表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン魂  作者: チャー丸
異世界9日目
127/534

17.4話



グロック村に向かいながら、スキルの話とそれに対する自分の考えを全員に話した。


『という訳だ。みんなそれで大丈夫か?』


「ユイ達はそれで構わないけどジュンさんはそれでいいの?」


『それ以外ないだろ?みんなだって嫌かもしんないけど、よろしく頼む、でもこれ失敗したら、泣くなオレ多分!もう1回はやりたくないから、1度で成功させよう!』


みんなノリ気ではなかった。


オレだってやりたくない!!


シンが異世界から帰れるようになるのが1番好都合なのだが、帰れない以上もうしょうがないのだ。


このスキルの本を選んでしまった結末はこの路線しか考えられない、、。


だから、乗っかるしかないその敷かれたレールの終点に笑顔があると祈って。


麦藁洞窟を越えた。


後少しで、グロック村に着きそうだったので、作戦会議を開くのに、他のプレイヤーに見つからないとこで停止した


『25だから、オレら抜いて何人が残ってる事になるんだ?』


『シン、カズキ、リン、セシルさん、ユイ、カナ、補助3人組だから合計9人か?

25人だから9引いて16人だな。』


『あの1が、もしシンだとすると、シンがカウントされてなければ更に1人増えて、17人になるな。』


「17対ユイ達9人と魔族3人かぁ。まぁ戦いになったら決して楽な数字じゃないね、これ。」


『トラウマ聞くから、話をして、アスピルで帰ってくれないかな?』


オレは軽い感じでみんなに話した。


特に深く考えて話した訳ではなかった。


『トラウマ、トラウマって、、、。』


キッドが立ち上がった


『どうした?キッド?今日のおまえ変だぞ!』


『トラウマ救う救うってな!ジュンおまえ簡単に言うけどな、トラウマってなそんな話聞いて、ハイ!終わりなんて、もんじゃねーんだよ。』


『おい。どうしたよキッド?』


『ジュン!おまえ青魔族がみんな自分に嫌になって自殺したとでも思ってんのか?

これから行ってプレイヤー救うんだっけか?

じゃその前にオレを、救ってみろよ!

おまえだったら、あの時どんな判断したか聞かせてくれ!』


みんなが、キッドの話に聞き入っていた。


『ジュン!青魔族って自殺して、異世界に転生して、初日だから、絶対殺されるのは知ってるよな。

その後異世界から、どういう状態でまた人間界に戻るか知ってるか?』


『知らない、、、。マイは知ってるのか?』


『あのね、自殺した日の朝6時に何もなかったように戻るんだよ。私は病院のベッドに戻った。

自殺した事がなかった事になって自殺した日の朝6時からまた人間の生活がリスタートするんだよ。』


『そうだ!普通の青魔族は初日だから必ず殺され戻る!


そしてまた自殺したらそれより100万倍辛い死後の世界が待ってると言われる!


それで6時に人間界に戻った人間が、また死のうとするはずがない!!


それは自分に負けて自殺したやつだ!

オレは違うんだ!

彼女を救う為に死んだ!

死んだんだ。』


隣に座っているアキねぇがキッドの足に手を置いて


「キッド、、、、。」

そう言っていた。


『オレは昔、グレていたんだ、バイクを乗り回し、チームの頭をはっていた時もあった。仲間とつるんでいた時は楽しかった。


夜、国道をみんなのバイクで走ると、自分達はヒーローになった気分でいた。そんなオレにも彼女が出来た。


オレなんかには、不釣り合いな彼女だった、可愛くて、頭も良かった。


名前は優子。オレが仲間思いのとこが好きって言ってくれた。


確かに仲間の為にかなり体を張って喧嘩もした。対立したチームもそれなりにいた。


その日オレは友達と明け方まで、バイクで走り、みんなと別れ優子をリアシートに乗せたまま帰る途中だった。時間は5時半頃だったと思う。


それはいきなりだった!


オレは商店街を抜けて、優子を家に送る途中、脇から出てきたやつに金属バットで殴られバイクは転倒し意識を失った。


目が覚めた時は、マンションの屋上に手を縛られた状態でいたんだ。


そこにはオレを殴ったやつとその仲間6人が、オレの優子の制服を切って遊んでる状態だったんだ!


その首謀者みたいなやつは完全に目がいってた!薬物でもやってたのかもな。


そいつはオレの前で彼女の腕を刺した!

周りの仲間がひいてるくらいだったからな。


悪いこといっぱいして、恨み買ってたせいでこうなったのかと後悔した。


優子が目の前で傷つけられるのを見てるしか出来ないオレは無力だった。


その、優子の腕を刺した首謀者が、オレに言ったんだ。


おまえが死んだらこの女はこのまま何もせず帰してやると言われナイフを投げられた!


ちょっとでも変な動きをしたら、この女を即殺す。そう言って縄を外された。


ジュン!おまえならどうする!マイが目の前で服を切り裂かれ、胸を揉まれ、腕を刺され、自分の所にナイフ投げられ死んだら女を助けてやるって人間界で言われたら、どうする?ジュン!』


『、、、、、、、、、、、、。』


あまりの壮絶な過去に言葉なんか出るわけがない!


言葉より涙しか出ない。


みんなそれでもしっかり聞いていた。


『オレはナイフを握ったさ。


好きだったから、優子が。

オレへの恨みで優子の人生を台無しに出来る訳ないだろ、、、。


優子がやめてって言ってるなか腹を切ったんだ!


痛かった、、、、。


想像出来る痛みじゃないくらいの痛みだったよ。ジュン。


でもオレもこの時は頑張ったんだ、ジュンがみんなの為に頑張ってるように、


オレは彼女を救う為に頑張ったんだ。


これで彼女を救えるならと、その思いだけで出来た行動だった。


もう意識がなくなり、死ぬはずだった。


でも神様は許してくれなかった。


こんなオレを青魔族として、異世界に転生させたんだ。


そこで意味もよく分からずまた殺された。


でもまだ人間界の自分で斬った腹の痛みに比べたら耐えられたんだ。


でまた自殺したら、これより100万倍辛い死後の世界が待ってるといわれ、人間界にもどされたんだ。


その場所は、優子が腕を刺された瞬間だったんだ、、、。


なぁ、ジュン、オレはどうしたら、よかった?


リスタートしたオレの目の前でまた彼女が刺されてるんだ。


でも死んだら100万倍辛い死後の世界待ってると言う。


そして2回目のナイフを、投げられ、縄を斬られ前回と同じセリフ!同じ態度でちょっとでも変な動きをしたら、この女を即殺す。そう言うんだ!


ジュンおまえならまた腹斬れるか?


ジュンおまえなら、腹を斬った後にこの辛さの100万倍辛い死後の世界、青魔族の死の300万倍辛い死後があるって知った後に腹を斬れるか?


なぁジュン!答えてみろよ!


全員のトラウマ救うんだろ?


おまえは救世主なんだろ?


だったらオレはなぁ、あの時どうしたらよかった?


おまえならあの時どうした?


黙ってないで、なんとか言ってみろっていってるんだ!』





『ごめん、、、。キッド、、。』


オレは謝るしか出来なかった。



自分の軽はずみにした発言に。



『オレはな、、、逃げたんだ、、、。縄、、外されて、、ナイフ渡された、、、ヒック、、、瞬間、、、逃げたんだ、、、、

マンションの屋上の扉向かって、、、後ろを、、振り返ることも、、、出来ず、、、逃げたんだ、、、逃げてる、、、間、、優子の悲鳴が、、、聞こえた、、、、。それなのに、振り返ることも、、、何も、、、何も、、、出来なかった、、、、。

ジュン、、、助けて、、、くれよ、、、オレ1度助けようとして、、、、腹斬ったんだぜ、、、、、、、、なぁ、、もうそれで、終わりで、、、いいじゃんかよな?、、、そんな地獄2度も見せなくて、、、いいじゃんかよな、、、


ジュンおまえは異世界で人を殺したって、、泣いてたな。


オレはもしかしたら、人間界で人を見殺しにしてるんだ。


異世界の300万倍の辛い死後、人間界の痛みの100万倍痛い死後の世界にビビり、、オレは、、、

オレは、、、優子、、、優子を見捨てて、、、、

しまったんだ。


思い出したくもなかった、、、。


思い出すたびに死にたくなる。


死にたくなるのに、

死ねないんだよ。


なんなんだ、オレの人生は

おまえには、オレのトラウマは救えるのか?なぁ、リーダー。』


…オレには無理だ、、、。


…いじめとかとは背負ってきたトラウマの重さが違う、、、。


『ジュン!いいんだ。トラウマは人それぞれ重さがあるんだ。


一生背負っていかなきゃいけないトラウマもあるんだ。それだけ、わかってくれれば、それでいいんだ。


オレの場合他人がどうにか出来るレベルじゃないのは自分で充分わかってる。


それでも、何か突破口がないか、もがいてまぁ、結果的になんとかなったんだ。


おまえらと一緒にいたから、救われた。


だからオレも救えるやつは救いたいって気持ちはわかるんだ。


でも全部救うってのは無理だから。

まずは、何が優先か考えて欲しい。


オレにとって、ここにいる、仲間全員の笑顔が第一だ!


それが確実に約束されてからの、相手の救いだと思う!


相手が、17人もいるんだ!オレ達が確実に全員生き残る保障なんてない!


だったら1人でも奇襲でも、なんでも構わないから、殺して行った方がいいと思う。


オレも昔仲間の為にそうやって戦っていたから、、、。』


アキねぇが泣きながらキッドを抱きしめていた。


「あんた、、、1人で、、、背負い過ぎ、、、、でしょ、、。」


『アキねぇのどうした。こんなサービスされても、オレは金持ってないぞ。』


「もう!馬鹿!!」


キッドが泣いてるアキねぇの頭を撫でていた。


「あんた自分の事は話さないから、、、。」


『アキねぇ!オレはもう大丈夫なんだ!オレの過去はオレでなんとか出来た。今殺したい奴がいるが、そいつじゃない。そいつは法的に確実に守られているんだ!』


2人が何か2人しか聞こえない様に話していた。


オレはキッドの側まで歩いていた


『悪かった。なんか、天狗になっていたかもしれない。仲間の為には心を鬼にしなきゃ、ならない時もあるんだな』


『まぁ、そう言う事だ!


救うつもりで近づいて、マイが捕まって、拷問でも受けたらジュン!おまえは自分のしようとした事を悔やむはずだ!


その事で、おまえは更にトラウマを増やす事になる!


だったら、何が1番の目的かをハッキリさせて、それに向かって1番低いリスクで一直線に向かって行くしかない!オレはそう思う!


オレらは、シンを救い!異世界を終わらせる為にここにいるみんなは集まってるんだ!


グロックを倒す時で結束して、青魔族のみんなは救われた。


でもあれだって、オレらが悩みを聞いて救った訳じゃない!


みんなが自分自信のトラウマに向き合う、生きて行く自信を取り戻す為にきっかけを与えたに過ぎないんだ。


あの時恐怖の中一歩踏み出したギル!


あの時、みんなの為に考えて前に出たマイミ!


仲間の犠牲を覚悟にカナに魔法を撃つように手を挙げたジュン!


仲間が死ぬとわかっていても、魔法を撃ったカナ!


ミズーの為に走ったカズキ!


死ぬとわかって魔法でグロックを止めたミッキー!


ミッキーを思い走ったシン!


自分が動けなくなるとわかっていながら、全魔力でミズーを救おうとした、アキねぇと、補助魔法3人組


自分より強い、グロックに前線で戦った、ユイ、セシルさん、リン。



あの時、毎日殺される青魔族を救う為に仲間をいかに殺さず、グロックを倒すと言うブレない信念があったからみんな自分で動けたんだ!


結果的にそれが青魔族を精神的にも救う事が出来ただけだ。


終わってみたら3人の犠牲が出た!


出してしまったんじゃないんだ!


うちらが全力でその目標に1つになれたから、3人の被害で済んだんだ!

実際に異世界から去ったのは2人だが、


みんな命令で動いていた訳ではなく


その信念にブレずに各自動いた結果なんだ!


ジュンだって魔法を撃てばミッキーが死ぬのはわかっていたはず!


カナだってミッキーだってそうだろ!


それをわかっていながらそれを実行した。


そこにはみんなを最小限の犠牲で救うその信念があったからこそ出来たんだ!


それは決してトラウマを救う為にやったんじゃない!


仲間の命笑顔を無くさせない為に、決断して取った行動だろ?



だから、これからも、必ず、異世界を終わらせるまでに、これ以上、仲間が泣く姿は見たくない!だから、敵を救うなんて、考えは今は捨てた方がいいとオレは思う!』


…その通りだ!


…オレの思い上がりもいいとこだ。


…知らない相手を救うより、仲間を1人でも傷つかないような作戦を立てなければ。


『キッド、おまえの言う通りだ!悪かった!これからは全力で躊躇なく、狩りに行く!』


『プレイヤーがいても恨まれ役ならオレが買ってやるよ!』


オレは、キッドとエアー腕相撲状態でガッチリ手を組んだ


『みんなつまらない話で悪かったな。』


「大事な事だと思うぜ、さっきのリンへの言葉もキッドなりに考えての事なんだよな?」


『あー!もちろんだ。ったりめーよ!』


「わかった!さっきは悪かった!」


『いいって、カズキならわかってくれると思っていた!似てるからなオレ達は!オレもちょっと口が悪かったかもしんない!リン!ごめんな。』


リンが、いや別に大丈夫という感じで首をブルブル横に振っていた。



そして、みんなキッドの考えをよく、頭に置いた状態での

作戦会議が始まった。


奇襲するにしても、どうするか、

みんなで知恵を出した。


とりあえずプレイヤーは今の村に何人残っているか、様子を見に行こうという事になった。


戦闘になる可能性は普通ならないはずだが、昨日オレを襲ったプレイヤー3人もそこの村を拠点に狩りに、行ってると見て間違いなかった。


だとしたら、全員ではないにしろ、顔は見られているはずだ!


ではどうする?


という事で、


とりあえず先発隊として、

絶対顔を見られていない、シンを行かす事にした。


1人じゃいくら死んでもシンは死なないと行っても、危険だ


という事でアキねぇの帽子をカナに深く被せ、2人で行かせる事になった。


シンには念の為煙玉、発煙玉両方を持たせた。


もし戦闘になった場合、

カナには戦闘の合図で、アルティメットボムで、倒せるだけ倒して欲しいと頼んだ!


それが、聞こえたら、中衛のプレイヤーと、後方の魔族組は走って村に向かうという事で決まった。


本来の作戦はこうだ!


まず偵察部隊のシンとカナが、普通のプレイヤーを装い、現在狩りに出ていなく、村に残った人数と、ある程度の場所を把握

一度森に引き返し作戦会議!

人数によりどう行動するか!を決め

全員で村に残ったプレイヤーを一掃

狩りに出てるプレイヤーが異変に気が付き帰って来る前に麦藁洞窟付近に退避

仲間のプレイヤーのみんなは、その村に入ったわけだから、次の日グロック村に転生される!

もちろん狩りに行っていた、プレイヤーも森にいたとしても全員村に転生されるはず。

転生されて来た瞬間全員狩る!


これが作戦だ。


『シン大変な役かもしれないけど頼むな。なんかあったら、必ずカナを頼む。』


「わかってる。キッドの話で思いが強固な物になってる!もう周りで誰も死なせたくない。ミッキーの死は無駄にはしない。」


「じゃあシンさん行こうか?」


偵察部隊のシンとカナが向かう。


中衛、後衛のおれらも村の側まで一緒に向かった。


そして後衛のオレら魔族は森と開けたとこの境目で別れる!


『みんななんかあったら、ボムか発煙玉で連絡頼むな!』


「わかった。ジュンここでもかなり、村から、近い!狩りに出てるプレイヤーに見つかる可能性もあるから気をつけて。」


オレは任せたぞの意味で、

シンは任せろの意味でハイタッチをして、

仲間のプレイヤーみんなが、進み出した。


ちょっと先の木陰から、中衛プレイヤー組とシンとカナ組が離脱、2人で行動し、村へ歩いて行った。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ