5.4話
『よくきたね。まあ座って。』
この、ワニを二足歩行にしたようなモンスターの族長。
もはや、人間が転移して、モンスターになってるという、雰囲気ではなく、
元々、モンスターで、たまたまモンスターの言葉をしゃべっているという。
そのくらいの雰囲気だ。
『マイちゃん。昨日は、村に戻ってこなかったけどどうしたの?』
『昨日は光るまで、まだかなり時間があったから、村の外を散策にいったんだけど、プレイヤーにみつかっちゃって、、、。』
『殺られたの?』
『また殺られちゃった。』
『懲りないねー。』
殺された事を普通に話している、、、。
…あんなに痛いのに、
…よく笑って話せるな。
…オレなんかは、殺される事痛くて、恐怖でしょうがないのに。
『あっそうそう。族長!その時ね。私を助けようと飛び出しできたのがこの人!
あっ!そうだ、私達人じゃなかった。よく間違えるんだよね。ははは。』
『なるほど。そうか君が。名前は?』
『ジュンです。』
『ジュンくんでいいかな?』
『ハイ。』
『私はこの村で84代目の族長をやっている。テリーだ。もちろん偽名だが。
魔日数18日目の族長だ。』
『魔日数ってなんですか?』
『ジュンくんは、この世界の事全然知らないのかい?』
『ハイ!ほとんどわかりません。』
『そうか、自分がわかる範囲だけしか話せないけど、少し長い話になるかもしれないがいいかな?』
『ハイ!お願いします。』
『ジュン君は神様にあったかい?』
『ハイ。』
『まあここにいるみんなが会って、あの月を見て、うちらも、ここにいるのだけど、魔日数ってものがあって、
うちらは何もなければ、30日で、この異世界を卒業して、人間界に戻れるって話だ。
みんな30日で卒業して行き、新しく来た者に、ここの族長を任せ、ここを守る術を伝授しながら、この村を守りながら去っていくのさ。
だからは自分は、84代目族長なのさ。』
知らなかった自分が聞きたい情報が次々と聞ける。
オレは一言一句聞き漏らさないように耳を傾け続けた。
『ジュンくんも知ってると思うが、ここの異世界に来る者は、まともな者はいない。それはみんな自分でもわかっているし、そんな事を他の者に話たいなんて者もいないだろう。
だから、もし、30日平穏にこの村に住みたいのであれば、
人間界の事は何も触れず、いろんな事に協力出来るなら、ここに住める権利がうまれる。
反対に、そんなの嫌だというなら、村を出ていって貰って、魔時間がきても、1人でプレイヤーから、頑張って逃れてもらうしかない。まぁそういう事さ。』
『質問いいですか?、みんなやこの村は、体が光って人間達に見つかる事は無いんですか?』
『この村自体はなぜか、プレイヤーに見つからないようになっているみたいだ。それがこの世界の設定なのか、なんか霊的なものかはわからないが、人間はここには辿りつけない。
しかし、村は見つからないが、魔時間が来て腕が光ると、プレイヤーのマップにはうちらの位置は知れてしまう。1人でも魔時間中にプレイヤーにここまで接近されると、村ごと見つかって狩られてしまう。
だから、卒業していった先輩方がプレイヤーの村から、盗んできたのかなんだかわからないが昔からスキルの本があって、これを半日かけて覚えると魔時間の気配を消す事が出来るのだ。』
『それは凄いですね。』
この異世界に来て久々に胸が高揚している。
初めてマイを見つけた時以外、この異世界でロクな事が無かったので、
素晴らしい情報に胸の高鳴りが抑えきれない!
だって、このスキルを覚えたら、
もしかしたら、
もしかしたらだけど、
死なないで人間界に帰れるかもしれない!
そんな今までとはいえまだ2日だが、絶望以外考えられ無かったこの異世界に光が見えた気がしてしょうがなかった。
『マイちゃん。ジュンの魔時間までの時間が無い!キッド呼んでくれるかい。』
『はい!わかりました。』
そういうと、急いでマイは走って出て行った。