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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
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28話



教室から出るまでも相変わらずみんなが、珍しい物でも見るようにオレと鈴木さんを見ていた。


職員室に向かい歩いていた。


「木戸君。私怒った事が無いんじゃなくて、怒る出来事が今まで無かっただけだったみたい。」


『オレもむかついて、チョークぶん投げそうになってた。』


「気がついたらみんなに叫んじゃった。」


『あー。オレが横にいて1番ビックリした。』


「なんで、同い年でこうも違うのかな?なんで、キスくらいで、あんなに騒ぐの?本当バカみたい。」


『鈴木さん。でもみんな嫌われたら、、、。』


「私、元々深く話せる人いなかったし、いいのそんな事は。でもね木戸君そんな子供ばかりみたいなクラスの中でも、木戸君は違った、いつも困ってる人が、いたら助け、5年生の時に私が具合い悪いってなった時に真っ先に保健室に連れてってくれて、それから、木戸君を目で追うようになったんだよ。」


『あったな。そんな事!覚えてる。あの時オレ、腹痛くてトイレ行きたかったんだ、実は。』


「そうだったの?でもそれから、木戸君を目で追ってるうちに、いつもみんなが困りそうになると、光君と響君を連れてさりげなく、その困ってる人を助けてた。でも授業じゃ、寝てたり、テストは0点ばかりで私は不思議でしょうがなかったの。

私はお母さんに、みんなに嫌われないようになりなさいって言われて来て、勉強を沢山して来たのに、勉強なんて、全然してなさそうな木戸君がクラスの中でちゃんと認められてた。

私も嫌われてはいなかったとは自分で思っていたけど、

木戸君程みんなに好かれているわけじゃないし、みんなも寄って来ないから何が違うんだろうって思ってとりあえず、クシャクシャになったテストを拾ってみたの。」


鈴木さんが思っている事を初めて知った気がした


「私はゴミ箱に入ってたクシャクシャテストを広げて衝撃を受けた。私にとってやって来た事はゴミなのかな?って思ったりもした。

だってさ木戸君、私はテストでいい点を取る事が嫌われない近道だってそう言われてそれを実践して、お母さんもそのテストを受け取ると毎回褒めてくれたから。だって、私のお母さんに0点のテストなんてどれだけ怒られるかわからないし、

私は何がなんだかわからなくなって、私のやって来た事は間違ってなかった事を証明する為に、0点のテストを木戸君のお母さんの所に持って行ったんだよ。」


『そうなのか?全然知らなかった。そんな事思ってるなんて、鈴木さんはいつも完璧で、しっかりしてるから、捨ててはいけないものは捨ててはいけないみたいに、思って、わざわざテスト持って母ちゃんに渡しているのとばっかり思ってた。』


「その気持ちも無かった訳じゃないけどね。それで木戸君。私テスト初めてお母さんに渡した時、お母さんなんて言ったと思う?」


『なんて言ったの?』


「ははは、貴光また0点なのね。あれっ?でも久しぶりにテスト見たけど、名前の漢字が綺麗に書けるようになったわね。成長してるのかしら。はははは。って言ったの。私もうビックリしすぎてその日はその衝撃で勉強できなかった。」


『はははは。母ちゃんならそう言いそうだ。』


「それで、私は初めてのテストを渡してから、私の世界は井戸の中の蛙だった事に気づいたの。それから、図書館に行き、いろんな小説を読んだの。楽しかったよ。こんな風に人は怒るんだとか、勉強じゃわからないことばかりで、のめり込んでいったの。その後も、木戸君の行動が気になってしょうがない頃、ある恋愛小説を読んだら、私みたいに男の子を目で追ってる女の子が小説に出て来て小説の中で言ったんだ。私はあの人が好きなんだって、それを読んでから私は木戸君が、好きな事に気がついたの。小説の中では2人がキスするシーンも書いてあったりして、読んでいてドキドキしたよ。そのシーンを私と木戸君に照らし合わせたりして、顔が真っ赤になったりしてたかも。私は小説の2人みたいになりたいって心から願って、最近叶ったから今本当に幸せなの。だから、別に人に何言われても黒板に書かれても全然平気。私が私の意思で手に入れた今だから、お母さんに言われてやって来た事じゃなくて、私が好きで、好きになって、私がキスをしたくて、キスをした今だから、誰にも捨てさせないよ。この想いは。」


『鈴木さん。やっぱオレ鈴木さん大好きだわ!』


「木戸君。私も。」


職員室の前についた。


不安はもう無かった。


無かったけど、オレと付き合った事により、鈴木さんが怒られたりするのでは?という感情だけは、必ず出てくる。


これだけは不安は無いとはいえオレの心の傷だからしょうがない。



鈴木さんが手を出した。


…えっ?


…まさか、鈴木さん手を繋いで職員室に入るのか?


…そんな事をしたら、鈴木さん余計怒られるんじゃ?


…でも彼女が繋ぎたいっていうなら


オレはがっしり手を繋いだ。


「大丈夫?木戸君」


『大丈夫だ。何言われても鈴木さんへの、気持ちは変わらない!』


「やっぱり、木戸君を好きになって私はよかった。木戸君が私を高みに連れてってくれてる気がする」


『母ちゃんがよく言ってた。必ず生きていたらこんな事あるって、そんな時信じる仲間がいれば大丈夫だって、オレには鈴木さんが側にいてくれればどんな事があっても大丈夫だ!』


「木戸君、、、。あまり嬉しい事言わないで、職員室に入る前に泣いたら余計おかしいでしょ。私も今、木戸君となら、針山地獄でも、血の池地獄でもいける気がするよ。」


『じゃあ開けるぞ。』


「うん。」


オレは右手はがっしり鈴木さんと繋ぎ、空いた左手で職員室の扉を開けた。


【ガラガラガラガラ】


『失礼します。』


「失礼します。」


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