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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
175/534

33話

16時半ちょい過ぎ。


果たし状に書いた公園についた。


寺島の帰り道の公園で待ち伏せの予定が呼び出す事になった為、人気の無い公園に、場所を変えて果たし状に書いた。


「タカ来ないね。」


『いや来る!あれでこなければ女の腐った奴だ!それならそれでもう用はねぇ!』


「待ったか?」


来やがったな。


『待ってねーよ。なんだそりゃ、道着か?本気って訳か?』


「そうだ!僕は負ける訳にはいかない!もう2年以上鈴木さんを想って来たんだ。おまえのような馬鹿に負ける訳いかない。」


『知らねーよ。おまえの2年の想いより、今のオレの方が鈴木さんを好きに決まってる!』


「馬鹿のくせに!」


『馬鹿じゃないとわからない事もあんだよ!』


「よりによってなんでこんな馬鹿を選んだんだ!鈴木さんは、不釣り合いじゃないか?僕にこそふさわしい!僕なら立派な職業につける頭脳もある、守るだけの力もある、意味がわからない!」


『光離れてろ!』


光がオレから離れた。


寺島が一歩一歩こっちに近づいてくる。


『意味がわからないだって?そりゃあな!おまえがオレより、魅力がねーからだ!』


「木戸ーー!!」


『あんな姑息な事じゃなく、正面から来いや!!』


寺島が走って、向かって来た。


「おまえなんかいなきゃー!」


…カウンター先制右ハイキックだ!


『うりゃー!』


オレの右ハイは寺島の左腕にしっかりガードされて、逆にオレに右ボディが腹に入る!


…重ぇー!1撃が!マジか?こいつ本当に小学生かよ?


…ガードしながら攻撃できんのか?


…やってるやつはマジでやばいな!


「どうした終わり?」


『は?なんだってこんな鼻くそみたいなパンチで誰を守るって。』


そこからは乱打戦になった。


どれだけ殴りあっただろうか?


ガードはされたとはいえそのガードの腕がオレの拳で腫れてきてる感じだった。


だが圧倒的に分が悪い。


…負けんのかオレは。


…ジュンの時と一緒で、負けるのか?


…んな訳ねー!。


…やつの腕ももう撃てないほど、腫れてるはずだ。


打たれ強さだけでボコボコでも気合いで立っていた。


…やばい決めにいかなねーと!


…ローで左足やってから膝蹴りボディだ。だいたいのやつはそれでうずくまってきた!それしかねー!


『勉強が出来なくたって、鈴木さんはオレの女だ!おまえなんか渡す訳ねーだろ!うぉー!』


これで終わらせるつもりで行った


折るつもりでローに蹴りに行った


…いける!


右からローに行って確実に寺島の左足を捉えたと思った瞬間


途端今まで足技を出してなかった寺島の右ミドルキックがオレの左脇腹に刺さるように入って倒れた。


もう無理だとわかった。


オレは勝てないとわかった。


でも、気を失うまででも立とうと思った。


…はははは、、まだ負けてない。


…大丈夫、、だ。


…ジュンもそういえばこんな状態で立ってたな。


…握ってたな。拳。谷口の前で。


…ジュン!負けたくねー!たとえ相手が何習っているやつだとしても。


…おれにも守らなきゃいけない物が出来たんだぜ。


…ここで負けたら一緒じゃねーか。


…この世界じゃまだ生きてるんだろ?力貸してくれ、おまえが谷口に1撃入れたあの力を、オレにも、


自分が強いなんて思い上がりだった、


もう負ける寸前だった。


それでもジュンみたいに握った。


男なら握らなきゃ行けない時がある。


立ち上がらなきゃ行けない時があるんだ。


全世界を敵にしても立ち向かわなきゃいけない時がある。


だから今は拳の中にその思いを込めて握るんだ。


その思いごとぶつけてやるんだ!


…必ず膝くらいはつかせてやる。


オレは立った。


今まであまり、汚れる事のない服は今日は初めて砂利にまみれて汚れていた。


…鈴木さんは井の中の蛙と自分の事言ってたな。


…オレもだ!オレも小さい井戸の中で王様になっていただけだ。


…たまたま強いやつ、本格的にやってるやつと当たらなかっただけだったんだな。


…でもそんなの関係ねーんだ!


…オレが鈴木さんを好きで、


…鈴木さんがオレを好きだという事実があればそれだけでオレは握れる!


…鈴木さん。いくぜ。



そしてギュと、両手を握った


『寺島ー!』


「来い木戸!」


『おらー!!』




「だめーー。」


オレは倒れた。


…なんだ?どうした?


オレの横で鈴木さんも一緒に倒れていた。


鈴木さんの顔から血が流れている。


オレをかばって倒れた時に地面に擦ったようで、メガネは変形し、頰から、血が出ていた。


『鈴木さんなんで、、、。』


「寺島君。もうやめて、私の大好きな人をこれ以上殴らないで、、お願い。」



そう言ってると、公園の外から寺島、を呼ぶ声が聞こえた。


「豊!何やってる!今近所の人からうちにうちの道着着て喧嘩してる人がいるって通報があって来てみたらまさか、豊だったとはな。ちょっと来い。」


「お父さん。」


そう言うと寺島は肩を落とし連れてかれた。



「タカー!」

「鈴木さん!」


どっから隠れていたのか、


光以外に響と、シオンヌも来ていた。


『なんだよいつからいたんだよおまえら』


「45分前。」


『光!おまえー。』


「だってみんな仲間でしょ。」


『オレが来る前から隠れてたのかよ、、。』


「そうだよ木戸君ずっと影から見てたし、聞いてた。」


オレは鈴木さんに抱え起こされその場に座った。


隣で鈴木さんも一緒に座っていた。


『鈴木さん。顔大丈夫?血が出てる!メガネも。』


「大丈夫だよ。木戸君に比べたら全然、ちょっと擦っただけだよ。木戸君こそ大丈夫?」


『脇腹がヤバイ!めっちゃ痛い。みんなオレ負けてないぞ!』


「頑張ったよ!タカ!あの寺島相手に。」


「そっかぁ?かなりギリギリ負けてたんじゃね?」


「響、やはりおまえはKYだな。ここは頑張ったなって、光君みたいなセリフが正解だぞ。」


「かっこよかった。木戸君」


ボロボロの状態で鈴木さんに抱きしめられた。


「これが恋愛なのか?恥ずかしくて見てられないな。」


シオンヌが顔に手を当ててこっちをみている。


「なんだよ2人とも御構い無しかよ?」


「いやでもこう見るとお似合いの2人だね。」


『鈴木さん。怪我させてごめん。女の子なのに顔に傷作って、ごめん。』


「じゃあ責任とってくれるの?」


「責任って、、、。」


みんなを見渡した。


「タカ男でしょ。」


「そうだオレらの見本だろかっこいいとこ見せろ!」


「木戸!言ってやれ鈴木さんにガツンと胸に刺さる言葉を。」


『おまえら強引すぎるだろ?鈴木さん!責任で一緒にいるんじゃなくて、オレが好きだからずっと一緒にいるよ!』


「ヒューヒューだね。タカ。オレも恋愛したいなぁ。」


「そうだな!タカと委員長見てると羨ましくなるな!友情より愛情の方が上みたいでちょっとだけ悔しいぜ」


「私も恋愛したい。」


…シオンヌ、光見過ぎ!はははは。


…光気付いてないし。


『みんな最高だな。悪いちょっと肩を貸して貰っていいか?』


鈴木さんと、光に肩を借りて立ち上がった。


『みんな、オレは負けてないよな!』


「負けてない!」


みんなが声を合わせて言ってくれた。


『そうかありがとう。オレん家近いからみんな寄ってかね?ってか、ついて来てくれ。脇腹痛い。足も痛い。』


「木戸君。前よく見えないよ。」


鈴木さんが、曲がったメガネをかけた。


『はははは、変だ!メガネ。』


「ひどーい。木戸君助けて曲がったのに、、、。はははは。」


みんな笑ってた。


「詩音さん。無理に付き合わせてごめんね。」


「いや全然。気にしないで。むしろ来てよかった。」


「そう?それならよかった。もう友達だね。私とも、みんなとも。」


「いいのか?私なんか?」


『もちろんだ!シオンヌ程面白いやつは大歓迎だ。』


「なぜ?シオンヌと呼ぶ?」


『シオンヌがオレのこと木戸って呼ぶから。』


「まあいい。みんなこれからよろしく。」


シオンヌがオレに手を伸ばした。


『光!わりぃ、オレ今手痛いから代わりに握手しといてくれ。』


シオンヌがビックリしてる。


オレと鈴木さんが楽しそうに2人の光景を眺めていた。


「よろしくね。詩音さん。」


光が手を出した。


シオンヌが、これ握るのか?握っていいのか?みたいに子犬みたいな目でオレと鈴木さんを見ていた。


オレは誰にも気づかれないように頷いてやった。


「よろ、、しくっ、、。」


『はははは。やっぱおもしれーなみんな最高だわ!じゃとりあえずオレん家いこーぜ。』


そう言うと、オレを支えながらオレの家に5人で向かった。



…ジュン、負けなかったぞ。


…みんなが負けなかったと言ってくれたから、負けてなかった!きっと負けてない!


…と思う、、。





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