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ゴブリン魂  作者: チャー丸
第2章 キッド’s side story
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19話



会いたかった。


田んぼ道をひたすらペダルを漕いだ!


俺のためにこんなにも時間を割いてくれる

それが嬉しかった。


その嬉しさが今ペダルを漕ぐ原動力になっていた。


…オレはこうも気になる。


…なんなんだ。


…あんな事があったのに。


…また人を好きになろうとしてるのか?


…あの時は何を間違えてあーなってしまったか、未だによくわからない!


…優子とは結果的に最悪の結末を迎えてしまってもう2度と恋愛なんてしないと思っていたのに。


…今は鈴木さんに会いたいくて仕方ない!


恋がオレを救っていくようなそんな気がした。


夏の7月まだ日が沈むまでは時間があった。


オレは鈴木さんの家に急いだ。



【ピンポーン】


チャイムを鳴らすと2階の窓から鈴木さんが顔を出す。


えっなんで?みたいな顔で1度顔が窓の下に沈んだ後もう1度出て来た。


オレは家の前の公園を指差して、

公園に出て来ての合図を送った。


…出て来てくれるかな?


…待っても出て来てくれなかったら諦めっかな?


とりあえず前回同様ブランコに座り

無駄に漕いでみた。


こうやって、普通に生活をしていると、本当に異世界なんてあるんだろうかと思ってしまう。


あまりにも平和過ぎて、、。


異世界が夢だったのではないかと。


でも、記憶がそれを否定する。


バイクに乗ってた感覚。


異世界でみんなで笑ってたあの笑顔。


悲しい事もあり、泣いた病院。


無力で、殺されて悔しい想いをした異世界。


そして、腹を切った人間界でのあの痛み。


何1つ忘れる事が出来ない。


その1つ1つが、これは現実に起こっている事なんだと記憶が語りかけてくる。


いろんな事を1人で考えながらブランコを漕いでいたら。


家から鈴木さんが出て来て、公園まで来てくれた。


「今日はごめんなさい。なんかたくさん無視して。」


『いやいや。お礼が言いたくて。これっ!』


ブランコから下りてポケットから、テスト用紙を取り出した。


「木戸君。これ今までのテストと全然違ったよね。字も綺麗だったし、なんか凄い頑張ってる感じがテストからわかったよ。」


『でもダメだった結局0点だった、、。』


「それでも凄いと思う。だから、破いたんでしょ?だから私も、どこが違うか書いたんたんだよ。」


『ちょっと座りながら話さない?』


「うん、、。」


2人共ブランコに乗る、つい昨日の11月の時と同じような光景がそこにあった。


日の光もあの日と同じく、暮れてきて街灯がうちらを眩しく照らす。


ただ違うのは気温だけだった。



『昼間の体育の時も、今回のテストも、いつものテストもありがとう。嬉しかった。』


「そんな全然、、、、。」


鈴木さんが下を向いてしまった。


…なんか気まずいな。


…回りくどいのめんどくさいな!


…駆け引きとかよくわかんねーや!


『鈴木さん!』


「んっ?なに?」


『これから、オレに勉強教えてくんない?』


「いやでも今日はもう遅いよ。」


『そうじゃなくて、オレ、××中学に行きたいんだ!鈴木さんさえ迷惑じゃなければ、鈴木さん頭いいから。こんなオレじゃ無理かもしんないけど、色々あって、変えたいんだ!オレの人生を。』


「無理なんて無いと思う!私も変わりたくて一生懸命頑張ってるんだよ。素敵な事だと思う。私もその学校受験する予定なの。一緒に入れるように頑張ろう!」


『鈴木さんこれからよろしくお願いします。』


「いやいや。こちらこそ木戸君。テストたくさん拾っといてよかった。フフフ。」


その後、1時間もたわないも無い話をした。


11月に話した鈴木さんは弁護士になりたいって話もした。


一緒になれたら楽しそうだね。なんて言われた。


一言一言がたわいない話だが、どんな話でも一緒に時間を共有してる事、それだけでも楽しいと思えた。


「誰?お友達?」


公園の外から声が聞こえる。


それは鈴木さんのお母さんだった。


仕事帰りだろうか?


凄いキャリアウーマン系な感じだ。


出来ますってオーラが半端無い!


「そう。同じクラスの木戸君。」


オレはブランコから、下りて頭を下げた。


「夜も遅いから早くかえりなさいよ。」


「はい。」


そう言うとお母さんは、家に入っていった。


「お母さんに見つかっちゃった。お母さんねとっても厳しいの、、、。」


『そうなのか?』


「帰って来る前にお家に戻る予定だったのに、楽しくて時間が経つのを忘れちゃった。」


『悪い事したな。』


「そんな事ないよ。怒られても大丈夫。木戸君と初めてゆっくり話せたし。でも私お母さんの夕食の用意しないといけないから。」


『鈴木さん毎日ご飯作ってるんだ。すげーな。』


「最近大分上手になって来たよ。木戸君私明日図書館でゆっくり勉強するけど、、」


『行きたい!』


「まだ話終わってなかったのに。フフフ、。図書館いつも10時ごろ行くんだけど、どうかな?」


『わかった10時に行く!ぜってー行く!』


「じゃあお弁当作って来てあげるね。」


『マジで?じゃあ真面目に明日からよろしく。』


ブランコの前で手を差し出した。


「こちらこそ、私ずっと1人で勉強して来たから、楽しみ。」


ギュッと手を握ってくれた。


「木戸君の手大きいね。」


『鈴木さんのは思ってたより、小さいな。』


「木戸君、、、、。」


『んっ?』


「あの、、、ずっと握ってたら、、、帰れないよ。」


『あっ!あー!わりいごめんごめん!』


「いいよ。なんか楽しいね。」


『そうだな。』


「じゃあ、私いくね。お母さん待ってるし。」


『おう!明日な!』


「うん。また明日。」


お互い見つめ合いながら鈴木さんが、後ろ歩きで手を振りながら離れて行った。


オレも家に入るまで手を振っていた。


『さあ帰るか!』


チャリに乗り家路に向かいペダルを回した。


『グッジョーーブ!!オレグッジョーーーブ』


またまた叫びたい気分だったから、叫んだ。


11月の前回と大きく違うことはお互い告白しなかった事だったが、


その事は大して気にならなかった。


それは鈴木さんの態度を見てればわかる。


だって、11月の時と同じ気持ちだというのが話していて、雰囲気でわかる。



だから、別に無理して告白させる必要もなかったし、


こちらからもしなかった。


むしろ今日から始まったばかりだから、ちょっとずつ仲良くなっていけば、いずれ告白とかそうなる時はくるかもしれない。


そうなればその時でいい。


時の流れにまかせようと思った。


今はこの状態で充分過ぎるほど満足だったから。


…もう20時過ぎか?


…お腹すいたな


心はお腹いっぱいだが、

お腹は空いていた。


帰ろう。


…やっぱり自転車は普通がいいな。


この4ヵ月の間に多分オレはいろんなバイクの影響などで自転車を改造するんだろう。


でも新しいこの人生では多分自転車は改造されない未来を行くんだと思った。


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