52話
『うわっーー!!』
『またその夢か?もういいよグロック!おまえに首をはねられるのはわかったから!そういう事なんだろ?青神様!学校に行ったらジュンが死ぬんだろ?』
『青神様!そんなに夢を見せなくてもわかったから!「ははは、よくやったけど残念だったな。」って4年後の異世界でグロックが言うんだろ?
違うんだろ?その未来はオレが望んだ未来とは。
青神様!その夢を無視して、進んだらオレは一体どうなる?
自分が望んだ未来を捨てて、今なりたい弁護士の未来に向かって学校に行ったら、一体過去に行ってるオレはどうなるんだ?青神様!あの時みたいに答えてくれよ!今日がターニングポイントなんだろ?今日が分岐点なんだろ?』
独り言だけが、虚しく部屋に響いた。
…頭めっちゃ痛い!
…今何時だ?
時計はPM7:15を指していた。
…いかなきゃな!
…2つは選べない!
…頭痛の酷さはそれを言ってるんだろ?
…それはわかった青神様!
…大丈夫だ!学校に行けなくても
…鈴木さんと違う学校に行っても、一緒にさえいれれば、弁護士にはなれる!
…めっちゃ辛いけど、
…1つずつ片付けよう。
…1番辛いのはハルねぇに言う時だな。
ため息しか出なかったが、とりあえず、封筒を持って家を出た。
ゆっくり待ち合わせ場所に歩く暗い街灯が気分を一気に下へ下へ引きずり降ろされる!
…この日は幸せになれない日なのか?
…なんでまたこの日でこの時間なんだ!
…2人で幸せの報告をする為に今までやって来たのに。
『はぁ。』
街灯の下にはもう、鈴木さんがいた。
…腹決めなきゃな!
…ジュン、マイミ、レイ、ケンスケ、そして、オレの命がかかってる!
…生きてさえいれば別に学校に行かなくても幸せにはなれる!
…死んだらおしまいだ!
『お待たせ!』
「木戸君、、、。」
鈴木さんの表情が、やたら暗い。
テンションが低すぎる!
『どうした、元気ないじゃんか?』
「うん。ちょっと報告しなきゃいけないことがあって、封筒開けたら言うね。木戸君こそ、元気無いよ、、、。」
『じゃあオレも封筒開けてから話す。』
…くっ!頭痛ぇー!
「木戸君の封筒ちょうだい。」
『はい。じゃあこれオレの』
お互いに封筒を交換した。
『開けるぞ!』
「うん!」
『せーので、いいか?』
「うん。」
『「せーの!」』
【ビリビリ。】
…だよな!鈴木さんだもんな!
『鈴木さんおめでとう!合格だって。流石だな!』
オレは合格の書いてある紙を広げて、
鈴木さんに、見せた。
「なんて、、酷い、、、逆ならよかったのに、、、。」
鈴木さんが見せてくれた紙には不合格と書かれていた。
…不合格なのか、、、。むしろよかったのか?
…じゃあ夢はなんだったんだ?
『鈴木さん、、言わなきゃいけない事って、。』
「私、、、お父さんの仕事の絡みで引っ越さなきゃいけなくなったの、、、さっき電話が来て、、、。だから、学校に受かったけど、一緒に行けないの。離れるの嫌だよ。あんなお父さんが側にいるのに、木戸君が、いるから頑張れるのに、離れたら、私はどうしたらいいの?」
『遠いのか?』
「うん。遠い。嫌だよ離れたくない、、、。1人じゃあんな家に居たくないよ。木戸君。木戸君がいないと、私は駄目になる。どっかこのまま行こうよ、、、。2人で誰からも何も言われないとこに、そこで暮そうよ。」
…なんて言えばいいんだよ!
…オレだってずっと一緒にいたいにきまってるだろ!
…なんだ!なんで頭痛が引かない!
…頭痛は関係ないのか?
…これ以上痛くなったら頭が割れちまうぞ!
…んっ?
…んっ!?
…冗談だろ?
オレは封筒を見た。
「鈴木さん。新しく再婚したお父さんの名前って、、これ、、。」
封筒を指差して見せた。
「私は、、、。」
鈴木さんが新しい名前を言った途端!
頭痛の意味!
夢の意味がわかってしまった。
…そんなの酷すぎる!
…それはあんまりだ!
…オレが原因だったのか?
…おんなじ事すんのか?
…そんなの出来るわけねーだろ!
そう彼女の新しい名前、
それは、、、。