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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
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40話

40話


『ちくしょう!』


電車の閉まった扉から離れようと思ったら足に何かが、あたっていた。


…鈴木さんのカバン!


そう思ったら。


もう終わったと思ったオレの未来の扉が開いた。


オレはすかさず飛び乗った!


『鈴木さんありがとう。』


「よかった木戸君。でも私いけない事しちゃった。」


電車内放送で飛び込み乗車はやめてくださいと、オレに向けてだと思われる放送が流れていた。


1度は閉まった未来の扉を開けてくれたのは鈴木さんだった。


未来を変えさせないように誰かが動いていても、


その力より強い愛でなんとか乗り越えた!


…いける!鈴木さんがいれば、オレの未来は変わる!


2人は無事目的駅に着き、とりあえず時間には間に合いそうでロータリーまで歩いて来た。


色んな人がいる。


そりゃそうだ。試験日なのだから。


「木戸君!お兄さんに支えられながら来てる子もいるよ。」


『お兄さんの方は、ここの学校なんだろうな、、。妹さんも受かりたいよな。』


「そうだよ。みんな受かりたいんだよ。」


その時その兄妹と目があい、お互い情景反射的に会釈した。


「頭が良さそうな兄妹さんだね。」


『そうだな。オレ達も負けてらんないな!2人の輝く未来の為に!』


「うん。もちろんだよ。」


そして鈴木さんが扉を、カバンで、開けてくれたおかげで試験会場に間に合った。



そして、無事試験を昼前に終えた。



「どうだった?木戸君。」


『いや、まあまあ出来たと思う!』


「頑張った甲斐があったね。」


『2人とも受かっていたらいいな。』


「そうだね。その為に一生懸命勉強したもんね。」


『試験も終わったし、街で遊んでから帰ろうぜ』


「木戸君!デートのお誘いって事でいんだよね?」


『ああ!もちろん!たまには、はっちゃけるのも必要じゃね?』


「行こう!」


『行こう!ホームパーティまで時間は、たっぷりある!』


誘ったオレが逆に鈴木さんに手を引かれ街へ繰り出す。


プリクラを取り、


クレープを半分ずつ食べながら歩き、


街をブラブラ歩いていた。


楽しかった。


今の時が永遠に続けばと思った。


『鈴木さんちょっと待って。』


そこはドッグタグが売ってるペンダント屋さんだった。


兵隊とかが名前を打ち込みネックレスみたいに首からかけるアレだ。


普通なら通り過ぎていたかもしれないが、目に止まったのは、


ハート型ドッグタグ!


ペアーで名前を掘っていかがですか?と書いてあるその謳い文句と、そのレアな形に惹きつけられた。


電車賃のお釣りは取らなかったが、財布は持っていた。


金も持っていた。


『鈴木さん!これ買っていい?』


「私そんなにお金無いよ。」


『もちろんオレからのプレゼント!明日クリスマスイブだから、イブイブのプレゼント!ってか、どれだけオレが鈴木さんに救われたかわからないし!』


「私なんか何もしてないよ、ここまで来たのは木戸君の実力だよ!」


『そんな事ない!鈴木さんと出会えてなかったら、オレは受験しようなんて思わなかった!勉強なんてしなかったし、弁護士になりたいなんて、思わなかったはずだから!オレからあげたいんだ。』


「嬉しい。」


オレと鈴木さんは店に入りペアールックのハート型のドッグタグを注文した。


右側に自分の名前の英語を


左側に鈴木さんの名前の英語を


そして、もう一言何か言葉を入れれるのを選べますよと言われた。


「木戸君どうする?」


『オレはこれかな!』


「私はこれっ!」


2人が同じ言葉では無かった。


オレは永遠という意味のeverを


鈴木さんは真実という意味のtrue


を選んだ。


『まぁ2人らしいな!』


「そうだね。」


「ではお客様、出来上がるまで30分かかりますので、30分後来てください」


そう店員さんに言われた。


『じゃあ昼飯マックでも行こうよ!』


「いいよ。」


2人はマックに入った。


マックで注文をして、席に座った途端、昔の記憶がフラッシュバックする!


…あのマックでみんなと、時系列を覚えてから4ヶ月か、、、。


…長いようであっと言う間だったな。


…とはいえまだあと4年か、


…長げー!!


「木戸君!木戸君!」


『あっ!ごめん!なんか言った?』


「木戸君ってたまに思いにふける時があるよね?」


『そう?そんな事ないけど、まぁボーとしてる性格のせいじゃないかな?』


「そうなの?それじゃ、天然の響君の事言えないね。」


『ははは。そうかもしんない。』


2人でマックで昼食を済ました。


『鈴木さん。今何時?』


「あっ!試験だから携帯切ってたんだった。」


『いいな。オレも携帯欲しい!母ちゃん買ってくんないかな』


「あっ!もうすぐ30分経つよ。」


『じゃあ行こうか?』


「うん。でもちょっと待って、不在が来てる。あれっ木戸君のお家と木戸君のお母さん。」


『別にもう何も忘れ物は無いぞ!ドッグタグ取りに行きながら電話しよ。』


「うん。」


マックを出て、ドッグタグ取りに向かった。


「木戸君。出ないよ。木戸君のお母さんの方は圏外。」


『ホームパーティだからケーキでも買ってきてくれとかかな?』


「そうかな?じゃあ買っていく?」


『いいよ。買ってこうぜ、別にそういう電話じゃなくても、あって困るもんじゃないし!』


「初めてのホームパーティ楽しみだね。」


『だな!鈴木さんのお母さんとオレの母ちゃんが仲良くなってくれて嬉しいよ。』


話しながら歩き、アクセサリー屋さんに戻って来た。


「ハイ!こちらになります。」


『めっちゃ!いいじゃん!』


「すっごいかわいい!凄い嬉しい。かけて木戸君。」


『ここでか?恥ずかしいな。』


貰ったドッグタグを鈴木さんにかけようとした。


「ちょっと待って、それ私の方じゃ無いよ。そっちが木戸君の。」


『えっ?何言ってんの?オレが選んだ方の言葉の方をかけてるんだよ。』


「えっーー。そうなの?そういう事?」


『そうだよ!鈴木さんが選んだ言葉が肌に離さずあればいつも一緒にいる気分になるじゃん?』


「木戸くーん。凄いいつも私の予想外の事ばかりしてくれて、いつも喜ばせてくれる。本当嬉しいありがとう。大事にするね。そういう所が好き。」


『そんな喜んでくれると普通に嬉しいよ!オレにもかけて。』


「はいっ!」


『どうっ?』


「似合ってるよ!初めてのお揃い」


『だな。』


「コホン!」


お店の人が咳払いをしていた。


…ははは。見せつけ過ぎたかな?


…今の小学生ってこんなに進んでるの?の目か?ははは。


2人の取っていた行動に2人共恥ずかしくなり、足早に店を後にした。


「楽しかったね。」


『本当楽しかった!4ヶ月分遊んだ気がする!』


「木戸君、まだまだ今日は終わらないんだよ!」


『なんと最高な1日なんだろうな!あの電車に間に合ってよかった。』


「木戸君!今を楽しもう!木戸君が教えてくれた事の1つだよ。」


『そうだな。1日はっちゃけるとしよう!』


そして、2人はペアールックのドッグタグをつけて家の最寄り駅に戻り、


ホールのケーキを買い2人でオレの家に向かった。


未来への歯車が回り出す。


この時もう戻れない一方通行の歯車が音を立てて、回り出していた。

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