44話
鈴木さんと一緒に病院まで戻って来た。
『鈴木さん。病室入るよ。』
「大丈夫だよ。側にいるよ。」
【ガラガラガラガラ】
病室には、母ちゃん、ハルねぇの他に鈴木さんのお母さんもいた。
オレはハルねぇのベッドの側の椅子に座りハルねぇの手を握った。
『ハルねぇごめんオレが、受験票忘れたせいで。』
「タカ、あなたのせいじゃない、、、。あなたのせいじゃないけど、、、タカがここ最近頑張っていたから、私も陸上で結果残そうって頑張っていたんだよ。
私も必死だったの。タカだけが、輝いていく様なそんな、置いていかれる気がした、、、、。
タカが、、私に弁護士になりたいから頑張るって言った時から、、、私もお母さんに、、、何か、、、残したいって、、、だから、陸上を、前以上頑張ってやっと1月選手に選ばれたんだけどね。もういけなくなっちゃった、、。」
『ハルねぇ。ハルねぇの分のその想いもオレが背負って母ちゃんに返すから、必ず弁護士になるから。』
「タカ、、、。そんなのいいよって言いたいけど、、、みんながいるから、強がって、、、、私のは私が返すから、、、、そう言いたいけど、、、、言いたいけど、、、、、、ごめんタカ、、、、初めて本気で、、、あなたに、、、今は、、、、お願い、、、、、。
まだ、、、まだ、、、前になんて、すぐ向けない、、、。
でもいつか、追いかけるから、、、、わた、、私も、、お母さんが喜んで、、、生んで、、、よかっ、、
、よ、、、よかったって、、、、思ってくれる、、、、道を、、、、必ず、、、、、追いかける、、、、から、、、、。
タカ、、、そう思えるまて、、、、私の思いも一緒に、、、よろしくお願いします。」
『ハルねぇ、いや、姉ちゃん!大丈夫だ!
いつも、小さい時に重い荷物は持って貰った、、、。
なんだかんだ、言って、いつも、、、オレの面倒みてくれた、、、
姉ちゃんがいたから母ちゃんが仕事でいなくても、、、寂しくなかった。
いつも宿題は面倒でも、姉ちゃんがやってくれた。
嫌いなご飯はこっそり姉ちゃんが食ってくれた、、、。
オレが無理して買って来た金魚が死んだ時も姉ちゃんが一緒に埋めに行ってくれた。
家で困った時はいつも、
いつも、、、姉ちゃん、、、
姉ちゃんが飛んで来てくれた、、、、
オレが困ったって言う前に、、。
言う前に姉ちゃんが声かけてくれた。
大丈夫だよ姉ちゃん。ちょっと休んでも、、、たまにはオレが前に行くから、、、
無理して馬鹿なオレの前を歩こうとしなくても、、、もう大丈夫だから。
もう昔ほど馬鹿じゃないからオレ、、。
いつでも立派な姉ちゃんじゃなくても
大丈夫だから、、。
もう姉ちゃんと母ちゃんのおかげで12歳になっかたから、、、。
たまには、、、手を
オレにも手を引っ張らせてくれよ、、、今まで、、、迷惑やわがままばかり言っても聞いて、、、くれたんだ、、、、。
何でも言ってくれ姉ちゃん。
新しい夢が出来るまで、姉ちゃんちょっと充電期間だよ。
前を向いて、歩ける様になった時は、また一緒に歩こう。
母ちゃんに喜んでもらう恩返しする未来に。
その時まで、オレが1人で姉ちゃんのその想い背負って、先に行ってるからさ、姉ちゃん!』
「タカーー。あんな、、、情けなかったのに、、、。馬鹿な事しか、、、しなかったのに、、、いつの間にか、、、立派になって、、、。いつまでも手がかかる弟を私がしっかり、、、導いてあげなきゃって思っていたのに、、、タカに励まされる日が来るなんてね。」
『ハルねぇはどうなってもハルねぇだから!』
「生意気言うんじゃないよ!鼻垂れのくせに、、、。」
ハルねぇが布団を被った。
「ちょっとみんな人に見せれる顔じゃ無いから、また明日来て。私はもう大丈夫。タカやお母さんが居てくれたから、、、もう大丈夫だから、、、。
タカ、、、ありがとう。」
『ハルねぇ!オレなんか何もしてないよ!ハルねぇが、してくれた1万分の1もしてないって。こっちこそ姉ちゃん今までありがとう。』
「タカ!みんなの、前でこれ以上姉ちゃんなかすんじゃない!恥ずかしいでしょ。早く帰って、、、。」
布団の中のミノムシ、ハルねぇが話していた。
みんなで、病室を出て、外に向かい歩いていた。
『これでよかったのかな?鈴木さん。』
鈴木さんも泣いていた。
「何が正解かわからないけど、木戸君らしい優しい木戸君で私はよかったと思う。」
『別に優しくねーって。みんなが優しくしてくれたから、自然と覚えただけだよ。』
オレの母ちゃんと鈴木さんの母ちゃんが前を歩きながら話をしていた。
「木戸君、いい子に育ちましたね。」
「それしか取り柄が無くて、テストはいつも0点でしたけどね。」
「木戸君、あなたになら私の可愛い娘を任せても大丈夫かもね。全然お父さんとは違う優しい人で私も安心したわ。木戸さん。これからも家族ぐるみで仲良くしてください。是非。」
「鈴木さん。こちらこそです。」
「私、再婚する事が決まりました。今度は新しい夫を連れて遊びにきますね。」
「それはおめでたいわ。ホームパーティーは、新しい旦那さんも一緒に、遥が退院してからやりましょう。」
「いいんですか?木戸さん。」
「もちろんです。また遥が落ち着いたら連絡しますね。」
「木戸さん。待ってます。その時は一緒に前約束したお酒飲みましょ。」
「ふふふ。鈴木さん私強いですよ。」
「ふふふ。楽しみにしときます。」
『すっかり、仲良しだな母ちゃん同士。』
「お母さんも仕事ばかりで学校の行事とか行かないからほとんど挨拶するくらいしか深い付き合いの人はいないって言ってたよ。」
『そうなのか。』
鈴木さんがオレの耳によって来た。
「なんか、木戸君!受験受かっても受からなくても今日認められちゃったんじゃないかな?」
逆にオレが鈴木さんの耳そばで小声で返す。
「でも、どうせなら、ちゃんと認めて貰いたいし、一緒の学校行きたいからやっぱ受かった事を報告して、認めて貰いたいかな。」
「木戸君!」
鈴木さんのお母さんが後ろをみてる。
「認めてはいると言っても、私がいる前でいちゃつくのはやめてもらえるかしら?」
『いや、、お母さん、、違くて、、小声で話していただけで、、そんな、、』
「ふふふ。木戸君冗談よ冗談!」
病院の外まで来た。
「遥さんがよくなる事を祈ってます。」
「ありがとうございます。落ち着いたら連絡します。」
『鈴木さんのお母さん。今度また遊びに行きます。』
「いらっしゃい。木戸君なら歓迎するわ。」
『鈴木さん。今日は本当に色々ありがとう。鈴木さんがいたから色々救われた。』
「そう言ってくれると嬉しい。」
「貴光。お母さん達の前であまり、見つめ合ったりされるとどうしていいか困るわねぇ。鈴木さん。」
「そうですね。私の娘も木戸君も、今の小学生は進んでてビックリですよね。」
『じゃあ、鈴木さんまた。』
「木戸君!これありがとうね。」
首のチェーンを持って合図していた。
『お互い分身だと思って大事にしような。』
「うん。じゃあまたね。」
鈴木さんがタクシーに乗り夜道に消えて行った。
『母ちゃん!自転車オレの後ろ乗る?』
「お母さんは鈴木さんより、重いわよ!」
『母ちゃん大丈夫だ!まかせとけ!』
「自転車の後ろなんてお父さん以来ね。懐かしいわ。貴光もいつの間にかこんなに、大きくなったのね。毎日いるから、あまり気がつかないけど、ふとした時にわかるのよね。ホラ!貴光田んぼに落ちるんじゃないわよ!」
『母ちゃんまかせとけって!帰ってケーキ食おう。放置してきたから、溶けてなければ。』
オレは母ちゃんを後ろに乗せて、自分の家に帰った。
その日は満月で、でかい月が遠くに見えた。
…青神様。これでよかったのかな?
…必ず来るこれより辛い未来って超怖えー!
…でも行くよ!青神様!ジュン!マイミ!レイ!ケンスケ!道は違えどお前らはオレが救いに行くから。泣かないで待ってろ泣き虫ども!
『うぉーーー!!!』
こうして、入試の日
2012年12月23日が終わった。
まだオレはこの時もうすぐそこまで、青神が言った壮絶な未来が来てるなんて知るよしもなかった。
まさかそんなどちらか選ばなければいけないなんて。
そんな未来がそこまで来てるなんて、、、。
自分が取った行動でこんな苦しむなんて、、、。
まだ知らないクリスマスイブイブな夜だった