表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン魂  作者: チャー丸
人間界 2016.10.27 木曜日 AM6:00
15/534

4.2話

「おぃ!げんぞー!ヤツ連れてきてるか?」


「ハイ!来てます!ここに。」


「おまえ毎日毎日よく来るなぁ。ドMかおまえ?ハーハッハ。」


何かシンがボソボソ話している。


「あー?なんか文句あんのか?あんならでっけー声で言ってみろ。」


「ブツブツブツブツ、、、。」


「小さくて聞こえねんだよ。おまえそれでも人間か?』


『ブツブツブツブツ、、、」


「あーもういいや、金出せ!」


「ブツブツブツブツ、、。」


「おめーさっきからオレの悪口言ってんだろ?」


「ブツブツブツブツ、、、。」


なんだかもう見ていたくなかった。


と言うか、見ていられなかった。


『谷口先輩。オレちょっと具合わるいんで、先、ちょっと失礼します。』


「なんだジュンこう。これから面白く、なるのに。わかったオレのかわいい舎弟よ。また明日な。」


そう言うと振り返った。


振り返る瞬間、シンはオレをじっと見ていた。


…あいつ助けてくれっていいたかったのかな?


…今振り返り、先輩を止めれれば、、。


…止めれれば、、。



そんな考えとは逆に、足は、一歩一歩、

振り返った先へ、進んでいく。


「おーっと、シン!帰っていいのは、ジュンこうだけだ。おめぇは逃げる元気が、あるんだなじゃ、もうちっと付き合えや」


「ぐふっ!」


背中越しに拳で殴る音と、


シンらしき人が倒れこむ音が聞こえる。


「ブツブツブツブツ、、、。」


…シン、、、。


「だからさっきから何言ってるんだ、ってんだろーがよ。」


【ドゴッ!】


「ゴホッゴホッ。」


倒れこんだシンに蹴りが入った音だろうか?


下を向いた、、、。


涙がでそうだ。


オレのせいで、シンはイジメの対象になった。


こうなったのは弱いあいつが悪いと、そう自分に言い聞かせて来ていた、、。


でも異世界に行き、惨殺されて、

考えが揺らぎつつあった。


それでも救えない。


だってオレは、弱い、また、中学みたいにオレが標的にされる。


いまなら、やる側で

自分には被害はないから、、。


「た、たす、け、て、、、。」


シンのかすれた悲鳴が聞こえた。




聞こえないフリをした。



自分がやられるより、人がやられるのを黙ってみてるのも結構辛い。



聞こえないフリをしても涙がこぼれる。



オレにはシンの気持ちがわかるから。


それでも、助けてと言うたびに後ろで殴られる音がする。


涙ぐんでいたら谷口先輩に誤解される。

イジメが嫌いな人間なんだと


誤解され、


またあの時みたいに、もどってしまう。


もう聞いていられなかった。


その悲鳴が苦しくて、


あの助けてがオレに向けられている気がして、


耐えられなかった。


オレは走った。


また逃げたのだ。


いつも自分より強い相手には真っ向から


戦おうともせず、逃げてきた。



…シン、、。すまん。


…何も出来なくて、すまん。


…まだ、何も変わってなくて、すまん。


走って逃げてしまった。



オレは弱い人間で

家でひたすらキワパンを極めようとして、パンチを打ち込んで練習を繰り返した、あの頃から、何一つ変わってない。


キワパンは強いやつを成敗するために、

ずっと練習したはずが、


結局、強いやつには通じず、

自分より弱いやつにしか使えていない。


どどのつまり、中学の頃と何も変わってなかった。


結局

やられる側からやる側に回っても


何一つ幸せなんて、あるわけなかった。


自分が強くいられる時は自分より弱い奴の前だけだった。



帰ってきて、ベッドに横たわり、今までの思い出したくもない、

過去の記憶が走馬灯のように駆け巡り、


その回想に、心が押しつぶされそうになっていた。



オレは

考えてないように考えてないように、




耳を塞ぎ、目をつぶっていたら、

いつの間にか寝ていた。













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ