36話
36話
「こんばんわ。初めまして木戸貴光の母です。」
「あれ?木戸君のお母さん。木戸君もご一緒なんですか?色々キツイ事私言うかもしれませんが、ご一緒で大丈夫ですか?」
『大丈夫です。』
「ちょっと着替えて来ますのでそこで待っててください。」
「お母さん!ご飯できてるよ。」
「あなたまた唐揚げ?油っこいの苦手なんだけど、いいわ、話が終わったら食べるからそこに置いといて。」
そういうと、リビングを出て行った。
「木戸君のお母さんごめんなさい。お母さんが酷い事言って、、。」
「大丈夫よ。こちらこそ、お節介な事して、ごめんなさいね。」
「木戸君もお母さんもとりあえず座って待っててください。私様子見て来ますから。」
【ガチャ】
『母ちゃん!修羅場な気がする。オレ』
「ははは。貴光にとっては初めての修羅場かもしれないわね。大丈夫!なるようになるだけよ。そんな悪い事してないんでしょ?堂々としてなさい。キスくらい誰でもするのよ。お母さんとお父さんは駆け落ちして、逃げた事もあるんだから、見つかった時凄い怒られたけどね。」
『そんな昔があったの?』
「お母さんはお父さんの死を乗り越えたから、あれ程辛い事は早々ないから、だから大丈夫よ。でもちゃんと言いたい事があるなら、言わなきゃダメよ。あなた強がってるように見えて意外と弱いし、ナイーブだからね。」
『母ちゃん、、、。』
…よく見てんな。
…昔の小学生のオレならわからなかったけど、
…16から、戻って来た今ならすっげーわかる!
【ガチャ。】
「お待たせしました。顔の傷の件も遊んでて転んだと今聞きました。木戸君、2人は付き合ってるのは本当ですか?先生から、そういうお付き合いをしているし、キスをしてクラスが大騒ぎになり、2人を、職員室に呼び出した所、キスした事を否定しなかったと、聞きましたが。」
『はい。お付き合いさせて貰ってます。』
「ハッキリ言います。迷惑です!」
「ちょっとお母さん!」
「あなたは黙ってなさい!木戸君あなたの事は他の生徒さんのお母さんから色々聞きました。毎回0点のテストを取って、授業をしては眠ったりして怒られてばかりいると聞いたのですが?それは本当ですか。」
『、、、、、、、。本当です。でも今は真面目に勉強しています。』
「あなたと仲良くなったら顔を怪我して娘が帰って来ました。木戸君が親ならどう思いますか?」
『、、、、、、、。すいません。』
「謝るという事は非を認めるって事ですか?謝るくらいなら初めからうちの娘に近寄らないで貰えます?」
「お母さん、、もうやめて、、よ。」
『顔の傷も、噂も自分のせいです。それでも自分達はお付き合いさせて貰ってます。』
「あっらーまぁずうずうしい事言うわね。だから、頭の悪い人は嫌いなのよ。だから恨まれて黒板とかに書かれてうちの娘が迷惑するような事になるのよ!本当馬鹿って大嫌い!」
「違うよ、、お母さん。
あの黒板は、私の事を好きな人がいて、、その人が僻みみたいに、書いたんだよ。木戸君は、その人と喧嘩したから、今ボロボロなの、私の為に喧嘩してくれたの。私も自分の意思で木戸君を庇ったからちょっと擦りむいただけ。だから、木戸君のせいじゃないのお母さん!」
「でも付き合ってなかったら、その黒板書かれる事もなかったでしょ!ダメよ頭悪い人は絶対ダメ!なんの為にあなた勉強して来たの!お父さんみたいな馬鹿に引っかかって私みたいに悲しい思いをしないように今まで頑張らせて来たんじゃない!」
「お母さん、、、私、お父さんよく知らないもん。」
「はぁ、、。」
タバコに火をつけ鈴木さんのお母さんが話始めた
「あなたが1歳の時に、他の女に、子供作って、出てったバカ野郎よ。
あれだけ愛してるって言ってても、所詮は口だけだった!騙された私もバカだった!そんなバカな私1人残されて絶望して、それでもあなたを育てなきゃいけなくて、ガムシャラに仕事をした。次第に出世して頭も良くなって来たら周りの態度も変わって来た。自分がバカだとバカが寄って来て、最後には自分が辛い思いをするって思った。だから、勉強を、させたの。お父さんみたいな、酒飲んで、他の女に平気で手を出すような人の気持ちもわからないような人間に騙されないように!
初めて付き合ってる人がいるって、先生から聞いて、周りの人からどんな人か聞いたら、お父さんみたいな人じゃない?大嫌い!あんなクズの大バカ野郎!だから私は認めない!頭の悪い人は感情ばかりで後先考えないでしょ。木戸君そう言う事です。だから、お引き取りいただいて何もなかった事にして、帰ってもらえるかしら?」
『、、、、、、、、、、、。』
…言えねぇ。こんな状況で。
「まぁそんな怒らないでいいんじゃないかしら、鈴木さんのお母さん。子供達は子供達で色々経験して大人になるもんですよ。」
「あなたが、そんなんだから、0点取っても平然としてられる息子さんが育つんです。」
「そうですか?0点だっていいじゃないですか?」
「何を言ってるのあなた。もう話にならないわ!帰って、、あなた達親子とは話する気にならない!」
『お母さん聞いて下さい。頭が良くなれば、うちらの事を認めてくれるんですか?今自分は、鈴木さんと同じ中学に行こうと勉強してます。もし、中学に入れたら認めて貰えますか?』
「あなたね、偏差値いくつか知ってるの?無理よ!無理!」
「お母さん私も認めて欲しい!」
「あなたまで、一緒になって、、、なんでこう私と一緒で一直線なの?悲しい思いしたのよ、お母さんは。いいの?」
「木戸君は今はまだ点数が低いけど誰よりも、優しいの。お母さんは辛い思いをしたかもしれないけど、お父さんとは違うよ!誰よりもクラスで信頼されてる。ちょっと勉強が不器用なだけ。」
「木戸君、娘の成績が落ちたりしても、別れてもらうから。そして同じ中学に行けなくても同様に別れてもらうから。そして、もう1つ!」
吸ってたタバコをもったままタバコでオレを指差した。
「この子を、自分勝手な理由で私みたいに泣かせることや、悲しませる事をしたら、死んでもらうけど、構わないかしら?」
『大丈夫です。』
「わかりました。じゃあバカな人が最低な人間ばかりじゃないって事を木戸君に証明して貰います。全く、親子揃って、男の趣味がおんなじなんて皮肉な話よね。お母さんも回りが見えなくなるくらいあの人、あなたのお父さんの事が好きだった。だから違う女のとこに出て行った時死んでやろうと思った。あいつの前で見せしめ的に!
一生私の死ぬ姿に苦しめばいいのにって、でもあなたが泣いてばかりいて、そんな暇も無かったのよ。」
「お母さん、、、。」
「あなたがいたから、私は死ななかった、だからあなたには私と同じような死にたいなんて思う悲しい人生だけは送って欲しくないの。お母さんはそれだけよ。お母さんも言ってなかったけど、今再婚を考えてお付き合いしてる人がいるから今日、いい機会だから言っとくわね」
「そうなの?お母さん。知らなかった。」
「会社でバリバリの人よ!」
「まぁそう言う事だから。木戸君、小学生なんだから、小学生らしくね!さっきの約束は絶対忘れないように。」
『はい!』
「木戸君のお母さんもわざわざ来て貰って、ひどい事言ってごめんなさいね。」
「いえいえ、鈴木さん。私の主人も亡くなってるんで、育てる大変さはわかるつもりです。」
「あら、そうなんですか?奇遇ですね。」
「今日は貴光がご迷惑かけてごめんなさい。鈴木さんに迷惑かけるようなら、私が付き合いやめさせますから。」
「わかりました。木戸君のお母さんよろしくお願いしますね。」
「私その先のスーパーで働いてますから、遊びに来てください。」
「そうなんですか?今度お買い物行きますね。」
「内緒で割引します。」
「本当?」
オレは鈴木さんの所に歩いて行った。
『とりあえず山は越えた感じかな?』
「ごめんね木戸君。私何も出来なかった。」
『大丈夫だよ。オレ悲しませたら死ななきゃいけないらしいよ!』
「私を泣かせる事するの?」
『する訳ないじゃん!頑張って勉強して学校入らないと真面目にヤバくなった。』
「今以上に頑張ろう!中学に入れたら両親公認になるんだよ。夢みたい。」
『だな。頑張ろう!生まれて来て1番頑張ろう!』
「貴光!もう遅いからご迷惑にならないうちに帰るわよ。」
さっきまでのギスギスした感じは無く、和気あいあいとオレの母ちゃんと話していた。
お互いシングルマザーだったせいだろうか?
母ちゃんと玄関まで、来た。
『鈴木さんまた明日。お母さん、色々すいませんでした。』
「木戸君。私が手塩にかけた子だからね、私の心の闇っていうのもあるのだけど、もしその気持ちが本当なら男見せてみなさい!」
『はい!!』
「木戸君のお母さん今度お酒でもどうですか?」
「あら、いいですね。私意外と強いですよ。」
「それは楽しみにしてます。」
「鈴木さん、鈴木さんのお母さん、では夜分遅くにすみませでした。失礼します。」
オレは鈴木さんに手を振ったら、
鈴木さんは手と一緒にウィンクを、返してくれた。
…本当に小学生かよ。
…めちゃくちゃかわいいな相変わらず。
オレは母ちゃんと、鈴木さん宅を後にした。