18.3話(6/13挿絵追加)
車は京葉道路に入り、千葉をどんどん南下して行く。
『どこまで行くつもりだ?』
俺らも少し距離を置いて、走っていた。
『これバレてねーのかな?』
『わかんないけど、バレてても、逃げないならついて来いって事か?普通に気がついてないか、どっちかだな。』
車は蘇我を越え、市原を越え、木更津南で降りた。
「ユイここ知ってる。赤い大きな橋があるんだよ。」
『来たことあるの?』
「無いけど、彼氏が出来たら来たいと思ってたんだぁ。南京錠かける場所があってカップルで一緒に鍵かけると、別れないってジンクスがある場所のそばだと思うここ!」
車は更に埠頭の奥へ奥へと走っていった。
着いた場所は、埠頭の海岸だった
前を走っていたタニセンの車が行き止まりの海がすぐそこに見えるとこに止まり降りてきた
「おまえ達かやっぱり?さっきから、ミラーでわかっていたシン!いるんだろ?出て来いよ!」
『じゃあ行ってくる!みんなはこのまま待っていてくれ!』
『ダメだ!オレも行く!なんかあったら1対1じゃ、不利だ!オレも喧嘩は慣れてる!絶対行く!行かなきゃいけないんだ!オレは!』
キッドが断れるような雰囲気じゃない凄い迫力で、言っていた。
『よし行こう!』
【ガラガラガラ】
オレとキッドが降りた!
タニセンが何かに気がつく!
「おまぇ、ジュンじゃねーか?シンはどうした?」
『シンは来ない!シンをどこにやった?』
「隣のやつと、車の運転手はサツか?」
『警察は呼んでない!オレの友達だ!オレはシンを探しに来ただけだ!シンはどこにいる?』
「なんで、おまぇが、シンを心配する必要がある?ジュン!おまえも、オレとげんぞーと一緒に、シンを痛めつけて、遊んでた仲だろうが!今更何言ってやがる?2回も、自分の自慢の拳でシンをのしといて、今更そっち側につけるわけねーだろ?あっ?」
『オレは一回もシンを楽しいと思って殴った事なんか無い!!』
「馬鹿か!いくらそんな事言ったって、その時、こっち側についてたら、立派な加害者なんだよ!呼ばれたらついて来て、散々殴るの見てたろ?ってか、おまえも殴ってたじゃねーか?」
『違ーう!!オレは嫌々おまえの下についただけだ!やられたくないから!』
「だからー!シンを見捨てたんだろ!」
『違う、、、。』
「どう違うか言ってみろ!」
『違うんだ、、、、シン、、。』
「今更、自分だけ真面目になりましたなんて、たわ言が通る訳ねーだろ!」
『そんなんじゃないんだ。シン!そんなんじゃないんだ。シン。』
『ジュン。大丈夫だ!オレがいる!みんながいる。おまえは1人じゃない!1人で背負わなくていい。後ろを見てみろ、おまえの為の仲間だ。シンの為の仲間だ。』
『オレは関わる人間を不幸にして来た。リンの時は、このでたらめな口のせいでリンに心の傷を作った、
だから、喋らない人間になった。
喋らない人間になったら、いじめにあうようになり、カズキになすりつけた。誰にも負けないように、鍛えて素振りもした。そこでおまえが出てきた!オレは静かに学園生活を過ごしていきたいだけだったんだ!』
「よかっただろ?オレの下についていたから、誰にも殴られなくてすんだじゃねーか?だったら、オレはおまえの神様だな!」
『あの時、オレはこうしなきゃ、いけなかった!毎日やられてでも、向かって行かなきゃいけなかったんだ!なんで、何回も人から恨まれて気がつかなかったんだろう。3人もオレのせいで、トラウマを作ってしまった。
オレはあの日駐輪場におまぇの下について安堵してしまったクソな自分を取りに行かなきゃいけない!谷口!オレとタイマンだ!』
「おまえ勝てると思ってんのか?勝った事ねーだろ。」
『もう、オレは自分が助かる為に犠牲にしたくない!オレは変わったんだ!オレには守りたいものがたくさんある!』
「かかってこいよ!偽善者が」
オレは拳を握った。
「おまぇのせいで、シンが学校に来なくなったんだろーが!おらー!」
オレはまっすぐ向かって行った!
【ゴフッ】
『うぐっ!谷口!おまえのパンチはこんな弱かったのか?』
「なめんじゃねー。」
【バキッ】
『グハッ、、。なんでこんな耐えられる痛みにオレは怯えていたんだ。』
【バキッ、ドゴッ、】
『グハッ、、ゴホッゴホッこれに怯え、シンを売ったのか?』
「おめーじゃ。オレには、勝てねーんだよ。」
【ボキッー!!】
『ギャッー!!!』
「馬鹿が左手1本折ってやったぜ!」
『まだだ、、、。』
『まだ死んでない、、、。』
『まだやれる!右手の拳が握れればまだやれる!』
オレは片手で立ち上がった。
『こんなのゴブリンが死ぬ痛みに比べたら全然痛くない!シンが、受けた心の傷の方が何倍も痛いんだーーーー!おまえだけは許さない!』
オレはまた、握った拳を!
あの駐輪場の時みたいに。
あの時はオレだけの為に握ったんだ。
まるで、時代がスリップする!
あの駐輪場の時のように、
もう1度やり直せと神様が言わんばかりに。
人間は間違いを繰り返す生き物だ。
それにいつ気がつくか。
オレの場合はそれに長い事気がつかなかった。
でも神様の異世界のおかげで気がつけた。
異世界でゴブリンになれて、今よかったと思える!
みんなと知り合えてよかった。
みんなから、立ち向かう勇気を、貰った
それこそこないだ、キッドが、言っていた。
あの時恐怖の中一歩踏み出したギル!
あの時、みんなの為に考えて前に出たマイミ!
仲間が死ぬとわかっていても、魔法を撃ったカナ!
ミズーの為に走ったカズキ!
死ぬとわかって魔法でグロックを止めたミッキー!
ミッキーを思い走ったシン!
自分が動けなくなるとわかっていながら、全魔力でミズーを救おうとした、アキねぇと、補助魔法3人組
自分より強い、グロックに前線で戦った、ユイ、セシルさん、リン。
誰1人楽に勝てるとわかって戦った敵じゃないけど、
みんなと一緒だったから戦えた。
オレの後ろにはみんながいてくれる
もう何を恐れる事がある!
やるんだ!なんの為に素振りをして来た!
なんの為にわざわざ、神様が異世界に行かせてくれた。
なんの為にたくさん泣いた。
みんなこの日の為だ!
今日がホントの卒業だ、昔の自分から、卒業する為に行かなきゃいけない!
オレは、こいつに1撃与える為に異世界に行ったんだ
『おまえだけは許さなねー!絶対許さなねー!うぉー!』
「そこまでいうなら、男見せてみろジュン!」
オレは走った。
やられた痛みで足がもつれた。
もつれたおかげでたまたま頭のスレスレを谷口のハイキックがかすっていく。
…いける!
『うぉー!』
【バキッ】
キワパンは出なかったが、殴りつけながら勢いで押し倒した。
谷口が起き上がる
「やっぱり、おまえはいいものを持ってやがる!でもここまでだ!オレが、あんな手紙貰って丸腰で来ると思ったか?」
谷口が後ろポケットに、手をかけていた。
…ダメだ体が動かない!
「シンはドラム缶の中で海の底だ。ジュンおまえもすぐ行ってやれ。」
『ジュン!!』
…みんな、シン、マイ、ごめん動かないんだ。もう身体が。
…シンお詫びにオレもいくから異世界でまってろよ。
「じゃあな!」
『ジュンーーー!!!!!』
【パーン!!】