16.7話
『ギル!その人は?』
『あそこの部屋に入ってます!もう何日もここに泊まってます。だいたい21時〜22時くらいには必ずカップラーメン食べに出て来ます。さっきジュンさん迎えに来た時に、出て来てなければ後30分以内に出て来ます。多分。』
『わかった。』
『ジュンさん。ちょっとトイレ行っていいですか?お腹痛くて。すぐもどりますから!!』
『マジ急いで頼むぞ!!』
…あそこの部屋だな。
…あそこの部屋!
【ピロリンピロリン】
お店の自動ドアが開いた
…マジかお客さん来たじゃん!!
…おい!マジかオレしかいねーじゃん!
…マジか?
…オレがやるしかないのか?
…覚悟決めなきゃ
…いいか、オレは世界一の女!オレは世界一の女!オレは世界一の女!大丈夫世界一だから!スイッチon
『いらっしゃいませ〜〜!』
「あらっ!新人さん?かわいいね?」
『そうなんですぅー。さっき入ったばかりなんですぅ。』
「そうなの。とりあえずいくらかな?」
『えーと。1000円くらいかなぁ?』
「そんなに安くていいの?どこの部屋?」
『えっ?えっ?どこがいぃ?』
「いやーそんな上目遣いで見られても、ホテルの部屋がいいなおじさん!!」
…FA*K!!!!
『だめですよぉ。まだ、よくわかってないんで、空いてる部屋適当に使って下さ〜い。後でわかる店員を向かわせますねー。』
「いやー君ホントかわいいね。来てよかったよ。これから常連になっちゃおうかな?」
…さっきの使えるかな?
…指咥えながら、上目遣い振り向き!
『そんなに夢中になっちゃ、だ、め、だ、ぞっ!』
「おじさん胸が張り裂けそうだ。部屋に行くね。」
『良いお時間を〜〜〜。』
…オッさんのハートゲット!!
…チョロいな!
…上目遣いヤバイな!
…カナのアルティメットボムくらいの破壊力だ!
…男ってホントアホだな!
…なんだ、おい意外と楽しいじゃねーか?
…こんなのが、オレの天性の才能とかだったりしたら嫌だな。
【ピロリンピロリン】
…マジか?まだ来んのかよ!
…えっカップルも来んの?
…ギルまだかよ!どうなってもマジ知らねーぞ!全く!
『いらっしゃいませ〜〜!』
『お二人ですかぁ?』
…なんだ、この2人付き合ってるのかな?
…フフフ面白い!やってやる!私は世界一かわいい女、
「はい!広めの部屋空いてる?」
『ちょっとぉ、いま店長がいなくてぇ、すぐ戻って来ると思うんで待って貰えますかぁ?』
「ちょっとどんくらいかかるのよ?」
「まぁ、そんな怒らず後ろで待ってろってな?」
女の人が後方で腕組みして待っている!
…離れたな!
…王から飛車か、離れたら負けだ!
…今が好機!攻めるか?
…秘技ひそひそ話耳に吐息攻撃の術!
『彼女さん。怒ってますね?』
「そーなんだよ。ここだけ、の話よくキレるんだよ。」
『そーなんですかぁ?あなたみたいにカッコいい方といたらいれるだけで、幸せだと思うのにもったいないですねっ!』
…くらえ膝曲げ、下からの上目遣い見つめ、アルティメットボムクラスの眼球直視涙目ウルウル攻撃。
「そんな、、かっこよくなんて、あなたほど素敵じゃないですよ。」
「ちょっとあんた!何うちの彼氏と話してんの?」
彼氏がこっちを見つめて助けてみたいなまるで子犬のような目で見つめている。
その時だった!
やつが部屋から出て来る!
…ヤバイ隠れて見るはずだったのに!
カウンターに近づいて来た。
「ちょっとあんた聞いてんの!」
…間違いないタニセンだ!!
…こんなカップル構ってる暇はない!
『はい!お客様。彼氏様が、とてもあなた様が素敵で、しょうがないというお話をさせて貰って、あれだけお綺麗でしたら、みんなから、注目されて、大変でしょうねって話をさせて頂きました。自慢したくて、しょうがなかったのでは、ないでしょうか?素敵な彼氏様ですね。』
「ゆうく〜ん。」
『あっ!店長来ました。店長!お客様ですぅ。』
ギルが、2人の相手をしている。
部屋の案内の時になった。
『世界の理想のようなお二人様、当店でゆっくり、おくつろぎくださいませ。』
「ゆうくん。ちょっとあの接客!神じゃない?」
「あー!おまえが1番神だけどな。」
「ゆうく〜〜ん。。。」
…はい!バカップル一丁出来上がり!
…言葉系の仕事が天職なのかもしれないな!!
『ジュンさん!なにやってるんですか?』
『だってトイレでいないから。最高の接客だったろ?オレが接客した2組多分!リピーター確定だぞ!』
『2組って、もう1組いるんですか?』
『あー!オレに惚れたオッさんがどこかにいる!とりあえず適当に千円もらっといた!』
『ジュンさん!なにやってるんですか?』
『だからトイレが遅いから!』
『そんな事より、本来の目的の、やつの顏見れました?』
『見れた!間違いない!やつだ!でもこっちも全力の接客してたからな、引く訳にもいかないから、こっちも顔見られたかもしんない!』
『ジュンさん!なにやってるんですか?』
『いやーだからな、便所から早く帰ってこいよ!』
『顔確認出来たし、オッさんのハートにアルティメットボムくらわしてメロメロにしてやって満足したから、車に報告しに戻るわ。』
『ジュンさん!マジなにやってるんですか?』
『ギル!なかなかナイスなくだりだった。おまえはいいもん持ってるな。バイト頑張れよ!』
お互い親指を立ててオレはギルのバイト先を別れた。
…やつだったな!
…意外と近くにいたんだな!
…ほとぼりが冷めるまであそこでやり過ごすつもりなんだろうか?
…安易な気持ちで漫画喫茶にいたら、公開捜査になって、逆に出れなくなったのか、まだ、自分が指名手配されてる事を知らないかどっちかとかか?
…後者だとすると、見た瞬間逃げる可能性も捨てきれない。
…今何時だ?
時刻は22:15
オレは車まで戻って来た!
『ギルが言ったように間違いない!やつだった。』
『マジか?ジュン!なんか作戦あるって言ってなかったか?』
『あー!シンの名前で脅迫状を書こうと思う。この状況、どう考えても、拉致監禁、もしくは最悪のケースも考えて動かないといけない!だから、シンが、谷口先輩に別れた場所に来いって、置き手紙を置いておこうと思う!それでやつが動かなければ、またその時考えないと、強制的に聞き出すってやり方はあまり、やりたくないけど、最終的にはそれも止むなしかな、、、。』
「手紙で駄目なら、警察に任せよう!うちらが犯罪者になったら元も子もないわよ。多分シン君だって、そんなの望んでないと思う。」
『今書いて置きに行った方がいいかな?』
『ジュン!うちは2時になったら、異世界に行くんだ!今から動いて、この谷口ってやつが、結構な距離移動したら、うちらは途中で意識を失う事になって、せっかくの手がかりなくなっちまうぞ!オレが思うに異世界に行く時は必ず安心していける場所から行った方がいいと思う!』
『確かに!キッドの言う事は一理あるけど、谷口が逃げる可能性だって無いだろうか?』
『まぁ、その可能性が0じゃないけど、やつは明日もいると思う!それはなんとなくだから、オレを信用して貰うしかないんだけど、みんながどうしても今からやるって言うならオレはそれに従う。どうする?』
『車内のみんなが目を合わせて悩んでいる。』
『キッド!』
『んっ?』
『ちなみに、明日その作戦をするとして、何時に集まる?』
『異世界が終わり次第、即だな!セシルさんも大丈夫?ってかみんなはどうだ?』
「ユイはなんとかして来るよ。」
「私もユイと同じで大丈夫だよ!」
「私はなんとかできるかしら?なんとかするわね。」
「私は有給休暇で休めますよ!車もそのまま大丈夫。」
『私はいつも暇だから大丈夫!』
『キッドおまえも大丈夫か?』
『あー!もちろんだ!待ってたんだよこの時を!やってやろうぜ!』
『じゃあ!明日で行くか?カズキと、リンは呼ぶのか?』
『ジュンやめとこう!もし車で移動とかになったら、どっちか1人しか乗れないし、このモチベーションのままいきたいし、このメンツで行こう!』
『わかった!じゃあ今日はここで解散だな。』
みんなが、セシルさんの車から、降りた。
『長い1日だったね!』
『そうだな!疲れたけど進展あったな!そうだ!ユイこの顔落として!』
「えっ!ユイ、クレンジングないよ!」
「私もウェットティッシュしかない!」
『ちょっ!ちょっ!!おいっ!マジせめて、途中まで一緒に帰ろうぜ!』
「ユイ、総武線!」
「私も同じ。」
「私は武蔵野線からの京葉線」
…おい!おい!マジか?東西線いないの?
『キッド!』
『わりぃ、オレもJRだわ!!』
最後の神頼み的にマイをみてみた。
『ごめん私も総武線から、本八幡乗り換えなの。でもそんな嫌なら一緒に帰ってあげようか?』
「マイ!だめだよ!この時間から、送ったら、終電間に合わないから、この女装魔ゴブリンに言いように部屋にあげられて、襲われちゃう!通常痛覚なんだよマイ!マイが汚れちゃう!」
『痛覚関係ないだろ?こっちじゃみんな痛覚一緒だろ。おまえがこんなんにしたんじゃないか、、、。いや!マジこんなんで電車乗ったら変態だろ?』
何かを察知したのか、セシルさん号!が抜き足差し足のように離れて行った。
「あー!セシル隊長逃げたー。」
『これマジやばくね?』
アキねぇがオレを哀れに思ったのか、近寄って来てくれた。
『アキねぇ。一緒に帰ってくれるのか?』
アキねぇが無言でオレの手を握る。
「ジュン子ちゃん!大丈夫あなたは、世界一かわいい。何も恥ずかしがる必要なんかないわ。あなたに貸したカーディガン貸しといてあげる。いい!自分に迷ったら、、、フフフ、、私は世界一かわいい!そう思えば大丈夫。見て。」
アキねぇが知らない女の通行人を指差している
「あなたの方が100万倍かわいいわ。大丈夫!ネッ!ちょっと私電車の時間近いから行くわね。なかなか武蔵野線って1本逃すと来ないのよ。じゃあね。ジュン子ちゃん!」
そう言って、駅に走って行った。
「そうだよ!アキねぇの言う通りだよ!ユイもジュンさんめっちゃかわいいって思う!いやもはや、女の子にしか見えないって、ナンパされちゃうよ!」
「そうだよ。大丈夫!問題ないよ!アキねぇが教えてくれたじゃん!迷ったら、呪文のように言う。ハイ言って。」
『私は世界一かわいい!』
「ジュンさんもう少し女の子になって、、さんハイ!」
『私は〜世界一〜かわいいっ!』
「キャッー!かわいい!!じゃあ、マイ行こっ!」
ユイが、マイと手を繋ぎ、後ろからカナが肩を押し階段を上り始めた。
『ジュン君ー!でも本当にかわいいから大丈夫だよーー。』
3人が、駅に消えて言った!!
『オレもな中1の頃ガッツリ女装した事があるから同士だな!ジュン!大丈夫だ!おまえは魔族みんなの心を奪ったやつだ!何も悩む必要すら無い!じゃあな!』
「キッドおまえは女装癖があるのか?オレは無いぞ!仲間みたいに言わないでくれー。おーい」
そして、キッドも振り返る事なく手だけあげて駅に消えて行った。
男物のズボンを履き、女物のカーディガンを羽織り、つけまつ毛付きギャル風ガッツリメイク!
…これじゃ妖怪じゃないのか?
…いやそんな事ない!
…私はかわいい!
『私は世界一だ、ぞっ!うふっ!ルンルン!』
スキップして帰ってみた。
『ははははー。はははは。ルンルン。』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「安達警部!やつ帰してよかったんですか?っていうか?あれっいっちゃってますよ。薬物でもやってるんじゃないですかね?」
「佐伯君!おかしいね。私達が調べたのだと、友達も少なく、女装する性癖もないはずだが、、。ますます気になるね。しかも前にも女装事件があったな。懐かしい。あれは3年前か。」
「あの漫画喫茶、中探りに行きますか?」
「いや!今日はだめだ!そう言われている!」
「誰にですか?」
「それは言えないんだよ。それに佐伯君!君は気がついたか?あのメンバーの中に彼より、黒い存在がいる事に。」
「それは本当ですか?警部。」
「あぁあ。誰だかはわからなかったが、1人間違いなくいる。何か周りを大きく動かしているのが。どうやって渦を巻いている。刑事になってこれ程先が読めない事はない。これは楽しくなってきた。さて、神様は誰かな?そいつは、はてさて、黒か白か?こんな事件は初めてだ。はっはっは。どうなるか楽しみだな。神様よ!」
「警部神様って。」
「佐伯君!帰って今日いたメンバーを洗い出しだ。今日は寝れんかもしれないぞ。」
「はー!また徹夜ですか?警部!やりますか?」
「どういう手段なんだ?!なぁ神様。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やっと家に帰って来た。
『た、だ、い、まっ!ってアホか!いつまでやってんだ!高校2年にして、黒歴史作っちまったじゃねーか?』
オレはカーディガンを脱ぎ、
鏡の前に立って、自分のかおを左右に振ってみた。
『いや!でも、真面目にそこそこイケてるんじゃないか?』
『馬鹿か!オレは!何を自分に見惚れてる?キモいぞ!』
そう思い、石鹸で、顔を洗ったが落ちないので、食器用洗剤で顔を洗った。
まだつけまつ毛だけがしぶとく残っていた。
『痛てー!』
『女って毎日こんなやるのかマジ大変だな、、、。オレは男でいいや。』
とりあえず風呂に入り今日の事をLINEに載せ、明日は今日のメンツで動く事と、この事は必ず異世界のシンには言わないって事書いてLINEで一斉送信した。
【ピコン】
【ピコン】
みんなからの書き込みだろうか?
…無理だ!
…ハードすぎだろ今日!
オレは携帯に手を伸ばしたまま、死んだように寝た。