35話
部屋で2人っきりになった。
まぁ勉強する時も2人っきりになってるから、そんな緊張する事はなかった。
「木戸君、お母さん怒ってたって、、、。」
『あぁ。しかも顔に傷作って、曲がったメガネかけて今日帰るんだろ?もう今から寒気がするな!』
「そんな怖い事言わないでよ。」
『わりぃ。』
「木戸君、何に対してお母さん1番怒ってるのかな?」
『オレと付き合ってる事じゃないのか?』
「いや、意外と先生に反抗した事かも。だって、木戸君が頭悪いのお母さん知らないもん。」
『頭悪いってハッキリ言うんだな。でも頭悪くても、頭がいいやつと、もし、つき合っていても、学校の先生みたいに、大人の視線からしたら、早いって思うんじゃないかな?』
「不思議だよね。普通の人より少し早く恋愛感情が芽生えただけなのに、みんな、わあわあ騒いで嫌になっちゃう。」
『鈴木さん。お母さんがもし恋愛とかするなって言ったらどうする?』
言った途端ちょっと鈴木さんの顔が険しくなった。
「木戸君どうすると思う?」
『いやー、そりゃ別れたくないけど、、、。』
「戦うよ。」
『戦うって鈴木さん、、、。お母さんだし、、、。』
「別に木戸君みたいに喧嘩するわけじゃないよ。話してわかってもらう。わかってもらうまで諦めない!だって初めて私が自分で手に入れた物っていったら失礼だけど、大事な人だもん。木戸君と出会えたから他の友達も出来たし。今更勉強だけの1人の頃になんて戻れないよ。」
「貴光、鈴木さん。もう少ししたら出るわよー。」
下から母ちゃんの声が聞こえた。
『そろそろだな。気持ちは大丈夫か?』
「いや、緊張はしてるよ。絶対怒られのわかってるし。」
『オレがついてる!』
「木戸君、私にキスして。勇気を頂戴。」
となりに座ってる鈴木さんに長めのキスをした。
『久しぶりだな、、、。』
「そうだね、、、、。ふふっ。」
『鈴木さん久しぶりだから、キスしたい口実に今の使った?』
「そうだとしても、それを言ったらデリカシーが無いって言われるよ。勇気が欲しかったのは本当。私のやろうとしてる事が間違って無いって確認したかったから。」
『じゃあもう1回しよっか。』
「いいよ、何回でも。」
脳内にドーパミンがたくさん溢れるのがわかる。
キスをすればするほど、2人の想いが磁石のように強固な物になって行くのがわかった。
『大好き鈴木さん。』
「私もだよ。もう大丈夫。頑張れる。キスって絶対中毒性あるよね?」
『だな。毎回ドキドキする!鈴木さんじゃあ行くか。』
オレらは部屋を出て、母ちゃんがいる下のリビングに降りて、
オレは泥だらけの、服を着替えて母ちゃんと鈴木さんと一緒に家を出た。
月明かりが明るい夏の夜の出来事だ。
まだまだ長い1日は終わらない。
歩いている途中、やはり、湿布を貼ったとはいえ、体が痛かった。
母ちゃんと鈴木さんが楽しそうに話していた。
…なんかいいなこんな光景。
前で歩く母ちゃんと鈴木さんが楽しそうに話している光景!
見ていて凄いホッコリする。
…ずっとこうしてられたら幸せだな!
…楽しい生活になりそうな気がする。
そして、しばらく歩き鈴木さんの家に着いた。
「木戸君上がって。お母さんも。まだ私のお母さんいないみたいだけど、多分すぐ帰ってくると思う。」
『お邪魔します。』
オレと母ちゃんはリビングに通され、椅子に座って待っててと言われた。
「鈴木さん。これよかったら、お母さんの夜ご飯に唐揚げ。」
「いつもすいません。凄い助かります。」
鈴木さんがエプロンを付け、ちょっとした物の、料理を始めた。
ご飯だけは炊いてあるそんな状態なんだろうか。
…鈴木さん。料理上手だからな。
そしてリビングで座っていると扉が開く音がした。
【ガチャ】
「ただいまー。」
…空気が重くなる。
母ちゃんを見ると意外と堂々としたもんだ。
『母ちゃん緊張しないのかよ。』
「こんな事で、緊張してたら、貴光のお母さんは出来ないわよ。貴光立ちなさい。」
…すげーなオレの母ちゃん!
そしてリビングの扉が開いた。