17.7話
麦藁洞窟まで引き返して来た。
カナも大分落ち着いたようだった。
『カナ大丈夫か?』
「うん。大丈夫。まさか撃てないと思わなかったよ。」
「カナちゃん。待ち伏せされてたの?」
「そんな感じだった。いきなり矢が飛んで来たから。」
「なんだよっ!オレらが、今日行く事知らないはずなのに!どういう事だよ」
『まぁグロックが村に転生されて来ない、モンスターを守るプレイヤーがいる。そんなのがここ2日以内に起こってるんだ。武装して待っててもおかしい事はないはずだ。
そんなタイミングでうちらが、村に現れる!やっぱり来た!ってなるだろ?』
「そりゃそうかもしんねーけど、不意打ちとか、、、。」
『因果応報だね。私達だって、グロックと戦った時同じ事してるんだから。』
「確かにそうかもしんないけどさぁ、、、。」
『カズキ。みんな必死なんだよきっと。自分の居場所を守るために。何か変わるきっかけを求める為に、他にも、色々あると思う。それは人それぞれ違うと思うけど、多分みんな必死なんだと思う。普通な人が1人もいない異世界なんだもん。』
みんな確かにみたいに聞いていた。
「カナはシンとあいつらがなんか話していたけど聞いたのか?」
「うん。聞いた!この異世界をクリアすると願いが叶うって言ってた。後、クリアする為には5つの方法があるって言ってた!グロック達は魔族達を全滅させる事でクリアするんだって言ってたよ。」
『そうか、2つじゃないのか?グロックはどこから、そんな情報をゲットしたんだろうな。』
「そうだね。色々かなり知ってる感じだったかな。そーいえばジュンさん。スキルの本の数字どうなった?」
…確かに!
『アキねぇバックから、出せるか
?』
「うん。はいっこれ!」
『「おーーーー!!」』
「減ってるな!!」
『大丈夫そうだな。やはり、間違い無いんだ!後10人か?』
本の表紙は
D25≧1←→1から
D19≧1
に変化していた。
「あのグロック村の人達が6人だから、25が19になったのはわかるけど、←→1が消えたのはシン君の事かしらね。」
『多分そうだろうな。あいつは異世界でも特別な存在!なのかもしれない。』
「なぁ、あんま怒らないで聞いてな。」
カズキが何か思いついたように口を開く。
「さっき、カナが、魔族全員を倒してグロックがクリアする予定だったって言ってただろ?あのやり方なら、全員苦しまず、魔族に一回死んで貰えれば終わるんじゃね?」
「カズキ!それって、ジュンや、キッドやマイや他の魔族に1回死ねって事?」
「いや!リンよく聞いてくれ!また明日多分戦争になると思う!今日の相手はたった6人に、こっちはシンが死んでカナも死にかけた。だったらアスピルが使える魔法使いがいるなら、魔族に1回死んで貰った方が、うちら的に傷つかないんじゃないかな?って思ってさ。」
、、、、、、、、、、、。
『カズキ誰も怒らないさ。カズキなりにみんなを心配して考えた事だろ?でもオレの予想だと多分それ無理だ。
今のオレの予想だと、スキル自体の本は1つじゃなく、5つ別々に覚える事が出来ると思う。
1つ覚えたら覚えられないっていうのはガセネタだと思う。
グロックの覚えたスキルは、多分宝箱に無かった1つのスキルの本だ。
そのスキルの結末は、魔族を全員殺す事だったんじゃないかな?
あいつはどこかであの本を見つけアレを選び、そのクリア方法を目指し、みんなで一丸となって目標に向かったんじゃないかな?
プレイヤーは魔王を倒す。
魔族は、プレイヤーを倒す
そう月には言われて来たから、
グロックは魔王を探していろんな洞窟を探していた。そこに、ある時、違うルートが見えた。
だったらうちらと同じ最短ルートで、クリアしようと思ったのかもしれない。まぁ、これはオレの推測だからなんとも言えないけど、だから、オレらはグロックのスキルの本を覚えない限り、魔族を殺しても無駄なんじゃないかな?』
「なるほどな。わかった。オレらが進む道はやっぱりその数を減らしていくしか無いって事だな。」
『まぁそういう事だ。明日多分朝1から戦争になると思う。いきなり不意打ちなんて、みんな嫌かもしれないけど、本当悪いと思うけど、一緒に頑張ろう。
魔族は森に転生だから、森から、すぐ駆けつける。後人間界で、この後、谷口を呼び出す!昨日のメンツは人間界でもよろしく。』
おれらは、この後、洞窟のすぐ側でたわいの無い話をしながら、
時間を過ごした。
まるで、息が合う仲間で集まったクラブ活動みたいだ!
いるだけで居心地がいい。
ただ、ちょっと悲しいのは、
ミッキー、ミズー、シンがこの場にいないことだけだった。
シンは多分だけど、明日もここに来るだろう。
でもミズー、ミッキーは来ない。
来ないんじゃない。来れないんだ。
全員いて、やっぱりおれらのパーティっていう感じがする。
これ以上誰も欠けて欲しくない。
それは多分オレだけじゃなく、みんな同じ考えを持っていると思う。
みんなと笑っていると、自分が、嫌な過去があった事すら、その一瞬忘れられるそんな気がした。
今は残ったメンバーでバカ話をしながら異世界を終わるのを待った。