43話
『鈴木さんオレ何も出来なかった。』
「うん。」
『オレのせいで、あんな姿になったのに、何も出来なかった。』
「うん。」
『いつもいつも文句言いながらでも、オレをよく面倒見てくれたんだ。』
「うん。」
『困った時はいつも助けてくれた。
荷物が重いと小さい頃言ったらいつも持って、、くれた。』
「、、、ヒック、、、うん。」
『自慢の、、、姉ちゃんだったんだ。母ちゃんも自慢の母ちゃんだ。
オレは2人に恩返しがしたいと、鈴木さんと出会ってから、、、思うように変わって、、、変わって、、、うっ、、いったのに、、、、。』
「木戸君、、、、、。」
『こんな、、、親不孝な、、、、息子、、、、いらなくない?』
「木戸君、、、。」
『こんなの、、、何償いしても、、、許して、、、、貰えるわけ、、、、、ない。ハルねぇ、、、うっうっ、、、せめ、、、せめて、、、、オレの足、、ヒック、、貰ってくれないかな、、、、、、。』
「木戸君、、、のせいじゃないよ、、、。」
『オレのせいだよ、、、。オレのせいなんだよ、、、、。わかってるんだ、、、。全部オレがあんな風に変わらなければ、、、何が人を救うだ?、、、、ハルねぇ1人救えない、、、、母ちゃん、、、、泣かしちまった、、、初めて、、、あんな強い母ちゃん、、、、いつも、、、オレの為に頑張ってくれた、、、、母ちゃん、、、、、泣かしちゃった、、、、オレのせいで、、、。喜ばして、、、あげたかったんだ、、、オレ、、、、喜んで欲しくて、、、頑張ったのに、、、、こんな、、、結末、、、、酷すぎるよ、、、、、鈴木さん、、、、こんな事ばかりなんだ、、、、、いつも、、、、、、こんな風に上手くいかない、、、、人生しか、、、歩けないのかな、、、、、鈴木さん、、、、、もう助けて鈴木さん。』
「木戸君!!」
がっしり、抱きしめられた。
『鈴木さん、、、。ごめんちょっと泣いていいかな、、、。少しだけだから、、。』
「うん。」
鈴木さんの腕の中で泣いた。
時間が経つと、自然と涙が止まっていた。
「木戸君。大丈夫?」
『あー!もう大丈夫、、。ありがとう。鈴木さんには助けて貰ってばかりだ。』
「ごめんね。側にいるくらいしか出来ない無力な女で。」
『そんな事あるかよ。鈴木さんがいなきゃ立ち直れなかった。オレ必ず弁護士になって、ハルねぇを養っていく。だから必ず弁護士になる。そんな事で許して貰えるかわからないけど、オレは頑張るよ鈴木さん。』
「1人で頑張らなくてもいいよ。私も一緒に頑張るから。」
『鈴木さんには敵わないよ。何回救われたかわからない。いつか100倍お返しするから。』
「うん。待ってる!ずっと待ってる。死ぬまでずっと待ってる。」
『鈴木さん!!』
強く抱きしめあった。
やはり、この人以外ありえないと思った瞬間だった。
好きだとか表現出来る想いじゃない!
もう空気みたいなもんだ!
無いと死んでしまう!
そんくらいオレに必要な存在だ。
痛い時に寄り添って泣いてくれ、
嬉しい時に一緒に笑い、
頑張ってる時は励ましてくれて、
何より自分よりオレを大事にしてくれる。
そんな人鈴木さん以外いるわけ無い!
今まで以上に鈴木さんを大事にしようと思った瞬間だった。
『鈴木さん。もう1回病院に一緒に行ってくれないかな?』
「もちろん。一緒に行くよ。」
オレと鈴木さんはもう1度病院に向かった。
そう現実をしっかり受け止めて、前に進む為に。
1人じゃ多分前に進めなかったと思う。
でも苦しさを半分背負ってくれる鈴木さんがいれば、進める気がした。