木戸君が、良ければ今すぐ電車乗って違う街行こうよ。2人でなんとかやってこうよ。」


『うるせぇー!』


オレは引っ張るその手を振り払った


「木戸君?どうしたの?」


…もういやだ、何も言いたくない。


『行くわけねーだろ!気持ちわりーんだよ。メガネブス!』


「なんで、、、木戸君、、、なんで、、、そんな酷い事言うの、、、信じない。」


…終わりじゃねーのかよ!


…前は気持ちわりーんだよ。メガネブス!しか言ってなかったじゃないか、、、。


…それで終わったじゃないか、、。


…これでも辛いの我慢して本気で言ってるのに、、。


…なんで頭痛が消えないんだよ!ちくしょー!


…どれだけ傷つけなきゃいけねーんだよ!


…もうやだよ!


…これ以上言いたくないよ!


…泣いてるじゃんか!鈴木さんが!


…大好きな鈴木さんがオレのせいで、目の前で泣いてるじゃんか!


…これ以上泣かしたくないよ。


…好きだから!大好きだから。


『はぁ?行かねーよ!おまえとなんか、、、。』


「どうしたの木戸君、、、私が受かって、、、木戸君が落ちたのが、、嫌だったの?」


…そんなんじゃねーんだ!


…そんなわけねーじゃんか!


…そんな事で怒る人間じゃないの鈴木さんわかってんだろ?


…違うんだよ、、、。


…全く理不尽過ぎるんだ。


…何も、、、かも、、、全部。


『勝手にどこでも行っちまえよ!』


「木戸君、、、嫌だよ離れたくない。ずっと木戸君といたいよ。一緒にいてくれるって言ったじゃない。」


…もう消えてくれないかオレの頭痛!


『オレはそんな風には思ってねー!もう終わったんだ!』


「だから、嫌だって、、木戸君、、、、、小説の、、、あれでしょ?うっ、、ヒック、、、、訳あって、、、別れるみた、、、いな、、ヒック、、、やつでしょ、、、?」


『ちげーよ!もう、、、もう、、、』


…駄目だ涙が見えちまう!


我慢の限界だった!


1番大好きな人に1番言いたくない事を言わなきゃいけない地獄に、。


溢れて止まらない。


とめどなく流れてくる涙が。


我慢じゃどうにもならない時がある、、、。


涙を殺す為に必死に、歯を食いしばり、


爪が手のひらに刺さり、血が出るくらい拳を強く握り、


オレはフードを深く被った!


涙を見せない為に深く深く!


…泣いてる声を出すな!


『もう、、、もう、、、』


…無理だ!好きなんだ


…喉が震えるのがとめられない!


『もう、、嫌いだ!、、、嫌いだから帰れよ!』


「だから、、、信じないって、、、そんなの、、、このペンダントに永遠って書いて、、、あるじゃん!木戸君!私は大好き、、ずっと」


…、、、知ってる、、、それが本音だから、


…永遠に一緒にいたいから、そのペンダント選んだんじゃん!


…駄目だ悲しんでたら終わらない!


…オレだってもう限界だ、もつわけない!!


…言ってる方だってどれだけ辛いと思う?


…好きなのにいつ終わるかわからない相手に暴言を吐き続ける地獄がどれだけ辛いか。


…そして、泣かせてる罪悪感がダブルで来るんだぞ、、、。


…ジュン頼む力貸してくれ、、、。


『はぁ?』


オレはネックレスをひきちぎった!


「それ、、、すてたら、、、私、、、自殺するから、、、、。」


…青神様!どうしたらいい?


…彼女が自殺するって言ってるんだ!


…まだやらなきゃダメなのか?


…鈴木さん!もしオレのせいで自殺して死んだら、


…オレも死のう、、、。


渾身の力を振り絞り口を開いた。


『おめーなんか、遊びだ!全部7ヶ月!遊びなんだよ、、、。キスもやりたいからやってやった!たんなる好奇心だ!好きなんて、、、思ったこと、、、1度もねーー!死にたきゃ勝手に死ね!気持ちわりーんだよ。メガネブス!側に来んじゃねーよ!前から暗くて気持ち悪かったんだよ!本気になって馬鹿じゃねーの?いつも1人だから相手してやっただけだ、おまえなんて、顔も見たくねー!!親父がどうしたよ?知らねーよ!そんな事!遠くでもどこでも行きやがれ!このクソメガネ』


ドックタグを田んぼにぶん投げた。


「うわーーー!」


鈴木さんが頭を抱えて泣きながら発狂しうずくまっていた。


オレの頭痛は引いていった。


オレはそのまま、後ろを向き歩き出した。


「いか、、ないで、、。」


後ろで鈴木さんの声が聞こえる。


今まで我慢した涙が滝のように流れた。


歯を食いしばって後ろを振り返らず前に進んだ。


…鈴木さん、、大好きだった。


…たった、、、7ヶ月だった、、けど、優しくて、、、真面目で、


…それでいて、、、一途で可愛かった。


…初めは体育から始まって、、、ハンカチ貸して貰って、


…オレが0点でキレて、、、テストの紙を捨てたの拾って、、、わざわざ赤ペンで直して母ちゃんに届けてくれた。


…それから図書館に初めて、、、


『うっ、、、うっ、、、。』


…図書館で、、一緒に勉強して、、、、、。


…今日の場所で初めてキスしたんだったな、、、。


…緊張した顔が余計かわいかったな。


「いやーー!!いかないでーー!!いやーーーー!!!」


…ダメだ後ろを向いたら無駄になる!


…行くんだ1歩ずつ。


進んだゆっくりだけど。


1歩進むたびに鈴木さんとの思い出が7ヶ月とはいえ、走馬灯の様に駆け巡ってくる。


…そうだ、プールも、、行ったな。水着姿が最高に、、、可愛かった、、、。


目が涙を流し過ぎて痛い。


…受験、、、終わった、、、後のデート、、、楽しか、、、ったな。


…その後、、、ハル、ねぇが、、、足怪我した、、、時も、、、自分の事みたいに、、、、励まして、、、くれて、、、。


…優しい、、、。


…優しい、、、人だった、、、、。


…誰より、、、オレ、、を、、理解して、


…誰、、より、、、オレを1、、、番に考え、、、てくれた、、、んだ。鈴木、、、さんは。


…なん、、だよ、、、楽しい、、、思い出、、、しか出て、、、来ない、、、じゃないか、、、。


…自分で、、、別れ、、、といて、、、。


…全然、、、大好き、、なまんま、、、じゃねーか、、、。


…死ねば、、、、いいのに!こんな、、、クソ男!


…鈴木、、さんを、、傷つ、、、ける馬鹿野郎、、、は、、、本当、、、死ねば、、いいのに、、、。


…もう、、辞めよう!人と、、、話すのは、、、。


…も、、う、、、人と仲良く、、、なるのは、やめよう、、、。


…もう、誰、、、とも、、、オレは、、、話さない。


…家族とも、、、最低限、、、、の、、、会話、、、しか、、話さない、、、。


…もう、、、どう思われて、、、、もいい。


…これ以上、、、、なんかあれば、、、、マイミと約束した、、、、2度と自殺しないって、、、約束が守れる、、、、気がしない。


…だから、最低限、、の事だけ、やって、、、、、4年過ごそう!


…もう人と話すのも、、。


…感情の、、、、喜怒哀楽も疲れた、、。


…疲れたよ、、、ジュン、マイミ、。


…今すぐ、、、よくやったって言ってくれよ、、、。


…誰でもいい、、、。


…誰かオレを、、、。


…オレを理解してくれ、、、、。


オレはふらふらのまま家に帰り、


部屋に入り、初めて自分の部屋の鍵をかけた!!


当分部屋から出ないつもりで鍵をかけた。












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