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ゴブリン魂  作者: チャー丸
異世界10日目
139/534

19.3話


池の前でシンがいた。


『シーン!!』


「ジュン!みんな、すれ違いになると思ってここに待ってた。ジュンどうだった僕の体は」


『、、、、、、、、、、。』


マイが横に来て、手を繋いだ


みんなも、来てシンを、囲んだ


「そうか、そういう事か?みんな」


『シン、、、。』


「ジュン!せめて僕はどうなっていたか教えてもらえるかい?」


『シンは、、、シンは、、、』


マイも下を向きながらギュッと手を握ってくれていた。


『シンは、、、谷口に、、、殺されて、、、ドラム缶の中で、、、海の底に、、、、。』


「そうか、もういいよ。ジュン辛いでしょ?話すの。」


『ごめんな、、、オレが、あの時、、、、おまえを助けていれば、、、こんな事にはならなかった、、、かも、、、しれない、、、、オレの、せいもあるんだ、、、シン!!』


「もう大丈夫だよ、、、ただ、、ジュン、僕は君が羨ましかった。異世界の記憶しかないけど、君は力なんかなくても、君の周りには、いつも人が集まってくる。そして、かわいい彼女もいる。ジュン!君はゴブリンかもしれないけど、誰よりも輝いていたと思う。僕は君になりたかった。

ジュンに憧れていたんだ。

カッコよかった!青魔族のみんなの前で、大声で手をあげる後ろ姿に、魂が震えた。

もっとジュンといたかった。

いて追っかけたかった。僕の理想を。

みんなとの新しい思い出もいっぱい作りたかった。

でもこれだけみんなが、僕の為に動いてくれて、結果がこうだったけど、

もう大丈夫。みんなの指示に従うよ。

ただ。1つミッキーに誰か会えたら僕が好きだったってそれだけ伝えてくれないかな?」



「シン。今まで、、、ありがとう、、、、、、、、記憶が無くなった、時、、、あの、、時、、、辛かった、、、だろうのに、、、、オレ、、、酷い事言って、、、、ごめんな、、、、。」


「カズキ、、、だって、、、僕が異世界に来て、、、初めての、、、友達だ、、、。仲間になって、、、なってくれてぇ、、、、うっ、、、、、嬉しいかった、、、、うっうっ、、、、異世界が、、、、、おわ、終わっても、、、と、、うっ、、、友達で、、、いてほしい、、、うっうっ、、、。」


「ひっ、、、。もちろん、、、じゃ、ねーか、、、。くっ、、、オレら、、、ずっと、、、、友達、、、、だ。」



「ありがとう、、、、うっうっぐ、、、ありがとうカズキ、、、、、。」


「シン、、私も、、、色々、、、ありがとう、、、あなたと一緒にいれて、、、救われた、、グスン、、、、、もっと一緒にいたかった、、、、私達のリーダー、、。」


「リン、、こんな、僕について来て、、、、くれて、、うっぐうっ、、、あり、、、ありがとう、、、、男っぽい、、、けど、、、、実は1番、、、うっうっうっうっ、、、1番、、、仲間思いで、、誰よりも、、、気が回るのが、、、うっ、、、リン、だったね。リンが、いて、、、カズキがいて、、、ミッキーがいる、、、これが、、、僕のパーティだよ、、、、、。リン、、、ありがとう、、、うっうっうっ、、ありがとうありがとうありがとう」


「私こそ、ありがとう、、、シン、、、。最高の、、、リーダー、、、、だったよ。」



キッドに、肩を組まれた。


『ジュン!長かったなここまで、何回死んで、何回泣いたか、わかんねーな?』


『あー!!痛かったな。』


『オレも人間界で腹切ったことあるから、痛みがわかるんだ!グロックに拷問されてる時は見ていらんなかったんだぜ。』


『あったな、そんな事!やっとみんなの協力でここまで来れたよ!やっと終わりが見えた。オッ!もう体が光ってる!アキねぇ!一応消してくんない。』


「流石星5ね。光るのが早すぎる!」


みんな終わりが来るのを、好きなもん同士で思い出話に花を咲かせていた


時間はあっと言う間に過ぎ、

オレは2度目の光を自分のスキルで消し

谷口が、転生されてくる時間になった。


みんなで池の周りに集まった!


『そろそろか?』


『そうだね。』


『カズキ、大剣シンにもたせとけよ!』


「あいよ!ほらシン!」


「借りるねカズキ!」


池を囲んで待っている真ん中に、谷口が、転生して来た


『シンどうだ!なんか思い出せそうか?』


「なんだ!これ!ここは?おまえらコスプレか?気持ち悪いな!」


「ダメだジュン!思い出せない、」


「そうか夢だな!随分はっきりした夢だな!シンにジュン!っておまえらか?なんだ最悪なやつらしかいねーのか?夢まで最悪だな!

シンの馬鹿だって勝手に死んだからこんな迷惑な事になんだろ?全くいい迷惑なんだよ!死んでるくせに夢まででてくんじゃねーよ!また殺すぞ!」


仲間がみんな谷口の暴言に、

武器に手をかける


『みんなまだだ耐えてくれ。』


「ジュンなんか、建物が見える、わずかだけど、なんだろ?わかんない!こいつみてるとその建物が、見えてくる。」


「おまえが夢の中のシンか?相変わらず弱そうだな!オイ聞いてんのか?いつもおまえの声は聞こえねーんだよ!」


「なんだ、わからない!頭が割れそうだうわー!」


『もういいシン!オレが悪かった!カズキ!シンの代わりに頼めるか?』


「ちょっと待って、僕は昔こいつに勝ってる気がする!大剣じゃなかった」


大剣を捨てて、シンが右手にナイフを握り、ブツブツ言っている!


「なんだった?呪文のように、」


「ブツブツいつも言ってるんじゃねーよ!」


谷口のパンチがボディに入る


「シン!てめぇこの野郎!」


カズキが大剣を拾って斬りかかろうとしていた。


「待ってカズキ!左で麻痺、右で刺すだ!そうだ左で麻痺、右で刺すだ!」


シンが構えた!


「なんだやんのか夢のくせに、オレに反抗すんじゃねーよ。」


「今だ!ストップ!そして刺す!」


「ギャッー!なんだこの夢本当に痛いじゃねーかどうなってやがる。」


「カズキ大剣借りるよ!もう多分これ以上は思い出せない。うぉー!!」


シンの渾身の一太刀で、谷口は消えた!


『シン、余計な事だったか?辛い記憶を思い出させただけだったら、すまないことをした』


「ジュン!そんな事ない!すこしだけど、記憶がある!記憶があるって事は僕が人間界にいたって事になる。僕はなんだかわからない人間だったから、ちゃんと人間界から転生して来たのがわかっただけで、充分だよ。ありがとう。ジュン辛い役ばかりさせてごめん?さっきあいつを斬ってから、少しずつ記憶が戻りつつあるみたいだ。」


『そうか、それはよかった。』


オレはシンと抱き合った。


『シン、これでお別れになるけど大丈夫か?』


「うん。大丈夫。作戦はわかってる。ジュンこそ痛覚2倍は相当痛いと思うけど大丈夫?」


『意識がなくなるらしいのに、痛覚2倍も何も関係無いんじゃ無いかな?』


「じゃあそろそろ始めよう!みんなー今日が終わる前に始めよう!。」


キッドがある事に気がつく。


『なんかシン薄くなって来てないか?』


みんながその発言にビックリしてシンを見た。


『薄くなるとかあるのか?全然まだ普通じゃないか?』


「僕の記憶が徐々に戻ってるのと、関係があるのかな?」


『わかんないけど、急ごう』


オレとシンとアキねぇを中心に円になった。


『セシルさん。ユイ。カナ。カズキ。リン。補助魔法3人組のみんな。今までありがとう。先に人間界に行って待っててくれ。オレもすぐむかう。』


「みんな、僕は多分帰れないからここでお別れだ。ミッキーをみつけたら僕の伝言だけみんなお願いします。」


「まかせろ。初めてのオレのリーダー。シンの代わりにオレが見つけて必ず伝える!」


「シン。あなたと、冒険した思い出は絶対忘れない。絶対忘れない。」


「カズキ、リン今までありがとう。他のみんなも元気で!」


みんなお別れを告げた


「アキねぇさん。やろう!2人なら大丈夫なはず。」


「MPカプセルもあるしね。」


「みんなげんきでー。ハー!」


みんな泣きながら手を振っていた。


消えていく。


アスピルの魔法に吸われ


みんなが消えていく。


「シン!また会えても絶対ともだちになろうなー!!シン!!」


カズキの叫び声と一緒に、みんな消えていった。


オレとシンとアキねぇと、魔族のキッドとマイが残った。


「ジュン!みんないっちゃったね」


『だな!おいっ!シン本当に体がちょっと透けて来てるぞ!』


「あっ!本当に?記憶が戻る前にかたをつけよう!このままだとまずい。少しずつもやがかかってた記憶が晴れてきてる!僕は本来ここにいるべき人間じゃないから、記憶が戻ったら消えてしまうのかもしれない。ジュンのおかげで記憶が戻るのかもしれないけど、そのせいで時間もないのかもしれない。」


『アキねぇ。スキルの本あるか?』


「ハイ!これ!」


渡させたスキルは


D1≧1←→1


になっていた。


『後はアキねぇだけだな!』


「そうね。シン君私を人間界に帰すのにMPカプセルいくついる?」


「2つあれば余裕かな。」


「ハイじゃあ念のため3つね。マイちゃん!残りのMPカプセル持ってて。ジュン君は私がやるから!ジュン君時間が無いから急ぐよ!」


『わかった殺さないでくれ!瀕死じゃないと意味がない!』


「難しい注文ね。やばそうになったら、言うのよ!じゃあ行くわね。ハー!」


生命力という名のHPが減って行く!


…まだだ。


…前に死んだ感覚を思い出せ。


…寒くなる感覚がくるまでだ。


…まだだ。


…来た。


『アキねぇ!』


「はいー!!どう?生きてる。」


『生きてる、、、けど、立てないな。、、こりゃヤバイ!立てる力も無い!!』


「成功だね!じゃあシン君!私を帰して。」


「アキねぇさん。色々ありがとう。」


「私は何もあまりしてないわよ。お別れの挨拶もっとしたいけど、シン君ヤバイわよ!体が透けてきてる!シン君消えたら今日までのみんなの努力が泡になるわ。だから早くお願い。マイちゃん。キッド。また後でね。」


『アキさんまた後で。』


『じゃあ!アキねぇ。またLINEする!』


「はいはーい。ジュン君も後でね。またお見舞いいくから。」


『おう!多分マイもいると思うけど来てくれ!今まで異世界で色々ありがとう。アキねぇがいたから、突破口が開けた。魔族のオレらだけじゃ、どうにも出来なかったかもしれない!本当に感謝してる。』


「始めは私も人間恐怖症だったからね。あなた達に会えて、冒険していく間にみるみるよくなって、私の方こそ感謝してるわ。ありがとう。急がないとだから、話はまた人間界で!シン君やって!」


「わかった!ハー!!」


アキねぇが、魔法でHPを吸われ消えていった。


そうするとスキルの本の数字の文字が変わり、変わった数字の部分が眩しく光り出す。


『シンじゃあ時間がないから、開くぞ!今のHPなら、魔王になってもシンなら倒せるはず!魔法は効かないらしいから、カズキの大剣で1撃で頼む!オレ立てないからこのままでゴメンな。』


「あんまり、こんな酷い事は仲間にしたくないけど、ジュンをクリアさせる為に思いっきりやるよ!」


『あー!思いっきりやってくれ、せめてもの罪滅ぼしだ!あの時のキワパンの貸しの分10倍返しで思いっきりやってくれ。』


「もう恨んでなんかないよ、ジュンそこらへんの記憶はもう戻ってるから。逆に僕の為に一生懸命になってくれてありがとう。記憶が無くなって、友達って感覚がわからなくて、一度カズキと喧嘩したけど、今ならわかる。人間界で、色々あったけど、僕達はもう友達だ!居なくなってもずっと友達だジュン!」


『あー!』


その一言で、我慢して来た涙腺が緩み、立ち上がれないオレの涙がすぐそばの土に流れた。


その一言を、オレはずっと聞きたかったのかも知れない。


報われた気がした。


異世界に来て、理不尽に、殺され、いっぱい泣いた過去が、救われた気がした。


みんなに酷い事ばかりした過去、


大っ嫌いな異世界までに来るまでの自分。


不幸にばかりして、恨まれてばかりいる自分。


そんなすぐには好きにはなれないけど、


今なら振り返るくらいは出来るかも知れない。


シンの言葉で完全に救われた気がした。


「ありがとうシン!こちらこそだ!ずっと忘れない!シンがいたことをずっと覚えてる!、、シン、じゃあ開くぞ!』


オレは前に開こうとした時はビクともしなかったスキルの本を開いた!


頭になんかこのスキルの情報が流れ込んで来て


体がデカくなっていく。


『ジュン大丈夫か?』


キッドとマイが不安そうにこっちを見ていた。


『あー!大丈夫だ、まだ、意識はある。でも長くは持たないかもしれない。体がだんだん力がみなぎる感じがする!オレがアスピルで吸われてなかったら、これはとんでもないパワーかもしれない!!完全体になったら、すぐ頼む!意識は徐々にこの強力な力に喰われると思う!今日しかない!今日を逃したら、次は無い!頼んだぞシン!』


「まかせて、ジュン!」


シンが大剣を持ちオレの前で構えた。


『うわっー体が!シンもうじきだぞ!』


【カランカラン】


その時、シンの大剣が床に落ちた!




『シン!!』


「ごめん片腕透けすぎて剣持てない!片手で行く!みんながここまで繋いでくれたんだ!僕しか出来ないから僕がやらなきゃいけないんだ。

みんなそうやって来たんだ。ここで、みんなの努力を無駄になんか出来ない!」


体の成長が止まり、オレは魔王という名の羽根が生えた巨大なドラゴンになった。


条件は揃った。

プレイヤーを、全員倒すか、

魔王を倒すか。


それでオレが魔王になった!


本当、初めはプレイヤーを全員倒してクリアの予定だったが、


シンが、死んでも死んでも死んだ事にカウントされない以上、プレイヤーの死は意味がない!


でも、魔王になるのに、最後の1人になるまでプレイヤーをさなければいけないから、また前と同じ様に狩って行く事になった。


本来ならこのスキルの本を、見つけた時 シンが、正常なプレイヤーだったら、


D25≧1←→1


ではなくて


D26≧1


だったはずだ。


この状態なら、1番強いセシルさんか、さっき知り合ったジャイが適任だろう。強ければ強い程殺す事に失敗する事は無い。



誰か1人を残した状態で、本を開かなくてはいけないなら、シンが、別にカウントされてる以上、

シン意外の選択肢は無くなった。


だから、万全の作戦を取った。


だから、瀕死の状態で魔王になった。


シンでも1撃で殺せる様に。



そして、魔王になると人間界、異世界ともに異世界が終わるまで意識が無くなる。


魔王になれば、徐々に意識が侵食されていき自我が無くなる。そして、もし失敗したら、オレは両方の世界で意識、自我を失うことになる。


それが実際に体験したわけでは無いからどういう事かはわからないが、

だいたいの想像はついた。


でも、それしか終わらせる方法が無いのならその方法を取るしか無かった。


シンが全てを終わらせてくれると信じて。


だから、万全の作戦を取った。



『シン!今だーーー!』


「うぉーーーーーーー!!」





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