18.4話
「おらー!谷口!殺人未遂の現行犯で逮捕だ!」
「この野郎!サツ呼んでんじゃねーか?きたねーやろうだな!」
「暴れるな!12時25分 殺人未遂!はいっ!逮捕!谷口こっちに来い」
『ジュンよかった、、、。生きてて、、、よかった、、、。』
みんなも降りて来た
キッドが寝てるオレに抱きついてきた。
『痛い、!』
キッドにかつぎ起こされた。
…シン、、、。
…シン、、、、、。
…シンそこにいるのか?
オレは立ち上がり、キッドを押し倒し、
海に向かって行った。
…何してる!シンそんなとこで、
…オレのせいなんだろ?
…オレが助けなきゃ。
『おぃ!何やってるジュン!』
『シンが、この下で待ってるんだ。』
『ジュンー!!馬鹿な事考えてんな!』
『ジュン君!、!』
…いかなきゃ!オレのせいだから、オレが助けなきゃいけないんだ。
『みんなゴメン。すぐ戻るから、、、。』
【バシャーン!】
『馬鹿かあいつは腕折れてんだろ?ここで死んだらなんの為に、、ちくしょう!!アホジュンが!』
【バシャーン】
【バシャーン】
【バシャーン】
…もっと下だ、
…シン!まだか?
…ダメだもう潜れない!
…冷たい、、、。
…シン、、、、、。
…シンだめだ届かない、、、。ごめん。。
【ゴボゴボゴボゴボ】
…んっ! どこだここ?
『痛っ!!!』
そこは病院の病室だった。
『ジュン君、、、よかった、、、。死ぬかと、、、思って、、、私、、、私、、、うぇーん。』
『アホジュン!馬鹿か!おまえが死んでどうする!』
『いや、、、。オレ、、、シンを助けなきゃ、、、って、、、。だって』
『ジュン。シンは死んだんだ!』
『だって、、、オレのせいで、、、、ヒック、、、オレのせいで、、、。』
『おまえのせいじゃねー!おまえのせいじゃねーんだって!』
『キッドー!キッドー!』
泣いた
涙が、枯れるほど泣いた。
みんな泣いていた。
目が真っ赤だった。
みんな薄々気がついてはいただろう。
オレも最悪のケースは考えていたが、実際その場で現実を突きつけられ、すぐには受け入れられないでいた。
海の底で手を伸ばして待ってるような気がして。
気がついたら、海に入っていた。
『みんなごめん、、あの時は、、、何も、、、何も考えられなくて、、、、死んだ事を、、、受け入れたく、、、なくて、、、海の底で、、、待ってる、、、、待ってる気がして、、、、、死にに、、、行った訳じゃないんだ、、、、、オレが、、、、オレ、、、オレが助けなきゃって、、、、オレのせいだからって、、、、思って、、、飛び込んだ、、、、、。みんなが、、、助けて、、、くれたんだろ?、、、、、、いつまで、、、経っても、、、いつも、、、いつも、、オレは、、助けられてばっかりだ、、、、、』
『大丈夫だよ、、、ジュン君、、、、ジュン君は、、、人1倍責任感が、、、強いから、、、、シン君の為に、、飛び込んだんだよ、、、、誰より、、、仲間思いで、、、優しいんだよ、、、ジュン君。
でも、、、死んだら、、、嫌だよ、、、、ジュン君、、、まだ、、、行きたいとこ、、、いっぱいあるよ、、私、、、私、、全然、、、世間知らずだから、、、、まだ、、、楽しい事、、、全然、、、出来てないよ、、、、、ジュン君、、、ジュン君じゃないと、、、嫌だよ、、、、、ずっと、、、一緒にいたいよ、、、、死んだら、、、、嫌だよ、、、、、こんなに大好きだから、、、、まだ、始まったばかり、、、なのに、、、、終わりなんて、、、嫌だよ、、、、、、嫌だよージュン君ーー!!
私の為に、、、、死なないで、、、、もっと、、見て、、、支えて、、、、たくさん、、キスして、、、、、だから、、、これからも、、、これから、、、もそばにいるだけで、、、いいから、、、死んだりしないで!!お願い!!死んだりしないでジュン君!!!』
『マイ!ゴメン、、。悪かった、、、。不安にさせて、、、。死ぬまで一緒にいる、、、ずっとだ!、、、、何があっても、、、、一緒にいるよ、、、。おまえのそばに、、、、ずっといる。』
『ヒック、、、、、じゃあみんなの前で
誓って、、、命をもう無駄にしないって、、、。』
『わかった。みんな、、、、迷惑かけて、、、すまなかった、、、もう絶対こんな事はしない、、、。』
「あんた、、、、こんな、、、素敵な彼女、、、いないよ、、、絶対、、、、大変だったん、だから、、、マイちゃんも、、、飛び込むって、、、言って、、、。あんたが、、、死んだら、、、マイちゃんも、、、本気で、、、死んじゃうような子よ、、、、、あんたの、、、馬鹿な、、、馬鹿な、、行動で、、マイちゃんを、、100万倍、、、辛い死後の、、、、世界に行かせたいの?、、、、、、そんなのダメだよ、、、絶対、、、ジュン君が、何が、、、あっても、、、守るの、、、マイちゃんを、、、。」
「悪かった、、、アキねぇ。」
『ジュン!そういう事だ!ここにいるみんなは、おまえが死んだら悲しむんだ。オレらは友達いや、親友だ!みんなおまえに引き寄せられて集まったんだ!もうただの友達なんかじゃない!おまえはもう変わったんだ。』
『ありがとう。キッド!おまえに会えてよかった。友達になれて、、、よかった、、、迷惑、、、ばっかり、、、かける、、、、リーダー、、、だけど、、、これからも、、、よろしくな。』
『あたりきよ!オラ折れてない方の腕は動くんだろう手出せよ!』
オレは人間界で初めてガッチリ握手した!
『ジュン!この事はどうする?』
『もう大丈夫だ。キッド!これもリーダーのオレの役割だ。オレがやらなきゃいけない!オレがシンに伝える。』
『わかった、、、。頼んだぞリーダー。』
「お話し中悪いね。」
こないだ取り調べ室で話した刑事のおっさんが入ってきた。
「刑事の安達です。ジュン君、今回は大変だったね。シン君は、死体解剖中だ。とはいえまだまだ、かかりそうだがね。今日来たのはこれだ。」
安達警部が出したのは手紙だ。
「この中にこれに見覚えのある方はいるかな?」
みんな黙っている。
…なんなんだろうか?あの手紙は。
「そうかやっとわかった。これ以上は言ってはいけないんだったな。私からはこれだけは言わせてほしい。お疲れ様でしたと。では私は帰るとするよ。ジュン君、君は素晴らしい仲間が沢山いる、その仲間を大切にしなさい。では。」
そういうと帰っていった。
『なんだ?あの刑事何言ってんだろうな?頭大丈夫か?』
『なんの事だろうな。オレらはそろそろ帰るぞ。こっからだと、結構かかるからな。』
『わかった。今日はありがとう。みんなもありがとう。こんな状況で、明日はいきなり異世界で戦闘かもしれないけど、頑張ろう。』
「ジュン君。あまり思いつめちゃダメよ。またお見舞い来るから。」
『ありがとうアキねぇ。』
「ジュンさん。マイ置いて帰るけど、変な事しちゃだめだからね!」
「そうだよ!マイを好きにするなら、まず、保護者のユイの許可がいるんだからね。フフフ。」
オレはマイの方を見た。
『私は一緒にいるよ。帰ってもやる事ないし、明日も明後日も予定ないから。』
『そうか。わかった。カナ、ユイ、今日はありがとう。今日だけじゃない、今までずっとになるのかな?本当にありがとう。』
「そんな大した事してないよ。ねっカナ。」
「そうだし。仲間でしょ。当然だよ。でもあまり、面と向かってありがとうなんて言われた事ないから、真面目に言われると嬉しいもんだね。」
「ユイも同じ事思った。なんか凄いあったかい気持ちになるんだね。なんか特別に何かした訳じゃないのに言われるとこんな嬉しいんだね。初めて知ったよ。真面目に言う人なんて今いないじゃん。恥ずかしいし。でも言ってくれてありがと。嬉しいよ。」
オレはカナとユイと握手をした。
『カナもユイもなんかあって異世界に来てるんだろ?なんかあるなら相談してくれ。力になれるかわからないけど。』
カナとユイが目を合わせていた。
「ジュンさん。ユイ達の悩みはもう大分前に解消してるから、もう大丈夫なんだよ。来た当初はあったけど、今は2人共ないんだ、、、。感謝しなきゃいけない、ありがとうを言わなきゃいけない人が私達もいるんだ。」
「ねっ!誰よりも頑張ってる人がね。いるんだよ。だから、私達はもう平気だよ。今はただ、異世界を楽しんでいるだけだから。多分隊長も一緒。ねっ!」
「そうなんです。私の場合は恩返しに、ここにいるんです。」
『誰にですか?』
「私を救ってくれた方にです。これ以上は言えません。その方かどうかも定かではありません。が、みんなここに来るべきにして、異世界に来た事だけは、間違いないです。」
『じゃあオレも誰かに救われるようにして、救われたのかもしれないですね。』
「そうかもしれませんね。」
『いつまでみんな湿っぽい話をしてるんだみんな!日が暮れちまうぜ!早くいかなきゃだ。じゃあなジュン明日異世界でまたな。』
『おう。また明日な。』
みんなが、ぞろぞろ帰って行った。
『みんな行っちゃったね。』
『そうだな。』
『ジュン君。ちょっと歩ける?』
体を動かしてみたが、折れた腕以外は問題なさそうだ。
『痛み止めが効いてんのかな?とりあえず、大丈夫だ。』
『一緒に上行こうよ。』
『おう。いいぜ。後で怒られないかな。』
立ち上がると少し、右足が痛んだ。
『ジュン君。痛いならやめようか?』
『大丈夫だちょっと肩貸してくれ。』
『フフフ。』
『なんだマイどうかしたか?』
『こんな腕が上がらない私でもジュン君を支える事があるんだなと思って。』
『そうだな。いつも支えてやるばかり考えてたけど振り返ると支えられてばっかりかもな。今も。』
『私だって支えられてばっかりなんて嫌だもん。じゃあ行くよ。きっと夕日が綺麗だよ。』
オレはマイに支えられ屋上に向かった。
そしてマイが屋上の扉を開けた。
『わーやっぱり綺麗!』
はしゃぐマイがかわいく、とても歳上には見えなかった。
『ジュン君!こっちこっち。』
…ったく、足痛いのにしょうがないな。
『ちょっと待って。』
マイが支えに戻ってきた。
『ごめんごめん。あまりにも綺麗でジュン君怪我してるの、忘れちゃった。一緒に手摺りまで行こう。』
2人で先端の手摺りまで来た。
夕日が海に沈んで行く景色はそれは雄大で、心が洗われるとはこの事だ。
『マイなんか異世界の学校に似てないか?』
『そうだね。赤い夕日があのお月様みたいだね。』
『後何回夕日を一緒に見れるかな?』
『ずっと毎日見てたいね。明日も。明後日も。ずっとジュン君!』
『同じ夕日なんだけどな。毎日ここで見る夕日はきっと同じなんだ!でもマイ確実に違うんだ。その時の気分で、見える景色は一緒でも、感じ方は違うんだ。』
『そう思う。私も飛び降りた時、夕日じゃなかったけど、景色が綺麗とか感じる余裕すらなかったよ。ちょっとした事なんだよね?でも私思うんだけど、そういう状態の時って周りなんて見る余裕なんて無いよ。きっと。1人は1人の視線、1人の自分の考えが正しいって思うの。間違っていても、それを間違っていると言ってくれる人がいないから。その考えのままに、動いちゃう。死にたいと思った時に、死にたいんだけど、なんて相談する人なんか、なかなかいないと思う。相談出来ないから自分の決断を実行するんだよ。きっと。そんな人はまだまだこの世の中にたくさんいるんだと思う。
いい事したのに裏切られた人とか、 信じて裏切られた人、
愛していたのに、死んでしまった人、大事にしていたペットが亡くなった家族、
子供の方が親より、先に逝ってしまい残された親、
私みたいに、それしか無いものがいきなり、奪われた人とか
他にもいっぱいいっぱいいるんだよ。
楽しくて毎日笑ってる人の、どこかで、助けてって1人で手を伸ばしている人はたくさんいると思う。
手すら伸ばせない人だっている。
人は思ってるほど、強くない、ちょっとした事で、凄く落ち込んだり自暴自棄になったりするんだよ。
私はそんな人をただ、ギュッと抱きしめてあげたい。
そして、止まない雨は無いんだよって伝えてあげたい。
私の幸せな気持ちをおすそ分けしてあげたいよ。
今はこんなに、空が綺麗で
夕日が綺麗なんだって思えるもん。』
夕日に光るマイはそれは綺麗で、
言ってる内容の通り全身から楽しさ、嬉しさ、幸せが、滲み出ていた。
『だから、ジュン君!今回シン君の事を救えなかったのは、残念で、悲しいけど、だめだよ!死んだりしちゃ。
シン君はあの、人でなしの人に殺されちゃったけど、殺した本人が、全然殺した事を何も考えてなくて、シン君の為に一生懸命になったジュン君が死んじゃうなんて絶対間違ってる。私達はもう何があっても一緒だって言ったでしょ。幸せになろうよ!シン君の分まで。死にたい気持ちも半分こだよ。』
『マイ!マイには敵わないよ。ホント話せば話すほど癒やされてる。一緒にいればいるほど、好きになる。恋って凄いな!前、世界を敵にまわしても、オレはおまえの味方だ。ってどこかで聞いたけど、今ならその気持ちがわかるよ!その名言を言った人も今オレと同じくらい好きな相手がいたんだな。』
『そうだね。私今ジュン君に恋をしてる自分が好き。なんか輝いている気がする。ピアノやってる自分も好きだったけど。何かに一生懸命になるって楽しいよね。』
『あー!自分の思いやその行動
がそのまま感謝になって返ってきたり、大事にしたいって思いが自分が思った以上に帰ってきたら、幸せだよな。』
『私ジュン君を好きになってわかったけど、結構想いが重いほうかもしれない。』
『束縛とかヤキモチとかそんな感じ?』
『そう。そうなったら、嫌いになる?』
『別に、なんで?サバサバほっとかれるよりいいじゃん!ヤキモチなんて焼いてくれた方が嬉しいよ。』
『ジュン君嬉しくて、好き過ぎて胸が、キュッーってなって大変だ。どうしよう。この気持ちを冷凍庫にいれてとっときたいよ。今なら片手しか動かないけど、羽があれば嬉しくて空も飛べそうな気がする。ハハハ。』
喜んで欲しくて言葉を選んで言ってるんじゃなくて
本音で話をしてるだけで、それを喜んでくれる事が嬉しい。
『生まれて来てよかったよ。マイ。最近マイに会えてホント思う。』
『ジュン君もういっぱいだよ。幸せの心の箱がもう満タン。だめだよ。嬉しくて涙になって溢れちゃうよ。私すぐ泣くから。』
オレは片手でギュッとマイを抱きしめた。
『ジュン君に抱きしめられたりする度に、自殺した私なんかが幸せになっていいのかなって毎回思う。』
『いいんだ!マイはこれから神様がくれたロスタイムだから。神様がこの人を救ってよかったと思うくらい、幸せになれば。!』
『うん。ジュン君!私も今生きててよかったよ』
沈む太陽の前で長いキスをした。
お互い片手しか動かない手をきつく結び、
何度も唇を重ねた。
お互い心臓のドキドキが、吐息を通して感じられた。
ドキドキがやば過ぎて、心臓が胸から飛び出してマイを押すんじゃないか、そのくらいだった。
『今日は太陽の神様が見てるよ。えへへ。』
『ファーストキスはお月様の前だったな。なぁ、マイ!』
『んっ?どうしたの?』
『オレ、明日シンに今日の事を言わないといけないんだ!今から考えただけで、シラフで言えそうも無い。
側にいてくれないか?』
『もちろんだよ。辛い気持ちも半分こだよ。』
『わりぃ。泣き虫だから。オレも泣き虫だからさ。』
『大丈夫。側にいるから。』
オレとマイは太陽が、仕事を終え、
月と仕事のバトンタッチする頃、
マイに支えられ、病室に戻った。
『なぁマイはここに泊まるのか?』
『そうだよ?椅子にでも寝るよ。』
『あのさ、オレら2時から6時って起きないけど、大丈夫かな?』
『そうだね。何も考えてなかった。』
『まぁ熟睡してるの、起こさないよな。』
『ねっ。多分』
ちょっと不安のままだったが、何か対策を取ることはしなかった。
オレは明日の事を、ずっと考えていた。
明日の戦いも大事だが、そうでは無く、ずっとシンの事だ。
『なぁマイ!シンがこっちの世界で死んじゃっただろ?でも異世界にはいるんだよ。オレら異世界を終わらせる為に動いてる訳じゃんか?異世界が終わったら、シンの存在はなくなっちゃうのかな?』
『どうかな?シン君今、魂みたいなもんなのかな?だとしたら、行き場をなくした魂は無くなっちゃいそうな気がしないでもないよね。』
『今何もしなければ、シンは異世界になら、いれることが出来るんだ。今なら話せるし、一緒に戦えるし、みんなで笑いあえる。でも異世界を終わらせたら何も無くなってしまうかもしれない。オレはそんな風にこの先動いていいのかな?』
『私は、今までそのつもりでついてきたし、昨日倒したプレイヤーだって、グロックだって、グロックと一緒にいた仲間だって、そのつもりで倒してきたんだよね。私が言うのもなんだけど、異世界に居たくてジュン君達に殺された立場のプレイヤーだったら、シン君を異世界に残したいから、やっぱりクリア目指すのやめましたってなったら、殺されて無理やり卒業させられたプレイヤーみんなは、もっと異世界に居たかったのにって恨まないかな?』
『そうだけど、そのみんなは、人間界でも普通にまた話をしたり出来るだろ?シンはあそこにしかいれないからさ、存在を消すって、なんか殺すみたいで、オレが異世界に来て1番に思った事が、シンを救いたいと思ってやってきたオレが、最後シンを殺すって、あんまりだなって、、、。』
『そうだね。そういわれちゃうと、私は何も言えないけど、確かにもし、異世界にミッキーが居て、異世界を終わらせたら、シンと永遠に会えないってなったら、ミッキーは絶対賛成しないし、最悪敵になる可能性もあるよね。』
『そうだな。オレだって、もし、マイが魂だけの存在で異世界に居て、クリアの条件が整ったってなって、クリアしたら、もう一生声が聞けない!触れ合えない、語り合えないってなったら、敵になる可能性は充分あるよ!おれらがこれからやるってそういう事なんだな!なんて残酷なんだ!
後ろになんか引き返せない状況まで来て
マイも赤魔族になって、
オレもクリアするまで、星が3より減る事が無い!
そんな状況で、クリアしたら、シンの存在が死ぬ!
でもクリアしない限り、うちらは異世界を辞める事が出来ない。
いつ星の数が増えて星6になるかわからない異世界で、クリア出来ない!
いつまで、みんなが守ってくれるかわからないプレイヤーはみんな死ねば異世界が終われる!
面倒になってプレイヤーのみんなが死んで卒業して行った先に残るのは、一生卒業出来ないオレと、マイと、死ぬ事が出来ないシンだけだ!
最悪な選択肢しか残らない異世界ってなんなんだ!』
『そう卑屈にならずに、考えようよ。必ず解決策はあるよ。』
『せめて、シンの存在が消えるとして、人間界での記憶だけでも、復活させてあげたいな。』
『そんな事が出来るの?』
『上手くいくかはわからない。半分ダメ元だけど、策が無い事は無い。出来るかどうかは神様の赤い月のみぞ知るって感じかも。』
『ジュン君はいつも人の為に一生懸命だね。』
『そう変わったんだ。異世界に来てみんなに助けられてから、罪滅ぼしにもならないかもしれないけど出来る事を頑張るんだ。』
『そうだよね。今までも頑張った結果でやっとここまでたどりついたんだもんね。どういう未来が待ってても一生懸命頑張ろう。』
『その通りだ。』
2人でたわいない話をしながら、夜は老けていった。
ベッドの横でウトウトしてるマイを見てオレはマイしかいないと思った。
出会った瞬間から、マイしかいないと思っていたんだ。
『なぁ、マイ!オレまだ17だけど、実は明日誕生日なんだ。』
『そうなの?なんかお祝いしなきゃ。』
『あのさ、、、、。』
…言え!気合いだ男を見せろジュン!
『あのさ、オレが18になって、異世界を終らせられたら、オレと結婚してくれないか?』
『ジュン君!もう今日は、心の箱がいっぱいだっていったのに、、、ヒック、、、いいのかな?、、、ヒック、、、私で、、、ヒック、、、私も、、、ジュン君、、、以外考えられないっ、、、て、、、、思ってたけど、、、ヒック、、、いいのかなホントに私で、、、。』
『マイしか考えられない。』
『ありがとう、、、ジュン君。私はこれから、あなたの為に生きるよ、、、、。何が、、、ヒック、、、あっても、、、ジュン君、、、だけ、、、、愛すよ、、、、どうしよう涙が止まらない、、、。』
『オレだって、どんな辛くてもマイだけに生きる。』
『私もどんな、、、辛くても、、、ジュン君の為に生きるよ、、、。いきなりだから、、、プレゼントなんか、、、、用意して、、、無いよ、、どうしよう。』
『異世界を終らせたらプレゼントはマイでいいよ!』
『えっ?私って、、、そういう事かな?』
『あぁ、、異世界が終わるまではキスで我慢だ!』
『でも、、私、、19にもなって恥ずかしいけど処女だよ、、、?』
『大丈夫。オレも17でまだ経験も無い。キスもマイが初めてだ。楽しみは異世界が終わるまで2人でとっとこう。』
『わかった。ジュン君が欲しいならいつでも、いいよ。』
その日初めて、オレ達は同じ部屋で一夜を明かした。
一夜を明かしたとはいえ、そういう行為があった訳ではない。
そういう行為は、異世界が終わってからの楽しみにと言う約束をした。
だからただ普通に手を繋ぎ病室で寝ただけだった。
ただそれだけだったが幸せだった。